【Sweet, bitter and too bitter night】(2)

【Sweet, bitter and too bitter night】(2)

 ビール浣腸まではするつもりはなかったが、タップリの水での洗浄は欠かせない。
 スカトロの趣味はないが、啓治みたいな男がヒイヒイ鳴きながら噴き出す様は見ている分には面白い。ただそんなに回数を重ねなくてもキレイになったのは嬉しいところで、バケツに溜まったクソ混じりの汚液を運ぶ手間が省けたのは助かった。
 それでも慣れない腸内洗浄に、啓治はすでに肩で息をするほどに疲れきっていた。大紀が、最初よりイヤらしく色づいてきたアナルに触れても、小さく肩を揺らしただけだ。
 浣腸のせいか、少し綻んだアナルは確かに蕾のようで早く開花させたい欲求に襲われる。開いた花弁の狭間に太い雄しべを突っ込んで、淫らな雌しべが実を結ぶまで行うのが性の営みなら、これから行うのは、確かに性行為に違いない。もっとも、いくら雄の精液を注いでも実を結ぶことはないこれは、不毛行為だと、人は否定するだろうけれど。
 楽しければ同じだろう。
 最初とは違いタップリのジェルを三本の指に纏い付かせ、体温に温まるまでしばし待つ。俯せだと尻より後ろにいる大紀の動きなど窺えない啓治は、何をされるか判らなくて時折もぞもぞと尻を動かす。そのたびに目の前のアナルがヒクヒクと収縮するのを楽しめば、待つ時間などあっという間だ。
「あ、ひぃっ!!」
 一際高くあがった短い悲鳴はそこで途切れて、歯を食い縛る音とともにキツく締め付ける肉壁を三本の指で堪能する。
「へえぇ? 俺のチンポ銜えて発情したか? すっかり緩んでるぜ。どうやらたいした淫乱ケツマンのようで、こりゃ楽しみだ」
「ち、が──ああっ!」
 頭を降って否定する啓治を、前立腺を突き上げて黙らせる。男だからこその性感帯の場所など、男を嬲り慣れた大紀にはすぐに検討がつく。
 グニグニと指先で揉んでやれば、啓治の体が一気に朱に染まりビクビクと跳ねた。
「むっちゃ感じてるな、処女にしちゃっ乱れ過ぎってぇ感じだが、もしかしてケツマン使いまくりの淫乱ちゃんかぁ?」
「──っ、う、あ…違うっふうう!」
「へえ、んじゃ、ケツオナニーしまくってたんじゃねえの」
「ひあっ! あうぅ」
 処女穴だと判っていても、面白いように反応するから、大紀の声音が興奮のあまり上擦っていく。
 とろけるジェルは、処女を犯すには最適な粘度と滑りを持っていて、垂れ過ぎず、溜まり過ぎず、程良く伸びて穴の隅々まで潤してくれる。ついでに少しばかり快感が増す薬も入っているけれど、その効果も前立腺刺激を受け入れないアナルにはあまり役に立たない。
 だが。
「あっ、やっ、はひっ!」
 大紀がもたらす刺激の通りに喘ぐ啓治はどうやらたいそう敏感なようで、股間に垂れるペニスがムクムクと鎌首をもたげだした。鈴口の滑りは決してジェルのせいではないから、この先の乱れようをひどく期待させる。
 グチャグチャとジェルと啓治自身の体液が奏でるリズムが速くしながら、不意打ちのようにもう一本の指を弛むアナルに滑り込ませた。
「あひぃっ」
 さすがに悲鳴を上げはしたけれど、啓治には滑るそれを止める手立てなど無いから、一気に奥まで入り込む。四本の指を銜えるには、人のアナルは狭い。だが、浣腸とジェルの力を借りているとは言え、啓治のアナルは裂けはしなかった。もっとも、限界に近いそこは入り口のシワが伸びきって、指の隙間から濡れた肉が覗き、イヤらしい淫臭も立ち上がっている。
「サイコーだよ、あんた」
 なんて身体だ。
 処女穴を犯すのは愉しいが、裂けてしまうと獲物の痛みが激しくて快感に堕ちる様が見られないこともあるし、早々に使えなくなってしまうこともある。だが今回の獲物は、意外にもうまく使えそうなのだ。
 大紀の巨大な逸物を銜えさせるにはまだ早いけれど。
 イヤらしい穴は淫らに綻び、大紀を誘う。
 一度は射精してはいるが、先を期待させる光景に大紀のペニスはいきり立ち、涎を垂らしていた。指から伝わる粘膜の動きも、それに拍車をかける。
 この状態ではまだキツいと判っていても。広がっているのは入り口だけで、奥はまだまだ狭いはずだと判っていても。
 それでも。
 口の端から溢れそうになった涎をジュルッと啜り上げ、手のひらにいっぱい取ったジェルをペニスに塗りたくって。
「さあ、淫乱ちゃんに大好きなチンポのご褒美だ」
「!!」
 大紀の声掛けに、啓治が限界まで首を捻った。それに嗤いかけながら、その視線が捉えた巨大なペニスを尾てい骨あたりから尻の狭間にズルズルとずり下ろしいく。
「止めろっ!」
 悲鳴も心地よく、濡れた先端で窪んだアナルを数度押して。
「イ、イヤ、がっ!!!!」
 先が熱い滑りに包まれた途端、啓治の背筋がピンッと伸び、口が大きく開く。呼吸を忘れた口から流れ落ちた涎の糸が床まで伸びた。
「おほ、やっぱ、まだきつかったか?」
 ぎゅうぎゅうという擬音がするくらいに締め付ける肉壁は、熱くて、柔らかくて。妙なる快感をもたらしてはくれるが、先への侵入を許さない。
「おいおい、ちっと緩めてくれよ」
 ペチペチと尻タブを叩いても、歯を食い縛った啓治はただ首を横に振るだけだ。全身どこもかしこも力が入っていて、太股の筋肉など小刻みに痙攣さえしている。
 実際、色を失う程に伸びきったアナルは今にも裂けそうで、相当な苦痛なのは判るけれど。
「しゃあねえなあ」
 こういう時は快感を与えるのが一番と、さっき探り当てていた前立腺に向かってグイグイと腰を何度か突き出す。その拍子にヒクンと震えて、わずかに締めつけが弛んだ。
「あ、は…ぁ……」
 漏れ聞こえた甘い吐息にほくそ笑み、多少楽になったペニスでさらに突いてやれば、痛いと言いつつもますます甘く鳴き出した。
「へ、えー」
 グチャっと漏れ聞こえる粘着質な水音が、大紀の腰の動きに合わせて大きくなる。
「ひっ、痛ぁ、あ、はぁ──」
 めくれ上がる粘膜が時折めくれてのぞいてはいるが、出血はしていない。薄汚れた部屋の中でやけに鮮明な色合いがもたらすのは、ゾクゾクとした悦びに満ちた快感ばかりだ。不自由ながら腰をくねらせて逃れようとするけれど、先より弛んだアナルはきゅうきゅうとペニスを銜え込んで離そうとしない。
 柔軟性があるというか、伸びが良いと言うのか、どちらにせよ犯されるための穴なのだと言える。
「す、げぇよ、あんたの穴。俺を銜え込んで離さねぇ」
 他人に犯されていないアナルの素晴らしい締め付けに感嘆の声が上がる。
「しかもあんたのケツマンさあ、チンポ銜えて悦んでるだろ」
 内壁のうねりが、未だかつて無いほどに大紀のペニスを大きくする。それすらも悦んでいるように啓治の中は締め付けた。
 その歓喜に満ちた大紀の揶揄に啓治が我に返ったように目を見開いた。
「……違う」
 譫言のように弱々しく返す言葉に肩を竦めて、おもむろに伸ばした手で啓治のペニスを握り込む。
「ヒギッ」
 大きく一跳ねして全身を硬直させた啓治のペニスは確かに勃起していて、手のひらに確かな手応えを与えた。それを楽しく弄び、問い返す。
「これで勃起していないって? すごいなぁ、あんた。これで勃起したら俺よりデカイじゃんか。女泣かせだったろう?」
「ひっ、ぎ……イ、痛い!」
 硬直したそれを無理に押し曲げ、指先でつぶす。
 その度に悲鳴も上がるが、尻に力が入って中が締め付けられ、違う刺激に新たな快感が走り抜ける。時折激しく貫く刺激は雷撃のようで、膝から力が抜けてしまいそうだ。それをかろうじて堪えて、悪戯な小僧のような動きをする内壁を、お仕置きのように責め立ててれば、痛みだけではなさそうな声色で泣き喚く。
「違ぁーっ、ひあっ、いっ……っ、ひぎぃ……ヤ、ヤメテくれっ」
「何で? 勃起してないからこうやって揉んでやってんのに」
「ぼ、勃起してるっ、もう、勃って、うくっ!」
「はれ? でも感じてなかったら勃たねえハズだろ? これ、こうやって触る前からこの大きさだったと思うけど?」
「ぁはっ」
 思いっきり握り締めたら、ガタガタとテーブルが踊るほどに暴れている。男の急所を抑えられては嘘など付けられる物でなくて、嗚咽混じりの言葉が返された。
「か、感じ、て……感じたから……」
「何に?」
 グニグニと揉む手を休ませずに、足りない言葉を促す。啓治の絶望が判る表情が大きく歪み、涎にまみれた唇が戦慄いて。
「尻の中……が、感じ、て……」
「尻ん中ぁ? ああ、ここか」
「あ、はああぁ」
 もうすっかりペニスでも場所を覚えた快楽の泉を違うことなく突き上げてやれば、涎を垂らして奇声をあげる。明らかな歓喜の声を上げた直後、啓治がくっと下唇を噛み締めた。
 感情と身体が追いつかない啓治は、それだけでも虐めがいがある。
「ここはなあ、あんたみたいな淫乱の場合はマンコ、ケツのマンコでケツマンって言うんだよ。しかも、あんたのはギネスもんの淫乱ケツマンとみたねえ」
「あひ、い、ひぃ! あーぁ、はぁっ」
 軽い抽挿でも裂けそうなほどに伸びた皮がめくれ、巻き込まれている。それは結構な痛みを与えるはずなのに。
 大紀の凶器に否応なく前立腺を押し潰されて、ダラダラとザーメンを垂れ流した奴はいたけれど、けれど最初からヨガった奴などいなかった。
 それこそ、啓治が初めてなのだ。
「ほら言えよ。ド淫乱なケツマンを持つ啓治です。デカマラが大好きです。もっと、突き上げて下さいってな」
 手を伸ばし、ヒイヒイ鳴いている啓治の髪を掴んで引き上げる。
「そ、んな……ない……あひぃっ!!」
 突かれるたびに尻が踊っているくせに、まだ否定しようとする啓治を深々と貫いて、繰り返す。
 もしかするとマゾっ気もあるのかも知れない、と大紀は獲物の極上ぶりにほくそ笑んだ。
「言うんだよ。ド淫乱なケツマンを持つ啓治です。デカマラが大好きです。もっと、突き上げて下さい」
 そして付け足した。
「俺は自ら腰を振りたくって、淫乱ぶりを声高に喚く奴じゃあねえと満足しねえんだ。あんたみたいなスーツの似合うエリート面した奴がチンポ大好きって狂いまくってるようなさ。だから狂えよ」
「あくぅ、ふうっ、そんな無理」
 当然のごとく答えた啓治だけど。
「俺を満足させたら、俺が知ってるあんたの兄貴の情報を教えてやるよ」
「なっ! 嘘じゃないのか」
 途端に弱くなっていた瞳に力が宿る。その変化にゾクゾクとした快感を感じ、ぎりっとペニスを押し込んで。
「ひあっ」
 仰け反って喘ぐ啓治の背に食らいつく。
「嘘じゃねえよ。最初に知ってるって言ったろ。今の場所を知ってる訳じゃねえが、見たことはある。情報としては十分じゃねえか?」
「ほ、あぁ、ほん、とに?」
 まったく、なんて淫乱さだ。返す言葉に明らかに混ざる欲の色に気付かないのは本人ばかりだ。
 大紀のわずかな動きに、蠢く肩甲骨すらイヤらしい。
「取引に嘘はつかねえよ。どうする?」
 どうするもこうするも、啓治に選択肢はない。
 言わなければ言わないだけで良いだけの話で。どっちにしろ、啓治の持つ凶器に穿たれた獲物は、その尋常ではない刺激に狂うしかない。
 ペロリと舌なめずりした大紀が、啓治の腰を掴み直す。そのままズルリと引き出しかけたその時。
「ど、ド淫乱な、ケツ……ケ、ツマンを持つ啓治です。……マ、ラが大好きです。もっと、……もっと突いて下さいっ!!」
 最後には吐き捨てるようなセリフ。 
 だが、それで十分だった。自ら強請るそのセリフは、啓治を拘束する枷の一つ、しかもたいそう強固な枷となる。
「よっしゃ、御希望通りにど淫乱な啓治のケツマンを思い切り使ってやる。ほら、もっと言え、繰り返せっ」
 ずんっと力強く突き上げて、ひいいっとよがる身体を押さえつけて、深く強く体内を犯す。
「言えっ、自ら認めろ、淫乱だと、チンポが好きだと叫びまくれ」
 髪を掴んで顔を上げさせ、ぐりぐりと奥深くを抉りながら命令する。
 それに、憐れな獲物は従うことしかできないのだ。
「あっ、ひっ……い、淫乱な啓、じ、は……チンポ、好きです、あぁっはっ」
「そうだ、ケツマンおっぴろげて男を誘う淫乱だ」
「ひぐ……うっ、ケツ、マン、広げてぇ……あうっ、男、誘う……」
「いっぱい犯してってお願いしろよ、俺に。大好きだって、大紀さまのデカマラが大好きだって」
「いっ、いっぱいぃ……ひぐ、犯して……、ダイキさま、のデカマラが、好き、……あっ、犯して、デカマラで……大好き……うぐ……」
 啓治の淫らな喘ぎ混じりの言葉に、大紀の腰がゆらゆらと動く。それがだんだん激しくなり、パンパンと肌を打ち付ける乾いた音が加わって。
「ひぃ──っ、痛ぁぁっ、──あぁっ」
「止めるな、繰り返せ」
「あ、大紀様のチンポ……が好きですっ、あっぅうっ、お、とこ、誘って……淫乱な、……尻……あぅ」
 命令させるがままに喘ぐ中にひたすら繰り返しているうちに、言葉の前後関係がメチャクチャになっている。それすらもう気付かないままで、その声音に混じる欲情は、もう隠せていない。
 言葉にすることでより一層興奮しているその姿は、初めて犯されて感じまくるほどに淫乱なマゾ奴隷の姿だ。
 パンパンと、鳴る音が甲高くなるにつれ、嬌声と化した言葉が狭い屋内をこだまする。
「あっ、はぁ……うっ、犯して、好き、あうっ、イ、んらん……あうっ、デカい……犯しっ!」
 グチャグチャと濡れた音が木霊する。
 大紀が動く度に飛び散った汗がテーブルにも啓治の肌にも落ちて、咽び泣く啓治の涙と混じり合った。
 巨大な凶器に貫かれ、それでも萎えない啓治のペニスはだらだらと床に付くほどに粘液を零している。
 それほど時間をおかなくても、すっかり緩んだアナルは大紀の動きを妨げることなく飲み込んでいく。ぎりぎりまで引き抜き、勢いよく突き上げれば、啓治の四肢が堪えきれないとばかりにテーブルを揺らした。そのたびにきつく締め付けられる。その締め付けは最高で、二度目とは言え一気に持って行かれそうになる。
 そんな無様な真似はしたくないと我慢して、徹底的に前立腺責めに徹すれば啓治の全身が紅潮し、その声はまさしく嬌声でしかなくなった。
 ほんとうに大紀のためにあるような身体だった。
 大紀お気に入りの知的さはもう無い。もう少し、堕ちる過程を楽しみたかったが、これもまた素晴らしい姿だと感嘆する。
 堕ちて強請る姿に昏い愉悦を感じ、口角が上がるのが止められない。
 ここにいるのは、処女穴に喰らった巨大なペニスに悦び、淫らに喘ぎ、淫乱な身体で情欲に狂っている娼婦──いや、娼婦などと喩えたら娼婦の方が気の毒だ。
「──っ! あはっ、はあっ、イイっ──そっ、こっぁぁ」
 排泄孔で快楽に溺れるこれは、理性などもう無い。痛みの中でも快楽に溺れ、痛みよりも快楽を優先している。それほどまでにアナルの壁は赤く腫れ痛々しさを醸し出しているというのに、啓治の締め付けはいつまでも変わらず、淫らに請い願う。
「いひっ……っ、あぅ、もっ、とぇぉ──、はっ、あっ」
 ならば獣か、と言えば、それも違うだろう。獣にとって性行為は意味あるモノであるけれど、この行為に子孫継承の意味など無く、快感だけが存在するだけだ。まさしく、獣──犬畜生にすら劣る代物だと言えよう。
 ならば何か?
 突き上げる度に嬌声を上げ、尻を振りたくり、ペニスを貪るこれを称する単語がうまく思い浮かばない。
 だったら、犬でもブタでも良いだろうと思うけれど。
「淫獣ってのも変か? 性奴でも、ここまでっ、っ淫乱じゃね。……ふっ、くっ……くそっ、マジで限界が……」
 ジェルが泡立ち溢れて、たらりと強張った太股を流れ落ちる。粘液は卑猥な匂いをまき散らし、ペニスが揺れる度に床に模様を描いた。
 その堕ちた様は、何よりも大紀を奮い立たせ、さらに追い落とす事に夢中になってしまう。
「良いかよ、そんなにチンポがっ、くそっ」
 どんなに我慢しようとしても、けれど、迫り来る快感は抗えるモノではなくて、啓治の腰を強く掴んで押しつける。
「あっ、あっ!!」
 深く抉る先で、ドクッと弾む勢いで堪えきれない迸りが狭い肉の中に噴き出した。
 我慢しただけ解放の時はさらなる愉悦をもたらして、大紀は痺れるような快感に浸りながらぶるりと身体を震わせる。
 今、啓治の中には大紀の精液が満ちていた。一度目は口から胃へ。二度目はアナルから腸へ。
 その光景を想像するだけで身体は熱を帯びて興奮し、その先を期待したペニスは萎える筈など無かった。
 男に欲の対象として扱われ、上下の口を犯されたあげくに精液を注がれた啓治は、朦朧としてはいるけれど意識を失うまでには至っていない。ただ、はあはあと荒く喘ぎ、汚されたこともまた快感のように腰を揺らめかせ、肉壁をうねらせている。
 その堕ちた姿は、大紀が望むとおりの獲物の姿だ。けれど。
 まだ、足りない。
 たっぷりと吐き出したはずなのに、貪欲なまでに身体が続きを欲しているのが判った。
 犯して、犯して、犯して、犯しまくり、大紀のペニスが無いと生きていけない、と言わせたい。
 次は一体どうやって犯してやろうか、と、はあはあと荒れた吐息の中で動きを止めたままでいれば、啓治が硬く閉じた目を薄く開いた。
「あっ……うっ」
 とろりと潤んだ瞳が背後の大紀へと向かう。
 物言いたげなその瞳に理性は無くて、欲情した色だけが浮かんでいる。
「良いんだろ? 達きたいほど良いんだろ? 動いて欲しいか?」
「あ……い、イ……、ふっ」
 軽い動きで言葉をうながしてやれば、朦朧とした瞳が快感に震える。絶え入るような吐息を零して、誘うように尻を動かした。
 意識を飛ばしてはいないけれど。
 まともに言葉を発することすらできていない。
「淫乱さは争えねえなあ。やっぱ、犬でいいや、オーソドックスにメス犬ってことで。あの映像で見たみたいに、首輪付けてハーネス付けて……尻尾も、まあ飾りしか無理だけどなあ、つけてやるよ」
 もうそんな言葉すら耳に入らないようで、啓治が与えられるだけの淡い快感に、もどかしげに身を捩る。
 イヤらしくうねる腰が誘っている。
 欲しがっているのに躊躇う理由など無い。ただ、貪り食い、己の欲を満たせばよいのだ。
「ん、んあっ」
 おもむろに長いペニスを抜き取れば、粘液と白濁にまみれたそれが啓治の尻の間を滑る。
 巨大な逸物に犯されたアナルは壁がぷくりと膨れ、中からとろりと泡立った体液を零した。もう、最初の頃のような淡い色ではない。巨大な逸物に犯されたアナルは処女にはきつい負担の果てに、啓治好みの卑猥な色と形となり、ペニスを欲してひくつき、誘うような動きをするようになっていた。
 開かれた足の間にぶら下がる啓治のペニスもまた、ひくひくと震えている。
「このままもっと犯したい……ところだけど」
 まだ乳首も弄っていないし、何より騎乗位での行為は外せない。そうなれば、テーブルに固定していると無理があって、大紀は啓治の四肢を固定していたロープを外し、ぐらりと傾いた身体を床に転がした。
 仰向けになった啓治は自由を得たことすら意識にないようで、四肢を投げ出し、うつろに身を捩っている。
 その両足を抱え上げて、腰を上げさせても。
 苦しいほどに身体を折り曲げても、僅かに呻いただけで。
「ひあっ!! はぁぁっ!」
 新たな律動に、歓喜の声を上げて縋り付いてくる。
 長い夜はまだまだ始まったばかりで、大紀の欲望はまだ終わりを見せていない。
「い、あああっ、イっ、イィッ! やっ、そこっ、あっ」
 律動の度に嬌声を上げ、ピュピュッと白濁を噴き上げる啓治もまた、全てを忘れて激しい快楽の渦に完全に溺れていた。


NEXT