【落花流水】(1)

落花流水:散る花は流水にのって流れ去りたいと思い、流れる水は落花を乗せて流れたいと思う相思相愛の様  正月は寝正月。  新しい年を迎えても、それだけはいつもとは違わない。  人肌の心地よさに、部屋の中が明るくなっても滝本 …

【熱海】

【熱海】 秀也と雅人の過去話  賑やかで明るくて元気な女性だった。  40歳代だろうか?  女性に年を聞くなど野暮ったいことはしないから、それは推測でしかない。  ただ、開店と同時に若い女性を伴って現れては、閉店まで居座 …

【心の隙間】

優司が手にした写真から、秀也の大学時代の話へ。 雅人との出会い 「この写真……?」  それは偶然だった。  滝本優司が出張がてら恋人である笹木秀也の家で泊まって、暇つぶしのようにその辺りの本を物色していた時のこと。 「何 …

【優司君の隠し事】  

【優司君の隠し事】  ? 極日常的な朝に届いたメールは真実? 秀也の不安が募る。 「え?」  そのメールについていた添付ファイル。  いつものように起動する。  いつもの手順は、だがその小さな叫び声でぴたりと止まった。

【恐怖の一夜】  

【恐怖の一夜】  ?2万HITお礼SS。恐怖の体験 ? 道に迷った。  滝本優司が呆然と地図を眺める。  彼は、もともと方向音痴の気はあったのだが、うっかりどこかで違う道に入り込んでしまったらしい。

【想う心】  

【想う心】  ? 優司の悪夢の4日間。ようやく訪れた二人の甘い休暇のはずが……  疲れた。  ううう。ほんとに疲れた。  優司は帰ってくるなり、畳の上に座り込んだ。  時計は12時を指している。水曜日から木曜日に変わった …

【守護すべきもの】  

【守護すべきもの】  ? 雅人のちょっかい 『バレンタインデイに何か欲しいなあ』  いきなり電話でそう言われて、優司は座っていた椅子からずり落ちそうになった。 「な、何でっ!」  電話口に向かって叫ぶ。

【嫉妬】

【嫉妬】?  ? 秀也が行方不明。雅人の協力のもと、探し出した場所は? 浩二との出会い 「やっと……手に入れて……」  そんな声が聞こえて、秀也はうっすらと目を開いた。  腹が痛い。何か……だるい……・。  秀也はだるい …

【会(あう)】  

 優司は待ち合わせ場所の新宿駅の改札口で、腕時計を眺めた。 「……遅いな……」  待ち合わせ場所はここで間違いがなかった筈だが、時間は5分ほど過ぎている。困った優司は所在なげに周囲を見回した。

【泊?とまり?】 

【心 笹木秀也(25)×滝本優司(27)】 営業×開発 甘甘/遠距離恋愛/年下攻/秀也の純情ぶり(?)と優司のボケっぷり/当サイトのはじまり/初期のお話は総じてHシーンが少ないかありません。 ☆当初と比較して、現在は熟年 …

綺麗の真実

 綺麗だとは聞いていた。  綺麗なものは何だって好きだから、見てみたいと思った。思ったら止まらない。  井波隆典にとって、『綺麗』なものを手にすることは何を差しおいても良いほどに大切なことなのだ。

綺麗の定義 後編

11  乱れた白いシーツの上に、鮮明に広がる赤色。  たった一つ身につけたTシャツから、淡い肌の色が伸びる。だからこそ、余計にその色が隆典の目にはっきり映るだろう。

綺麗の定義 前編

上木の話。 こんなに魅入られて、逃げ切れることができるのだろうか。 1  一日働けば疲れも溜まる。  一週間働くだけでも疲れるのに、土曜日まで出勤となれば気力も潰えた。

緋色の窯変2

 八木和宏の肌は、肌理が細かく色味も良いと恋人の井波英典が言う。  その肌が羞恥に染まる瞬間を、英典は好んでいて二人きりの時は油断がならないのだ。 「今日も綺麗だね、吸い付きたくなるよ」  ぼんやりテレビを見ていたらいき …

緋色の窯変

 正月。  一月一日は、寝て過ごすつもりだった。  なのに、一体どうしてこうなっているのだろう。  八木和宏は未だ夢覚めやらぬような顔をして、呆然と窓の外を見つめていた。車の左は崖にも近い山肌で、紅葉が終わった木々が寒々 …

緋だすき(3)

21  店の裏……って?  和宏は表の駐車場に車を止め、灯りの少ない店の横を探るように通っていった。  作業場らしき横に人専用らしい細い道があり、その向こうに窓と玄関の灯りが見える。  店の裏だと電話で言っていたから、あ …

緋だすき(2)

11  体の上の重みが消え去ったことに、はっと意識を取り戻した。 「ひ……でのり?」  喉が痛い。  熱は風邪のせいだったのだろうか?  唾を飲み込むときに感じる痛みにのど元に手を当てる。  話しかけたいのに、思うように …

緋だすき(1)

八木和宏(やぎかずひろ)が両親の足がわりとして訪れた備前焼の店。 所在なげに店の外で佇んでいた時にその店の息子が話しかけてきた。それが井波英典(いなみひでのり)だった。しかし、次の日会社で逢った英典の態度はひどく冷たいも …