【鬼窟(きくつ)】

 - 1 -  貴樹はマジメだ。  大学時代の彼を知る者は皆そう言うだろう。  講義の時間が遅くても朝きちんと起きて大学に行く。空いている時間は、研究室にこもってひたすら論文を読んでいるか、図書館で調べているか。  率先 …

【餓鬼(がき)】

 - 1 -  貴樹が岩の中にある部屋に閉じこめられてから、半年が過ぎようとしていた。  岩壁に細い鎖で張り付けられたままなのも変わらない。  そのままの姿勢で犯され、そうでない時は媚薬のせいで熱に浮かされたように喘いで …

【鬼孕(おにはらみ)】

      - 1 -  強い夏の日差しに吹き出した汗が瞬時に乾いていくような天気。  そんな中でもすぐに次の汗が吹き出して、激しい動きの中辺りに飛び散った。  一瞬の油断も許されない一対一の攻防戦を繰り返す瀬崎貴樹(せ …