鬼の実験成果編 強姦、異形、拘束、蔦、自慰、実験、輪姦
その取引先の社長は30代後半と若く、無駄な贅肉など感じられないスレンダーな格をしていた。彫りの深いエキゾチックな顔立ちは、女性社員がひとしきり騒いでいたほどだ。
そんな社長を鹿島 京(かしま きょう)が始めて目にした時、さすがに女性のように顔で騒ぐことはなかったけれど。
その体格は、心底羨ましいと思ったのは事実だ。
京は、高校、大学と野球部で、社会人の今でも筋トレだけは欠かさないおかげで、無駄な脂肪はない。だが、生まれ持った線の細さはどうしようもなかった。
顔立ちも男らしさがあるとは言い難く、さりとて可愛いとか、きれいとか、そういうものでもない。平凡な顔立ちの京にとって、せめて体格くらい立派なものが欲しかっただけなのだ。
そんな京の理想の骨格を持つ彼は、社長としては若いけれど、人望も熱く、顔も広い。人間的にもできているという評判を聞いていたから、京自身、期待と好奇心で今日の会議に望んだ。
だが始まってすぐに 会議の場から逃げ出したい欲求に襲われていた。
視線が向けられるたびに、身が竦むのだ。
苦手、というより恐怖。近づきたくないもの、逃げるべき相手が彼で、弱い犬が尻尾を巻いて逃げ出すがごとく、身を屈めてしまう。
それが何故かは判らない。
ただじっと耐え続け、ようやく会議が終了して、ほっと一息吐いたのも束の間、上司から『社長がご希望なんだよ』と、否応無く、接待場所である料亭へと連れていかれたのだった。
愛想笑いが、ひきつる。
会議の時より強い視線に、頬が焼けるようだ。冷や汗が背を流れ、悪寒が止まらない。
会議中とは違い、その視線が四方八方から感じるのも嫌だった。周りを見ても、京を見ている者はいなくて。
ただ、件の社長に目を向ければ、必ず視線が合う。しかも、いつも意味有りげに嗤っているのだ。
「あ……」
今もまた、他を向いた筈なのに、視線が合った。そうなると、蜘蛛の巣に絡んだように剥がしにくくなる。
意識してようやく剥がせる視線が、回を重ねるごとに難しくなり。ならば、顔を合わせなければ良いのに、どこをどう逃げても彼と視線が合う。そうこうするうちに、視線どころか手足すら絡めとられたように動かせなくなった。
「う、く……」
声も思うように出ない。
息を継ぐことすら、苦しい。
何かがまとわれついていて、それが京の動きを縛る。ざわざわと、四肢の先から体の中心に向かってくるのが、実感として感じられるようになって。
不快感以上の恐怖に迫られ、かろうじて動いた視線でそれを探した時。
──ひぃっ!!
悲鳴を上げて、動かない身体で足掻く京の身体に、あり得ないはずのモノがあった。
形状からすれば、蔦と呼ぶべきもの。ゴツゴツとした木肌を持ち、ところどころに芽吹き始めた芽のようなでっぱりもある。だが、金属の光沢を持つ蔦など見たことも無かった。
そんなあり得ないモノが、京の体を拘束していた。
しかも──堪らなく熱い。
じりじりと肌を焦がし始めたそれが見る間に真っ赤になり、さらに先端を伸ばしいきなり肌を貫いたのだ。
ひっ、……う、そっ!!
「ああああぁぁぁっ!!!!」
耳をつんざかんばかりの悲鳴が迸った。
何カ所も貫かれ血が噴き出す。
激痛で暴れる京を、蔦はなんなく押さえつけ、するすると自在に伸びる己で悲鳴を上げる口から潜り込んだ。
太い蔦が、意志のある生き物のように、京の穴という穴を探りあて、肉の道を進む。
口も鼻も耳も。
頭部に潜り込んだ蔦が、脳を犯す。
「ああ────っ」
快感を司る脳に蔦が触れたとたんに、激痛が一気に快感へと変化した。
五感が狂わされていく。
肉を焼く蔦が心地よい。
口腔いっぱいの金属が、甘露のごとく感じる。
芳しい匂いは蔦が撒き散らす液体からで、肉体を貪る音は、甘美に鼓膜を震わせる。
──す、ご……い……
こんな快感は味わったことが無かった。
自分でぺニスを扱くだけの自慰などとは、比べものにならない。
「あ、ああん……ああっ」
もう、ここが接待場所など忘れていた。
視界の中、上司や先輩が、社長のグラスに酒を注ぎ、他愛の無い話で盛り上がっている。
彼らは、京が蔦に陵辱されているなど、まったく気づいていない。
「……あぁぁっ!!……」
細く伸びた蔦が2本絡まり、尿道にねじ込まれた。
一瞬感じた激痛は、次の瞬間には、全身を貫く快感となる。
淫靡にとろけて、涎を口の端から零した京は、ただ快楽の虜となって自由にならない身体を揺らめかす。
両脇から潜り込んだ蔦は、皮膚に複雑な植物の紋様を浮かばせていた。胸一杯の紋様の先端は、乳首から芽吹き、可愛い双葉を震わせている。
陰茎も同様で、絡まった蔦の何カ所にも実のような瘤がいくつもできていた。
その陰茎を、別の蔦が扱きまくる。
「だ、めぇ──っ」
充血しきったぺニスの皮一枚下で、飛び出た大半を肉に食い込ませながら、瘤がごろごろと動く。
痛い筈なのに、たまらなくヨクて、意識が沸騰する。
「ああ──っ、はあっ、イィ……もっとぉ、ぉ──」
止まらない快感に酔いしれ、快楽に馴染んだ体が貪欲に次を欲する。
けれど。
尿道を抽挿する蔦は輸精管すら塞いでいるのか、いくら吐き出そうと陰嚢が収縮しても、射精できない。
何度も何度も、絶頂の寸前になるたびに京の背筋がぴんっと伸びきる。けれど、数秒ぶるぶると震えるだけで、射精は叶わなかった。
「あ、あぁ、も、イかせてぇ……」
最初は激しいと思った快感だが、今は物足りない。
どこかもどかしい、耐えられない疼きが、京の脳を犯して支配していた。
「あ、あぁ、もっと……」
人ならざるそれに懇願する。
「なんでも……いいから……」
この体に、何したって良いから。
達かせて……。チンポのこれ、抜いて、達かせて。
「あ、あはぁぁっ──もう、達かせてぇ!」
心からの懇願が、絶叫となって響く。
再び迫り上がってきた快感に、今度こそ、と期待しながら腰を揺らしていた、が。
「ひあっ」
尻に大きな杭が突っ込まれたように感じた瞬間、一切の快感が消えた。
「あ、あ、ああ──」
両足が一気に割り開いた。
巨大なそれが入り込む圧迫感に、勝手に足が開いたのだ。
尾骨から生えた尻尾のような蔦は、それほどまでに太い。京の腕を軽く凌駕する太さのそれが、肉壁を限界以上に引き伸ばし、入っていく。
ずる、ぎち……ぐぐっ……
「ぎゃあ──っ、ああ────っ、あああああっ!!」
固い筋肉が引き裂かれる激痛に、喉が掠れるほどの絶叫が上がる。
全身をくねらせて、入り込むそれを阻止しようとするけれど、蔦の力は強い。
ぶちゅ、ぎちゅ、くちゃ
濡れた音を立てながら侵入していく蔦を、京は受け入れることしかできなかった。
た、す……け、て……。
蔦の動きのままに、体が揺れる。
気を失うほどの激痛は、激しい故に、意識を失わせない。このまま倒れてしまいたいのに、全身を拘束した蔦が、それをさせない。
だれ、か……、き、づいて……。
うつろな瞳に、いつもと変わらぬ同僚たちの姿が映っていた。
あの社長に酒を注ぐ部長、話しかける課長、酒を注ぎあう先輩たち。
京を含めて五人がかりの接待は、それだけ彼が大事な相手だからだ。
なのに、京だけがすべてから隔離されて、異形のモノになぶられて。
否──男だけが、知って、嗤っていた。
注がれた杯に口をつけて味わっているようで、けれど伏せた目は京を見つめながら。
『五感を戻した。今度は、現実の刺激を味わえ』
声が、響く。
その意味を、京は理解できた。あの夢のような快感は偽物だったのだ、と。
これが現実。
異形のそれに犯されるのに、快感など有ろう筈が無くて。
……あ……あ……ひぐっ。
ずるっと蔦が這い出して、わずかな解放感にほっと息を吐く。が、また一気に押し込まれる。
それをさんざん繰り返されて感じている痛みこそが現実で──でも。
涙を溢れさせながら、請い願う。
あの快感が欲しい。
痛いだけでは辛い。逃れられないなら、あれをちょうだい。
あの天国のような快感を。
涙に濡れた瞳を細め、ひどく遠く感じる男を見つめる。
もっと、もっと味わいたいんだ……。
この激痛から逃れるためならば、どんなことでもするから。
「あひぃっ、助……てぇぇっ。ねぇ──さ……い、痛いぃぃ、あがぁぁ」
けれど、どんなに願っても、身体を苛むのは激痛ばかりだった。
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