スカトロ描写有り
本宅の大広間に、長女の優花以外の家族が全員揃っていた。
優花は結婚後アメリカに住んでいて、滅多なことでは帰ってこない。繰り返される見合い攻勢に嫌気がさしていた優花は、もともと結婚願望などなく自立した女性だった。だから父親達と相談して、彼らのお眼鏡にかなった純一と結婚。その後、アメリカで自由を満喫しているのだ、と教えられたのは、結婚後すぐのことだった。
故に今いるのは隆正、啓治、春樹の三兄弟と当主である啓一郎だ。そして、彼らの傍らには二匹のペットがいた。
「おお、純一君、久しぶりだね」
すでに白髪に覆われた恰幅の良い啓一郎は、70が近い。
だが、若い頃から鍛えられた身体は、まだ50歳代でも十分通用するほどに若々しく感じる。
実際、彼の持久力は相当なモノで、彼の遊びにつきあうと純一の方が先にバテてしまうほどだった。
その彼の股間のところに、男が一人四つん這いになっていた。
がくがくと前後に揺れているのは、その尻を隆正が激しく突き上げているせいだ。
時々嗚咽を繰り返す口は全開で啓一郎のペニスを銜え、じゅぽじゅぽと泡立った唾液を零している。
「孝典、ほら、久しぶりに会うのだろう」
孝典と呼ばれた揺すられている男が、虚ろな視線を背後に向けてきた。
ちらりと見えた瞳が、四つん這いになった全裸の純一の姿を見いだす。だが、その横顔は僅かに物言いだけに歪んだだけで、すぐに行為に没頭するかのように視線を逸らしてしまった。
「おやおや、せっかく息子が会いに来たというのにねぇ」
尻を犯す隆正が呆れたふうに声をかければ、啓一郎が肩を竦めて嗤う。
「大好きなペニスを二本もしゃぶっているからな。他のことはどうでも良いのだろうよ」
その言葉に、僅かに孝典──真木孝典の瞳が揺らぎ、すぐに伏せられた。
ここで純一に構えば、今度はそれを理由に孝典のみならず純一まで嬲られるのだ。それを知っている孝典は、決して啓一郎達のペニスを外すことはしない。
それほどまでに躾けられた孝典ががこの家のペットにされたのは、純一よりさらに半年以上も前のことだった。
リストラされてなんとか採用されて入った会社の会長とその息子。逆らえないままにペットとしての扱いを受け続けた孝典は、啓一郎が提案してきた純一の結婚を止めることなどできなかった。
その先に何が待っているのか判っていたとしても。
結婚式の夜、啓治による容赦ない破瓜の痛みに泣き叫ぶ純一に、孝典は命令されるがままに純一のペニスをしゃぶり続けていた。
それと同時に、純一の乳首を赤子のように吸い続けたのは、三男春樹のペットの亮太だった。
「お前の兄貴は会社をさぼったってよ。いい度胸してるよな」
「ひ、ひぃん」
まだ若々しい声音の春樹が腕に持っていたリードをぐいと引っ張った。その拍子に喉が締まったのか、掠れた悲鳴が上がる。
「おら、ちゃんと我慢しろよな」
「は、はぁい……」
つんつんとつま先がつつかれたペニスの根元をぎゅうっときつく握りしめているのは、純一と同じくらいの背格好の青年だった。
実際には春樹と同い年で、同じ大学に在籍しており、今は春樹が住まうマンションで世話係として同居していた。
その二人が明日から連休だから帰ってきていたのだ。
「亮太、漏らすとお仕置きだよ」
「は、はいっ」
その言葉に、青ざめた顔がきつく歪み、指が白くなるほどに力が入る。
ぶるぶると小刻みに震える若鮎のような肢体の亮太は、何かを必死に我慢しているようだった。
「……亮太……」
それまで黙って控えていた純一が、思わずと言ったふうに呟く。
この一ヶ月ほど姿を見ていなかった、純一の実弟なのだ、彼は。
彼が春樹のペットになっていることは、早々に知っていたけれど。普段会わない分、久しぶりのその姿がひどく痛々しい。
純一が優花との結婚さえ承諾しなければ、今頃亮太は青春を謳歌していたはずなのに。
結婚前の顔合わせの際に一目で春樹に気に入られた亮太が、彼の毒牙にかかったのは、実は純一より早かった。
出会ったのが大学の試験の前だったせいで彼に勧められるがままに同じ大学を受けたのも、あのときは仲良くなったのだと思ったけれど。
実は強制されたのだと後から知って、激しい後悔に苛まれたものだ。それは、今ではもう何もかも諦めていた純一のたった一つの後悔だ。
だが、そんな感慨に陥ることができたのは一瞬だった。
「父さん、今日は純一の躾に協力して頂きたいんですよ」
啓治の声に、場の空気が一部は凍りつき、大半が淫猥な空気に変貌する。
興味津々といった三対の視線と、恐怖に凍り付いた三対の視線が、啓治に集中した。
「何をするのかい?」
父親の言葉に、啓治はゆっくりと純一を振り返った。
「まずはこれをご覧ください。純一、伏せ」
言われて急いで、身体を伏せて腰だけを上げる。
その股間に判った鎖を解いた啓治は、深々と突き刺さった張り型に手をかけた。
「んっ」
その僅かな刺激だけでも、純一の喉が切なく鳴いた。
だが、次の瞬間、喉から出たのは絶叫だ。
「ひぎゃぁぁぁぁっ!」
乾いた精液と粘液によって皮膚に張り付いていた張り型が、粘膜や壁を引き連れながら一気に抜かれたのだ。
「あ、あぁっ、ぁっ」
震えて崩れ落ちた尻の狭間が、ぽっかりと口を開けていた。
常ならば、血色のよい肉色を見せる胎内から、ほのかなピンクに染まった白いどろりとした粘液や茶色に汚れた白濁がごぷっと泡立ちながら溢れ出してくる。
「すごい量だな」
「ええ、汚いといったら無いでしょう」
「まじ、くせぇぜ」
高藤家の者の蔑みすら耳に入っていないようで、純一はその場から立ち上がろうともしない。下手に立ち上がれば、中身が溢れ出してしまうからだ。そうなれば、片づけるのは純一の舌だ。
いや、この後何をされても、片づけなければならないだろう。
それでも勝手に出すことだけはできなかった。
「ですので、これからもう一度庭に出しますので、綺麗にしようかと思いましてね」
「ほお……」
その言葉に先に反応したのは、長兄 隆正だ。
彼は、啓治の意図を早々に察したのだ。
「綺麗に……、胎内をか?」
啓一郎の問いに、啓治が頷く。
「ですので、外でやりましょう」
身体をかがめた啓治が、純一の髪を掴んで引っ張った。
その拍子に、こぷりと汚濁が流れ出す。
きゅっと尻たぶが締まり、純一の手がその狭間を塞ぐように押さえつける。
許されていない状態で、溢すわけにはいかなかったのだ。
だが、無理に引っ張られて身体が泳ぐ。
掴まれた髪の毛に体重がかかり、情けない悲鳴が室内に響いた。
「ああ、やぁ、ひ、ひぃぃぃっ」
「さあ、庭に出なさい」
情け容赦なく引っ張られる純一。その後ろを、それぞれのペットを連れた兄弟達が続いていた。
「ひぃ……」
腫れたアナルにペニスを突き入れられて、掠れた悲鳴が喉を通りすぎる。
じょぼじょぼと勢いよく胎内奥深くに注がれる熱いほとばしりに、身体ががくがくと震える。
純一は、中庭の中央の噴水の根元に、尻穴が天に向くようにして転がされて固定されていた。
もともと柔らかな身体を持つ純一でも苦しい体勢だ。
後頭部が溢れた尿によって濡れて石畳についていて、顔の前に垂れ下がった自分のペニスがある。
そして、そのアナルにまず高藤家の人間が年功序列に次々と排尿しているのだ。
今は三男の春樹だが、ここにくるまでの一人一人の量がやたらに多い。
どう考えても、ずっと我慢して溜めていただろうと思われるほどなのだ。実際、放出した者はほっとしたように表情を和らげていた。
だが、それら全てを入れられた純一にしてみれば堪ったものではない。
それでなくても、まだまだたくさんの精液、そして朝から排泄していない便が、胎内にあるのだ。
それを掻き混ぜるように、尿が勢いよく流れ込んで、すでに腹がごろごろと鳴っていた。
純一は、精液やローションが胎内に残っているくらいでは、腹を下さないが、浣腸行為をされるとさすがに堪える。しかも、啓治が行う浣腸は、一回の量が半端ではない。
だが、啓治はそんな純一をにやにやと嗤いながら見ているだけだ。
純一には、彼の身体に関する全ての決定権が無い。
基本的な衣食住はもちろんのこと、もっと基本的な排泄に関しても、全て啓治の許可がいる。
そして、今夜はまだその許可が出ていない。
「お、お義兄様……トイレ……」
入れられた量が多いせいで、痛みは急激に酷くなった。
これでは我慢できないと、切なく願うけれど。
「まだ全員入れていない」
言われて、その視線の先には、父親と弟がもじもじと太ももをすり寄せながら待っていた。
「ひ、や……もう……もう、入らない……っ」
彼らがどんなにたくさんの尿をその膀胱に蓄えていることか。
一目見ただけで状況が把握できる。
すでに限界に近い身体は、これ以上入れられたら、許可なく噴き出してしまうだろう。そうなれば、自らの全身に尿と便を浴び、そしてさらに許可無く排泄したことのお仕置きを受けなくてはならなくなる。
けれど。
「だが、こっちも限界のようだが?」
嗤いながら、下腹部をつつかれた亮太が、悲鳴を上げて蹲る。
ペニスを掴んだ指の端から、数滴の滴がぽたぽたと垂れ落ちた。
「亮太、出して良いって言っていないよ」
春樹の冷ややかな声に、亮太が必死になって首を振っている。
「勝手に言ったら、この前見せた中でいっちばん太い尿道バイブを入れて栓をしてやる。それからたっぷり水を飲ませて、利尿剤も飲ませて……それから電車に乗せて……」
愉しそうにお仕置きの計画を立てていく春樹に、亮太がぶるぶると震えていた。
尿意と恐怖に、もう亮太は限界だ。
けれど、純一自身ももう限界で。
それでも……。
「り、亮太、来い」
「あ……」
もう口を閉じることもできないほど意識が飛び始めている亮太が、それでもとまどいを見せたけれど。
「じゃ、亮太君を先に行かせてあげよう。いいね、孝典」
「はいっ」
僅かに残った父親の責務か、孝典が勢いよく頷いた。
そんな孝典を、啓一郎達がニヤニヤと見つめる。彼の様子から、もう保たないと判っているのだろう。
「亮太、さっさとだしな」
春樹の命令に、亮太の躊躇いはすぐに消えた。
純一が啓治に逆らえないように、亮太も春樹には逆らえない。
まだ小降りの、けれどいきりたった亮太のペニスがアナルに突き刺さる。と同時に、ぶしゅぅっと勢いよく、尿が放出された。
「ひゃああぁぁ──っ」
我慢、などできなかった。
まだ亮太のペニスが入っているアナルから、勢いよく尿が、そして多種多様な粘液や潤滑剤、そして最後に純一自身の便が噴き出した。
「あ、あっ」
「ああぁぁんっ」
排出の快感にびくんびくんと震える純一の身体に、噴き出したそれらがふりかかる。
同時に、未だ放出し続ける亮太の尿が、外れたせいで全身に降りかかっていた。
そして。
「ひ、ひぃぃぃ……」
微かな悲鳴と、笑い声が背後から響き。
じょろじょろと別の水音が伝わってきていた。
舌が麻痺したように動かない。
味わっていた苦い味は、もう感じられなかった。
口からだらりとはみ出た舌を動かしているのは、かろうじて動かすことのできる頭と身体だ。
全身を動かして、舌先で零れている液体を掬い上げ、鳥が獲物を飲み込むように顔を上げて喉に流し込んだ。
大きく広がっていた水たまりは、もうかなり小さくなっている。
目の前では、集められた茶褐色の固形物を孝典が口に運んでは噛み締めてから飲み込んでいた。
それらは全て、純一が噴き上げた排泄物だ。
膀胱が決壊した孝典は啓一郎から、純一の大便を全て味わって食べるように命令された。
許し無く排泄した純一は、全員分の尿を舌で舐め取るように啓治より命令されていた。
己の胎内に入った汚濁混じりの尿も、孝典が我慢できずに漏らした尿も、そして噴出と同時に純一のアナルから外れて溢してしまった亮太の尿も。
五人分の尿は、大半が地面に吸い込まれいったとは言え、相当な量だった。
孝典も、口に入れた便をしっかりと噛み締めて隅々まで粘膜に擦り付けてから飲み込まなければ次に取りかかるな、と言われているから、量としては僅かであってもとても時間がかかる。
亮太は自分の意志で溢したのではない、と春樹に庇われて特別に許された。
なんだかんだ言っても、春樹は亮太がたいそう気に入っている。その春樹は、浣腸などの強制的な排泄行為はよくさせるが、それ以上のスカトロ行為を嫌っていた。特に食便は見ることすら嫌っているのが先ほどの会話で聞き取れた。だから、二人は早々に本宅の自室に戻ってしまった。
もっとも春樹の優しさの影には嗜虐心が隠れている。
飴と鞭の差が特に激しいのが、春樹なのだ。
外灯の灯りにぼんやりと照らされた中庭で、二人だけ。
高藤家の者はみなそれぞれの屋敷に戻っている。
五月の初めともなると、夜半はかなり冷えた。
それでも二人は濡れた身体がぶるぶると震えさせながら、黙々と命令をこなしていた。
互いに口を利くことはない。無駄話をすれば、それぞれの主人達が怒りを向けるからだ。
それよりも。
あと少し。あと少しで、屋敷に入れて貰える。
その思いで、懸命に舌を動かす。
この身体を激しく陵辱するのも、優しく癒してくれるのは、今はもうあの屋敷だけだ。
過去を捨てさせられた真木の家は、もうどこにも無い。
この家の家族として戸籍に入ってしまった純一は、どこに逃げても高藤の名の下に探し出されてしまうだろう。
純一の名と顔は、高藤の名とともに世界中に伝わっている。
まして、純一一人逃げ出したとしても、父も、亮太もここにいる。
純一が逃げれば、二人がその分使われるだけだ──と啓治に宣告されていた。
『逃げて捕まれば……今よりもっと愉しませて貰うよ』
嗤う啓治の言葉が偽りだとは感じられなかったのだ。
最後の小さな水たまりを舐め取って、ほっと息を吐く。
「終わった……」
同時に、隣からも静かな声が落とされた。
視線を上げれば、孝典がほっとしたように顔を綻ばせて、本宅のある方向を見つめていた。
もう俺たちは逃げられない。
行くべきところは決まっている。
身体が、勝手に四つん這いになった。力の入らない四肢を踏ん張って、ふらふらと東の屋敷に向かう。
その傍らで、孝典も同じ格好で本宅へと向かっていた。
早く戻らなければ。
そう考えるのは、彼への恐怖のせいだ。
この身に染みついた彼の調教は、骨の髄まで染みこんでいる。
けれど。
あの屋敷で、啓治が待っている。
早く、早く行って彼の前で身体をかがめ尻を高く掲げて、服従のポーズを取らなければ。
「お許しください、お義兄様」
そう訴えて、次の躾の内容を決めて頂かなければ。
掃除一つにこんなにも時間がかかってしまったことが、叱られないわけがないのだから。
彼が与える人としての尊厳を何もかも奪う躾はとても辛い。
辛くて、辛くて、狂いたいほどに辛い。
なのに。
中庭が明るい故に、闇に沈む屋敷。疲れ切って朦朧とした頭の中で、闇の中のその窓の灯りが、ひどく暖かく感じる。
早く、帰って眠りたい。
眠って……明日に備えなければ……。
今日はもう遅いし、啓治も先ほど「明日もたっぷりと遊べるな」と言っていた。ならば、彼の躾は明日行われる。彼が自分の言質を違えることはないのだから。
だったら、今日はゆっくり眠れる。
こんな待遇の純一ではあったが、住まいに関しては一般レベル以上のものを与えられていた。
いつでも暖かい風呂にふかふかのベット。
食事は望めばすぐに与えられたし、傷を受ければ治療は最善のものが用意された。
今も部屋まで戻れば、すぐに温かい湯に浸かり、傷は治療され、疲れが取れるまで眠りにつくことができる。
それら全ては啓治の采配だ。
その待遇に惑わされる。
優しく見える待遇がたとえ偽りだったとしても、それでも縋ってしまう。
その姿に間違えてしまうほどに。結婚前までのように、義兄(あに)と敬意を持って呼べていたほどに。
ふらふらと四つん這いで進む純一の頭の中は、昔の啓治の優しい笑みが浮かび上がってくる。
あれを前に見たのは、いつだったろうか?
ふっと純一の顔に苦笑が浮かんだ。
僅かに与えられる飴に、今は縋ることしかできない自分が憐れだった。
泣きたいのに、笑いたいような、不可思議な感情が渦巻いていた。
【Vol.01 高藤純一 了】