【水砂 虜囚】(3)

 入り口から現れたのは、味方ではなかった。  半身に血を纏い、抜き身の大ぶりの剣をぶら下げたルクザンは、悪鬼のごとく形相をして、ずかずかとミズサに近寄った。  その手が、ミズサがその場に固定していた枷を外す。  連れて行 …

【水砂 虜囚】(2)

 周りがうるさかった。  体は身動ぎ一つできないほど強張っていて、頭には脳の代わりに綿でも詰まっているのではないかと思うほどに働かない。それなのに、意識だけは急速に醒めていく。  冷たくて、暗くて、寂しくて、ああ、いつも …

【水砂 虜囚】(1)

 冷たく暗い夢。  嫌な疲れが溜まっていると悪夢を見るのだと、ミズサが知ったのはラカンに連れて来られてからだ。それまでは、何が起きてもそれが嫌なことだとは思いもせずにいた。否──思わないようにしていたというのが正解か。け …

デートの楽しみ 後編

デートの楽しみ 後編です。前編でいろいろあった亮太が春樹に問い詰められます。 「それで、あのとき、どこでどうしてたっていうのかな?」  にこりと笑っている笑顔はいつもと変わらないが、春樹が怒っているのが判る。だから、たま …

デートの楽しみ 前編

シリーズ「歪んだ絆」の春樹と亮太のデートのお話。 他者による陵辱(挿入無し)シーン有り。服従とお仕置き、言葉責め。春樹への亮太の依存度マックス。 (観梅より前(若干変更ありですが、観梅の中にある過去の喧嘩シーンの一部はこ …

贈られた言葉 後編

「亮太、どうした?」  窓の上部両側から延びた金属の棒と結わえた背後の腕の拘束だけで立たされたまま、窓に身体を預けて、ぐったりとしている亮太を抱き起こす。 「ん、う……」  小さな呻き声だけが零れるが、それでも亮太の意識 …

贈られた言葉 前編

※別荘、拘束、精神調教、薬、命令、犬扱い、高藤家の支配※     この別荘で、亮太が一番好きな場所は一回の大広間にある暖炉前だった。  壁にある煉瓦造りの大きな暖炉の中で薪が鮮やかな朱を瞬かせ、踊るように火の粉が薪の周辺 …

純一編 UPです

こんにちは、お久しぶりです。 一ヶ月に一回のペースすら遅れ気味になっています(-.-;。 今後もお待たせすることになりますが、ご容赦を……。 さて、今回のお話は、小説2 高藤純一のお話で、彼の初めての夜です。 と書くと、 …

TATTOO (3D)

【TATTOO-1】   2009年04月15日  異世界に迷い込んだラウンの言葉は、誰も聞き取ってくれなかった。  相手の言葉はすべて聞き取ることができ、意味さえ理解できるというのに。  オウム返しに同じ発音で返したは …

うれし……です… (3D)

 仰向けにされたと思ったら、抱え上げられた。  男の手は力強く、軽いとも思えない彼の体を難なく持ち上げて、抗う間なく腰を引き下ろした。 「あ、ぁぁぁぁっ!」  彼の喉から悲壮な悲鳴がほとばしる。  さんざん蹂躙されたアナ …

檻の家 続編

こんばんは?。 さきほど「檻の家 -絡まる輪-」upしました。 檻の家、続編で、ピアッシング編になります。 どうぞ、お楽しみくださいませ。 お話をつくる合間に、ぶらぶらと画像系サイトを閲覧していたら、目が疲れました……。 …

【熱いプレゼント 前編】

「ねぇ亮太、これ、俺からのクリスマスプレゼント。素敵な物がいっぱいあったから、全部買っちゃってさ。でも、絶対どれもこれも亮太に似合うと思って。ねぇ、着てくれるよね?」  にこりと、満面の笑顔を浮かべて話しかけてくる高藤春 …

【観梅の宴】

 高藤の家は恐ろしい場所だ。  亮太は、あの広大な屋敷が視界に入るだけで、あそこで行われている行為を思い出し、恐怖に震えが止まらなくなる。  あそこには、亮太の父と兄がいて、二人が嫌いなわけではないけれど。 「行ったら二 …

【熱いプレゼント 後編】

「コートを脱がないと。いくら気に入っているっていったって、さすがに店の中でコートを着ている人なんて誰もいないよ」  その言葉に、亮太の手がおずおずと動く。  亮太達がやってきたのは通い慣れた玩具の店ではあったけれど、店内 …

【捨てないで 後編】

  広いバスルームで、四つん這いになって春樹に口で奉仕する。  さっきまで亮太は春樹の手のひらで泡だらけにされていた。  ようやくキレイになった──と春樹が流してくれるまでずっと、全身を愛撫され続けていたのだ。  薬の効 …

【捨てないで 前編】

 真木亮太(まき りょうた)が高藤春樹(たかとうはるき)に出会ったのは、実兄の婚約者との顔合わせの時だ。  彼女が連れてきた家族の一人が、同い年の春樹だった。  その時は、明るい人当たりの良いヤツ、と思っただけだったけれ …

【春樹と亮太 後編】

「可愛い子。ちゃんと迎えに出られたんだね」  亮太はエレベータホールまで迎えに来ていた。  最上階まで上がったエレベーターを出て、左に一部屋しかないフロア。  そのエレベーターの扉がひらいてすぐに亮太の姿を見つけた春樹は …