?交点? – 2003-03-21 – 30万記念企画 リオ×ダテの嫉妬攻め。最近機嫌が下降気味のリオの苛つき解消相手はダテであった。

 オリンポス、第11司令部ヘーイパイトス・デーミウールゴス(職人の神)所属 カベイロス工作司令艦は、もう何年もオリンポス第二艦隊であるプロノイア・アテナ(先見の女神)に派遣されていた。
 実戦活動をする工作艦は、その時によって派遣先が変わることがあるが、カベイロスはその職務上他に派遣されることはない。その艦は、あくまで第二艦隊のためにある工作艦なんのだから。

 だから、彼らの指令系統は第11司令部であると同時に、第二艦隊司令部でもある。
 そんなカベイロスを本拠地とするリオ・チームには、愁眉端麗&超絶我が儘司令官のリオ・カケイ大佐とその副官であり、第11司令部次期司令候補のトシマサ・ダテ中尉が勤務していた。
 その優秀さは誰にもひけをとらない程だというのに……彼らは、その自覚があるにも関わらず、相変わらずそれ以外のことでただひたすら忙しかった。


 ここのところ、リオの機嫌は下降気味であった。
 表面上はにこやかに、明るく回りを騒がせていたのだが、ふと気が付くと無性に苛々と何かに当たりたくなる。
 今もビルと仲良く談笑しているダテを”見た”途端に、酷く苛めたくなった。
 ダテの行動は、部屋に仕掛けた盗聴器と隠しカメラでリオがいない時でもくまなく観察できるようにしていた。それに引っかかっていたのだ。
 ダテもその存在を知っていて、最近はほとんど気にせずに過ごす。
 だからこその行動であって、普段のリオなら”さほど”は気にしない。
 だが、今回ばかり腹の内に生まれたどろどろと濁った感情を吐き出したくて仕方がなかった。
 その矛先はやはりリオにそんな感情を抱かせたダテにすべきだろう。
 勤務先の司令室に戻る通路で、手の中に入るほどの携帯モニターと耳に収めた無線式イヤホンで室内に様子を窺いながら、リオはにやりと口の端を歪めて嗤った。
「さて……どうしてやろう?」
 リオの背後にどす黒いオーラが漂っているのを、気配に敏感な一部の乗組員達が気付いて道を空ける。
 その顔は一様に引きつって、体を硬直させていた。
 その狭間を、リオは歩く。
 ダテを苛めるその手段を考えながら。

 苛める事は楽しいが、それをする相手は選ばなければならない。
 ということで、昨今のリオのお気に入りはやはりダテだった。
 生真面目な奴をからかうのは面白いし、それが自分の恋人となると他人よりはその癖をかなり把握している。つまりは、貶めやすいということだ。
 それに。
 どうも最近のダテの行動は気にかかることが多い。
 別にたいしたことはないとは思うのだが、無性に癪に触るのだ。
 今回のようにビルと会話をしていることにすら、気に障る。
 ビルは、ダテに好意を持っていてそれを公言してはばからない奴だからだ。
 だからと言って、ダテにビルと話をするなとも言えない。
 困ったことにビルは大切な仲間なのだ。彼のように、リオを受け入れて、なお、そつなく仕事をこなす人間は、オリンポス中を探してもそうはいない。
 だから、どこかに飛ばすということはできない。
 結局、苛つきは発散する場所を失って、リオらしくなくそれを持て余すことになってしまっていた。
 昨今の苛つきの原因はこれだろうと当たりをつけているのだが、さりとてこうも続くとなると考えなくてはならないな、とリオは手元を動かしながら呟いていた。
 いつも自由に飲めるようにおいてあるコーヒーセットのシュガーパックの端に小さな穴を開ける。
 器用にも1mmにも満たない穴から、さらさらと顆粒状の砂糖を時間をかけて全て取り出した。それはゴミ箱に放り込み、今度は極細の金属針をそれに差し込む。
 その針がつく注入器に入れるのは、最小単位までに細かく結晶化した塩化ナトリウム。つまり塩であって、それがシュガーパックの中を満たす。
 リオはそれを元のようにコーヒーセットの中に戻した。
 ダテは無意識とはいえ、いつもこのシュガーが並ぶケースの端から、それを取って使う。それを狙って戻したリオは、くすりと喉を震わせた。
 塩入のコーヒーを飲んだら、甘党のあいつはどんな顔をするだろう?
 考えるだけで楽しくなる。
 本来はもっと大胆な悪戯をするのが好きなのだが、そんな仕掛けはそうそうできない。
 だからと言って思いっきり暴れて発散しようにも、最近は事件らしい事件も起きていないから、リオは全く持って欲求不満の塊と化していたのだ。
 それも苛つきの原因かと、自己判断しながらリオはカメラとマイクの感度を設定していた。
『な、何っ、これっ!!』
 スクリーンに大写しされるダテの慌てふためく顔と来たら。
 司令室が爆笑に包まれ、自席で真っ赤になって俯くダテが怒りの視線をリオに向けてきた。
 それに嗤い返す。
 途端に、ダテはむすっと膨れてそっぽを向いてしまった。
 結局、あの作戦は単純だからこそものの見事に成功を収め、飲んだ途端に吹き出し、辺りをコーヒーまみれにして顔を顰めるダテの情けない顔がばっちりと写っていた。
 わははっと思いっきり笑って、だがそれを一人で楽しむのももったいないと、こうやって司令部のスクリーンで上映会をしているという訳だ。
 楽しくて面白くて、苛つきも簡単に解消したかに見えたリオだったが、憤慨しつつも落ち込んでしまったダテをビルが慰めるのを見た途端、またまた機嫌が急下降した。
 あのやろう、と睨む先でビルが気が付いてにやっと嗤う。
 それもまた悔しさを倍増するものだ。
 しかも、リオが睨んでいるというのにダテは一向に気が付かない。
 いい加減に油断するなっ!
 思わず心の中で叫んで……あれ?と訝しげに目を眇めた。
 俺は何をしている?
 もともとリオは自分のしたいことをあまり我慢しない。
 『成せばなる』
 を持論にして、できないことは何もないとばかりに突き進むのがリオだ。
 なのに、何をこんなにも躊躇っているのだろう?
 ビルが気になるなら、ぶっ飛ばせばいい。
 異動させるのは惜しい人材だが、だからと言ってしたいようにさせておく必要もない。
 ここでのボスはリオであり、ビルは筆頭幹部すらあり得ないのだ。
 そんな奴に、大事な筆頭幹部の世話をさせる必要はなく、使いっ走りにでもすればいいのだから。
 が……。
 そんな事をすると怒る奴がいて。
 そういえばと、その存在に想いがいたって、リオは大仰なため息をつくはめになった。
 それすらも悔しいことだと、苛つきを増す原因になるというのに。
「リオっ!!いい加減にしてくださいっ」
 いつまでもリピートされる映像に、とうとうダテが切れてリオを怒鳴りつけてきた。
「いいじゃねーか、おもしれーし」
 肩を竦めて返すと、ダテがますますその肌を朱に染める。
 綺麗だ、とふと思って、それがさらに紅潮した姿が脳裏に浮かんだ。
 日に焼けていない部分を目の前に惜しげもなく晒し、羞恥に紅く染めて蠢くその姿は、こんな時だというのに股間を直撃する。
 これは今日は発散しないと気がすまない、とにんまりと嗤うとダテがひくりとその頬を凍り付かせいた。
「何か……リオ、やらしー顔……」
「お前に言われたくない」
 リオ・チーム一節操のないボブに言われて、リオはさすがにむっとして睨み付けた。
「私は……今日はまだ仕事ありますから」
 なにげに予防線を張ろうとしているダテには、無駄な足掻きだと嘲って見せる。
 俺がしたいんだ。
 その思いはたとえお前にも止められない。
 手の平が吸い付くような肌だといつも感心してしまう。
 黄色みを帯びた肌を持つ人種の血を色濃くひいているダテの肌は、その人種特有のきめ細かな肌を保有していた。黒い髪もそれによく映える。
 艶やかな前髪を掻き上げて、額に口づけると、ダテがくすぐったそうに身を捩った。
 腕の中に閉じこめて、自由になんかさせてやらない。
 熱い吐息を零し、切なく震える肌を抱きしめて、その体に不似合いなほど立派な男の象徴をきつく握りしめる。
「んくっ」
 辛そうに歪める眉間に唇を寄せ、もう一つの手で背骨のくぼみを辿る。
 この腰骨と交わる辺りがダテの性感帯だと熟知しているから、その辺りをやわやわと嬲った。
「あっ……いやっ……あ……」
 体の下でびくりと震え、切ない喘ぎを零す。そんな時のダテは羞恥に目元を染めていて、その姿が酷く色っぽくリオを誘ってくれる。
 その姿はどんな高級な娼婦よりも艶めかしい。
「ダテちゃん……もっと声を出せよ」
「……っ」
 言えば逆らって口を固く閉じる。
 まだまだ理性が勝っているタデのそんな無駄な抵抗に、リオは一人ほくそ笑んでいた。
 ばかな奴ほど可愛いっていうけれど。
 自らリオの悪戯心をくすぐってくれるダテに、リオの股間はさらに元気になってしまう。
 それを押しつけてやると、ダテはひくりと体を強張らせ、その顔はさらに朱に染まる。
 怯えるような瞳は、子犬のように可愛いとさえ思い、無性にそれを壊したくて堪らなくなっていた。
 もっと艶めかしく、もっと誘うように。
 触れるだけの愛撫でも全身で悦ぶような淫猥な体にしたいと願う。
「っ……くっ……ふぅ……」
 きつく根本を握ったままに、先端をリオの体にこすりつけると、その体が跳ねる。
 声には出さないが、ダテの雄の象徴は快感を如実に現していた。感じている証拠として滲み出す先走りの液がリオの手を汚す。
「達きたいか?」
 笑って問いかければ、耳まで紅くなった顔が微かに揺れる。
 あまりに微かな動きは意味をなさないもので、耳朶を甘噛みしながらリオは再度囁いた。
「達きたいなら、きちんと返事しな?」
 ダテの閉じられていた瞼が開き、黒い瞳が横目で睨む。
 わなわなと震える唇が小さく動いているというのに、声が出てこない。
 そんな姿がリオの官能をいたく刺激して、思わず腰が勝手に動いていた。
 確かに体積を持つそれが、ダテの太ももに食い込む。
「うっ……や……」
 触れる質感に この後に控えている拭いきれない痛みを覚えて、ダテの体が逃げるように動いた。
 だが、未だリオの手の中でしっかりと握りしめられているそれのせいで、結局ダテは逃げることなどできないばかりか、余計な刺激を与えてしまった。
「ば?か」
 揶揄って、逃げようとした罰をその先端に与える。
 先端の溝から滲み出ている液をなで上げ、全体に塗り拡げる。
「んっ……くふ……」
 それだけでダテの全身が粟立って、痺れるように感じているのが判った。
 少しばかり開いていたはずの目も、また固く閉じられ、必死で堪えるようにその手でシーツを握りしめる。
 それを見遣りながら、複数の指の腹を使ってひたすらに先端を嬲った。
「あっ……ああっ……やめっ……も、もう……っ!」
 激しくした途端に、悲鳴のような声がダテの喉から吐き出された。
 握りしめていた手がリオの堰き止めている方の腕をきつく掴む。
 達きたい、と全身で言っているダテは、まだその口からは何も言っていない。
 だから、リオはその手を決して離さなかった。それどころか外れないようにと力を込めたせいで、より以上にきつく掴むはめになる。
「いったあ……やだ……リオ……リオ……もう」
 泣きが入ったダテの声は甘い媚薬のようなものだ。
 触ってもいないリオのモノが、一向に萎えない。
 それどころか限界が近づいてくるのだ。
「言えよ、どうして欲しいんだ?」
「あ……」
 限界を迎えているダテの瞳が、紅く潤んでいた。
 虚ろに開いた紅い唇から、より紅い舌がちろりと覗く。
 その舌が艶めかしく動いた。
「い……き…たい……」
 請うように手が伸びて、リオの肩に回される。
 吹き出した汗でしっとりと濡れた感触を与える手の平と腕が、リオの肌をまさぐった。
 それをぞくりと肌を震わせながら味わいつつ、リオはくすりと笑った。
「達けよ」
 言葉とともきつくしていた指の力を抜いた。
 先端を覆うようにしていた指で、屹立したそれを激しく扱く。
「あっ……やあっ……っ!!」
 一瞬にしてダテの体が激しく仰け反り、突き出された腰が激しく震える。
 硬直した体から吐き出される白い液は、幾つもの液だまりをダテの腹に形作っていた。 それは、リオの手にも、腹にも当たって流れていく。
 その部分からざわりと広がる疼きは、愛すべき相手の証を身に受けた悦びから来たものだ。
「良かったろ?」
 肩で大きく息をして力無く横たわるダテに、リオは楽しそうに話しかけた。
 ダテのなけなしのプライドがそれを揶揄と捉えるようで、ぷいっとそっぽをむいてしまう。その可愛さについ笑って、それがますますダテを怒らすのだ。
 ほんとに可愛い。
 その能力も何もかもリオよりは力は上だと思うのに、それを持て余していつも自信なさげなダテが、可愛くて堪らない。
 その自信のなさをどうにかしろと……苛つく心があるのは隠して、可愛いから苛めたいのだと決めつけて。
 可愛くて……どうしようもなくて、苛めたい。
 それは、リオにとって快感を増すためのスパイスで、次の行為へのステップとなる。
 滑らかな腰を滑らせて、内股に割り入れた手を使って、両足を開かせる。
「あっ……やだ……」
 その明確な意図に気付いて、身を捩るダテを全身を使って引き留める。
「お前だけ楽しむつもりか?」
 そう言えば、ダテが逆らえないのを知っていて。
 見開いた目がリオを捉え、諦めたのか強張らせていた体から力を抜いて、恐る恐るにリオの指を受け入れる。
 少し青ざめてしまうのは緊張のせいだろう。
 だから、リオは執拗にそこを解してやっていた。
 不自然な行為だから最低限できることはしたい。壊したいほど愛しているからと言って、実際に壊すことは論外だった。
 中で柔らかく熱い壁が指に絡みつく。
 こういう行為のためだけに開発された潤滑剤は、肉壁と入り口を適度に柔らかくする効果を持っていた。
 宇宙空間で何ヶ月過ごす必要がある隊員達の性欲は、いくら司令部が規律で制御しようとしても不可能なことだ。だったら、少しでも体に負担をかけず安全に行えるようにしたほうがいいと、そんなことで開発された品物は売店か薬局で普通に手に入れることができる。
 まさか男相手とすることがあるなどと思っても見なかったリオは、ダテとこういうことをするようになって始めてその存在を知ったのだ。
 ぐちゃりと淫猥な音を立てて拡げられるそこは、すでに数度交わったせいもあってか、だんだんと解れるのが早くなっているようだった。
「ん……あっ……はあっ……」
 ダテの零す吐息が甘い喘ぐようになっていく。
 半眼になった目がどこか虚ろで、与えられる刺激に翻弄されている事をリオに教えた。
「んあぁ……」
 3本の指をバラバラに動かすとダテの体がびくりと仰け反って、その口の端から流れのは唾液だ。
 こうなるとダテの理性は性欲に犯されてしまっていて、ただ快楽を得るために貪欲になってしまう。
 時折出てくる嫌がる言葉は、無意識のものだともう知っているリオは、ダテの欲求するままにその体を蹂躙した。
「リオぉぉぉ……」
 甘い声が、リオを呼ぶ。それがリオをさらに煽ることをダテは知らない。
 そして、その言葉の中に含まれる欲求をリオが読み間違えることはなかった。
 我慢の限界だと股間が訴えるのを、もう逆らわない。
「ああっ」
 短い悲鳴は、だがすぐに治まる。
 ぐぐっと突き進みながら押し拡げているというのに、ダテの表情には苦痛だけでないものが浮かんでいた。
 惚けた表情は、それだけでリオを煽る。
「ダテちゃん……」
 甘い呼びかけが知らずに出ていた。
 それにダテの体が反応して、きつく締め付けられる。
 その妙なる刺激に体が震えて、さらに貪りたくなる。
 こんなダテが愛おしく、誰にも渡したくなかった。
 ダテに言い寄る、ビルにも……ダテの力を探り出そうとするDr.リンドバークやリオの前にダテを蹂躙したセイレスにも……誰にも。
 気にくわない連中が頭の中に浮かび、走馬燈のように流れるのを苦々しく思っている最中、固く瞑った瞼の裏に不意に一つの顔が浮かんだ。
 子供の頃から見知った顔は、一瞬にしてリオを限界近くまで苛立たせた。
「ひっぃ」
 ついきつくダテの最奥を抉ってしまうほどに加減を忘れそうになる。
 ケインがダテに言い寄る姿は他の誰よりも腹が立った。
 感情をどこかに置き忘れて生まれたのではないかと揶揄されるほど無表情なケインの実力は、兄であるからこそよく知っている。ずっとそれを見ていたからだ。
 少なくともリオよりは頭の回転は速い。
 知の化身、アテナの名を持つ第二艦隊の次期司令官付きの副官を務めているのはだてではない。
 もしケインが人並みの感情をもって周りに愛想を振りまいたら、自分の地位など危ないという自覚はあった。
 そのケインのダテに対する思いは、リオに張り合うためだけのモノではないと、気付いている。
 先月のバレンタインデーのダテ宛の贈り物の中にケインからのものがあったのもそれを裏付ける証拠の一つだ。
 イベントというモノに一切興味を示さないケインが贈ったもの。
 それがどんな意味を持つものか、深く考えなくてもよく判る。
 それを目にした途端、怒りの余り視界が真っ赤に染まった。
『捨ててしまえ』
 思わず叫んだ言葉は、本心だ。
 灼熱の焼成炉に放り込み、炭一つ残らないほどに焼き尽くしたいと願う。
『義理ですよ?そんなものをリオは気にするんですか?』
 そう揶揄られて、リオもそれを掴みとろうとした手を宙で握りしめた。
『気にするか!』
 つい言ってしまったプライドに、唇を噛みしめる。 
 結局それは捨てられることもなくダテが持って帰ったから、どうなったのかは判らない。
 ただ、お返しをするなどとほざいた時には、止めろと強制して、それは聞いて貰えたようだが……。
「も……っと……リオぉ……」
 嫌な出来事を思い出してリオの動きがぴたりと止まっていた。それにダテが堪らないとばかりに、腰を動かす。
 甘えて子供のように強請るダテの目に、理性の欠片は残っていなかった。
 欲しいと、ただ欲望のみでリオを見遣る。
 途端にぞくりと全身が粟立った。
 普段真面目なだけにこういう時のギャップが激しい。
 震える体がいきり立ったリオのモノに伝わり、その体積を増す。
「んあぁ……リオぉ……」
 堪んねーよ、お前は。
 性欲に素直なダテに溺れてしまう。
 壊したくないけれど、やはり壊したい存在だから、もともと我慢という言葉が似合わないリオの動きが激しさを増していく。
 打ち付ける音が大きく響いて、同時にダテの喉からほとばしる嬌声も大きくなった。
「あっ……ああああっ……やっ……あ」
 意味の成さない言葉をダテが上げ続けるのを、リオは愉悦の中で聞いていた。
 ぞくぞくと迸る快感は、ダテが相手だからこそ最高のモノが得られる。
 ダテを愛している。
 それは間違いない。
 愛しているからこそ、こんなにも大事に抱きたいと思うのだ。
 ダテが、いつか自分を追い越す存在だったとしても、だがそれまでに自分に溺れさせて離れられないようにしたい。
 離したくない、離れたくない。
 そう思うほどにダテに溺れている自分を、リオは自覚していた。
 だが実のところ、何もかも自分より優れている筈のダテを犯す悦びもそこに含まれていることをリオは知っていた。
 暗い感情だと判っている。
 嫉妬という名の、リオにとっては今まで鼻先で笑い飛ばしていた感情。
 しかもそれはダテを愛していると想っている所の根っこの部分に存在する。
 それがあってこそ、ダテはリオを愛している。
 なんて……思いたくないというのに、だが、リオはそんな自分の感情をはっきりと理解していた。
 だがどんな理由があっていても、リオはダテを愛している。
 それは間違いない。
 だが時折、苛々するほどにその才能を無駄にしているダテをこうして蹂躙することを、自らを落ち着かせているのだ。
 それにダテが気付いたらどうするだろう?
「んあぁ」
「ダテちゃん……いい格好だよな……俺に突き上げられて、こんなにも垂れ流して……」
 語りかける声が届いているのかどうかも判らない。
 虚ろな瞳は、もう何も捉えていないのだから。
 愛おしいのに……。
 リオの手がダテの屹立したモノを掴む。
 手の平を濡らさなくても、それ自体がすでに濡れていて上下に扱くのを助けてくれた。
「い、いあ……オ……り……ぉぉ」
 ダテの手がきつくリオの腕を掴んだ。
 食い込む爪の痛さに顔を顰める。だがそれが気持ちいい。
「ダテちゃんよ……俺を傷つけるんなら、その見返り、貰うぞ……」
 最奥を抉って、ぐりっと回転するように腰を動かす。
「あっ!」
 そうすれば、ダテの中の肉壁が収縮してリオのモノにまとわりつく。
 排出を促すように中が動けばリオの快感もさらに増して、限界はあっという間に訪れた。
 弾ける快感は、濁流のように脊髄を駆け上がって脳髄をそれだけで侵す。
 粟立つ肌も震える体も、全てが快感で、リオを興奮させて。
「リオ……」
 涙に濡れた瞳が一瞬だけ理性を取り戻したように開かれ、リオを写した。
 ずきりと幾ばくかの痛みが胸の中に走る。
 途端に湧き起こる念を、リオは笑い飛ばした。
 愛している。
 それは間違いない、と……。
「ダテちゃん……愛している……」
 どんな想いが根底にあろうと、それは間違いないのだから……。
「わ…たし……も……」
 微かな声が、耳に気持ちよく届いた。

【了】
続編へ続く