【目覚め】(2)

【目覚め】(2)

 父親を落とすのは簡単だった。
 息せき切って店にやってきた父親に、「まずは落ち着いて」とアイスコーヒーを出せば、ひどく恐縮しながらもそれでもごくごくと飲み干した。
 よほど喉が渇いていたのだろう。暑い夏の太陽の下を走ってきた様子で、アイスコーヒーがたっぷりの媚薬入りだとも知らずに、微妙に変な味わいにも気づかずに。
 すぐにシイコに会いたがろうとする彼を、まあまあと宥めて席に着かせた。
 空調が”一時的に”壊れた部屋は、やたらに暑い。上がった体温と緊張で早い血流は、吸収した媚薬を通常より早く全身へと行き渡らせる。
 シイコの生徒手帳を渡して確かに子供本人だと確認させ、震える声での告白の言葉と直筆の告白文二つを示せば、がくりと肩を落として、顔を覆い隠した。
 その姿に、興奮に乾いた唇をぺろりと舐めた。
 彼は、確かにシイコに似ていた。もうそれだけで、荒くなる鼻息を押さえるのが苦しい。
 ぽつりぽつりと懺悔のように呟くのは、子供をどんなふうに育てたか。
 この店に来るまでは信じたい気持ちで一杯だったろう。
 母親に置いて行かれた子供が片親でも苦労しないように、世間にも恥ずかしくないように。万引きなどさせないように厳しく躾けたはずなのに。
 クドクドと繰り返される言葉は、赤の他人が聞いている分には戯れ言でしかない。
 桑崎輝彦(くわざき てるひこ)は確かに35歳。
 こちらが水を差し向ければ、いくらでも喋る。誰かに聞いてもらいたかったのかもしれない。
 その真面目な育て方が、シイコにはプレッシャーになったのだとも知らずに、いかに正しく育てたかを繰り返す。それもまあ、確かに正しい育て方なのかも知れない。けれど、子供だって息抜きが必要だ。どうやら彼は、それが大事だと言うことを忘れているような感じだった。
 繰り返される話がシイコに対する愚痴のようになった頃には、こっちも飽きてきた。それに、そろそろタイムリミットのようで、輝彦の頬に赤みが差してきて、愚痴の合間の呼吸が速くなっている。
 ふと、胸ポケットに手をやって、携帯が鳴った振りをして取った。けれど、フラップを開いて押したのは短縮ボタンだ。素早く押したボタンに登録しているのは、三坂の番号で、呼び出し音が鳴る携帯を耳に当て、もっともらしく返事をして。
「そろそろ、伸吾君とお話されますかね」
 招けばのろのろと立ち上がる彼は、体格もシイコによく似ていて、童顔気味の顔立ちもよく似ていた。けれど、年相応の貫禄というか世間の荒波に揉まれた経験というものが滲み出ていて、その渋みが三坂と違う須崎の好みだ。
 混乱した頭に、欲情した体。
 少し足下がおぼつかない様子に、そんな状態で連れて行った先の倉庫のドアを開けて。
「ひっ!!」
 着信でタイミングを知った三坂の体に抱きすくめられたシイコが、両手足を押さえられて深々とチンポを尻穴で銜えた見事なご開帳で出迎えてくれた。
 しかも。
「ふっとぉぉい……イイよぉ……三坂さん……の、チンポ、すっげぇイイ……。もっとぉ……シイコのまんこ、犯してぇ……。ああ、とうさ……すっげ、イイ……よぉ」
 甘く掠れた声は色っぽく、その腰が卑猥に揺れて自分でチンポを抜き差ししていた。
 その姿は、誰がどう見てもシイコ自らが強請っている姿にしか見えない。
 父親であっても、すぐに止めようとできなかったほどに。
「し……んご……」
 呆然と呟く男の体を背後から抱きしめれば、ひくりと震えた体はとても熱く、はあはあと荒い息を吐いている。
 卑猥な淫臭と熱気、それにシイコが動く度にグチュ、ブチュと粘液が泡立つ音に包まれて、媚薬の効果はさらに上がっていた。
「お父さんは息子さんのイヤらしい姿にもう興奮されているんですか?」
 カチリと手元に響く感触に、輝彦も気がついて暴れ出す。けれど、せっかく罠に掛かった羊を、逃す気などこれっぽっちも無い。
 ワンクリックでロックがかかる拘束具は、レイプするのにたいそう都合が良いと地下の店自慢の一品だ。暴れるもう一方の手も捕らえて後ろ手に枷を嵌めれば、憐れな生け贄の一丁上がり。
 後は、思う存分に犯せば良かった。


 息子の前で尻を貫かれてひいひいと喘ぐ輝彦は、たいして拡げもしなかったのにすぐにチンポを銜えて悦びだした。
 前立腺を抉ってやれば、びくびくと腰を踊らせて、チンポの先から先走りの粘液を吹き出すほどに感じている。中の肉もぐねぐねと痙攣し、絡みついて須崎のチンポを放そうとしない。熱いほどの肉壁は性器としては極上品と言って良いだろう。
 これは──と期待に満ちて、徹底的に前立腺ばかりを責め立ててれば、喘ぎ声がどんどん大きくなり、真っ赤に染まった全身を悶えさせて呆気なく射精してしまった。
「あ、ひぃぃぃ、やめっ……っくぅぅ!」
 ピクンと大きく痙攣して、びゅるっと吹き出した白い粘液は、ぷるぷるとけっこう粘度が高い。
 最近出してなかっただろうけれど、それよりも。
「尻だけで達きやがったぜ」
 感嘆混じりの揶揄に、三坂もヒューと口笛を吹いて囃す。
「尻掘られたの初めてだろ。きつい尻穴を裂かれて、それで達くかぁ。なんてぇ、淫乱な体なんだ」
「ひっ……い、ちが……」
 嫌々と首を横に振るけれど、チンポの先から流れる白い子種は、隠しようもない。
「ははっ、こりゃ調教しがいがあるってもんだ。こうなったら、今日明日と徹底的に躾けてやるぜぇ!」
 思いかけぬほどに極上の生け贄を手に入れて、もう止まらない。
「こっちもイいぜ。シイコちゃん、さいこーっ」
「あ、ぁっ、三坂、さぁ?ん、もっと?、もっとしてぇ」
 シイコを仰向けに転がして、二つ折りにするほど体を折り曲げて三坂が激しく突っ込む。大きな体ごとグラインドするように深く強く突き上げているのに、シイコはただ悦ぶだけだ。
 ヒイヒイ啼きながら、もっともっとと足を絡めて三坂を引き寄せようとしている。
「おいおい、なんか薬を使ったのか?」
「いーや、最初だけ。けどこいつ、快楽に弱くってよ、気持ちよければ何でも良いみたいでさ。頭ん中にあった枷が外れっちまったらしくてさ、数回尻で達かせてやったらもうセックスの虜」
「へえ……」
 たま?に、そんな奴もいるって話だが、あいにく手に入れたことがなかったけれど。そんな淫乱な子羊を手に入れて、三坂は大満足で腰を振りたくっている。
 限界知らずの三坂の相手を最後までできるのは、壊れても良い奴隷くらいしかいなかったが、シイコもけっこう相手ができそうだ。
 突っ込まれる度にだらだらと勢いのない精液を零しながら、嬉しそうに三坂にしがみついて、際限なく次を強請っている。
「すごいね、君の子供は。見習わないとな」
 こっちも負けてはいられないとばかりに、ガツガツと立派なケツマンコを抉ってやれば、輝彦が嫌々と涙を零して逃れようとずり上がった。その体を押さえて引き寄せて、狙い定めて前立腺にストライク。
 とたんに、長い悲鳴を上げて、また達った。
 あまりに簡単に達くもんだから、これは空達きさせるのも楽かも、と次の期待が高まっていく。
「ひっ、いやぁぁ、やめてくれっ! 伸吾も……伸吾も、放せっ」
 場の空気が読めないままに見当外れの懇願を口にする輝彦は、なかなか楽しませてくれそうだ。さすがに年の功というか、シイコほどには簡単には落ちそうにはないけれど、だからこそ楽しいのがこの年代だ。世間を知り、プライドを持った大人のを無理矢理泣かせるのが楽しみという物で。
 さて、まずは。 
「輝彦だから、これからはテルって名前にしようね。テルって呼ばれたら、体が疼いてケツマンコ犯されたくて堪んなくなるようにしてやるからな」
 シイコにテル。
 新しい奴隷のお仕事は、須崎達の性欲処理が一番だけど、お店の大事な金儲けの手助けをするってことも入っている。
 機械に強い三坂が揃えた撮影器具は、さっきからいろんなところで動いているから、須崎はただ相手を犯せば良い。
 後の編集は三坂が見事に行って、後はDVDに焼くだけだ。
 モデル料のいらない撮影は、原価がたいそう低くて、儲けが多いから止められない。
「あ、っ、ひぃ……そこっ、止めっ……突くなっ、ダメっ!!」
 拒絶する場所ほど、突けば締まりが良くなって、全身がびくびくと震えている。その痙攣がまた心地よくて、須崎のチンポはますます元気にテルのケツマンコを犯しまくった。



 木曜午後は定休日だが、金曜は仕事がある。
 一晩中遊んだ体に仕事は辛いが、それでも働かないわけにはいかない。
 シャッターを開けて店内を掃除して、商品のチェックをしていると、「おはよーございますっ」と、三坂が倉庫からのそりとやってきた。
「遅いぞ、さっさと準備しろ」
「あ?すんません。でもまあ、そんな不足分はなかったんで……準備の方は……まあ、大丈夫す」
 ぼりぼりと右手で頭を掻きながら、左手で持っている鎖をくいくいと引っ張れば、バランスを崩したのかシイコが、がくっと崩れ落ちた。
「ひっ、あうっ……ふぅ……」
 首輪を嵌めて四つん這いで連れてこられたシイコは昨日からずっと全裸のままだ。ずっと三坂に犯されて四肢に力が入らないのか、ここに来るまでも何度も伏せては、無理矢理這わされていた。その這いつくばったいくつもの場所に、ぽたぽたと小さな液だまりができているのを見て取って、須崎は大きくため息を吐いた。
「お前……掃除したばっかだぞ……」
 乾いてしまえば客には何の痕かは判らないだろうけれど、知っている自信としてはいらぬ欲情に駆られる物は視界に置きたくない。
 できれば、店を臨時休業したい気分を何とか抑えて、がんばろうしているというのに。
「そう思って、こいつ連れてきたんです。病院からの客が来るまではもう少し遅いし、先に店番してますよ」
 最初からそのつもりだったと、調薬部屋にシイコを連れて行く。
 窓の大きな軽いドアで隔てた部屋は、ドアを開け放していても奥の方は見えない。けれど、店に客が来たのはすぐ判るので、三坂はいつもそこで店番をしていた。
 そのいつもの席の下にシイコを押し込んで、イスにどかりと座った三坂は、白衣の前を開けて一晩使いまくったはずのチンポをぽろりと出した。そのとたん、シイコが急くようにそのチンポにむしゃぶりつく。もぐもぐとまだ柔らかいチンポを頬張って、育てるようにしゃぶっているのが傍目から見てもよく判った。
「はいはい、チンポ好きなんだよな。がんばれば、朝ご飯がでるかもよ」
「おいおい」
 さすがに朝勃ちすらしないほどに使い込まれたそれから朝ご飯が出るとは思えないけれど。
 人ごとではなく、使い込んだ須崎の苦笑に、三坂もニヤリと笑みを浮かべた。
 と言っても、すごいのは、あれだけ犯されて喘がされて射精したのに、チンポにむしゃぶりついているシイコの方だ。
 モグモグと口を動かしながら、強請るようにうっとりと見上げるその淫猥さは、好みでない須崎すら煽られる。
「シイコ……お前、ほんとに好き者だったんだな。さずかにテルはそこまで元気じゃねぇぞ」
 ほとほと感心するのは、同じように使いまくって射精させまくったテルは、完璧に意識を失って、バテているからだ。
「シイコ……好きだから……。三坂さんのチンポ大好きだから……」
 頬張ったチンポを外して、心からの言葉だとうっとりと呟いて。
 慌ててまた頬張ったシイコには、もう薬など残っていない。最初以外使わなくて良かったシイコは、理性すら戻っているはずだけど。その理性よりは、色欲にはまることを精神も体も決めてしまったようだ。
「てぇことで、須崎さんは戻ってください。テルをもっと可愛がりたいんでしょ」
「ははは、んじゃあ、任せるか」
 1時間ばかり休ませたから、そろそろ次の調教に移ろうか。
「シイコ、お前パソコン使えるか?」
「ん」
「動画編集できるか? ○×ってソフトなんだが」
「ん、でひう……」
 コクリと頷くシイコの頭を撫でながら、三坂が傍らのパソコンを立ち上げる。複数台揃えていうるうちのノートパソコンは、薬剤師としての仕事用だ。その奥の一番大きなパソコンが立ち上がるのを待って、三坂がシイコの首輪を掴んで立ち上がらせた。
「ここに、お前とテルの処女喪失のシーンが録画されている。この編集を手伝え。嵌められてアンアン悦んでっとこ繋げて、全部が丸見えになるよう編集して、売るからな」
 さすがにその言葉には、シイコも息を飲んだようだけど。
「巧くできてたくさん売れたら、褒美にもっと気持ちよいことしてやるぞ。ぶっといバイブいれたまんまドライブなんてどうだ? ガタガタの山道の振動はたまんねぇし、それに山ん中にけっこう良い場所があってな。360度パノラマの絶景の中でのセックス三昧は、すっげえ興奮するぜ」
 気持ち良い、という言葉が耳に入ったとたん、シイコは躊躇いなど吹っ飛ばしてうっとりと微笑んだ。
「がんばります。俺、得意だから……こういうの。俺のも、テルのも……すっげえ、イヤらしいの作ってみせるから。だから、三坂さん、俺を毎日犯して、気持ち良いことして、いっぱいして」
「そういう時は、淫乱メス奴隷のシイコのケツマンコを壊れるまで使ってくださいってお願いするんだよ」
「ん、シイコ、淫乱メス奴隷のシイコです。ケツマンコ……一杯一杯使ってください。壊れるまで一杯、毎日犯してください」
 すらすらと澱みなく宣言するシイコは、さっそく慣れた手つきで目の前のパソコンを弄り始めた。
「よしよし、良い子だなシイコは」
 どうやら地下の店の売り物作成も任せられる便利な奴隷を確保できたのだと、須崎も嬉しく顔を綻ばせながら、店を後にしたのだった。

 NEXT