【契約の果てに】
ずるり、と、ひどく重たい身体を腕の力だけで前進させる。 数メートル先で嗤っている男達の手招きに、応えるためだけに。 「あっ、ひっ……くっ」 立ちあがって歩けば数秒で辿り着ける場所なのに、今の怜治に足は無いのと同じだ …
小説現未来
ずるり、と、ひどく重たい身体を腕の力だけで前進させる。 数メートル先で嗤っている男達の手招きに、応えるためだけに。 「あっ、ひっ……くっ」 立ちあがって歩けば数秒で辿り着ける場所なのに、今の怜治に足は無いのと同じだ …
今の願い事を書け、と言われて渡された短冊は普通の4倍ほどもあろうかという大きさだった。 訳が判らなくて、ぼんやりしていたら。 「七夕だからな」 と、付け加えられた。 時間の感覚などとうの昔になかったし、七夕だから …
「あっぁぁっ、あつっ、もぉっ、くるし……助けぇ、ひぁぁ、ゆるひてぇ」 「誰に言っているんだい?」 体の中を駆け抜ける快楽と苦痛の混じり合った嵐に、ただ翻弄されるだけだ。その苦しさに泣いて許しを請う言葉は、意識している物 …
久能木の必死の懇願に、佐々木はその瞳に怒りを滲ませていた。 それでも、「ふむ、それはそれで問題があるか」と呟いて、久能木から手を引いた。 その意味がどういう意味なのかははっきりしないけれど、少なくともこれより淫乱に …
空腹の胃に流れ込んだ精液の臭いが逆流してくる。 うがいすら自由に許されない奴隷は、再びイスにぐったりと身を預けていた。 座り心地の良い分不相応なイスは、大きな背もたれとアームのおかげで、そのまま眠ってもすぐに体がず …
朝の数十分の主人──室崎への挨拶が終われば、佐々木の執務室に戻っての仕事が始まる。 今日は佐々木は一日会議で、部屋に戻ってくることはほとんど無い。 ふらふらとした足取りで自席に着いて机に突っ伏して、わずかな休息を味 …
欲に彩られた卑猥な宴があった夜以来、久能木俊(くのきしゅん)には主人が4人いる。 一人目の佐々木は、四人の中でも最高位の主人だ。 四人とも同じ会社の枠組みの中にいて、地位もそれに準じているところがある。その中でも佐 …
「あっ、あ゛っっ……ぁぁ」 下腹の奥底で、灼熱の炎が産まれ、暴れ回っていた。全身の皮膚は総毛立っているけれど、寒いわけではない。それどころか、熱くて熱くて堪らない。 荒い吐息と悲鳴に喉は渇ききり、なのに、涎がだらだら …
押し倒された時、ただの悪ふざけだと思った。 力強い指が痛いほどに手首を鷲づかみにして、テーブルに押しつけられてもなお、やりすぎだろう、と思っただけだった。 かちゃ、と、金属がかみ合う音がして、じゃらじゃらと細いけれ …
恭一がサインした書類は、養子縁組届けで、太地が恭一の息子になるというものだった。 正気に戻って慌てても、全てが処理された後だった。何も知らない太地の親は、林の両親が頭を下げて説明されたことを鵜呑みにして、最終的には祝 …
逃れられると思っていたのは間違いだったのだろうか? 大学を卒業してしまえば、それぞれの道があって。接点など作らねば無いだろう未来への分かれ道のその日に、この日が最後だと信じていたけれど。 彼らはいつものように自分を …
「ひぃっ、——ぃぃっ! ああぁ……うぁ」 ベッドにうつぶせに押しつけられ、高く掲げた尻の狭間に、たくましいペニスが、ずぼっと音を立てて沈められる。パンッと音を立てた皮膚は全身汗ばんでいて、流れ落ちるほどだ。 もうずっ …
シャワーを浴び、後ろを解して洗ってきて。 全裸のままにリビングでチョコレートを物色している大紀の前に跪づく。 「準備できました」 すらりと伸びた啓治の身体は、あまり日に焼けることがなく、全体的に白い。 無駄な脂肪 …
サイト中短編【Sweet, bitter and too bitter night】の続編です。 半年前に引っ越したマンションは、まだ新しい上に希望する設備が整っていて、駅から歩いて10分という適度な距離は運動にもちょ …
時計を見ればちょうど良い時間で、そろそろかと耳を澄ませば近くに車が停まるような音が聞こえる。タイミングの良いその音に、大紀は手はず通り進んでいるのだと確信して、ニヤリと口角を上げた。 車は仲間が運転してきたもので、そ …
ビール浣腸まではするつもりはなかったが、タップリの水での洗浄は欠かせない。 スカトロの趣味はないが、啓治みたいな男がヒイヒイ鳴きながら噴き出す様は見ている分には面白い。ただそんなに回数を重ねなくてもキレイになったのは …
【Sweet Valentine】とは別のお話ですが、少し関連があるために同じシリーズになります。 ————————R …
甘ったるい匂いが充満していた。 常ならば嫌いではない匂いだ。けれど、今、そのチョコレートの香りは、むせ返るほどに強い。 しかも室温で固体になってしまうそれが固まり過ぎないようにと、この部屋は温度を高めに設定してある …
何がどうして、どうなったのか? 笠木(かさき)は、頭に浮かんだ疑問を口にすることも、それ以上考えることもできなかった。 身体の中に深く入り込んだ熱塊が、体内の一点を擦り上げるたびに、視界が白く爆ぜる。 そのたび …
18-2.Masaki あの冬吾さんの躾の後、俺は二週間経ってようやく龍二さまの罰を受けることになった。 骨折まではいっていなくても、かなりの炎症があったらしく、治るのに少し時間がかかったのだ。 ベッドの上で安静に …