王様と妾姫

王様と妾姫

「おうさまとしょうき」
王×妾 執事視点  ファンタジー系、強要、射精制限、束縛

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「神に愛された香の王(かのおう)」と世界に名を轟かせている我らが王がおわすこの国は、王が治める王都である直轄領と忠誠を誓った48人の優秀な知事が治める48の自治州で成り立っております。
 知事は王と中央議会の任命制で有り、公明正大に統治が出来なければ、そっこくその地位を追われます故に、皆が誠心誠意務めておると聞いております。
 国の民は大半が祖を同じくする香族でございますが、北の霊峰には芳族が住んでおり、彼らと香族の王家は過去幾度か婚姻を行うほどに親密な関係なのでございます。
 実は、この芳族は生まれつき魔術を使うことは香の国のものなら誰でも知っておりまして、そして王家の者もまた、その高貴な血の混じりのせいか、類い希な才を持つ者が多く生まれております。
 そのため、香の国は神に愛されし国と他国から羨まれるほどに、潤い、賑わっている次第で、特に現在の王の治世は特に豊かで、黄金の国、太陽の国と、周辺各国から様々な呼称で呼ばれるほどです。
 そのような国を治める香の王は毎日がたいそうお忙しく、城で早朝から夜遅くまで政務に尽くしておられます。
 香の王は御年35歳で、見る者を惹き付ける威風堂々とした容姿と、それに見合った優れた才をお持ちの闊達な御方でございます。
 熟練の匠による金糸のような髪は、褐色の肌を持つ勇猛果敢な剣士である王によくお似合いで、海よりも深い紺碧の瞳はその深遠なる才を見せており、実際に大陸随一の賢者が王の才に舌を巻き、自ら膝を付いたほどでこざいます。
 このような御方でございますから、幼少のみぎりから名だたる国からの縁談が持ちこまれておりましたが、陛下と幼なじみでおられます伯爵家の姫君を迎えられ、今は3人の王子が誕生して健やかにお育ちでございます。また、愛妾にも姫君がお生まれになっており、この四人のお子様方もみな賢くお優しく、またとても仲良く香の国のよき未来を暗示しているともっぱらの評判なのです。


 しかしながら。


 香の王は、その公明正大な統治と有言実行の行動力に家臣や民に慕われ、まさに天より二物も三物も与えられた高貴なる存在ではございますが。
 賞賛しかない多くの素晴らしい利点をお持ちではありますが、一つだけ非常に大きな問題をその身に孕んでおられるのでございます。
 そのことを知っているのは、身近で仕えております数名の家臣と専属の召使い達のみ。
 それ以外には頑なに秘密にされたそれは、王家に属する芳族の力により守られており、王の執事を務めまする私も例外ではないのでございます。
 その力により、もし迂闊に秘密を口にしようとすれば私は言葉を失うでしょう。また、それを書き記そうとしても、手が動かなくなってしまうのでございます。
 その秘密を王自身もたいそう気をつけておられ、普段は決して面に出すことはございません。
 王がそれを解放するのは、王の個人的な空間である城のもっとも奥の自室のみでございます。
 王専用の居住空間は貴族の屋敷一件分くらいに大きなもので、その中であれば王がどんな態度を取ろうと漏れる事はありません。
 我々も、そのためならどんな労苦も惜しみません。
 その場所があるからこそがんばれるのだ──と王が苦笑を浮かべて零されたその苦痛を思えば、私ども臣下一同、どんなことでも対応いたす所存でございます。



「ただいま帰ったよ」
 広い王の部屋には、大きな天蓋と薄絹の垂れ幕が周囲を覆っている場所がございます。
 陛下は、自室にお戻りになると、いつも一番にその中に向かってにこやかに声をかけられます。
 すると。
「う、う……」
「良い子だったかい?」
 小さな、獣の唸り声のような音が漏れ聞こえ、王はその応えに嬉しそうにお言葉を続けられました。
 言葉少なに今日の出来事を語りかけながら簡易な部屋着に着替えられた王は、ゆっくりと垂れ幕にお手をおかけになり、その奥に蠢く気配を感じながら持ち上げになられました。
 垂れ幕を上げれば、視界に入るのは特別に据え付けました金属製の棒を組み合わせてできた個室でございます。
 幅と奥行きと高さは十分な広さがあります。
 ええ、私の寝室などすっぽりと入る大きさがございます。ただ、壁になる部分が10センチほどの間隔で金属の棒が並んでいるために、中がとてもよく見通すことができる、という部屋が他とは違うところでございましょうか。
 出入りのための扉は一カ所のみで、不審者の侵入防止のために、鋼の錠前で鍵がかけらています。
 その中を覗き込んだ陛下は、とたんにその秀麗な面を破顔され、ずいぶんと愉しそうにお声をお掛けになられました。
「おやおや、今日も……」
 その声音に含まれた揶揄に、愚かにも約束を違えた御方もお気づきになられたのでしょう。びくりと震えておられます。
 けれどすぐに小さく呻いて、色を失った顔を上げて王を見上げてこられました。
「我慢できたら、今日は休みだ、と言っておいただろう?」
 声音は優しいですが、その言葉は王たる絶対者の有無を言わせぬ力が宿っておいでです。
「さあ、出ておいで。今日も私と付き合ってもらうからね」
 その言葉にフルフルと首をお振りになられた御方は、それでもゆっくりとふらつくおみ足でお立ちになり、扉へと近づいてこられました。
 その身に纏うのは、薄い絹の一枚の布のみで、大半の素肌が露わになっております。
 王のみがお持ちの鍵で解錠された扉が重々しく開かれ、扉から出る間に、それがはらりと床に舞い落ちました。
 それは、王によりその自分の部屋以外では一切衣服を身に纏うことが許されていないのを、その身をもってご存じだからです。
 この御方はしなやかな体つきをお持ちの男でございまして、先だって20才を迎えたばかりと聞いております。
「さあ、行こうか」
 王により誘われる先は、王のためだけにしつらえられた御遊技室で、これから王はその御方とともに数時間にわたってお遊びになられるのです。
 実はこの御方こそ、今現在王のもっともお気に入りの存在なのでございます。


 さて、この御方でございますが、実は48人の知事がそれぞれ一人ずつ献上した48人の妾姫の一人なのでございます。
 ああ、香の国では、男であろうと女であろうと、王の褥に入った者は皆妾姫と呼ばれているのですが、その妾姫は、現在も城内におられますのは10人、と記憶しております。
 そのうち、先ほどご説明しました姫のご生母様となられた48人のうち唯一の女性である御方は愛妾となられ、今は後宮で姫君と共にお暮らしです。
 この国では、王の子を成した妾姫は愛妾という地位を得、他の妾姫とは別格の扱いになるのでございます。
 そうでなければ、妾姫のまま——陛下の性欲解消相手のまま——と言ったら身も蓋もありませんが、まあ、似たようなものとして扱われる次第でございます。
 隣室である御遊戯室に移られた王は、妾姫の腰を抱き寄せられました。とたんに、妾姫も床に崩れ落ちて。
「ひぁぁっ」
 と、あられな悲鳴を上げられ、びくびくっと幾度も痙攣されています。
「これはこれは……よっぽど私の言うことを聞くのが嫌らしい」
 腰に手をあて、呆れた風で見下ろす香の王の足下に、あろうことか、白いねっとりとした液体がいくつもぷるぷると震えていました。
 なんと、王のお許しも受けずに粗相をされたようです。
 妾姫の股間で震えている陰茎はまだ出し切れなかったようで、その桃色の割れ目からさらにぷつりと浮き出、流れ落ちようともしています。
「あ、うっ……」
 ガクガクと寒さに震えるように小刻みに震える妾姫の瞳が一気に潤み、その眦から透明な滴が幾筋も流れ落ちました。
 顎を伝い、喉を流れ落ちた先にある乳首に溜まり。
 美しい細工で陛下の御紋が刻まれた金環を濡らして。それはこの御方が香の王の妾姫であることを示す指輪でございました。

 48人の妾姫のうち1人をのぞいて男であるのは、たいそう精力旺盛な王のお情けをいただくと高確率で妊娠してしまうからであります。
 しかも、王御自身の好みは男に向いておりまして、特に若々しい見事な肉体が苦痛にすら喘いで淫らに狂う様をご覧になるのがたいそうお好きなのでございます。また、ある妾姫は、恐れ多くも王のことを、『悪魔並みの精力を持っている』と宣いましたが——実のところ、それを否定することはできないのです。
 悪魔──とは、この国での伝承にある、女を淫乱化し享楽を追い求め、数日間交わり続けることが可能という淫魔のことであります。
 それに喩えられるほどに、確かに王の精力は尽きることが無いのです。そのために、最初の妾姫が輿入れしてから5年の間に47人の男のすでに46人が淫乱化し、人としての理性を失ってしまいました。
 さらにその中で未だに生きているのはここにおられる御方も含めて9人だけ。
 この御方以外の正気を保てなかった8人は、今は城の地下牢にいる男どもを相手にして暮らしております。
 この性癖こそが、香の王の唯一の欠点で、国としては隠し通さなければならない事柄なのです。
 しかも性欲を解放しませんと、感情が暴走し、何を口走るか判らないようになってしまうのです。
 その欠点以外はたいそう優れた王でありますから、我らは王のために各州から47人もの男を献上させたのでございます。


 その最後の一人の妾姫は、48番目に入りましたので、陛下により48と呼ばれております。ですので私も48様と呼ばさせていただいておりますが。
 今のところ47人の中で一番気に入られているようでございます。
 理性を保っているのは加虐趣味の王にしては、それほど身体を痛めつけたりしていないせいでもあるでしょう。
 前にたいそう屈強な丈夫な男が伽を勤めましたが、その肉体美が淫らになる様が見たいと、一晩中玩具で尻穴をいたぶられながら、鞭打たれる日々を一ヶ月近く過ごして。
 それが飽きてから陛下ご自身で初めて犯し、その日から3ヶ月にわたって犯しながら一針一針色を皮下にいれられ続けて。
 真紅の大輪が咲く花を陽の光に晒しながら、全身をひどく敏感にする麻薬を服薬させられつつ、玩具で、あるいは陛下ご自身で貫かれ続けること1ヶ月で。
 壊れた今は、牢名主の逸物を毎日銜えて悦んでいるという話でございます。
 短ければ一ヶ月も保たなかった今までの妾姫と比べれば、この48様の扱いの違いは歴然としております。
 そのせいか、まだまだ正気でありますし、何より十分健康体でありました。
 そんな48様と香の王は、一つ約束をしていました。
『日が高い間に一回も射精しなければ、その夜は休みとする』と。
 そのため、48様は個室の中で、ひたすら大人しくしているのではありますが。
 虐めるのが大好きな香の王が、何もせずに我慢させる訳がありません。
 芳族に特別に魔力を付与させた胸の金環は、不規則に振動して赤く熟した肉の粒のその芯まで細かな刺激を与えますし、アナルに埋め込まれた王のそれに似せた楔は、内臓が蠢く拍子に、48様のもっとも感じる点を突き上げるようになっております。
 今現在は麻薬は与えておりませんが、それでも肌を磨く薬液は触感をたいそう敏感にいたしますし、飲食物も部屋に立ちこめる香も、性欲を高める効果がございます。
 まして、48様ご自身はご存じありませんが、芳族により止まること無く精液を生産する身体にされているのです。
 そんな身体ではありますが、夜に王の相手をしている時ですら射精を許されないことも多いために、たっぷりと堪った袋の中はひどく重苦しいらしく、解放しきれない衝動がいつも下腹部にわだかまっているようなのです。
 ですので、いくら我慢していても、うっかり触れただけで手が止まらなくなりますし、身動げば、アナルが突き上げられてそれだけで噴き出してしまうのですから、我慢などできるはずもありません。
 結局、王が自室に戻られるときには、お部屋の中は淫らな液があちらこちらに飛び散り、王はお楽しみを逃すことなどなく……。
 お気の毒とは思いますが、王のお気に入れになれたという僥倖ゆえのことでございますから、仕方がないことでございます。

 御遊戯室にはありとあらゆる道具がそろっておりまして、王はその日その日でいろいろな遊びをなさいます。
「ところで48よ、おまえは性技48手というものを知っているか?」
「あっ、……ひっ」
 48様の手を掴み、王は彼をベッドに突き飛ばしました。
 喘ぐことと淫らな言葉以外に言葉を封じ込められた48様は、それだけでも達きそうになる衝動をぐっと息を飲んで堪え、泣き濡れた瞳に、訳の判らぬ問いかけをする王を見上げます。
 ええ、私もそのようなことは過分に存じ上げておらず、何事かと首をかしげて王のお言葉をお待ちしました。
「知らぬのも道理か」
 くすくすと愉しそうに嗤う王ほど怖いものは無い48様は、ブルブルと震えながら蒼白になっております。
「性技48手とは、性行為中のいろいろな体位のことよ。解説本もあるというので、取り寄せて読んだが……なかなかにおもしろくてな、試してみようと思ったのだ」
 その手が、横倒しの48様の足首を掴まれて。
 逃げようと藻掻いても、香の王の力は強く叶うわけがございません。
 軽い身体はひょいっと上向かされて、ベッドの上に正座をした王の膝の上に、股を開いて、腰を挟むようにして尻を乗せられていました。
 そのまま膝を折られ、その膝を王の後方へと引っ張られまして。
「これは邪魔よのお」
「ひぃぃぃっ」
 アナルに入っていた玩具を勢いよく引き抜かれて。
 敏感な肉ごと引きずり出された衝動に背を仰け反らせて、淫らに絶頂を迎えて痙攣する身体を王は膝の上にどすんとお落としなったその瞬間。
「ひ、やぁぁぁぁっ!!」
 再び迸った絶叫とともに、48様の陰茎からびゅーぅぅっと紐のように細く、長く、白い液が噴き出したのです。
 それは、恐れ多くも王のご衣装を汚し、絹の寝具に染みを作り続けました。
「おお、塞ぐのを忘れておった。おいっ」
 王が苦笑をお零しになり、召使いをお呼びになる間、48様の腰はガクガクと痙攣し、その視線は虚ろに中空を彷徨っております。
 太股を腰の高さより少し上にあげられますと、大きく割り開いた股間の奥で、にちりと、湿った音が響きます。
 あれは、王の逞しく素晴らしい長さと固さを持つ御身を頂いた時の音だと、遅ればせながら48様の恥ずかしい粗相の原因に気づいた次第です。
「さっさとつけろ」
 呼ばれた召使いが大急ぎで48様の陰茎と袋を、特別な装飾品で縛り上げます。それも芳族が仕上げた射精を完全に封ずる道具で、それを付けられている間はどんなに感じても決して射精することは叶わないというものです。
 過去、香の王のお相手をされた妾姫達が、もっとも泣き喚いて嫌がった飾りですが、48様もこれが嫌いなようで、イヤイヤと暴れますけれど、召使いは慣れた手つきであっという間に取り付けてしまいました。


 ドンドンと、ベッドの上で王が正座のままに跳ねます。
 そのたびに、48様の身体も跳ねて、勢いよく王の膝の上に落ちるのです。
「ああっ、奥があっ、くるしっ……ぁぁっ、ひぃぃぃっ」
 王の長大な御身を頂き、激しく奥まで突き上げられて。
 48様の悦びの声が、広い部屋の隅々まで響きます。
 もっとも、初めての時は全部入りきらないほどに狭く小さかった48様の内部は、今やその長大な御身をすっかり飲み込めるほどに馴染んでおります。
 身体が踊るたびに、王の妾姫である証の金環が胸の上で踊っており、きらきらと輝きました。
「いやぁぁ、おっぱぃぃ、ちぎれるうぅっ! ひあぁっ、やぁあぁ」
「千切れぬわ、はは、小気味よく踊ってキラキラと輝いておるわ」
 あの金環を得るために、数多の女性達はどんなにか王の気を惹こうと涙ぐましい努力をしているでしょう。
 けれど、今、あの金環を二つも手に入れているのが、男であると知ったら──いえ、これは決して口外してはならぬことでございます。
 まして、それがあのような浅ましくも淫らな状態で踊っているなどとは、決して。
「あ、はぁぁぁっ、奥がぁ、おっぱいがぁぁっ、、あひっぃぃっ、熱いっ、やぁぁ」
 突き上げられる度に、悲鳴が、嬌声が、そして懇願の声が聞こえます。
 何人か前の妾姫が言うには、奥の奥を突き上げられる衝撃は、あまりにも苦しく、快感どころではないと泣いておりましたが。
 確か、あの妾姫はほどなくしてひどい怪我を負い、治った後もそのまま正気を失い、今は牢の奥深くで日がな一日喘いで暮らしているとか。
 けれど、48様は嬉々として歓喜の雄叫びをを上げ続けております。
 ええ、あれが歓喜でなくて何というでしょうか。
 48様は射精はできませんが、透明な液を噴き出すことはできます。48様は感じすぎると女のように潮を吹くのです。
 その潮を汗より激しく振りまいている48様の全身は、ひどく紅潮し、堪えきれないとばかりに、自分でも腰を突き上げています。
 お優しい王がその腰をしっかりと掴んでおりますから、銜え込んだ御身が外れることは無いのでしょうが。
 それでも、あまりに暴れるのが王が業を煮やした模様で。
「乳首の金具と紐を持て」
 王の命令に、召使いの手により、金環が揺れる大きな乳首にかちりと金属の歯が食い込みました。
「痛ぁっ!! ああっ、!」
 敏感な熟した肉を摘まむ金具のバネの力はたいそう強く、人より大きな乳首が扁平になっています。
 48様の見開いた瞳が焦点を失い、口角から流れ出た唾液が糸を宙に散らしています。
 金具から伸びた紐はさっきから硬直し放しの48様の、その陰茎の先にピンと張った状態で結びつけました。
「痛ぅぅっ……ああっ……」
 先よりたくさんの涙が、こめかみを伝い、髪の中に消えていきます。
 そういえば、48様の髪も肌も、そして瞳の色もたいそう王にそっくりでございます。
 もっとも、体格も顔つきも王の方がよっぽと立派で男らしいのですが、48様はどちらかというと女性的な面持ちをしております。
 そういえば、その昔、王の最初のお気に入りであった女中にたいそう似ているような気もしますが……。
 特に目元と眉の形がそっくりで。
 まるで、垣間見てしまったあの時の光景が目の前にあるような……。
 あれは、確か20年ほど前……。
 ……。
 いえいえ、きっと気のせいでしょう。
 あの女中はその後身体を壊して実家に戻り、その後亡くなったと。
 王が残念そうに呟いたのを聞いております。
「ひっ、あっ、ぎぃぃっ」
 再び王が上下しだしたせいで、48様の声が大きくなりました。
 身体が揺れて、上半身と下半身がバラバラにベッドに落ちていく関係で、紐がビンビンと音をたてています。
 仰け反った身体に張られた二本の紐は、谷間に渡った橋を支える綱のように見えました。
 そうなると身体は橋に見えます。が、しかし、あのように揺れる橋は渡りとうございません。
 そんなふうに踊っております故に、金具が食い込んだ乳首が先より赤くなり、汗とがどことなく薄桃色に色を帯びておりまして。
 まるで色味の強い乳を溢れさせたように見えました。
 褐色の肌には目立たない色ではありますが、きらりと光るそれに王は興をそそられたようで、愉しそうに、わざと紐を引っ張ってその様をお楽しみになっております。
 48様も、嫌々と首を振ってはおられますが、実のところたいそう気持ちが良いのでございましょう。その陰茎は勃起したままで、萎えることなど知らぬように透明な滴をまき散らしております故に。
 まこと、王がお気に入りになられるのも判るような気がします。


 さて。


 そろそろ私はこのまま下がらせていただきましょう。
 王に尽くすのが我らが臣下の役目(それは当然ながら妾姫もおなじでございますが)、行為に没頭されます王に付き合うべきとは承知してはおりますが、何より王のような体力は、この老体にはございません。そのため、途中で退座することはあらかじめ王より許可をいただいています。
 この後たっぷりと遊ばれた王は御自身で寝室で休まれ、翌朝には爽快にお目覚めになります。
 そのときに、ご挨拶するのが執事たる私の役目の一つなのです。
 それに朝には、王がお目覚めになる前に動けぬほどに疲弊しきった48様を別室に連れて行き、台に固定して、芳族の力を込めた棒でその胎内を癒やさなければならないのです。
 決して壊れぬように、狂わぬようにという祈りを込めての神聖な作業です。
 それは、王の御身をかたどった棒を毎朝抜けぬように抜いては差し込みゆっくりと行き渡らせること1時間はかかる作業です。
 芳族の強い力は、48様のご健康を維持するのにかかせません。
 だからこそ王は私の退室をお認めになっておられるのですから、私は早々に休むことをためらいはしません。
 何よりも朝の48様のお世話は、決して休むわけにはいかない大事な役目と心得ております故に。
 どんなに48様が嫌がっても、私は仕事を休むことはないのです。

【了】