【仕事してよ 緑山敬吾編】
何をやっているんだろう? 緑山敬吾は、さっきからじっと篠山義隆を観察していた。 篠山は緑山にとって、直属の上司であり、憧れの人でもあった。 しかし、つい先だって完璧に振られてしまったのだが。
何をやっているんだろう? 緑山敬吾は、さっきからじっと篠山義隆を観察していた。 篠山は緑山にとって、直属の上司であり、憧れの人でもあった。 しかし、つい先だって完璧に振られてしまったのだが。
川崎理化学営業三課の滝本恵は、携帯のメールを確認して、ほっとしていた。 メールの相手は、篠山義隆。恵の恋人だ。 ここんとこ一週間ほど、毎日のように押し掛けてきた義隆にいささかうんざりしていた恵は、メールの「今日いけない …
開発部工業材料第1チーム 俗称 篠山チームのリーダー 篠山義隆は、第三リーダー達の中でも割といい加減な男だった。根は真面目で実力もあるのため、最終的な所で遅れをとったりすることはないのだが、それも周りの人々に助けられて …
9月20日。 この日に向けて、全社一斉に慌ただしい雰囲気になる。 滝本優司はその実行計画書を見ながら、小さくため息をついた。 気分が暗くなる。 毎年のこととはいえ・・・・・・・。 半期に、一度の、棚卸し?
避けられてるんだろーか。 篠山義隆はパソコンに向かいながら考え込んでいた。 会社の事務所で考える内容ではない、とは思っているのだが、ついつい手が止まってしまう。パーテーションに区切られた机だから、後ろから近づかれな …
かったりーなー…… 篠山義隆(しのやま よしたか)は事務所でパソコンに向かって報告書を作成していた。 何が嫌いかといって、この手の文書作成程嫌いな物はなかった。とにかく面倒くさいのだ。 だが、これを作らないと月度 …
両手に厚手のリストバンドを嵌めるのは、痕が付くのを浩二も厭うからだ。 その上から縛られて、雅人の腕はベッドヘッド側の板に括り付けられていた。 お仕置きだからと、課せられたのは拘束。 両手どころか、足までも別々のベ …
「……んで、あのバカはまだ帰っていないんだな」 舌打ち交じりの辛辣な言葉に、雅人は逆らうことなくコクコクと頷いた。 苛立たしげに下ろしていた前髪を掻き上げる悠人のうなじにはくっきりとキスマーク。仄かに匂う香りは、健一 …
明石雅人が恋人増山浩二と住む部屋は、普段あまり客など来ない。 チャイムが鳴れば、たいていそれぞれの兄たち。やはり恋人同士の二人は、いつも喧嘩ばかりで、何事かあるとこの家にトラブルのネタを運び込んでいた。 しかも、そ …
30万HIT記念 明石雅人が用事があって兄の部屋に来たのは、春にしては熱い日だった。 寒い日もあるからとファンヒーターがまだあるというのに、窓越しの日差しはジリジリと肌を焼く。 「暑いっ、エアコン入れよっ」 「窓を開 …
10万HIT記念 2002/7/5 最近 雅人さんの様子がおかしい……。 北川病院の整形外科部長である増山浩二は仮眠室のベッドで天井を眺めつつ、考え込んでいた。 今日は夜勤だったのだが、不思議と静かな夜で緊急車両 …
20,000hitキリリクrabi様のリクエストです。 浩二の雅人への想いを浩二視点で描いてみました。 一人きりの一夜の続編になりますが、これだけ読まれても問題はないと思います。 ——— …
「何てこった……」 明石雅人は自分しかいない部屋でひとりごちる。 せっかくの大晦日。 なのに増山浩二は仕事だ。 広いリビング。フローリングに部屋に不釣り合いなこたつに潜り込み、こてんと頭をこたつの上に載せる。
その日、明石雅人は暇をもてあましていた。 勤務日の変更をいきなり言われ、代わりの休みを先行して貰ったのはいいが、恋人の増山浩二は一向に連絡が取れなかった。 医者である浩二は、携帯の電源をOFFにすることはない。電波 …
最近、雅人は浩二と遊ぶことが多かった。 明石雅人は職業がホストのため、昼間寝て夜働く。週5日制だ。 雅人がホストをしている店では、雅人はNo.1だった。今時の端正な顔と面倒見のよい性格、そして身につけた接客手法は追 …
葉崎は澄んだ青空をぼんやりと見上げていた。 少し早めに来たこの場所は、ひんやりとした秋の空気をさらに冷やす噴水の細かな飛沫が飛んでくる。照りつける陽の光はまだ鋭く肌を焼くというのに、風が吹けば涼しさを通り越して寒いと …
「葉崎くん、電話っ!」 同僚の佐野が事務所から叫んでいるのに気付いた葉崎勇一は、動かしていたフォークリフトを止めた。 「はぁっ?」 「電話よっ!」 そろそろ出荷のためにトラックが入ってくる時間。 いつにもまして出荷 …
鳥の声と車の音。 それと規則的なカチカチという音。 どこかで聞いたことのある音だと、葉崎はぼんやりと思った。 朝……なのかな? 寝ぼけ眼の目をこする。 今日は何曜日? どこかはっきりとしない頭から記憶を取り …
あ、あ、あ〜じれったいっ!! 加古川は年甲斐もなく思いっきり叫びたかった。 これが車の中だったら、二人に怒鳴りつけていたかも知れない。 だが、ここは病院の待合室。 規模は小さいとは言え、2階には病室もある個人病 …