【従者制度-特級従者編】

【従者制度-特級従者編】

【従者制度】にちらりと出てくる3人兄弟の長兄の話です。
なお王の獣は前回公開時は魔狼としていましたが、魔獣に改定しています。
また、【王様と妾姫】とは世界観は同じで別の王国となります。

獣姦、服従、無理矢理
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この国に長きに渡り存在していた奴隷制度の廃止の際、今まで奴隷がしていた仕事をどうしていくかは課題の一つでもあった。
中でも貴族のごく身近で世話をする絶対的服従と黙秘の躾を施された奴隷がいなくなることにたちまち貴族達が反対の意を唱えてきたこともあって、それを回避するためにも「従者制度」が制定されたのだ。
それは主に対して絶対的服従を植え付けるという点では奴隷と変わらないものでもあったけれど、奴隷と違い売買されるものではないこと、また一代限りというところが大きく違うため、結局は受け入れられることなった。
その従者には当初見目の良く教養と躾が施された元奴隷が当てられていたが、最近では奴隷出身者は少なく、騎士や平民などで没落した者が雇われることが多くなっている。
つい最近も、国家転覆の一味に故意でないとはいえ情報を流したとその貴族の身分を剥奪された三兄弟が特別な計らいにより極刑を免れ、従者となることでその命を永らえれているような恩赦としても与えられる身分として成り立っていた。
その恩恵を受けた3人の内の長兄は、元から王のお気に入りだったということもあり、現在では王宮の奥の院で王の身近に侍ることのできる従者——特級従者として任命され、仕事に励んでいるという。

美しい身体が幾度も跳ね、ピンと張った指先が宙を掻く。
数多の色が織り込まれた西の地の緞通に落ちたその指先が絡み、少しでも遠くへとでもいうように伸ばされていた。
「い、いやっ、ああ——っ、お、お許しをぉぉっ、ひいっっ」
王宮の子女に評判であった美しい容姿を持つムスティの相貌は、今は引きつり浅ましく歪んでいる。欲に染まり潤んだ瞳が捉えているのは、彼にとって最愛の主だけだ。ねっとりと絡みつくような視線を向けて、だらしなくその身体を抱きしめる。
強ばったように関節が目立つ指に、主たるリューライの美しき体毛が絡みついていた。
「き、きっ、つぃ……ぅ——っ、あ、いやぁっ、お、奥ぅやめっ、そ、そこっ、ああっ、ひぃ、ぃぃ、いあぁっ!」
美しく、また実力もあった親衛隊騎士のムスティ。だが、彼は今宵も夜が更けてからはずっと涎を垂らしながら、半ば白目を剥いて淫らな喘ぎを上げ続けている。そこにあの精悍な騎士であったときの表情はない。
それどころか醜いとすら言えるだろう。
だが今の余には、それが醜いなどとは思えない。
何しろ、余は彼のこんな淫らな娼婦の顔を見てみたいと常に願っていたからだ。しかも、実際に見てみれば、それは余の想像以上の代物であったことにはたいそう感慨深く、口に含む酒の旨さすら増している。
まして、その四肢の美しさは宴の席での剣舞の見事さに魅入られたあのときから何も変わっていない。無駄な脂肪のない張り詰めた筋肉が覆った骨格は古代の神殿にある英雄のごとく美に溢れ立派だ。それこそその黄金比の美は神の奇跡が賜わせたものだといえよう。
その美を持つからこそ余も、そしてそれ以上に我が友にして我が家族であるリューライが気に入ったのは道理なのだ。
魔獣の血を引き、あまねく獣どもの王でもあるリューライは、黄金の獅子の形をした巨躯を持つが、誰もが通常の獅子と間違うことない。魔獣独特の形状は獅子と似て非なるものだからだ。
そんなリューライは、魔であるが故にいつでも神が賜ったものに引き寄せられ、餓鬼のごとく欲っしていた。だからこそ、神が与えたもうた美しい身体を持つムスティに魅入られたのはどうしようもないことなのだ。
そんなリューライと余が知り合ったきっかけは幼すぎてもう覚えていない。
魔術を扱う芳族の出である亡き母が敵の多い我が子達のために契約したのだという噂がたぶん正しいのだと、余は思っている。実際、母譲りだろう、余の中にも確かに魔術はあって、それがリューライと堅く結びついているのを、本能的に感じている。
その結びつきのせいか、今どんなにリューライが歓喜しているか、その全身に甘い電流のような快感を感じながら、それに浸って悦んでるのか判るのだ。
そしてリューライもまた、余の中にある孤独と皇太子として重責を感じ、苦しいときにはいつも慰めてくれて、危険が迫ったときには自ら盾になって王を守ってくれた。それこそ幼きときに、闇にきらめく幾つもの金属の刃と血臭が漂う中、敵国の刺客からその身を呈して守ってくれたとき、余はリューライを決して離さず、共に生きることを決意したのだ。
そんなリューライが欲したのが、余の親衛騎士団の中でも私自身もお気に入りであった騎士ムスティだったのは偶然か必然か。
それとも余以上に余の内心の動きに聡いリューライが、余もまた彼が気に入っていると気付いてくれたのか。
どちらにせよ、リューライの従者とするために、彼を招聘することは余にとってたやすいことであった。どんなに固辞しようとも彼の意思など関係ない。余にはその力も知恵もあったからだ。
それに幸いなこと、余の弟たちも巷で評判の騎士とその弟たちに興味を持っていたということで、この招聘はとんとん拍子で進めることができた。
そのお陰でムスティが従者になってからもう1カ月、毎日のように彼とリューライが一緒にいるのを見るのが、余にとっても今の一番の楽しみになっていた。

当代随一の家具職人から、王位についた祝いに送られたソファに身体を預け、瑠璃のグラスを傾ける。
淫蕩な匂いと芳しい酒精が混ざり合い、余の身体にも淫らな熱が蓄積されていた。
「がっ、あぎぃぃ……っ!」
リューライの黄金の身体が象牙色の身体に覆い被さり、弛緩した身体がびくりと強ばった。
ざらつくザクロの色をした大きな舌がムスティの首筋をなぞり、喰らうかのように肩口にその白い牙を当てる。
肉食のざらつく舌が小さな乳首を舐めれば、痙攣のようにその身体が震え、ぷくりと膨れ上がったそれが強請るように突き出される。
「ぃ、あっ……ぁっ、そ、こっ、か、感じっ、すぎぃっ、ひぃぃぃっ」
もう何度もその舌で愛撫されたそれは、通常のそれよりかなり大きく、いやらしい姿をしていて、この余でさえ、堪らずに抓り、いじくってしまいたくなる欲求に駆られてしまう。
「ひ、ぃぃ——っ、だめっ、ひゃぁぁぁ、おぐぅぅっ、そんなぁぁっっ、ひぃぐっ」
長く続く嬌声は、けれどか細く、掠れていた。それよりも、続く甘く聞く者に悪い感情を引き起こす声音の方が大きく強い。
大きく開かれた股間から、絶え間なく響く粘着質な音。
ジュボッジュボッと繰り返されるその音とともに、ムスティの身体は激しく揺れて、部屋の壁に淫らな想像をかき立てる影絵を作り上げていた。
その影絵をしばし楽しみ、何度目かの激しい痙攣を起こしたムスティへと視線を戻せば、その仰け反った喉に着けられたリューライの印が刻まれた黄金の首輪が、ランタンの灯を受けてきらめいた。それは、リューライの従者となるよう余が任命したその日に、ムスティに贈ったものだ。
そこには彼の名が刻まれており、彼が心からリューライのものになったとき、その首輪は身体に吸収され、リューライの子を孕むことができるようになるという魔具、らしい。もっとも古い言い伝えと共に残されていたその魔具は、その真偽のほどは確かではないし、その効果も実のところ正しいかどうかも判らない。
ただその昔リューライが大切そうに渡してきた箱に書かれていた古代の文言をなんとか読み解いた博士の言葉は、信じるに値すると思っている。実際、余がそれを手に取ったときに、確かにその中に豊かな魔力を感じたし、何よりその首輪を彼に嵌めたときのリューライのうれしそうな表情は、それが真実だから、としか思えない。
ただ残念ながら、まだムスティはリューライの連れ合いになることを認めてはいないので、それが真かどうか知ることは叶わぬのだが。
きまじめで頑固な彼は、未だ余の親友でもあり、魔族の子であり、獣族を束ねる獣王であるリューライの相手などおこがましいとでも思っているのか。あれほど毎夜に愛されているのだから、さっさと落ちれば良いのにと思うが、その頑固な抗う姿もまた見ていて楽しいものがあって。
それに結構リューライも彼の反抗を楽しんでいるようで、その悪戯っぽい性格には私も同調してしまう。
だからか、強制的に彼を精神を支配してしまうことはせず、彼の精神が自然に動くのを待っているのだ。
もっとも、逃亡癖もある彼は油断するとすぐにこの部屋から出て行こうとするから、今その首輪から伸びる鎖は、部屋の片隅にある柱にしっかりと結わえられている。
ジュボンと何かが抜けた音がしたのに気付き、視線をやれば、ムスティが震える四肢でヨタヨタと這っていた。その尻の狭間からだらだらと粘液が流れ落ち、淫らな道筋を残している。
その身体が部屋の隅までたどり着くまでじっと様子を見ていたリューライが、ぴんと鎖が張ったと同時に、その鎖を咥えて引きずり、元の位置に連れ戻す。もう何度も繰り返されたそれは、四方へ伸びる幾つもの痕跡からして明らかだ。
「ぎっ、ぐっ、も、もうっ、無理っぃ……、やっ、ヘビっ、ああっ、ひぎぃぃ」
転がった彼の身体の上にのしかかるリューライは、深紅の瞳と黄金の毛並みを持つ、通常の獣の2倍の体躯はある獅子の姿をしている。特に特徴的なのは途中から二本に分かれて、かつ先端がヘビの頭を持つ長い尾だ。2匹で違う特殊な毒を持つその尾のヘビは生きていて、今も主たるリューライの望むままに、ムスティの陰茎に絡みつき、その鋭い牙から毒を流し込んでいる。赤い目を持つヘビが与えるのは人の身体を色情狂に変える淫液で、今ムスティの陰茎は完全に勃起して、だらだらと涎のごとく粘液を零していた。
そしてもう1匹の青い目を持つヘビが向かうのは、ムスティの尻穴だ。
リューライとまぐわえばそこはもう雌の女陰と同じ場所と感覚を持つようになり、いずれめでたく懐妊したときには産道と化すらしい。人の理から外れた身体は、排泄などという穢れた生理現象はなくなり、主たるリューライの魔力の飛んだ体液が唯一無二の食事となるらしいのだ。
その素晴らしい身体を早く受け入れ、かわいいだろうリューライの子を産んで欲しいと願う余の思いも知ってるはずなのに、何をそんなに抗う理由があるというのか。
もう何度もリューライのたくましいペニスを受け入れた穴は、あのように悦び、歓喜のあまりに涎を垂らして女の腕程度の太さのヘビの頭をたやすく飲み込んでいるというのに。
「ぎっぅっ、きっ、つぃっああっ、ひぁぁぁっ、あ、ひぃぃ、だみぇ……っ、うぐぁ、あんっぁぁっ」
肉の奥に潜り込んだヘビは、外から見ていてもしばらく身もだえているのが判る。もっとも中を見透す力を持たぬ余には、そのヘビが何をしているのかは判らない。
けれど、突然ひくりと震えた身体が、その四肢をリューライへと巻き付けていくその変化を見ていれば、ヘビが持つ毒が注入されたのは間違いないだろう。
リューライに頼んで手に入れた毒を調べた博士の一人がある女で実験したときには、わずか一滴にも満たぬそれを女陰に塗っただけで、激しい痒みとそれ以上の淫欲に狂い、男を求めて尻を振りたくり始めたという。
その女は奇妙なことに頭は正気で自分のそんな行動に激しい羞恥心を感じ、まるで頭と身体が分離してしまったかのように、悲鳴と拒絶の言葉を上げながら身体だけが男を求めていたという。
衣服を引き裂きその豊満な肢体を晒して目の前の男に身体をすり寄せながら、助けてと願い、言うことの聞かぬ身体を縛り付けて欲しい、と、最後には殺してと、泣き喚きつつも男のそれを自ら銜え込んで尻を振りたくる姿は、それに立ち会った朴訥とした研究一筋の者たちを勃起させ、それからしばらくは夜ごとに激しい淫夢すら見させたほどに、淫らな光景だったという。
残念ながら余はそれに立ち会えなかったが、今それ以上の光景をこの目で見ることができている。
それに、その女は異常な状態に耐えかねて狂ってしまったというが、ムスティはもともと意思の力が非常に強い故か、それとももう一方のヘビの毒の相乗効果があるかの、同様の効果をもたらしているというのに、今のところ狂うことはない。
リューライのたくましい身体にしがみつきながらも、それを拒絶しようしているのだ。
だが、そんな些細な動きなどリューライにとってはかわいい悪戯にしかならない。俯せに押さえつけ、ヘビが濡らした穴に、再びリューライの私の腕よりたくましい陰茎が一気に突き刺さる。
「ぎぃ————っ!!」
ズブズブと陰茎が潜り込みたびに、硬直した身体がこん限りにのけぞり、股関節が限界まで割り開かれる。尻が高く掲げられ、その下腹がぷっくらと膨れるのが垣間見えた。
「あ、あっ……ぁっ」
呆然と見開かれた眼が、滂沱のごとく涙を流す。だらしなく開いた口の端から、だらだらと涎が溢れた。
忘我の境地に陥り、妙なる快感に悦ぶムスティは、いつもこうやって声もなく悦ぶ。
何しろ、この世でも最上とも言える、ゴツゴツとしたこぶ付きで、硬く、エラの張った素晴らしい陰茎を賜っているのだ。
度が過ぎるほどのうれし泣きは当然であろう。
しばらく硬直していた身体ではあったが、すぐに自ら腰をすり寄せていく。しっかりと掲げられた尻はもうぴったりとリューライの股間にひっついていた。
それに満足したのか、低く唸ったリューライが、すぐに人手はできぬ早さで腰を動かし始めたのだ。
とたんにムスティの口から発せられる悲鳴は激しく、泣き喚く。
「く、ぐるじっ……、いやぁぁぁっ、むりぃ、お、王っ、た、たすけっ、おゆるっ——、あぁうっぎぃっ、やぁぁぁ、奥が、おぐがぁぁっ!!」
ビクビク激しく痙攣したムスティが、深く奥を抉られる快感に激しい嬌声を上げていた。
全身をしっとり汗で濡らし、艶やかに紅潮した肌はじとりとした色気を醸し出し、限界まで広がった尻穴が、まだ欲しいとばかりに震えているのが伝わってくる。
リューライが戯れのように小刻みな抽挿を繰り返す。
とたんに、大きく跳ねた身体の尻穴から、泡立つリューライの先走り液がビュッビュッと噴き出した。
彼の射精はいつも早く量が多い。ただ何回も射精できるのが特徴だ。
強力な存在故に、子をなすことが難しい存在故なのか、それともこれが魔というものなのか。
淫靡な空間と化した中で、四肢のリューライと騎士であったムスティの戯れはいつまでも続く。
「グルゥゥ、ゴゥォ——っ」
雄叫びのような咆哮が発せられるとともに、ぴたりと止まった腰。密着したムスティの腰もぴくりともせず、ただ腹が大きく波打ってる。
「あ、が……ぎぁ…………ぁ、ぁ……」
指先が白くなるほどに絨毯を掴んでいた。
紅潮した全身から汗が噴き出し、照明の灯りに美しく輝く。はるか昔の神話に出てくる英雄の話を思い出すほどに、美しい身体が彫像のごとくそこにあった。
「ほ、おぉ……」
その生き生きとした美は、余は他で見たことがない。
毎日のように鑑賞していても、いつも違う美がそこにあり、だからこそ余は彼らの慈しむ姿から目が離せないのだ。
グプリと、結合部から多量の白濁液が溢れ出す。
いつも腹一杯にもらうせいか、ムスティはああやってすぐに垂れ流した。
美しい文様の緞通に散ったそれを知ったリューライが、貫いたままの身体を引き寄せ、髪の毛を咥えて移動させて、それへとムスティの顔を押しつけた。舐めろ、と、もったいないそれを全て舐めろ、と、リューライの命令を、初めてムスティに教えたときのことを思い出す。
余の言葉に絶望を浮かべたムスティが、こみ上げる快感に逆らい、自らリューライの陰茎を抜いて、逃亡を図ったそのときを。
リューライが急ぐものだから早々に従者として与えたせいでまだ忠誠心の躾が十分でなかった故に、というが今でもなかなか備わらないそれのせいで、反抗心が消えていないのだ。
もっとも、どんなに走ろうとも、たくましい雄に貫かれた身体はまともに動く訳もなく、何よりも俊足のリューライから逃げられるはずもない。窓から出た露台で身体を押さえられ、罰だとばかりに、口はヘビに深く犯されながら、尻穴は彼の陰茎で何度も何度もそこでリューライに躾をされていた。
さらに多量の淫毒を注がれた身体を、天井から吊したのは、リューライに頼まれた私だ。
それから三日三晩、ムスティが身体に残る淫欲の熱と激しい痒みに泣き喚くのを子守歌のようにしてリューライと余は休み、執務の合間の気分転換にその身体を撫で、時に鞭打って遊んで。
あれは楽しい日々だったと今でも思う。
今でもあのような躾を施すときには、余にもその尻穴を使わせてくれるほどに、リューライは余のことを思っていてくれる。
今も、ピチャピチャとおとなしく舐めだしたムスティに、リューライが余を呼ぶ。
その意図を察して、余はグラスを置いて立ち上がった。
子猫のごとく舌を出して、ミルク色のそれを舐めるムスティは、いつもの凜々しさとは違い、今はなんとも愛らしい。
余は、そのムスティの頭のところにしゃがみ込み、服の下から自らの陰茎を取り出して差し出した。
朦朧として濁ったムスティの視線がちらりと動く。
一瞬息を飲んだのは気のせいか。
白濁を舐め、汚れた赤い舌が余の鈴口をちろりと舐めた。
「んっ」
いつもリューライの陰茎を舐めるその舌は、いつ味わってもたいそう気持ちよく、背筋を痺れるような快感が迸る。
リューライの下から亀のように伸びた首が余の陰茎を目指したものだというのも興が乗る。
その淫靡な風景に堪らず彼の喉奥まで一気に貫けば、余の些細な、一応ウマナミと称される陰茎だがリューライのそれとは比べものにならないほどにささやかな余のものなど、喉奥まで簡単に銜え込み、激しく痙攣を始めていた。
その振動も堪らなく良い。
ついガツガツとはしたなく腰を打ち付けてしまい、甘えるように頬を寄せるリューライに、私も頬を寄せた。
肩越しに見える背がうねっている。同時に伝わる突き上げに合わせて、余も腰を突き上げる。
「ごぉっ、お゛、お゛ぼっ」
喉の奥の振動も加わり、こみ上げる快感を我慢するのは難しくなってきた。
はぁはぁとはしたなく荒い息を吐き、リューライの首に腕を回して抱きついて。
「りゅ、ーらぃ……す、すごっ……ああ、いいっ、イイっ」
余は、愛しい相方を抱き寄せ口づける。
ざらりとした肉食の舌が余の顔を舐め、嗅ぎ慣れた獣の香りに心底安心して。
「う、おっ……」
背筋を這い上がる快感が求めるがままに腰を突き上げ、精を全て吐き出した。
その瞬間、なんともうれしいことに確かにリューライもまた精を放っていた。
「本当、に……余は、うれしいよ、そなたととみにいることができて」
歴代の王として、このような親友を得たものはいないだろう。
強く、賢く、たくましく、優しい。
こんな素晴らしい存在は、そうそういない。
ボタボタと、口から尻から零れ落ちる精液の中にムスティの身体が崩れ落ちた。
噛み痕やひっかき傷、打たれた傷が目立つ尻を、リューライが前脚で突く。
舐めろ、と、もう覚えてしまったリューライの命令に、最近、ムスティはもう逆らわなくなっていた。
ただ従順に、余とリューライの精が混じった液だまりの中、ムスティの舌が這う。
その姿を見るにつれ、そういえば、もう長い間これに食事を与えていないこと思い出した。
けれど彼はやつれるどころか、その肌はますます艶やかに輝き、淫靡な色気は強くなっている。
さすが魔獣の精は、まだ子が孕んでいなくても効果があるということか。
ならばたっぷりと喰らわさなければならぬと、余の従者どもを呼び寄せる。
「一滴残らず、これの口元へ運べ」
革帯でその身体を飾り、美しい裸体を際立たせている余の従者は、今4人部屋の片隅で控えているのだが、そんな彼らが開いた板を持って近づいていくる。
先に流した精も一緒にぐいぐいと絨毯を絞るようにして、一箇所に集めていくのだ。
それを舐め、手持ち無沙汰になったリューライにまた貫かれ、嬌声を上げながらまぐわう彼らは本当に愉しそうだな、と余は椅子に戻ると、新たな酒を注がせたのだった。

ぐるっ
リューライとムスティの、仲睦まじい戯れを堪能しつつ飲んでるとつい深酒をしてしまったらしい。
膝を柔らかく押されて、余は自身が眠りについていたことに気が付いた。
リューライがいるからこそ、こうして安心してうたた寝ができるのだと、手を伸ばして身体を抱きしめる。
「どうした?」
寝ぼけ眼のまま、リューライの額に余のそれを押しつけ、問いかける。
じわりと伝わる解放感に満ちた、なんとも言えぬ快感の名残にぶるりと身体が震える。
決して余自身が精を放ったわけでもないのに、射精した後のリューライに触れると、余自身も射精に似た解放感を味わうことができるのだ。
このなんとも言えぬ解放感が、余は好きだ。
「ぐ、ぅ、ぐ」
そんな余韻に浸る余に、リューライが甘えてくる。
余にだけ見せる甘えた姿は、どんなにか愛らしく、余も彼の願いを叶えてやる労苦を厭うはずもない。
言葉は語らぬとも伝わる意思に、余は頷き、その首筋を撫でながら答えた。
「判った、すぐに用意をさせよう」
愛おしい連れ合いとともに散歩に行きたいと願うリューライのそれを、叶えることなど是否もないことだと、私は控えていた従者に指示を出せば、すぐさま散歩時にムスティの身体を固定する革袋が用意された。
ムスティの身体の下にその専用の革袋を置き、腹を下にして包み込む。四肢は邪魔にならぬように曲げた状態で革の中に押し込んで、背中側で紐で袋の口を閉じるのだ。袋には3カ所の小さな穴と2つの大きな穴が空いていて、そこから乳首が覗き、陰茎が突き出し、そして前後からは尻と頭だけが袋から出ている状態となる。
その袋詰めの彼を支えるようにしてリューライの腹の下に括り付けた。
力自慢の4人の余の従者たちにより身体が上がり、剛直という言葉が似合う陰茎に向かって尻が上がるにつれ、ムスティが甘い声で啼く。
その低く響くそれは意外にもリューライーの歓喜のうなり声に似ていて、そんなところも似合いだと感心した。
「ぐ、うっ、あっ」
すでに濡れそぼっている穴は、たくましい肉棒にすっかり馴染んでいるために難なく受け入れ、肉棒は肉棒でしっかりと隙間なく穴を埋め尽くす。それで固定されれば、ムスティの身体を支えるのは、身体の下の革と、彼を貫くリューライの陰茎だけになる。
もう何度も使われた革を止める革帯と金具は、リューライの動きを妨げぬように調整されていて、慣れた従者たちがしっかりと固定すれば、完了だ。
隙間があるせいで不安定に前後左右に揺れるが、外れるような金具ではないし、破れる革でもない。
「ぐるっ」
悦び唸るリューライに、従者たちは蒼白の面持ちで後ずさり、ひれ伏した。
それらを愉しげに見やり、それからリューライの頭を撫でてやった。
「楽しんでこい」
「ぐぅりゅっ」
うれしげに喉を鳴らすリューライの喉まで手をやってしばらくあやしてやり、それから今度はその腹の下で何やら呟いているムスティを覗き込む。
「……ゆ、許して……そ、これ……や…………、た、たすけ……、お、王、……」
縋るように涙を流しながら余を見つめる彼に、優しく微笑む。
「久しぶりだろう、散歩は。しっかりと楽しんでくるんだよ」
そんな言葉に絶望の表情を浮かべる彼は、本当に愛らしい。
以前のたくましくも凜々しい姿も素晴らしいが、最近見せるこのような愛らしい姿も結構気に入っているのだ。
「いっておいで」
今度はリューライに声をかければ、その身体がゆっくりと露台へと向かった。
目の前を横切る黄金の巨体の下で、か細く悲鳴が響く。
歩くだけで前後に揺れる彼の股間からは、グッチュグッチュと濡れた音が止まらない。そんな彼をあやすようにヘビの尻尾が2匹が、ぶらぶらと揺れるムスティの陰茎へと絡みついていた。
腹の下に荷物を抱えたリューライは動きにくいはずだが、意にも介さず露台から飛び出る。
とたんに響く嬌声に、余は笑みを浮かべて手を振った。
「ぐうっ、ぎぅぅっ、あぁっ!! ふかっ、お、奥っ、いやぁぁ、突くっ、ぐうっ、だっ、ふかっ、あぁぁぁっっっっ!」
疾走し、障害物を難なく飛び越え、激しく波打つ身体が闇夜に輝く。
遠くに消える鳴き声と共に、今日もリューライの支配下にある森や原野をムスティに見せて回るのだろう。
広大な土地は広く、長く続く散歩は夜を徹して行われるのが常だ。
リューライが満足して帰ってくるころには、いつも夜が白々と明けるころで、一緒に堪能してきたムスティは白目を剥いて小刻みに痙攣しながら、深い眠りについている。
「さて、私も楽しもうかな」
背後に跪き控えている従者たちの顔を眺めながら、1人を指させば、「ひっ」と小さな応えがして、すぐに他の3人が下がっていった。
棚から取り出すのは、愛用の乗馬鞭。棒状のそれは硬い金属の先端を持っていて、これで叩くと彼らはとても良い声で啼くのだ。
「耐えられたら、今日は達かせてやっても良いぞ」
もう数週間、溜め続けさせた欲で限界まで張り詰めている陰嚢を見やり、笑う。
毎日互いの陰茎を1時間は口淫させているから、たっぷりと溜まっているはずなのだ。
「……っ、お、お許し、を……」
革紐で性感帯を抉るように締め付けている身体を震わせ、端正な顔を歪ませひれ伏す彼は、ムスティには劣るが、なかなかに良い身体をしている。
確か出自は、先の王のいとこの子であったか。
高貴なる血筋を持つ彼は、王家の財産の使い込みが発覚して路頭に迷ったところを、拾ってやった輩だが、高貴な出自故か痛みに弱く、いつも余を満足させてくれない。
「尻を出せ」
「っっ、くっ、ぅ……」
あれと違い、その骨の髄まで逆らえぬように躾けた身体は従順だ。グズグズ言いながらも、尻をこちらに向けてくる。
その尻が開くように革帯を回された臀部の間から、5センチ径の張型の頭を突き出させ、傷だらけの尻タブをこちらへと向いた。
「いい子だ」
うまそうな尻の具合にぺろりと舌舐めずりをして、今宵の楽しみの始まりだと、手の中の鞭を振り上げた。

戻ってきたリューライの身体からムスティを外したとたん、多量の白濁した精液がその尻から噴き出してきた。
さっき楽しんだ私の従者の白濁など確かに別物だと、それを覆い隠すほどの量に緞通がぐっしょりと濡れていく。
その泉の中に伏した身体はずっと小刻みの痙攣を繰り返してい、ヘビの牙の痕が目立つ陰茎が硬く勃起したままに腹を打っていた。
「早く子を孕み産めばそこから精を出せるのだぞ」
以前よりははるかに大きくなった陰嚢は本当に重苦しそうで、いつも限界まで張り詰めている。従者の質として、絶頂感は主の言葉がなければ味わえないというのは、未だ躾ができていないムスティにも効いているのだ。
作りすぎた精は体内に吸収されるというが、性的快感をいつも味わうムスティのそれが小さくなることない。
つんつんと突けば、ぷるんぷるんと震えていて、その張り詰め具合が心地よい。
まあ、絶調を味わえない分、その寸前までの快感をずっと長く味わえるらしいから、それはそれ、随分と善いのではないかと思っている。
「は……ぁ……」
掠れた声音が零れて、うっすらとその瞳が覗いた。
「……お、……う……」
余を捉えたそれが、物言いたげに揺らぐ。
その瞳に余は労るように微笑みかけ。
「よい子を孕め」
語りかけた言葉は確かに聞こえたのか、色を失った瞳から透明な滴がつうっと流れ落ちていった。

【了】