ガムテープ

 幹人(みきと)が風呂に入って出てくると、梱包用のガムテープが、ベッドの上に転がっていた。  そう言えば、昼間にホームセンターに行っていた竜城(たつき)が、寝室に篭もってずっと何かをしているようだった。

クレヨン

 久しぶりに立ち寄ったデパートは、ちょうど子供向けのイベントを最上階でやっているらしく、家族連れでごった返していた。  幹人は、通常ならこんなデパートに用事はない。

コンビニおにぎり

 コンビニの棚にあるいろんな種類のおにぎり。  それを眺めながら、幹人は眉間にシワを寄せて真剣に悩んでいた。 『なんでもいいから買ってこい』  と、竜城から渡された千円札二枚は財布の中にしっかりとある。  金なんていい、 …

従兄弟

 その日、飯島幹人(いいじまみきと)は暇だった。  暇だと言っても一日家にいるわけではない。金曜日だから、ちゃんと仕事をしてきている。ただ退社後のデートがドタキャンされて、何もかもやる気を失ってしまったというだけだ。

携帯電話

『電話して タツ』  そんなメールが幹人の携帯に入ったのは、連日連夜の残業で思考能力が低下している時だった。  労働基準監督署のお達しを遵守しようとしてくれる会社のお陰で、幹人はサービス残業というものは経験したことがない …

スカート

 大学を卒業して一年程立った頃、仲の良かったメンバーが集まって同窓会が開かれた。それに、幹人も友人達と参加していた。  久しぶりの友人達との再会に、酒も料理も話も進む。  しかも、企画した幹事の手腕は見事なもので。 「最 …

桃の花咲く鬼の城 後編

9  夏休みに入り、圭人や蓮たちと出会う機会はかなり減った。  高校の時の友人と会うこともあるが、ほとんどはバイトかバイトが無ければ家でごろごろしているか。  その日も朝寝をしていて、カーテン越しでも弱まらない日差しに炙 …

桃の花咲く鬼の城 前編

1  湊 桃李(みなと とうり)は、子供の頃から桃太郎の話が嫌いだった。 『桃から生まれた桃太郎は、大きくなって鬼退治をしました』  勧善懲悪の有名な鬼退治の昔話。  けれど、桃李が親しんでいた鬼退治の話は、祖父がしてく …

緑姫(3)

21  タクシーに押し込められ連れて来られたのは、都心の高級ホテルだった。  ロビーで呆然と受付で話をしている卓夫の様子を見つめる。スーツ姿の卓夫はまだしも、カジュアルな格好の篤彦はあまりにも場違いだ。  戻ってきた卓夫 …

緑姫(2)

11  久しぶりにくぐった家の玄関は、多分前と何も変わらなかったはずなのに。  触れた扉の感触も、裸足で踏んだ床も、どこかしっくりこない。  まるでここが自分のテリトリーでないような落ち着きの無さがあった。一年前からずっ …

緑姫(1)

 兄弟間の確執、鬼畜攻×健気受、道具責め、売春 【緑姫】  林 篤彦(はやし あつひこ)。  最後にそう呼ばれたのはいつだったろう。  そんなことを考えて、けれど。考えるまでも無く、はっきりと記憶に残るそれに自嘲する。 …

砂姫 後編

Suna-hime2  じゃ、これを頼むよ。  そんな言葉と共に渡された有紀が持つのと同じ携帯を、どうしたものかと見つめていた。  溜まりに溜まった仕事は一日では終わらなくて、二日かかってようやく終わらせることができた。 …

砂姫 前編

Suna-hime1 — Update :2007-05-05 — ?幼なじみの和人の傍にずっといたいと願い、それを果たしている友貴。そんな友貴に、和人が与えたのは……  束の間の自由な時間に、瑞 …

雪の化身

yukihime4  契約が終了してしまった。憂えて何も手に付かない浪川の元に……。 250万キリリクのpoepoeさま、リク品です。  大晦日の夜遅く、自宅への帰途であった浪川裕樹はひどく疲れていた。それでなくても年末 …

雪姫の願い

yukihime3  身体に力が入らない。椅子に座って机に向かっているのに、雪村の上半身はそのまま前につんのめってしまいそうだった。  だが、今は仕事中で、溜まりに溜まった事務処理を優先的に片付ける必要があった。  だか …

雪姫

 雪の降る夜、陵辱され全裸で晒しものとなった雪村。  裕樹はそんな姿の彼を見つけて、けれど、その瞬間、確かに魅了されてしまった。  雪が舞い降りていた。  切れかけているのか頭上の蛍光灯が瞬く。闇の中、明るく辺りを照らし …

[番外]プレゼント

プレゼント  世の中はクリスマス一色。  緑と赤のクリスマスカラーが氾濫している。  だから、パーティをするために部屋の中を飾り立てるのも問題ないとは思う。  けれど、目の前の天井まで届くかと思うほどのクリスマスツリーは …

[番外]ドライブ

ドライブ ?– Update :2008-08-16 — 紀通と中井の日常編 「なぁ、食事行かね?」  運転席からの不意の問いかけに、うつらうつらしていた紀通はぴくりと頭を上げて、ぼんやりと中井を …