【風南の幸せ】

風南のエピローグ編 「奥方様、旦那様がお戻りになられました」  忠実なるマサラの執事ムルナの言葉に、風南は「はい」と小さく頷いて返した。  その身を纏う長いドレープのある薄い白の衣は、ゆったりと覆ってはいるけれど、その薄 …

【永遠の契約】

 昨日までの嵐が嘘のように澄み切った青空が広がり、風が緑の清涼な香りを心地よく運ぶ。  ラカンでは、祝いの儀式が雲一つ無い晴天であれば、それは神に祝福された証だと言われていた。   一度決めた祝いの日程は、よほどのことが …

【居場所】

 この国に風南が捕らわれて三年の月日が経っていた。  風光明媚な庭を持つ城の、ごく僅かの範囲しか知らない風南だが、ラカンの季節も美しいと感じる余裕ができていた。  最初の時ほど客が来ることもなく、その分接待役としての責務 …

【風南の仕事 乳売り娘】

「少し、お金を儲けることの大変さを学ぶべきだね、カザナは」  高価な食材や食器を無駄にしてしまった風南を見下ろして、マサラが冷たく言い放った。  大切な客に出すために準備していた物だけど、それまでさんざん犯されて足腰に力 …

【風南の仕事 接待編】

 カザナが性奴となってから、一年が経った。  その間カザナを犯したペニスの数は、一年の日数より多い。産み落とした卵や絞り出した乳を味わった人間も、数限りない。  相変わらず膣だけはマサラのものだが、その他の部分は誰もが利 …

【風南の仕事 産卵編】

 下腹が張っていた。  排便していない訳ではない。けれど、排泄のような、違うような、何とも言えない鈍痛が腹の奥底に居座っている。  さんざん嬲られて夢も見ないほどに熟睡した次の日。  ムルナに起こされたカザナは、連れて行 …

【風南の仕事 搾乳編】

 数十分前、マサラ王子が足早に出かけた。  優秀な再生外科医でもあるマサラの治療を受けたいという患者は多い。  いつも夜遅くまで戻ってこられないマサラのために、この居住区を管理するのが執事であるムルナの役目だ。  この居 …

【風南の奉仕】

「おはようございます」  ドアが開く微かな音に続いて、細く震えた声が室内に響いた。小さな声は、決して主を慮った者ではないことを、この部屋の主は知っていた。何しろ、この時間この部屋に入ってくるのはただ一人。それ以外を許して …

【プロローグ】

 月が無い夜だった。  『天人が住まう城』と彼方の国でも詠われる城が、猛火の中騒々しく崩れ落ちていく。  耳をつんざく城の悲鳴。  外壁が、ばらばらと崩れ落ちる。  巨大な漆黒の塊は、見つめる海音(カイネ)も何度も足を運 …