【淫欲騎士 訓練】

【淫欲騎士 訓練】

 聖騎士の戒律は、自己の欲を禁ずるモノが多い。
 傲慢、嫉妬、憤怒、怠惰、強欲、暴食、色欲という七つの大罪と呼ばれるものは特に強く禁じられている。
 その戒律を忠実に守っているからこそ、聖騎士は民からも尊敬され、高い地位に就くことが許されるのだ。また聖騎士を家から輩出するということは、特に貴族にとっても栄誉なことで有り、故に有望そうな若者は幼少の頃より俗世間から隔離されて徹底的に躾けられる。それでも、聖騎士になれるのはごく僅かで有り、だからこそ余計にその地位は羨望のものに成り得るのだ。
 ……
「という話を、まだ皇太子時代に皇王殿に聞いた事があってね。その時から、聖騎士というものに並々ならぬ興味を抱いてはいたんだよ」
「あひぃぃぃ、や、やめっ、ああっ」
 庭に面した大きな窓枠の四隅に四肢を繋いで立たせ、身体の前面を陽の中に晒した元聖騎士を背後から抱きしめて。
 腰をソレの尻が歪むほどに打ち付けながら、昔話を語ってやる。
 初日に私の腕とペニスを悦んで銜えたアナルは、その日のうちに歓迎会と称して所属させた親衛隊員8人のペニスを受け容れ、腹にたっぷりと精液を喰らわせてもらっていた。そのまま意識を失った後は、汚れた身体をそのままに放置されて。
 飛ばした意識が戻った時には、己の身体に起こった出来事を思い出し、絶望と激しい悲哀を晒して幼子とのように泣き叫んでいたらしい。
 凛々しい聖騎士として、賞賛と羨望の眼差しを向けられ続けた青年は、一皮剥けばこんなにも淫らでイヤらしい身体を持つ淫売でしか無いというのに。それを自覚させられても、受け容れがたいと暴れたのだ。
 まあ、私が一発で穴奴隷と任命しただけあって、その穴は何物にも代えがたいほどの最高の名器だった。
 それに、元からの淫乱の質が、私たちに犯されて開花したのも事実だ。
 次の日には、挿入されただけで勃起して、涎を垂らすほどに悦ぶ身体に成り果てていたのだから。
 だが身体はそうであっても、精神までもがそれに慣れている訳ではなく、一週間経った今でもこうして嫌がって泣き叫ぶ。
 もっとも毎日こうやって私の親衛隊としてふさわしい身体になるように訓練を続けているのだから、そのうちにそれも無くなるだろう。
 だいたい、聖騎士の戒律は厳しすぎるのだ。我が国の騎士であっても、大罪はそれぞれに戒めるものとして多少なれど戒律に含まれている。だが、他人との性交渉を戒めたりはしない。
 だが、聖騎士のそれは、そんな生やさしいものでは無く、特に色欲にいたっては、性交渉禁止くらいなら、まあ受け容れ難いがあり得るかなとは思ったけれど。射精禁止、自慰禁止というのは、成人男子としては我慢できるものでは無いだろう。
 だがそれを守り続けた清廉潔白な処女であった聖騎士は、男に犯されることはもちろんのこと、陽の中で犯される事も、多数に犯される事も、考えた事など無かったのだろう。私たちが何かをする度に、驚愕し、否定し、暴れて嫌がるのだから。
 これはあまりにも厳格に戒律を作りすぎた弊害だろうと思うけれど、それが皇国の考え方なのだからしょうがない。
「貴公は、遠目から見てもキレイな身体をしているなと思ったけれど」
 初めて見たのは、皇国の王の誕生の宴だったか。
 隣国ということで必ず届く招待状は、たいていは配下の者が代理で行くのだが、年に一度のこれだけは私自身が行くようにしていた。同時にその時にはいろいろな外交交渉も行われるからだ。
 その時、宴の会場の片隅で、王子だが誰かを護衛するように傍らについていたのが彼だった。
 聖騎士であるが故に、そのような宴でも飲食せずにじっと辺りを監視して。その麗しい顔立ちの中で鋭い視線が周辺に向けられていた。それに魅入られたと言っても過言では無い。
「欲しいと思ったけど、まさか本当に手に入るとは思わなかったよ」
 ぺろりと首筋を舐めてやると、ひいいっと啼いて涙が溢れて落ちた。
 手探りで見つけた乳首を摘まみひねり潰せば、腰が揺らぎ、私のペニスを気持ちよく締め付けてくる。
「ひあっ、あっ、ぎっ……イ、イィっ、そこぉ……、あうっ、イヤァ」
 背後からだと顔が見えないのが残念だ。
 嫌そうに首を振りつつ、けれど限りなく甘い声音でさえずるこれの、その淫らに歪む顔はたいそうお気に入りなのだけど。
 見えない分声で愉しもうと、奥の奥まで突き上げて、ぎりぎりまで抜いては勢いよく貫いて。ぐちゅりと蠢く肉に引きずられ、ますます激しく抽挿したら、その腰までもがも淫らに踊り始めた。
 すっかり激しくされるほどに萌え上がる身体になっていて。
「ああっ、んっ、くっ、んふっ、そこおっ!」
 卑猥な喘ぎ声で、もっとと言うように私を煽る。
 熱くぬかるむ柔肉が私のペニスに絡みつき、扱き上げ、零れる粘液を貪るように飲み込んでいる。これのアナルは、上の口よりも上手に私のペニスを喰らってくれる。
「ああ——っ、ああひぃぃぅぅぅっ」
「良い子だ、上手に銜えて、扱いてくれるね。さあ、もっと上手になるように締め付けるんだ」
 胸から腹へと撫で下ろし、その股間にぶら下がるペニスへと手を這わして。
「ひぃぃぃぃ——っ」
 飾り立てて赤黒くなったペニスを撫でてやると、だらだらと粘液を零して濡れそぼっていたそれが、びくと跳ねて手の中で踊った。
 最初に決めた通り、早々に鈴口を通る太い黄金のピアスを下部を貫くように取り付け、そこから伸びる五本の爪の先ほどある鎖は陰嚢の根元周囲に着けた五個の小さな金環に繋がり、その重みで勃起してもぶらりと垂れ下がるようになっている。陰茎には射精を完全に制限するよう呪いをかけた鋭い突起を生やした環が、やはり五つ。その環は内部にも突起があって、ペニスを絶え間なく刺激するようになっていた。もっとも勃起したらぎっちりと食い込むそれのせいで痛みもあるようだが、淫乱なこの身体はそれすらも悦びとして捕らえるのか、ますます激しく勃起するのだ。
 止血して馴染ませるなどお手の物の我が国で、その日のうちに犯した身体は、前よりもさらに敏感に悦び跳ねていたから、気に入ってくれたのだろう。
 そんなペニスを手の中で弄べば。
「ひ、ぃぃ、お、お許しをっ、ああっ、ひぎぃぃぃっ」
 甘く強請る心地よい響きが、私の耳から脳を犯す。
 生意気なところもあるコレが、この私に従順になる姿は私の心に充足感を与え、日々の激務に就かれた身体を癒してくれて。
 私はますます盛りのついた獣のように、この身体を貪っていた。



「陛下」
 射精の心地よい余韻に浸っていると、窓の外から呼びかけられた。
「ひっ」
 同時に抱きしめていた身体が強張って、何事かと視線をやると庭側に親衛隊長が晴れやかな笑顔と共に立っていた。
 コレは外には出られないが、その姿はいつでも外から見ることができる。
 見られるのが大嫌いなコレのために、しょっちょうこうやって外に晒しながら犯してやると、ますます締まりが良くなって、楽しめるからだ。
 そして、この庭は私が許したものは自由に立ち入ることができるのだ。当然、この建物すら入ることができる親衛隊員達もその中の一部。他には直属のメイドや執事、庭師や下僕共も入っている。
 彼らの蔑みの視線を浴びるほどに、壊れたように泣き叫ぶコレの姿はいつ見ても楽しいものだ。
 けれど、どうやら今回の訪れはコレを見に来ただけではないらしく。
「……もしかして?」
 世間では仕事ができる上に凛々しく優しい笑顔に痺れてしまうと評判も高い我が親衛隊長だが、この笑顔はくせ者だと言うことを知っているものは少ない。
 私はこの国の王ではあり、十二分に尊敬されるべき立場ではあるが、それはそれ、きちんと仕事をしている場合だ。
「昼からの政務の時間はもう過ぎております」
 やはり遅刻を咎められ、時間を忘れて淫行に耽っていた頭に冷や水を浴びせるような笑顔を向けられる。
「お戻り下さいませ」
 にっこりと、けれど有無を言わせぬ口調に、私は溜息を吐いてこの心地よい身体から離れた。
「あうっ」
 ずぽりと穴に馴染んだペニスを抜くと、そこからほかほかと湯気が出るほどに蒸れた淫臭が立ち上る。ごぼりと溢れ出る精液は多量で、泡立つそれがポタポタと床を白く汚し始めた。
 どうやら溺れて相当愉しんだのだと、それを見て気が付く。
「判った戻る」
 まあ堪ったストレスも相当解消されたし、この爽快な気分で政務にとりかかるとしようか。
 はああ、と溜息を吐いて、建物の外に出ると。
「ひ、ま、待ってっ、まっへ、くださっ」
 アレが慌てたように暴れ出した。
「これっ、外してっ、外して、くださいっ」
 四肢をバタバタさせて腰を振りたくって懇願するのは、射精を遮る金環のことか、窓枠に繋ぐ枷のことか。
 どちらだろうと思案して、私が何かを言う前に、我が敬愛する親衛隊長が建物の中に入っていく。
 先ほどとは反対に、淫らな姿を晒したコレの後ろに立つ親衛隊長はニヤリと嗤い、その身体に手を這わして。
「先ほど交替の時間が来ましたので、モリオンの訓練は私が行いましょう。それに、後三人ばかり、ここで遊ぼうという話をしていましたから、すぐに皆来るでしょうね」
 優しい笑顔でその耳朶をきつく噛みながら囁くその瞳が、貪欲さを孕む。
 彼は私に対しては淫らなマゾの質を晒すけれど、他人に対しては一様にサドの気質を晒し、他人を支配下に置くことが大好きなのだ。
 モリオン、と、淫売を表す蔑みの名を何度も呼び、私以外で射精できない身体の快感中枢を徹底的に嬲り尽くすのが大好きな親衛隊長は、優しい顔立ちのくせに、過去何人の性奴隷を壊してきたことか。
 まあ、私が飽きて下げ渡したモノだし、渡せばどうなるかは良く知っていてのことだから、それは構わないのだが。
 私に絶対の忠誠を誓う可愛い彼が何をしようと許してしまう私ではあった。
「それに、陛下のお仕事を邪魔するとは、親衛隊員としてはあってはならぬこと。その罰を与える必要もあります故に」
「い、いあっ、痛っ、ひぎぃ」
「陛下はどうぞお急ぎお戻り下さいませ」
 乳首を捻り上げられて泣き叫ぶモリオンに向ける視線はことさらに冷たく、仲間内からだけ鬼の親衛隊長と言われる所以がよく判る。
 だが私に向ける瞳はなんだかんた言いつつ優しく、激務をこなした彼が相当の欲求不満を抱えているのは、彼を躾けた私だからこそよく判る。
 そういえば、私のお気に入り達を束ねる彼自身の欲を解消してやったのは、一体いつだったか、と今更ながら思い出して。
「今宵、私の寝室に来なさい」
 微笑み伝えてやれば、その顔が一瞬のうちに真っ赤に染まり、初々しくも声無く頷いて返してくる。
 同時にますます激しくなったのはモリオンの悲鳴で。
「い、いやっ、達かへてぇぇっ、ひきひゃっ!! ち、チンポ、噴射させてぇぇっ!!」
 誰が教えたのか、元聖騎士とは思えぬほど卑猥な言葉で暴れる身体を今日はもう少し遊びたかった、と未練が無いと言ったら嘘になるが。
 まあ、明日もまた遊べば良いだろう。
 そのためには、明日の分も今日頑張らなければ。
「ひゃぁ、ひょごばっかぁぁっ! やあ、達くぅぅっ、ああっ、達かせてぇぇぇっ! ちんぽぉっ、あっつううっ、あああっ」
 意気揚々と執務に戻る私の背後で、青い澄んだ空にまで淫らな嬌声が響き渡っていた。


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