『望みを、叶える』
それが私が望んだことだから、だから、助けられた相手が異形のモノだったからと言って、後悔などするはずもなかった。
「あ、ぁぁぁっ、やあぁぁ」
股間から、ヌプ、ヌプとゆっくりと、ゾクゾクするような粘り着く音が伝わってくる。
焦らすように浅い抽挿を繰り返されて、粘膜からそれが離れる感触に身震いして、だらだらと淫汁を垂らす身体に切ない疼きが走り回る。
腰を長い指で掴まれて持ち上げられ、上半身は石がごろごろする地面に押しつけられて。
肌を傷つけるそれらにすら、もどかしい甘い疼きに襲われて口角から涎が溢れた。
あの屋敷にいた頃はキレイに磨かれていた肌は、今や土と淫汁で作られた泥に汚れ、細かい傷があちらこちらにあった。髪も手入れができないから、今はばっさりと短く切っているけれど、それでも泥にまみれ色を変えている。
毎朝この身体は清めているというのに、数時間も経てば元の木阿弥で、この身体いつも汚濁まみれで犯されてしまう。
「はぁぁぁ……」
つぷりと先端だけが入り、また抜けて。
追いかけるように中から溢れた粘液が、たらりと太股を流れていく。
私の穴という穴は、いつでもふしだらに濡れて涎を垂らしいる状態で、隙あらば男の陰茎を追い求めるようになってしまっていた。
だから、軽く刺激されるだけで期待に打ち震え、自ら収縮して迎えようとしているのに。
「やあ……抜かないでぇ……もっと奥までぇ」
限りなく甘い声音で強請り、汗で湿った肌を身悶える。
背後の男は、素直に望めば望んだだけくれる。
けれど、きちんと口に出して、しかも淫らに卑猥な言葉で望まなければ、どんなに欲しくてもくれやしない。
「お願い……わた、しの……汁まみれのじゅくじゅくのおまんこ穴に、偉大なおチンポ様ぁを、食べさせてぇぇ」
欲しくて欲しくて。
欲望に脳が芯まで犯されてしまうと、こんな言葉を口にすることなんて些細な事になってしまい。
王城の憩いの場である中庭で、数多の視線を意識しながらも私はこんなにも淫らに欲望を口にしてしまうようになっていた。
『ならば、挿れてやろう』
「あはぁぁぁ」
じゅぷっと音を立てて尻穴に入り込んできたのはひどく圧迫感を持っていた。
それは、あまりにも太くて……長くて。
掲げた腰に触れる肌はひどく冷たいのに、なのに、体内を蝕む太い肉の棒はひどく熱くて、じわじわとその熱が粘膜を通って私の身体を甘い毒のように侵食していく。
淫靡な刺激に堪らずに熱い吐息を零し、熟れた身体をさらに熱くして先を望んでしまう。
『どうした?』
焦れったく尻穴をひくつかせたのが判ったのか、くぐもった嗤い声の中に鼓膜を甘く響かせる声が伝わってきた。
「も、もっと……激しく……、淫らな肉壺を、掻き回してぇ……」
動かずにじっとされては堪らない。
太いそれで、もっと激しく中を擦って欲しい。奥深くまで、内臓を押し上げるくらいに激しく、その長いペニスで突き上げて欲しい。
本当なら、自分から動かしたいくらいに焦れていたけれど、掴まれた手はあまりにも強くて、私自身では動かすことができなかった。
だからお願いしているのに、彼はひどく意地悪で。
『ん?』
軽く動かされて、ぞわりと背筋を這いずり上がる快感に覚えず熱くて甘い吐息を零す。
泣きたくなるほど嬉しかったのに、それでもまた動かなくなって。
くちゅっ、小さく鳴った背後を振り返り、意地悪な相手に涙に濡れた顔を向けるけれど。
言葉で言わない限り、動いてくれないのは経験上知っていたから。
「お、お願い、します……どうか、そのあなたの逞しいおチンポ様で、もっと突いてください……」
懇願しながらちらりと顔を見上げ、けれど動いてくれそうに無いのに、小さく吐息を零して言葉を紡いだ。
「私、の……この濡れた女の、おマンコと、……尻のおマンコを……壊れる、くらい、突いて……くだ、さい」
決して口にしたくはないのに、けれど羞恥に身を焦がしながらその名を口にして、きゅっと力を入れて淫ら強請った。
もう私の身体は、尻穴だけではダメなのだ。
この男の持つ力で変えられてしまった身体は、もはや前の私のものとは全く違っていて。
男の身体にひどく淫らで敏感な女の性器を付けられてしまっていた上に、さらに男に犯され続けた身体は、元に戻れないほどに淫乱になっていた。
それこそ、簒奪者達の調教の成果よりももっと激しく、にだ。
そんな身体にした男に、私は強請ることしかできない。
振り返り、男の股間にそびえる二本の逞しい異形なペニスを見つめて、口内に溢れる涎を何度も飲み込みながら、懇願した。
「お願いします……私の、淫らで浅ましい二つのマンコ穴に、あなた様の太い、チンポを……、奥まで激しく突っ込んで……欲しいです」
『心得た』
答えはいつも簡潔で。けれど、期待させるには十分で。
「あぁぁぁっ!!」
地面についた両腕がピンと伸びる。
じゅぽじゅぽっと、激しく水を掻き回すような、泡立つ音が鳴り響いた。
熱くて太くて長くて。歪な瘤をたくさん持ち、大きく反り返っエラを持つペニスが、二本それぞれに身体の中で暴れていた。
二本はよく似ていたけれど、長さも太さも歪さも違っていて、それぞれに良くて、どちらに挿られても違う快楽が得られて。
私を堪らなく狂わせてくれる。
私の元からある尻穴を深く抉り、同時に男によって新しく作られた女陰が犯される。
ボタボタと溢れた淫汁は、その女の陰部から溢れていて、太股を垂れて地面をぬかるませる程の量を零していた。
何度も何度もそれぞれを同時に犯されてきた私の身体は、最近では片方だけ犯されただけでは満足できなくなっていて、いつでもこうやって二カ所同時に責め立てられるのを好んだ。
奥深くを突き上げられるあまりの激しい衝撃に、身体が知らず這って逃れようとするけれど、腰を掴む私の二倍はある大きさの手は決して緩むことは無くて、衝撃を堪えるしか無いのだ。
けれど快感に煽られて力を失ったせいで突っ伏した私の身体の下にも、手が入り込んで。
「やああぁ、お、っ、ぱいっ、ひゃめぇぇっ、あぁ、そこはっっ」
大きな割りには器用な指が、乳牛のように大きく膨らんだ乳房を揉み上げ、乳首をつまみ出して捻りあげたのだ。
しばらく吸って貰っていない乳房にはたっぷり乳が詰まっていて、揉まれると酷く痛いのに。それなのに、痛みながらもそれがもっと欲しくなるような快感も同時に襲ってきていて、もっと揉んで欲しくて堪らない。
「だめぇっ、ひぃぁぁ、やぁ、あぁぁ、ゆるしてぇぇ、ひゃめぇぇ、もうもう、もっ やだあぁぁ」
乳首はたいそう敏感な性器で、軽く摘ままれるだけで全身を襲う淫靡な疼きをもたらし、それが快楽を増幅させて、私は激しすぎる快感に泣き喚いて許しを請うてしまう。
さらに。
「ひぃぃぃぃ──っ」
腰を掴んでいた手の片方が動いてペニスを掴んだものだから、堪らない。
完全に勃起して、涎を垂らし続ける亀頭部を指で激しく擦り上げられながら、背筋を舐められたらもう我慢なんかできなかった。
「ひぃぃぃ──っっ!!」
びくっと硬直した四肢が、宙を浮く。
開ききった口からだらだらと涎が垂らしながら、両目は零れんばかりに見開かれた。
ペニスは放物線を描くように潮を吹き、乳首はぴゅーぅっと白い乳汁を噴き出して、全身の筋肉にきゅうっと力が入ったせいで、体内の二本の異物をまじまじと感じてしまい。
「あぁぁぁ」
また達った。
私が射精しても、彼が満足するまではこの行為は終わらない。
何度も何度も、穴という穴を抉られて、敏感な乳房やペニス、女陰を弄られ続ける。
あの日、あの宴の最中に現れたこの男は、確かに神では無かった。
けれど、人でも無くて。
人の二倍はあろうかという体躯でその太い四本の腕を一閃させただけで、簒奪者達は消え去り、客の大半が地に伏せた。
逞しい体躯を覆う衣服は、軽装備の鎧のようだったけれど、客の一人が払った剣では傷一つ付けることができなかったし、人によく似た顔立ちではあったけれど、人では無い異形さが漂っていて、頭には鋭い二本の角が生えていた。
それは、まさしく悪魔の姿だったのだ。
しかもその中でも、もっとも力が強く、悪だと言われる人型の悪魔だ。
堕落を好み、この世に混乱を起こす力を持つ悪魔を呼び出せば、その身は破滅するしか無いという。人の世界では、唾棄すべき事柄なのだけど。
『望みを、叶える』
呟くような声は、けれど、脳にはっきりと刻まれる。
『代償は、身体』
感情の窺えぬ漆黒の瞳に見つめられた時から、全身が硬直して動けなかった。伸びた手が身体を掴んでも、その姿勢のままに担ぎ上げられて。
「ま、待って」
慌ててなんとか絞り出した言葉は拒絶では無くて、妹達の安否だった。
『記憶の消去、後、慈愛の神殿……』
どこか忌々しげに、けれど、別の国にそういう名の神殿があることは良く知っていて。
慌てて辺りを見渡しても、見えるのは男の死体かけが人ばかりだ。
それでも、一瞬の出来事で何が起きたかまだ把握できていないから、どうしても信じられなかった。だから。
「……確かめたい」
思わず呟いた言葉に、それは、僅かに首を傾げ。
『可能。だが最後』
「え……うわっ」
その最後が何を示すのか理解するより先に視界が歪んで、激しい浮遊感と違和感に目の前が乱れて。
「あ……」
ぼやけた視界が元に戻ったら、景色が全く変わっていて。
遠くに見えた和やかな風景の中で、優しそうな神官達に解放されている妹達は、陵辱の痕すら消えていた。
そして。
私が人間の世界を見たのは、確かに、それが「最後」だった。
あれから連れてこられたここが、どこだか判らない。
先が見通せないほどに巨大な王城を私が歩き回ることはないからだ。
私は自室として与えられた空間から自分から出られないし、出るときはこの男によって連れ出されるからだ。
しかも、男はほとんど喋らず、説明もしない。
ただ、連れ出した場所で、自分が気が済むまで犯し尽くすだけなのだ。
だが、あの簒奪者達の屋敷に比べれば、私にとってここは天国にも等しかった。
たとえ。
助けた彼が悪魔であって、私が彼にとって溢れんばかりの欲望を鎮める道具としての存在だったしても。
面白いからと乳房と女陰をつけられ、女と男が入り混じった身体にされても。
絶望の縁に落とすために悪魔の精液を飲み続けないと生きていられないようにされて。
溢れる乳汁は口で勢いよく吸って貰わないと張り裂けそうな痛みに襲われることになっていても。
ありとあらゆる場所と時間に犯されても。
卑猥な言葉を紡がされ、自ら尻を振りたくって強請るようにさせられても。
そして。
月に一度は孕んだ異形の子達を産み落とし、瞬く間に成長してそれが人の世に害を為す存在になっていると知っても。
そのために、悪魔が持つ命を植え付けられて、人よりはるかに長い年月を生きるはめになってしまっていても。
それでも、彼は私にとって神と同様で、この身を捧げ尽くすにふさわしい相手であって。
何をされても厭うものではなかった。
それに。
『今日、母様とよく似た人間、殺したよ。だってぇ、女だったんだもん』
「やあっ、あ、あっ、ひぃぃ──」
『僕も殺したよ。気持ち悪いへんな建物──神殿っていってたとこだよ』
「んんあぁぁ、ああ、おまんこぉ……もうお腹いっぱいなのにぃ」
『きゃあきゃあ言っててうるさかった』
「おいひぃ……ああっ」
『穴ぐちょぐちょだったけど、母様より気持ちよくなかったし。だからみんなで突っ込んでみたんだけど』
「だめぇ、おなか、次の赤ちゃん……つぶれちゃううっ」
『壊れちゃったから、殺しちゃった』
「くぢゅぐぢゅ言っているぅぅ、ああ、おまんこぉ、もっとお」
『似ていると思ったのにさ、やっぱ母様じゃなかったんだもん』
子供達が乳を吸い、私を犯しながら、今日の血なまぐさい報告をしてくれる。
「ひ、ぁぁぁっ、やあ、いっぺんにぃぃ」
小さい子供達とは言え、そのペニスはたいそう逞しくて、そして、彼に似て精力だけは有り余るほどあって。
それが二本も三本もまとめて入ってくる。
その中には先日生んだばかりの末子も混じっていて。
『かあ、さま……おいしい』
乳を飲みながら、彼によく似たペニスで私を犯してくれるのだ。
そして。
私が大好きだと、この身体が一番だと群がり、愛を囁く子供達の言葉に私は嬉しくて。
今、私はとても幸せだった。
【完】