淫魔 憂 浴衣デート 後編

淫魔 憂 浴衣デート 後編

「あ、やあっ、あぁっ!」
「ほらもっと可愛らしく、女の子らしく喘いでごらん」
 末弟が取った玉は十連にされて、今ゆっくりと憂の中へと入っていっていた。
 憂はと言えば、長兄の腰にしがみつき、尻を後ろへ次兄へと突き出している姿だ。
 外れたウィッグは再び被せられ、乱れた浴衣は帯によって止められている以外ははだけてしまっている。
「い、いあ、やぁぁっ!」
「ほら、どこに入っているか言うんだよ」
「ど、どこって……ああっ、お、尻っ」
「違うだろ、ほら」
 五センチの玉を入れながら、次兄がパシンと尻を叩く。白い尻タブに手の後が赤くなり、尻タブがひくりと蠢いた。
 彼らが望む言葉を憂は知っている。そんなことはいつでも言わされてきたことだ。
「お、おまん、こ……憂のメスまんこに、入ってます」
「そう、いい子だね。かわいいよ憂」
「憂ちゃんのかわいいまんこがひくひくと美味しそうに飲み込んでいるね。うん、かわいい」
 ずぷりと次の玉が入ってくる他。
「あ、あぁっ、深いっ、ひぃっ!」
 たまらなかった。
 大中小の玉が中で暴れてる。一つ入るたびに奥へと送り込まれ、肉壁の至るところが刺激される。前立腺の場所も時おり刺激されて、何度も目の前が弾けるような快感を味わった。
 長兄の手が憂を支えていなければその場に崩れ落ちていただろう。
 だがそれでもまだ終わらない。
「ああ、憂ちゃんのクリはこんなにも大きく腫れて、ほら」
「やああっ!!」
 敏感な先端ばかりを刺激され、赤みを濃くした鬼頭部が何度も震えた。
 達きたくて、達きたくて、たまらない。
 憂にとって性器への刺激は、確実に絶頂をもたらすものだ。
 だが。
「憂ちゃんは女の子だよね」
 射精衝動が込み上げるたびに呪文のように繰り返される言葉。
 女性は射精なんかとないよね、と暗に口にするその意味を、憂が理解できないはずもない。
「ご、ごめんなさいっ、だって、だって――っ」
 意識して女言葉を使うようにと言われて、甘えるような言葉使いが勝手に口に出てくる。そうでもして意識していないと闇雲に求めてしまいそうになっていた。
 出させて欲しいと言いたくなる。
 だが物理的ではなく、憂自身で我慢するのは難しい。だがその言葉すら今の憂には言えない。女性は射精しないから、出さないから。
「ひゃんっ!」
 先端を擦られるたびにびりびりと全身に走る衝動に泣き声を上げた。ぐっと長兄の腹に頭を押しつけて耐えるが、そんなことはなんの足しにもならなかった。
「やあっ、触ったら、ああっ!! ひっ、いいっ! そこ、駄目っ、達くぅぅっ!」
 アナルに追加された玉が先に入っていた玉を押し上げた。
 次兄が与える執拗な刺激にもたまらなかった。
 憂はとうとう我慢の限界だとばかりに腰をふりたくり、突き上げた。
「おっと」
 勢いのままに振り払われた次兄の手が万歳のように上がる。
「あーあ」
 と、末弟が下から覗き込みながら呆れたように呟いた。
「おやおや、何やら生臭い男の匂いがするね」
 長兄が、硬直して震える憂の頭を掴んで上げされた。
「女の子になることもできないとね」
「うん、こんなものを出すのは男でしかないな」
 彼の指先を汚すそれに、長兄は視線で次兄を促した。
「はい、関根さんだよ」
 袂から取り出した携帯はすでにつながってると長兄に渡される。
「ああ、関根さん、実は憂のことで」
 髪から手を離されて、その場に蹲る憂の耳に、関根を叱責する男の言葉が入ってきた。
 自身の精液の中に膝をつき、憂は手をついてすすり泣いた。違うのにと言っても聞いてはもらえない。すべてが決定事項の中に動いていて、憂がどんなに抗ってもどうしようもないのだ。
 それはいつものことだけど。
「わかりました、ではまた」
 長兄の挨拶で電話は切れる。
「関根氏は今夜のおわびにと、あさっての夜までデートをしても良いと言ってきた」
「ヒュ――ッ」
 甲高い口笛の音が闇夜に響く。
「だったら最後には三輪差しでフィニッシュとかは?」
「ひっ!」
 次兄の言葉に、恐怖の声を上げる。二輪差しは経験があるが、それでもたいそうつらかった。まだ彼らのものを見ていないが体格からして普通のサイズとは思えない。
「それをやったらさすがに壊れるだろう。だがそうだな、時間が増えた分できることは増えたが……ならば」
 半裸で地面に尻を突き、恐怖に震えながら見上げる憂に、三人の男は楽しげに口元を緩める。
 そんな憂の傍らは巾着袋から零れ落ちたカウンターが1205という数字を映しだしていた。



「いい格好だ」
 水着を身に着けさせられた憂は、同じく水着姿の三人に連れられて彼らのプライベートビーチへと下りていた。
 そんな彼らのサングラス越しのまなざしに晒される身体を、憂は隠すこともできない。うつむき背を丸め気味にして少しでも肌を隠そうとするばかりだ。
 髪は昨日と同じウィッグで、来ているのは女性用マイクロビキニ、というよりほぼ紐だった。
 股間と胸先の部分だけ小さな布があるタイプでそれぞれが細い紐でつながっている。隠すこともできずにはみ出ている勃起を覆う三角布の角から伸びた紐が胸に伸び、乳首をかろうじて覆い隠す程度の布に広がり、そこから肩を通って尻の狭間で一つに寄り合わされているだけの代物。
 股間の布は勃起したものを隠すというよりかは陰嚢を支えているようなもので、平らな胸は緩んですぐにずれる。へたに隠そうとしているせいで、よけいに厭らしく、卑猥に見える代物だった。
 その格好で、誰もいないといえ昼日中の砂浜に出された憂は、羞恥に全身を染め、明るい日射しの中で立ち尽くしていた。
 遅くまで嬲られた身体はまだ回復しておらず、それどころかいまだくすぶる熱に煽られている。そのせいで覗く勃起の先端はひくひくと喘ぐように開き、ねっとりとした液体でその茎をしとどに濡らしていた。
 何度も射精はしたが、それだけでは萎えないのが淫魔の勃起だ。快感を与えられればすぐにそれは復活し、新たな欲を欲する淫らな身体。厭らしいと蔑まれるしかない身体を晒し、男たちの目を楽しませるのも仕事のうち。
 乳首も昨夜の名残の玩具が付いたままで、細やかな振動が神経を介して全身に伝わっていた。
「なあ、昨日はどれが一番楽しかった? 帰ったらまたやってもいいな」
 一晩経てば男たちの言葉がずいぶんとなれなれしく、乱暴になっていた。これもいつものことだ。
 末弟の言葉に、憂は小さく首を横に振った。どれがいいかなんて答えられるわけがない。しいて言えば全部嫌だ。
 それこそあの射的なんて、と下唇をかんで、辛い記憶を封じ込めようとするけれど。
「俺はあれが良かったな、射的」
 末弟が楽しげにそう告げる。
「おもしろいぐらい飛ぶんだよな、こいつのザーメンって」
「確かに。量が多いのだろうな」
 長兄がそれに乗り、楽しげに昨夜の映像が収められたスマフォを触った。そこから漏れる悲鳴のような嬌声は憂のものだった。


 射的の屋台。
 その台座の上で憂は激しく突き上げられていた。
「ひんっ、ああっ、きつっ、はやぃぃぃっ、ひぎぃぃっ、ふぁぁっ!!」
 突き上げられるたびに憂の身体が激しく揺れて、ぶちゅぶちゅと先走りが溢れた。
「ほら、ちゃんと狙えよ、外れたら、容赦しない、からなっ!」
 憂を深く穿つのは末弟だ。
 手を屋台の屋根から伸びる紐で縛り、足はがに股で腰を下ろして尻を後ろに突き出し、その程よい高さの尻を貫き刺激しているのだ。
 射精はするなと言っていた三人だが、ここの屋台だけは別物だとばかりに、みんなが躍起になって射精をさせようとした。
 なぜなら射的の玉は憂の精液だからだ。
 刺激し、先にある四角い黒い箱にかかったらオッケーという仕組みだが、そのための刺激は男たちが行う仕組みとなっていたのだ。
 それぞれ一回ずつ後ろから腰を抱えるようにして自らをそれで貫いた。不自然な姿勢の身体は激しく揺れて、勃起したそれも右に左に、上に下にと激しく動く。
 性感帯を中から激しく責め立てられ、先端からは粘液が糸を引いて辺りに飛び散っていた。
「あ、ぁぁっ、ひっ、ぐっ、待ってっ、ひゃんっ!」
 憂のことを考えない抽挿に息も絶え絶えに制止する。だが彼らの誰一人として止まってはくれなくて、敏感な身体は頂点へとひた走った。
「あ、ぁぁっ、イク、イキますっ!」
「おお、よし発射!」
 許可を受けてからの射精のみが認められるという酷な条件を、守れたのは奇跡に近い。それでもなんとか三人の遊戯は終わり、結果として的に当たったのは末弟だけだった。
 赤いリボンが巻かれた黒い四角い箱には白い液体が点々と飛び散り、その結果をはっきりと映していた。
「さて、何が入ってるのかな?」
 悔しそうではあるが、苦笑も浮かべている兄たちの視線を受けながら箱の中身を広げた末弟は、それを取り出しながらにやりと嗤った。
「貧乳な憂にはお似合いだ」
 その手のひらにあったのは、乳首を挟んで取り付けるタイプのバイブだ。無線式で、別個にコントローラーが付いている。憂の小さな乳首にも合うそれは、きついバネで締め付けられ、敏感な乳首をいじめ抜く代物だと、経験のある憂は慌てて逃げようとした。
 だが三回連続の射精のせいだけでなく憂の動きは緩慢で逃げられるものではない。
「ひんっ、ぎゃっ!」
 悲鳴とともに付けられたそれは、すぐに動かされた。
「ひうっ、うぅ――っ!」
 びりびりと触れていなくてもその強さがわかる。震動が空気をも震わせているのだ。
「あぅ――っ、ひゅぅっ」
 目を見開いた憂が自らの胸を抱え込むようにして蹲った。
「ずいぶんとイイらしい」
 動けない姿を見る三人の笑みは深くなるばかりだった。
「よし次だ」
 引きずられるようにして運ばれたころには、すでに帯すらも解けて全裸だった。
 そんな姿で憂は地面に敷かれた布の上にあるさまざまな形の蛍光色を発するおもちゃを見せられる。
「どれがいいかい、先ほど兄さんに買ってもらったのは足首に着けているよね。今度は私が買ってあげるからね」
 と言いながらも、欲望を隠しもしない次兄が取ったのは、足首どころか手首も入らないサイズのものだ。
「これがいいね」
 なんと言われても乳首からの刺激に青色吐息の憂には答えようがない。その身体が仰向けに転がされて、目の前でパキンと棒の中が折られる音がした。
「かわいいピンク色だ。憂ちゃんによく似合う」
 取り付けられたのは、いまだ緩く勃起したままの憂の陰茎の根元だった。
 精液と粘液にまみれたそれの根元に一つ。少し大きめのものが同様に準備されて、陰嚢の下にも一つ。手首にも一つ。そしてとても小さな、根付けサイズのものが乳首のバイブにも引っかけられた。
「ふふ、かわいいよ。なあ、この提灯の灯り、消せるかな?」
「ああ、ちょい待ってな」
 次兄の要望に末弟が動く。ほどなく灯りが消されて、一気に暗くなった世界に、ぼんやりと蛍光リングの灯りが点る。
 まるでそこに蛍でもいるかのように浮かび上がるのは憂の性器だ。
「かわいいよ、憂ちゃん、すてきだ」
 うっとりと宣う次兄を見上げながら、憂はなんとか自身を取り戻して口を開いた。
「あ、りがと……ございます」
 何かもらったら必ず礼を。
 忘れてはいけないそれを思い出し、憂は快感に疼く身体を起こして頭を下げた。
「ご主人さま」
「ああ、違うよ、私のことは旦那さまと読んで欲しいな。かわいい憂ちゃんの旦那さま」
 それと主人と呼ぶのと何が違うのかと快感に蕩けた頭が一瞬惑う。だがすぐに憂は、言われるがままに「旦那さま」と呼び直した。
「旦那さま、ありがとうございます」
 その言葉に、次兄はずいぶんと満足そうに頷いた。


「確か次は飴細工のお店で買い物をしたんだがな」
「これだね。だがさすがにこれは俺も作れないな」
 そう言った末弟が取ったのは、熱を孕んでとろっとした飴が入った鍋で傾ければ中でゆっくりと液面が動いていた。
「ふーん、熱いかと思ったらあんま熱くない。ああ、これなら」
「何をするんだい?」
「こうやって」
「……っ…… ぎゃっ!! ああっ、熱っ、熱いっ」
「嘘つけ、そんなに熱くねえよ」
「そうだね、火傷はしないんじゃないかな……ちょっと赤くはなるかもだけど」
 たらりと糸を引いて落ちていく黄金色をした飴の先は、バイブに震える小さな粒だった。赤みを帯びたそれにとろりとした液体が絡み、蛍光ピンクと合わせて不可思議な色合いを放つ。
 身悶える憂を次兄が押さえつけ、末弟の手により黄金色に彩られていく憂は、ひいひいと喘ぎ、熱いそれから逃れようとしていた。
 確かに火傷するほどはないだろう。とろけた飴にしては温度は低い。
 だが粘り貼り付くそれがもたらす熱はいつまでも続き、じんじんと肌を焼くような感覚がいつまでも残る。
 小鍋にあった量はそれほどではなかったが、それでも薄く細く線を引いて、飴は憂のあちらこちらに絡みついた。
「飴かあ、こういう飴って子どものころ以来だな」
「普段あんま食べたいと思わないのに、ドラゴンとかすっげえ型のやつは買いたくてしようがなかったな」
「ああ、おまえは一番値が張るやつばっかり欲しがって、母さんたちを困らせていた」
 そんな憂の上で交わされる会話はずいぶんと和やかだったのだが。
「ひうっ!」
「美味しいな」
 次兄がぶるぶると震える乳首へとその肉厚の下を押しつけてきたのだ。
 下から上へ、飴ごと乳首を舐め上げ、その味を堪能している。小さな赤い乳首は、バイブのきつい締め付けに充血していたところにさらに刺激を受けて、憂はたまらず悲鳴を上げた。
「や、あぁぁっ、だめぇっ、やめっ、ああっ」
「うわあ、かわいい声を出して、そっか、そんなに飴が好きなんだな」
「なんかずいぶんと美味そうに見える。俺も舐めようっと」
 うっとりと次兄がほかのところにも舌をはわせれば、末弟も陰茎近くの飴を舐め始めた。それだけでなく、飴がかかっていないところまで舐め上げて、憂は何度も嬌声を上げていた。
「どれ、私も」
 さらに長兄まで加われば、憂はもうたまらない。
「だめ、イクッ、ううっ、ひぃぃっ!!」
 堪えきれずに放出した精液が、飴の入っていた小鍋まで飛んだ。だがそれでも射的に使ったときのような勢いはない。
 陰茎や陰嚢に嵌められたリングが射精を封じる働きをしているのだ。
 ひいひいと完全に達けない苦しみに、憂の頬を涙が覆う。だがそれでも男たちは止まらずに、最後の最後まで飴を舐め続け、その間中憂は身悶えながら何度も空達きを繰り返した。


 甘い匂いをさせながら、息も絶え絶えの身体が長兄によって引き起こされた。
 地面を這い、泥や枯れ葉がついた身体は一見するとボロボロだ。だがその肌は欲に煽られるたびにほのかに潤い、艶めかしく、卑猥な臭いを放っていた。
「私たちばかりが食べていては腹が減ったろう。さあ、これでも食べなさい」
 そう言って差し出された綿菓子に、憂はただぼんやりと視線を走らせ、誘われるがままに口を開いた。
 ぺろりと舐めれば、昔懐かしい味が口の中に広がった。疲労を癒やす甘い味に、憂はただひたすら舐め続けている。
 ぺろっと舐める先で、ふわりと特有の臭いがした。
 とても嗅ぎ慣れたその臭いに憂の舌が止まる。見上げる先で、長兄が楽しそうに憂を見つめていた。
「うまいだろう。全部食べたら憂の好きなことをしてやろう」
 男の股間をふわふわと彩る綿菓子のほのかなピンク色が目の前を踊った。
 表情を無くした憂は、それでも言われるがままにその綿菓子へと舌を這わせる。その先にある男の肉へと舌が触れても止まることはなく。
 ぺろりと陰毛に絡む最後の一欠片を口にした優に長兄は微笑むと、いきなり奥深くに自信のペニスを突き出した。
「ぐうっ!」
 無様な呻き声が出たのは一瞬で、喉の奥まで塞がれて目の色を白黒させて足掻いた。だが強い力で頭を掴まれ、道具のように揺すられる。
「ごあ゛――っ、がっ」
 それこそ窒息してしまう恐怖すら襲うほどに息が塞がれ、予想外に太い男のものが喉の奥を犯す。
 気がつけば意識すら朦朧としたそのとき、不意に喉の奥に熱い液体がぶつけられた。
「ごぼっも、げほっ、がっ!」
 長兄の身体に縋り付きながらもずるずると身体がずり落ちた。
 喉の刺激は容易くは取れず、激しく咳き込みを繰り返す。
 ぜいぜいと肩で息をしている憂の身体を、末弟がかるがると抱き上げた。
「や……もう……無理……」
 他の二人にもされるのかと身を竦めた憂だったが。
「さあ、楽しい時間の始まりだ」
「もっと堪能したかったんだが、やっぱデートよりその先がしたいんだよな」
 ようやく本番だと、三人の男たちの楽しい声が重なる。
 呆然としている間に再度鳥居をくぐった憂は、見覚えのない別荘のようなログハウスが現れたのに瞬いた。
「ようこそ憂ちゃん、俺たちの別荘へ」
 それはまさしく男たちの別荘だったようで。
 広大な私有地に建てられた海辺の別荘からは、一晩中、波の音に負けじとばかりに艶やかな嬌声が響き続けていた。


 そんな夜が過ぎ去った今、男たちが満足するようにと身体で奉仕した憂は、引き続きデートだと連れ回されている。
「さあ、泳ごうか」
 不意に腕を引っ張られ、走った快感にびくびくと痙攣しその場に蹲った。
「あ、あぁ――っ」
 砂に手を突いて突き出された尻の撚った細い紐を押しのけて、ぼろっと玉が一つ零れ出てきた。
「おいおい、せっかく銜えているもの出すなよな」
「ぎぃっ!! ぎああ゛あぁっ!!」
 末弟が足先でその玉をぐっと押し込んだ。ぱたんと前倒しになった身体を次兄が押さえ込む。
「何喜んでんだよ。続きは海で遊んだらって言ったろ。せっかく十一個もある体位の人形、まだまだ遊べてないから楽しみなのはわかるがけどよ」
「海で遊んだ後は花火大会に行く予定なんだからね。せっかく憂ちゃんのために用意したピンクのかわいいミニのキャミドレス、絶対に似合うと思うんだよね」
「ふむ、憂はずいぶんと我慢が利かないらしい。朝までやってまだ欲情しているのだからな。だからまずは海の中で駅弁スタイルで犯してやらないか。そうすれば花火の間ぐらい少しは我慢ができるだろう。ほらまた出てくる。しっかりと銜えておかないと、外してやらないぞ」
 次々とかけられた三人からの言葉に憂は涙を流しながら頷いた。


【了】






そしてその後はこんな感じ。

 キャミドレスは太腿までの淡いピンク色で、下着の線が出たらかわいくないという次兄の一言で下着はない。
 長い足は素足で、サンダル履きだ。
 どう見ても男の身体だと思うのに、誰も不思議に思わないのは鬼の力が働いているせいだろうが、それがわかっていても憂は人の目が気になってしようがなかった。
 だからできるだけ三人から離れないようにとしていたのに。
 会場に入ってすぐ、気がつけば憂は見知らぬ男たちに囲まれて人混みを連れ出されていた。

 
花火会場にて
次兄「あれえ、憂ちゃんいないね、どこに行ったかなあ」
長兄「ずいぶんと混んでいるからな。しょうがない、関根氏に連絡して。
   …………………………。
   居場所がわかったらしいが、すぐには連れて行けないと。三時間後に別荘に連れて行くと言ってきた。おわびに六時間延長するらしい。それと今の憂の詳細はネットで確認しろって」
末弟「ああ、憂チャンネルね。なら早く帰って次の遊びの準備でもしようぜ。三時間分が倍になるなんてお得もいいところだし。それまで酒でも飲みながら憂チャンネルを楽しもう」


近くの神社の裏山にて
痴漢A「へえ、女の子かと思ったらかわいいもん付けてんじゃねえか」
痴漢B「げっ、男かよ。でもこいついい臭いさせてるなー、なんかムラムラしてくる」
痴漢C「俺、こいつなら犯れるぜ。すげえうまそうー、食べてぇ」
憂「い、いやだっ、離せっ、戻らないと、早く戻らないと――、ああっ、やああぁっ!!」

鬼の館の一つにて
関根「あれだけあのお客さまの不興を買わないようにと言っておいたのに、逃げるとは、なんともはや役立たずなことだ。仕方ない、痴漢に犯されるなど自業自得。たっぷりと犯され尽くされたら別荘に送り届けるとして、お客さまにはすてきな夢を特別プレゼントするとしよう。準備しておくように」
科学者「ネット回線を通じてお客さまの夢に干渉する準備ができました。深層心理を探ったところ、望みは女となった憂を孕ますほどに犯し尽くしたうえで、妊娠した状態で犯すことでございます」
関根「それが彼らの欲望か。だてに女の格好にこだわったわけではなかったということだな……なるほど、そのコンセプトもおもしろい。いつか母体としても提供するか」
科学者「我らは苗床に子を孕ませる故に、それは可能かと。人の子を着床させる研究が必要ですが」
関根「淫魔は人より強いし、柔軟性が高い。大丈夫だろうよ。さて返すときには滋養強壮剤を仕込んで」
 ごそごそと大型スーツケースを引っ張り出して大量の中身を確認して。
関根「こちらの玩具を持たせて勘弁していただこうか」


近くの神社の裏山にて、二時間後。
憂「ああ、すごぃ……ああ、いっぱい、いっぱい入ってくるぅっ! ひいいっ、ああっイイっ、イイッ!!」
痴漢A「すげぇ、いくらでやりてぇ、なんだこれ。ザーメンが吸い取られるみてぇ」
痴漢B「男なのに、なんでこんなにいいんだ。女なんかめじゃねえっ」
痴漢C「かわいい、持って帰りたい。監禁して全部自分のものにしたい……」


花火大会から帰宅後スクリーンの前で
次兄「かわいい憂ちゃんがいっぱい男の子に犯され泣いてる。かわいそうだけど、やっぱり憂ちゃんは何をしていてもかわいいね。うん、憂ちゃんは犯されているときが一番かわいい。ねえ、憂ちゃん、孕まないかなあ私たちの子。子どもを作って欲しいなあ」
長兄「関根氏から、今夜の失態分もう一日延ばすと。仕事はフォローしてくれるらしいから、ゆっくりと遊べるぞ。そうだな、憂が俺たちの子を孕んでくれるとうれしい。大きな腹で喘ぐ姿も見たいとは思うな」
末弟「ずっぽりとまんこに銜えて、腹いっぱいザーメン飲んで、ああすごい。かわいいな、憂は。やっぱ俺の子、孕んで欲しいぜ……」


鬼の館の一つにて
関根「あああの痴漢どもも使えそうだ、捕らえておけ。それとこんな不手際を起こした憂の躾は一回ではすまされないな。今回のマイナス分はリセット、さらに百回ほど追加しよう。となれば1345回か。今度この躾をお客さまにやってもらうか……となると相手は……」
 スクリーンの中でスクロールしていく顧客名簿の一点で、関根は操るマウスから手を離したが。
 そこには、見るからに屈強な兵士の一団が映っていた。

おまけ 終わり