【淫欲騎士 任務】

【淫欲騎士 任務】

 一ヶ月の親衛隊員としての訓練と躾の後、忠誠という観点からはなはだ不十分であったが、あの建物からモリオンを出すことになった。
 もちろん、逃亡防止の忠誠の首輪を取り付けてからだ。
 もし逃げようとしたり、それを取り去ろうとすれば、首輪が勝手に締まり窒息する代物だ。
 同じ親衛隊の服装を身につけても目立つ首輪は、国内では人目を引く。まあ、私の趣味は大臣、貴族は知っているので、何も言わずにただ好奇の目を向けているだけだ。末端の者や民達まではせいぜいが変わった装飾だと思っていることだろう。
 また、見慣れぬ新しい隊員に対する不躾な視線はあるけれど、咎めるものはいない。
 もとより私の親衛隊員に一体何が言えようか。
 彼らはこの国の王の忠実な僕で護衛役、(性欲以外は)誰よりも清廉潔白な騎士として皆の尊敬を集めている存在なのだ。
 まだまだ訓練不十分ながら、モリオンを連れ出す羽目になったのも、その親衛隊の力が必要になったからだ。
 私が乗る馬車に、護衛の親衛隊長とモリオンを乗せて。
 周りには残りの7人が騎乗して付き従う。
 今回は、皇国に急遽表敬訪問する必要があり、そして私が出かける時には必ず親衛隊が護衛することになっているからだ。
 それに、虜囚扱いであるモリオンを連れて行くのは、皇王との約束でもある。
 不法侵入によりコレを捕らえたことはすでに連絡済みで、水面下でいろいろとやり取りがあったのだが、その辺りは私の僕達が巧く取りはからってくれており、それほど問題にはなっていない。
 ただ一度、彼を連れてきて欲しいという条件が付けられており、もう少し待ってくれと伝えたのだが、せっかちなあの王はやいのやいのと催促を入れてきてうるさいので、さっさと行くことにした。
 もう少し私に完全服従させてから、と思っていたコレの艶やかな髪を優しく撫で、涙と涎が伝う顎を指先で嬲り、優しく訪ねる。
「気持ちよいか?」
「ふっ、ぐっ、うっ」
 問われればすぐに返答するように躾けた結果、意味不明ながら何かを返そうとするコレは、口いっぱいに私の——グロテスクと最初は必ず忌み嫌われるペニスを、頬張ってもぐもぐと口内を動かしている。
「気持ちよいようですね、こんなにはしたなく勃起して」
 跪くソレの背後から覆い被さるように、崩した親衛隊服の合わせから手を差し入れ、乳首とペニスをいたぶり、アナルを犯す親衛隊長の言葉に、私は微笑み、ぐいっと腰を突き出した。
「ぐえっ、がっ」
 背を押されて動けない身体の喉奥にまで貫くペニスに、嘔吐感に振動する喉の動きが心地よい。
 まだまだ下手な口淫だが、コレの口の中は、アナルに似て絶品だ。
 苦しいはずの喉奥での愛撫も、あっという間に覚えて私を優しく迎え入れてくれる。
「もっと舌を動かしなさい」
「むぅぅ——っ」
 服を盛り上げる隊長の手の動きから察するに、乳首を捻り上げられたか。
 痛みに盛り上がる新たな涙を掬い取ってやり、指先についたそれをぺろりと舐める。
「あまり虐めるんじゃないよ。この子はがんばっているんだから、ねぇ」
 優しい言葉に、苦痛に歪められていた顔が僅かにほころぶ。
 その頬を撫で、良い子だと囁いて。
 ペニスを揺らして誘えば、止まっていた舌がペニスに絡みつき、口内全体で扱き始める。
「おやおや、陛下の御身を味わい、アナルがたいそう悦んでいますよ。ああ、なんて浅ましい身体でしょう。モリオン(淫売)の名にふさわしい」
 すっかり定着した名を聞いて。
 私はふっと思い出した事を口にした。
「そういえば、こやつの本名はトリアーデと言うらしい。向こうにいる間は、特別に、その名で呼んでやれ」
 モリオンは、皇国では淫売を意味する。
 その昔、皇国を傾国の憂き目に遭わせた当時の王の愛妾の名だ。王どころか側近や大臣にまで色香に狂わせ、他国にその国を売り飛ばそうとした悪女で、当時の皇太子がなんとかその企みを滅したことで滅びから免れたと言われている。それ以来皇国では決して使われぬ名だった。
「了解しました。けれど、我が王に不利になるような言動をした場合は……」
 意味ある瞳を向けられて、私は頷く。
「この淫らな身体で我が国の貴族をたぶらかした証拠を差し出して、モリオンの名にふさわしい淫売としてその名を轟かせることにしようぞ」
「ん——っ、んっ、んっ」
 その言葉に、銜えたままで顔を上げ、必死になって否定している。
 皇国に連れて行くと聞かせた時にその澱んだ瞳に浮かんだ希望は、けれど、馬車の中で伝えた全てに今は完全に絶望に覆われていた。
 この立場から解放されるとでも思っていたのだろうが、この素晴らしい名器を手放すつもりは私には無い。
 これは、私のものだ。
 私の、大切な親衛隊員として、私にその一生を捧げる立場のモノ。
 この旅は、それを皇王に願い出て許しを貰うものであり、そのために我々は二重三重の策を講じていた。
 まあ許しを貰うという下手に出た形で、人心に認めさせるというのが正しい状況か。
 立場的には対等の我々の中だけなら人一人の扱いなどどうとでもなるのだが、まあ人気のある聖騎士のしかも分隊長というひとかたならぬ地位に就いていたこともあり、人心を納得させるためにも公的に皇王から許可を貰うという形が無難であるとの結論にいたったのだ。
「私としてもこのように便利な身体、手放しとうはございません。またこれは、我ら親衛隊の隊員全員の総意でもあります故に」
 ぐっと腰を突き出す隊長に押された身体がさらに喉奥へと我がペニスを招き入れる。その狭く締め付けられる感触に堪えかねて、私のそれが呆気なく暴発した。
 ドクドクと噴き出す精液は、ここのところの連日の遊戯で薄まってはいるが、それでも喉ごしは爽やかとは言い難いのだろう。苦しげに呻くモリオンの喉の痙攣をじっくりと愉しんで、心地よい余韻に浸った。
 ゴクゴクと喉が動いたのを確認してから、濡れたペニスを引っ張り出す。
 けほけほと喘ぎ涎を顎に伝わせたコレは、霞んだような焦点の合わない瞳を揺らめかせて呆然としていたけれど。
「あなたを悦ばせた陛下の御身をキレイにするのも仕事ですよ」
「あひっ、いっ」
 容赦ない突き上げに前のめりになった頬を、私のペニスが叩く。その拍子にはだけた上着から覗いた乳首には、先日穿ったばかりのピアスの根元から血が滲み、隊長の手を汚していた。
「おい、出血しておる」
 苦笑して教えてやれば、隊長もようやく手を離して確認して。
「道理でぬるぬるすると思いました。薬を塗りましょう」
「……ひっ!」
 男女を問わず魅了する笑顔を見せて懐から取り出した小瓶に、モリオンの顔が一気に血の気を失った。
 慌てて隊長の腕の中から逃れようとするけれど、一ヶ月の間犯されるだけで鍛錬をしていない身体は、力強い
腕から逃れ得なくて。
 けれど、塗りにくそうにしている隊長から、私は小瓶を取り上げて、にこりと笑う。
「私が塗ってやろう。放っておくと化膿して乳首ごと腐り落ちるかもしれぬ故に」
 小さな乳首を繰り出すように根元深く貫いた金環は、腐り落ちるときには乳首どころか乳輪部までごっそりと落としてしまうだろう。
 過去手当が遅れてそうなってしまった奴隷を見たことがあるが、せっかくのキレイな身体にあのような傷をつけたくはない。
 小瓶のフタを開ければ、フタの内部には刷毛がついていて、それで塗る薬はねとりと粘性が高く、精液のように白い。
 その小瓶から刺激のある匂いが漂うのに気付いて、私は笑みを深くして、モリオンはますます蒼白になった。
「お、お許しを……、お許しを、我が敬愛する陛下っ、どうかっ、おやめ下さいませっ。淫乱でチンポ大好きなモリオンですが……その薬はイヤでございますっ。どうかお願いをっ、お聞き届けをっ」
 訓練の過程で私への呼びかけや自分を表す言葉を躾けた結果、今やこんなにも可愛く私を呼び、自らの質を正直に口にする。
 この子は想像通りに淫らでイヤらしく変態で、思った以上に賢く、物覚えが巧く、私を悦ばせてくれる。
「だが、このままではその愛らしい乳首が落ちてしまうよ。お前はどうしてこの薬がイヤなんだい?」
 金環を伝い、胸に滲む血の跡は痛々しい。
 ついこの前まで淡い桃色に近い色をしていた乳首は、今や卑猥な暗紅色に変化して、内部の金環のせいでぷくりと膨れあがっていた。毎日手当をせねば、異物を排出しようとして金環が外れてしまうのだが、それに防ぐためと消毒のためにもこの薬は塗る必要があるのだ。
 いつもは、隊長が手ずから塗ってやっているのだが、その時もこんなふうに暴れているのだろうか?
 と、目線で彼を窺えば、返ってきたのは溜息と苦笑。
「いつもは、コレ専用の……例の張型のカラクリ付きの椅子に拘束してから塗っております。ただすぐ拭おうとしますので、手足は拘束して乾くまで放置しております」
「なるほど、ならば手枷を」
「い、いやっ、やああぁっ」
「御意」
 暴れ出した身体を押さえつけ、後ろでに捻り上げた両手首を枷で拘束する。
 アナルにペニスを貫いたままの隊長の手際の良さに感心して、再度起こされた身体から上着を剥ぎ取った。
「せっかく着せてやった新しい親衛隊の服がシワだらけだし、染みができておる。後で罰を与えるように」
 国から貸与された大切な衣服をこのように我が侭でシワにしたり汚すなど考えられず、それ相応の罰が必要だと伝えれば、忠実な隊長は厳かに頷いた。
「もちろん、この身に染みつくまで罰を与えます。これ以上汚す前に、到着までは衣服を与えないようにしましょう」
「ひ、い……お、お許し、ください……、我が敬愛する陛下……、あっ」
 懇願は無視して、絡め取られた上体のさらけ出された乳首に刷毛を着ける。
 途端にびくりと震えた身体に、たっぷりと液を塗りつけて、それを何度も繰り返す。
 この粘性の高い薬は簡単には垂れやしない。しかも体温により乾いて、皮膚の表面に膜を張り、雑菌を寄せ付けないと同時に皮膚の蘇生を促す効果があった。
 そして。
「ひうっ」
 乾き初めた途端に、モリオンの身体が大きく揺れた。
 蒼白だった肌に赤みが差し、泣き濡れた瞳が大きく見開かれる。
 一度は萎えていたペニスがむくむくと立ち上がり、きつい縛めを喰らって覗いた先端が赤黒く変色していく。
「うっ、これかなり締め付けてきています。そうとう善いようですね」
 隊長が顔を顰めて呻く。
 その身体が数度痙攣後に、長く硬直をして。
「堪らず搾り取られてしまいました」
 苦笑して、モリオンから身体を離せば、ちゅぽんと間抜けな音がして笑ってしまった。
「あっ、ひっ、……いいいっ……」
 当のモリオンと言えば、後ろ手に手枷をされたまま、馬車の床でのたうち回っている。
「痛いのか、気持ちよいのか……、通常は痛いというが」
「これはたいそう気持ちよいのだと思いますよ。一時間ほど放置して返ってくると、たいてい淫液をだらだらと零して白目を剥いていますから。ペニスのピアスの時も同様の薬を用いましたが、椅子が壊れるのではというほどに悶えて暴れて大変だったですから」
 言われて改めて手の中の小瓶を見やる。
 この薬は、皮膚の蘇生に効果があるが反面非常に刺激があってその疼痛は激しく、堪えられずに泣いて喚く者も多いのだ。さらに、これには肉を穿つ痛みを緩和させる効果もある薬も混ぜている。まあ、実は即効性の超強力な淫乱化呪術をかけた薬であるのは私の趣味だ。
「あ、ああぁっ、ひぃぃぃ——、ちんぽぉぉっ、淫乱で卑猥なモリオンの穴ぁぁ、つかってぇぇっ」
 薬と呪術の両方に脳を犯され、理性を失い、狂いまくる姿を、私も隊長も苦笑を浮かべて眺める。
 いつも拘束されているペニスが解放されるのは、私の気が向いたときだけで。
 そのまま毎日何人もの男に犯され続けた身体は、アナルで絶頂を迎えることを覚え、今や射精をしなくても悦ぶ身体ではあるけれど。
 だが、アナルに挿入して貰わない、今のように乳首の刺激だけの絶頂では決して満足はしないのだ。
 悶え、苦しみ、何度も絶頂を迎えなければ消えない呪術の効果は、どうやら私が想像した以上にモリオンの身を苛むらしい。
「うるさいですね」
「はひぃぃぃっ!!」
 暴れる身体を止めようとして面倒そうにペニスを踏んだ隊長の情け容赦のなさに苦笑を浮かべ、それだけで絶頂を迎えてひくひくと痙攣するモリオンの淫乱さにあきれ果て。
 さて、自分で仕掛けたモノの、思った以上にうるさいコレをどうしたものかと思案する。
 思案しながら何気なく窓の外を見やれば、森の奥深くの街道を走っているのだと気が付いた。隣国に向かう街道は、実は定期的に不審者を掃討しているために治安は良い。
 それに、ここならば人目は少ないだろう。
「少しうるさいから、静かになるまで口枷を嵌めて外の荷台に載せておけ」
 質実剛健な長旅用の馬車であるから、その後部には旅に必要な荷物が載せてある。屋根は無いが壁があるので風はしのげる。さらに人が休める場所は確保してあって、そこには交替で親衛隊員が詰めているはずなのだ。
「御意、陛下。ああ、先ほど申しましたように衣服は全て剥ぎます。後は隊員達に任せておけば、馬車内でうるさくした罰を十二分に与えましょう」
 隊長の言葉に、先ほどちらりと視線があった隊員達の物欲しげな眼差しを思い出し、喉の奥を鳴らしながら了承した。
 私の意図を言葉にせずとも正確に把握してくれる隊長は、まこと得がたい右腕だと私は自分の目の確かさにたいそう満足して。
 アレを外に繋いで戻ってきた隊長の、その優しい笑顔に堪らず欲情してしまい。
 その逞しい身体を長椅子に押し倒す。
 馬車の外からも聞こえる卑猥な嬌声にも煽られたか、今や私のペニスは熱い肉壺を求めて震えているのだ。
「ああ、陛下……私の、陛下ぁ」
 濡れた瞳が可愛らしく泳ぐ様はなんとも愛らしいもので、その激しく虐めるほどに悦ぶ淫らな身体を、私はその日一日たっぷりと堪能することにした。


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