【Familiar Sound】(2)
?PDFファイル:familiar sound2 11 「や、止めろっ、そこはっ!!」 「昨夜もさんざんやったんだろう?」 「や、やってないっ、やめろっ」 どんなに否定しても、園田は聞く耳を持っていない。あっという間に …
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PDFファイル:familiar sound1 疲労というものは蓄積されるんだなあ、とぼんやりとした頭で思う。 慣れた手つきでハンドルを動かし、ブレーキを踏んで。月も覗かない闇夜だというのに、街灯やら車のライトやらで …
お久しぶりです。 なかなかお話を作ることができませんが、久しぶりの更新です。 高藤春樹と亮太のお話で、「観梅の宴」。と言ってもほとんど観梅していませんが(^^ゞ 春樹の怖さが伝わると良いのですが、難しいです。 それでは。
【テル Side】 「テル? なんか、暗いな。どうした?」 帰ってきた須崎が、開口一番呟いて、俺の顔を覗き込んできた。 「……別に」 吐息が触れただけでぞくりと肌が粟立つほどに調教された身体は、須崎の匂いにだって反応 …
「いつからだ?」 きつい声音にびくりと体が震える。 裕太が差し出す物を智史は見ていたくなくて、顔を背けていた。視界には入るのは、少し汚れた裕太の白い上履き。そして、智史と裕太の鞄。 その中から出した智史の教科書には …
──男には見えないくらいに可愛いね。 子供の頃から言われ続けた言葉は、さすがに最近では言われなくなっていたし、智史自身そんなことはどうでもいい、と……思っていた。 弟の誠二は、そう言われることをはっきりと拒絶してす …
「だから」 爆弾発言をした楠瀬が笑いを苦労して収めて、かがめていた腰を伸ばしながら智史を見遣る。 「俺ももっと親密な友達になりたいってこと」 くすりと笑ったその顔、だが目が真剣で思わず返す言葉を失う。 「滝本君にそれ …
開いたのは高校の卒業記念アルバムだった。 同じクラスの最前列左端に滝本智史、その後方後ろから2列目に深山裕太。 二人の距離は、指一本分の長さよりも短い。 だが、二人は卒業と同時に別れた。 写真を撮った時は、そん …
「寂しくないのか?」 深山裕太は滝本智史と始めて話をした時の事はよく覚えている。 高校一年生。 入学してから2ヶ月ほど経とうとしていた。 教室の窓際、中程の席で彼、滝本智史はいつも座って外を眺めていた。時折室内を …
上からのしかかられては、息苦しいことこの上ない。だが、同時に包み込まれるような熱はひどく心地よくて、もっと包んで欲しいと願っていた。 再び振ってきた唇が合わせられ、導き出された舌が甘噛みされる。 「…ふっ……」 鼻 …
水の流れる音がする。 それに気付いた誠二は、ようやく麓に近づいたことを実感した。 沢がそばにある場所からだと、50メートル位で車を止めた所につく。 ちらりと闇に包まれたそちらを眺める。 と、 「蛍……」
矢崎の住んでいるコーポは、誠二と同じ地区にあるにもかかわらず車で5分ほどかかる。その地区が東西に長いせいだ。 ちなみ自転車で近道すれば5分ほどなのだからどっちでいっても同じなのだが、今の足では自転車に乗ることのできな …
すでに用意されていた救急車の横で本職の消防士により応急手当を受ける。 邪魔なズボンが切り裂かれ、露わになった下肢に服の代わりに毛布が掛けられた。矢崎が誠二のヘルメットと法被を脱がせる。 さすがに手慣れた本職の手によ …
最初の内は、いくら水をかけても火勢は衰えることを知らないかに見えた。 それでも乾ききった大地がたっぷりと水を含む頃、さすがにその火勢も弱まってきたようだ。 誠二は、すでに矢崎が全身びしょぬれなのに気がついた。 他 …
なぜか嫌な予感がした。 課内直通電話が鳴った途端、滝本誠二の全身に総毛立つような不快なざわめきが湧き起こったのだ。 このままそっと事務所を抜け出そうか……などという考えは、狙い定めたようになり始めた電話に呆気なく蹴 …
「だから離せって」 「いいえ、離しません」 そう言って矢崎真は滝本誠二を羽交い締めにする。 「嫌だっているじゃないか!」 「そういう訳にいかないって、言っているじゃありませんか」
部屋に戻り、お互いのベッドに座った。 浩二がリモコンで備え付けのテレビのスイッチを入れる。 タイトルが判らない洋画が映し出された。 しばらくは無言でそれを眺めていた。 雅人はちらりと浩二に視線を送る。
裕太が出ていった後、しばらく優司はぼおっと湯面を眺めていた。 ゆらゆらと揺れる先に目を伸ばせば、水滴がついた大きな壁面いっぱいの窓。外に通じるドアがあって、どうやらそこは露天風呂になっているらしい。 優司は火照った …
宴会場を後にした誠二と矢崎真(やざき まこと)はにこやかに談笑しながら部屋へと戻った。 酔っぱらった智史、呆然としている恵、喧嘩&混乱の優司達と比べると、完全に旅行を楽しんでいるのがこの二人であった。 「じゃ、温泉で …
ホテルの部屋に入ると義隆は、思いっきり伸びをした。 恵はそれを横目で見ながら、窓際に歩み寄りカーテンを少し開けて外に視線を移した。 外は、ホテルの庭先の明かりが微かにある程度の暗さで、窓に室内の明かりが反射して自分 …