【水砂 命令】

【水砂 命令】

 カルキス王の従兄弟は公式には3人だ。
 前王の姉と弟の実子達。そのうち姉の子であるレイメイは、カルキス王の兄代わりのような存在で今でも仲が良い。その上、剣の腕も立つ武人で先の戦では荒くれ揃いの突撃隊を率いて勝利に貢献した。
 その功労から彼に与えられたのが、リジン王家の第三王子であった水砂(ミズサ)だった。
 だが、レイメイには最愛の妻がいて、性奴という存在に食指が動かない。
 そのままただの召使いとして使うのも手ではあったけれど、カルキスの深謀を知っているからこそ、王子である水砂にそんな安易な生を与えることもできなかった。
 そんなレイメイが水砂の処遇に関して下した決断は、彼をレイメイ直轄の部隊の中に入れることだった。


「ひっ、ああ──ぁっ!」
 ミズサの男にしてはやけに艶のある色っぽい声が響く。日焼けしてもすぐに抜ける白い肌の下で、筋肉がなめらかに収縮を繰り返していた。
 張りのある筋肉には無駄な脂肪は無い。だが、ごつごつとした固い筋肉ばかりという感じもなかった。それなのに、肌の下で筋肉が蠢く。
 その筋肉の動きが、副隊長であるダマスの劣情を女よりも淫らに誘うのだ。
「もっと動けっ」
「は、はぁ──ぃっ」
 ダマスのペニスは太くて長い。
 ぎちぎちに伸びたアナルの壁が、抽挿の度にめくれ上がり、充血した肉色をさらけ出した。
 だがダマスの粘液にまみれた生々しい肉棒はぴくりとも動かない。
 動くのはミズサだけ。ぐちゅぐちゅと泡立つ粘液が滲み出るアナルが、ダマスの下腹に向かってき、また離れ──。
「早いっ!」
「ひぎぃっ」
 離れた尻を、平手で加減無しに叩いて、怒声を浴びせた。
「横着すんなっ、しっかり奥まで銜えろっ」
 尻タブが下腹に触れる前に離れてしまうなど論外。
「ここまでだっ、まだ覚えられねぇのかっ」
「ひあぁぁっ、ああ──っ、ぐぁぁっ」
 腸壁を突き上げる感触に、悲鳴が重なる。
 何度教えても、ミズサが動く時にはここまでの感触は無い。
「このくらいしねぇと達けねぇんだよ、こっちはっ」
「いあっ、も、も、申し訳っ、ありまっ──いあぁぁっ」
「ほら、動けっ」
「は、いっ」
 ぐちゃっ、ぐちゃっ と音が大きくなる。
 鈴口に腸壁がまとわりつく感触に、ぞくぞくとした快感が背筋を這い上がった。
「そうだ、もっと動けっ」
「は、あぁっ、はう──っ、あぁっ、うぅ──やぁん、んっ、ぁっ」
 必死に自らの腰を動かしているミズサだったが、苦しげな呻きに甘い嬌声が混じり熱い肉壁がだんだん激しく収縮し出した。
 締め付けられた肉棒から伝わる脈動が、快感という名の波動を呼び起こす。だが脈動の意味に気づいたダマスの瞳が冷酷に細められた。
「射精するな、と言っておいたはずだ、また命令違反か?」
「い、ちが……あっ……」
 荒い息を吐きながら首を振るが、射精したのはすぐに判った。
 堪えていたものが思わず漏れたような射精は、鈴口を穿つピアスに阻まれて勢いよくは出ない。
 何度も経験したその独特の脈動を体内で感じては、察しないわけがなかった。
「何が違うって。チンポから垂れてんのは何だ?」
「だ、だぁってぇ──いああっ」
 無駄な言い訳を繰り返すのもいつものこと。
 そんなミズサの乳首を指先できつく摘んでやると、ひときわ良い声を上げた。
 最初は小さな豆粒だった乳首は、今では女並の大きさでとても掴みやすい。最初の頃ずっと歯付きの紙ばさみで締め付けていたら膨れあがって、気が付いたらどんどん大きくなって戻らなくなったのだ。これをコリコリと指の間で転がすと、アナルの締め付けが非常に良くなるので、今では毎回ここを苛めるのが通例になっていた。
 感度もとても良くて、もともと尻穴に突っ込まれただけで達ける淫乱な身体だったが、最近では乳首だけでも達くようになった。
 ぎりぎりと引っ張りながら潰すと、ミズサの背筋がびくびくと震え、熱いアナルがきゅうっと締まった。
 ダマスお気に入りの刺激に我慢できなかった。
「うお──ぉっ」
 我慢を重ねた上の射精は気持ち良い。
 最後の一滴まで搾り出そうと、きつい締め付けの中何度も何度も突き上げる。
「やあぁぁぁ、あぁ、イぃっ、イクぅっ!」
 とたんにミズサが感極まったような嬌声を上げた。
「バカやろっ、誰が達って良いと言ったっ」
「ふっぎいぃぃぃぃっ」
 指先に今限りの力を込めた。
 これだけの痛みを与えれば、射精できないと知ってのことだ。
「ひぐぅ……痛っ……」
 ひくりと肩が震え、ぽたりと床に汗と涙が垂れ落ちた。
 ちらりとペニスに視線をやれば、どうやらさっき以上の精液はでていないようだ。
「よしよし、そうやって堪えろ。でないと、今度はこちらの乳首にもピアスをつけるぞ」
「えっ……あ、やだっ、それだけはぁ…っ」
 銀の髪が光を振りまくほどに、激しく首を横に振っていた。
 右の乳首にピアス穴を開けた時とその後の痛みを思い出しているのだろう。
 国では優れた騎士であったらしいが、しょせんは王族の嗜み程度だ。特に痛みに弱い。
 さんざん嬲って敏感に熟れた乳首に太い針でぐりぐりと開けた時にも無様な悲鳴を上げて失禁したが、それからしばらく毎日のようにそこを弄り続けた時にも泣きながら悲鳴を上げていた。
 今では傷はすっかり癒えて、痛みよりも快感を覚える場所となっているが、重りをつけてやれば痛みがあるようで罰としても使うことがある。
「今度はチンポと同じタイプを付けてやる。その方が重りがつけやすい」
 ぎりぎりと穴を広げながら下に引っ張られる乳首は、新たな傷を作ることもある。だが、その時の締め付けがまた最高なのだ。
「お、お許し──を。守ります、命令、守り、ますぅっ」
「だったら、射精禁止、守れるな」
「は、はいっ」
 こくこくと頷く頭を見下ろし、ダマスはニヤリと口の端を上げた。
 今日の躾の名目は、昼間の模擬訓練で犯人役なのに30分も逃げられなかったことに対してだ。その原因を、隠密行動ができないから──つまり、忍耐力が足りないからだ、と判断したのだ。
 ミズサが昼間の訓練中でした失敗や命令違反への罰や躾は、夜の食事が終わってからこうやって宿舎で行われていた。
 罰や躾を受けながらミズサが発した嬌声まじりの反省の言葉は、どの隊員の耳にも入っていた。壁などあって無きがごとしの部屋なのだ。
 この部隊にミズサが来て半年経ったが、躾がなかった日などほとんど無かった。躾役は交替性だが、時に全員が関わることもある。
 この部屋で、配属当初の反抗期に、乳首の穴や尿道を塞ぐほどに太いピアスを施した。
 猛者揃いの部隊員10名が全員参加して、きつく拘束しながら順番にアナルを犯しながらの作業だった。
 右の乳首とペニスで二回行われたそれ以来、ずいぶんとミズサは従順になったけれど、まだまだこうやって何かしらの失敗や命令違反を起こす。
 そのたびに行われる躾は、最近では少しネタ切れになっていた。
 だから、と始まったのが賭だった。
「何を休んでいる。さっさと動け」
「はぁ、はぃっ、ひぐっ」
 震えるペニスの先からたらりと粘液が垂れていくのが見える。
 ピアスリングに貫かれた鈴口がぱくぱくと喘ぎ続けていた。
 今すぐに達きそうな気配に、ダマスはほくそ笑んだ。
 ──さて……何回達かせるか……。
 我慢させながら無理矢理射精を繰り返させる。その時、何回射精するかが、賭の対象なのだ。
 ミズサにとって、射精を繰り返すほどに次の躾が激しくなるのを示している。けれど、賭の対象の回数が何回か知っている躾役にしてみれば、親の総取りにするためにも、その回数以外は達かせなければならないのだ。
 0?3回は対象外だから、4回以上は絶対に達かせなければならない。
 困ったことに10人もいるとちょうど良い回数は全て賭けられている。
 我慢させずに射精させれば楽なのだが、「射精禁止」を命令し、絶対に許可しないことは暗黙の了解事項。
 ──どうせなら。
 とダマスの唇が酷薄に歪んだ。
 ──最高記録も面白いかもな。
 誰も賭けていない数値まで射精させ続けるのも面白い。
 僅かずつ、我慢させながらの短い射精を繰り返させる。
 そんなことを考えたダマスの手がミズサのペニスのピアスに触れた。
「あんっ」
 それだけで達きそうなほどに、鈴口が喘いでいる。
「達くな」
 冷たい言葉に、ミズサの顔が泣きそうに歪む。それを見つめながら、リングをくるりと回し、球になった部分を鈴口に押し込んだ。
「ひぃぃぃっ」
 食い込んだ球の感触にも痛みだけでない刺激をあったのだろう。
 肉壁がきゅうっと締まったが、射精は堪えていた。いや、球に塞がれた尿道は、先よりさらに僅かしか垂れ流せない。
 出せなかった精液は尿道を逆流する。
 その痛みは結構なものらしく、その直後はミズサも達けないようなのだ。
「しっかりと我慢しな、出さなきゃ大丈夫だ」
 間違いない言葉に、ミズサが強張った顔で頷いたけれど。


「あぁぁぁ、ひやぁぁぁ──っ ああ、やだぁ、ひぎぃぃ──っ」
 すぐに本日2回目の射精をしたミズサのアナルを穿ち、激しく前立腺を責め、乳首をこねくり回す。
 だらだらと流れるのは先走りか精液か判らない色をしていた。
 何とかペニスを握りしめようとしている指がすぐに滑って離れていく。
「ひあんっ──ぎゃあっ」
 嬌声と悲鳴を繰り返すミズサの鈴口のピアスの球を何度も押し込みながら、ダマスは腰を打ち付けた。
 賭を考えれば、休息など欠けらも考えられなかった。

【了】