【癒しの時間】

【癒しの時間】

ファンタジー 巨人族の血を引く王家に養子として引き取られた小国王子の話。
視点である三男の王子は養子となった末弟を可愛がっているつもりです。




 濡れて灰褐色に染まった岩の床に艶めかしく色づいた肌が揺らめいた。仄かな赤みを孕む柔肌を傷つけるほどの岩肌ではないが、磨かれた平面ではないためにその角が食い込んで赤みの強い痕を残している。
 大腿から下だけを湯に浸けそこから上は湯船の外に投げ出している。濡れているせいだけでなくもともとが瑞々しい若い肌が、我が突き上げるたびに小刻みな痙攣を繰り返していた。同時に零れる艶めかしい喘ぎ声に被さるように切ない懇願が混じる。
 聞く者の官能を芯から揺さぶる声音を初めて聞いたときから、我はまさしく虜になっている。今ではその声を聞くだけで我の魔羅は雄々しく育ち、その狭く熱い肉壺を激しくかき混ぜたい衝動に駆られてしまう。
 これでも王族の一員として衝動を我慢することを学んできた身としてはずいぶんとはしたないことに、この衝動だけは我慢などできた試しがない。
 呻き声にも似た嬌声を聞きながら何度も何度も腰を動かし激しく突き上げれば、身の内が弾けそうなほどの快感に襲われた。
 白い背を覆う漆黒の髪が肌を伝い、小さな頭が揺れた。喉を晒してのけぞって、快楽に蕩けて潤んだ蘇芳色の瞳が万感の思いを込めて我を見つめる。その妖艶さは、我の欲を倍増させるというのに。
「っ、あうっ、あぐぅっ、是無(ぜむ)様っ、ぜ、むさまぁ、深っ、やあっ、達く、達くぅぅっ、ひぐぅっ」
 我が名を呼びながら柔な爪で床を掻く身悶える。その背には先日の躾でできた赤い線条痕が未だに残っており、身を捩る度に我の視界を淫らに染め上げた。
 その痕も含めて我が義末弟シオンはどこもかしこも美しい。
 神秘的な面立ちのシオンがきつく眉根を寄せて身悶える姿に、我の魔羅はもう長い間いきりっ放しだ。
「そんなに欲しいか、我の子種が。さっきから絞り取っているが、まだ飽かぬか」
「お、ゆるし……をっ、あぁっ、ぐぁっ、もっ、もうっ……」
「そなたが欲しがって離さないのに、赦しも何もないわ。要らないというのであれば、そなたから離せば良かろうが」
 こんなにも食いついて、貪欲に貪り続ける身体のくせに。
 昼の食事を終えてシオンの自室を訪れてみれば、全身を体液にまみれさせて戯れていたから湯殿へと連れてきたのはいつだったか。
 触れればピリピリとこちらの肌が刺激を受けるほどの粘液は、色と匂いからして確か次兄様(つぎにいさま)考案の欲に素直になるお薬だっただろうか。そんなものを魔羅と乳首にたっぷりと塗りつけていたら、それは淫乱なシオンのこと体液まみれになるのも仕方が無い。多量の水と石けんで洗い落とすしかないその粘液は、遊んでいた玩具にもたっぷりと付いていた。
 特に次兄様が手ずからお作りになられた立派な木馬の支えとなる太い杭からシオンを持ち上げてみれば、すぐに塞がらないほどに広がった穴からだらだらと流れ落ちるほどに注がれていた。そういえば今日の次兄様は朝は暇だとおっしゃっていたから、シオンと遊んでいたのだろうけれど。
 木馬で遊ぶシオンは我が見ても楽しそうだなとは思ったが、いつまでもやめそうになかったので我が無理矢理離してやった。まあ木馬の胴体に固定された縄は固結びされていて指先の力では外れず、我の剣でたたき切るしかなかったほどだったが。これもシオンが落ちないためといえば仕方が無い。
 そんなこんなでシオンの身体の深くまで塗り込められた粘液を、我の腕を突っ込んで洗うのにも時間がかかったが、触れた内壁の柔らかさに勃起した魔羅に我の我慢は潰えてしまったのはいつものこと。
 この美しくも妖艶な身体をむさぼり尽くしたいと抱き締めてしまえば、非力なシオンはちゃちな抗いを見せはしても呆気なく我へとその身を晒す。
 抱き締めてやれば腕の中にすっぽりと収まるシオンのなんと愛おしいことよ。
 シオンの細い手首ほどまで育った我の魔羅を慎ましやかな後孔を自ら開いて深く銜え込み、離さないとばかりに貪欲に締め付けてくる。赤く色づいた唇から小さな舌をちろちろと出して歓喜の声を上げる姿はいつ見ても我を興奮させてくれる。
 義末弟というとおりシオンと我は血のつながりはない。我は三兄弟の末子であったが、そこに養子としてシオンが加わった形だ。
 我は鬼躯国(きくこく)直系王族が一人であるが、我ら王族はその祖に巨人族を持つと伝えられている。民もその血を引く種族であり近隣のどの種族よりも大柄で体力がある。元々が戦闘民族故か、種族固有の力はその関係のものばかり。身体の増強、治癒などの身体系の技術に特化した力が進化しており、平時の昨今はその力を持ってこの大地を治めている。
 そんな我らと比べてシオンは小柄な種族の出身だ。
 小型の獣の牙や爪など我らの肌を傷つけぬが、シオンの柔肌は容易に赤い血を流すし、あざを作って色を変える。浅黒い我らに比べ白っぽい肌、体毛も淡い金色に見えるほどに細く薄いから、傷付きやすいのだろうが。
 その顔立ち一つとっても違っており、我らの四角く厳つい顔立ちはシオンの優しい面立ちと比べれば伝説の鬼のごとく荒々しいと言えよう。いや、確かに我らのその祖の一つには鬼族もいたという話もあるぐらいだ。
 だがシオンは西方の山脈を領地とする王族出身だ。火の精霊族の血が混じっている故か華奢な身体に漆黒の髪と蘇芳の瞳を持つものが多い。彼の種族は魔力が高く生活に根ざす力と技術には長けているが、荒事には向かない質だ。大地を開墾するだけの力を持たない彼らの国土は元から貧しくはあったが、ここ数年の干ばつで飢餓が発生し我らの国が助けたほど。
 そのこともあって彼の国は我が国に感謝と服従の証しとして、今から三ヶ月程前にシオンを差し出してきたのだ。
 もとより我らの国はこの大陸の大半を占める大国で、近隣の小国は服従の証にとその国の要に連なる者を差し出してきている。シオンも常ならばそのような者達と共に、別宮(べつのみや)へと連れて行かれて幽閉生活を送ることになっていただろう。
 だが今のシオンは我が王家の末子として養子縁組みされていた。
 我が国での人質は別宮以外での生活を禁じられている。最初の挨拶以外で王家と接することはなく、出身国含めて外国の者と接することも厳禁だ。人質は常に幽閉されているようなもので、我らに従属することのみを優秀な専門の教育者によって教育され続ける。
 別宮では専用の事務官が許可を出したときだけ外部との交流が許される。と言っても人質と接することができるのは、我が国の中でも特に選ばれた者だけであった。もちろんシオンも本来ならばそこに入り、三ヶ月も経っていれば最初の教育も終わっていただろう。今頃は特別に選ばれた者と長い退屈な日々を慰めるための面会を許可されていたころか。
 別宮の面会希望者は途切れることなく名が連ねられており、特に初めての面会である初お目見えの儀には希望者が殺到していて今は抽選制だと聞く。
 確か前回のときには我が父王様と並ぶほどの巨躯に加えてその性格も獰猛苛烈さにかけては我が国一の戦鬼将軍が幸運にも当選し、一ヶ月別宮に閉じこもったという話だ。そういえばそのときの人質が次の面会を許されたのは確か数ヶ月は経ってからか。その後も戦鬼将軍殿は何度も訪れてご機嫌な様子であることは軍部でも有名だと聞いている。
 そのように迎え入れられるはずだったシオンであったが、彼の場合、人質がただ一度父王様と拝謁できる機会のときに兄上様が臨席されていたのだ。そのときに兄上様が一目で気に入ったことから、シオンの取り扱いは我が王家扱いとなった。兄上様がぜひにでも我が王家が暮らす奥宮(おくのみや)で共に過ごしたいと願ったからだ。
 もちろん我も次兄様も兄上様の意見に頷き、父王様にも賛同していただいた故のことではある。
 だが我らが暮らす奥宮に入れるのは王族の直系に近い男子のみで、それ以外は身元の確かな近衛兵か召使いのみであり全てが男だ。正妃や妾妃ですら奥宮と隣接する後宮(うしろのみや)には入れても奥宮に立ち入ることは許されない。
 他国の王族や下位の貴族はもっとも市井に近い迎宮(むかえのみや)まで。高位の貴族であればその奥の表宮(おもてみや)まで入れる。ここまでが政務などで解放されている場所だ。
 シオンが奥宮で暮らすとなると王家の系列に名を連ねる必要があった。召使いや近衛は、奥宮ではモノであり、共に暮らす者としては立場が違いすぎた。となればということで養子となったわけだ。
 もっとも養子とはいえシオンに与えられたのは奥宮で暮らす権利のみで、ほかの王族が持ち得る権利は何一つ与えられなかった。だがそのことに何一つ問題はないだろう、シオンがしたいことがあれば我らが協力すれば良いだけだ。
 それに我らの末弟となった彼のするべきことは、我らの無聊を慰めること、これに尽きる。だからこそ兄上様もシオンの姿や立ち居振る舞いに癒しを感じて欲したのだと思う。
 シオンを養子として迎え入れたその日からすでに三ヶ月、当初は我らの魔羅を受け入れることも難しかった青く硬い身体は今ではこんなにも柔らかく熟れて奥深くまで包み込み、我らを虜にした。
 熱くぬかるんだは常肉壺に魔羅を優しく迎え入れ、その柔らかい肉壁で巧みにしごき上げ、我らの尽きぬ子種を存分に飲み干してくれるのだ。
 我らの子種は先祖伝来の力故か、数ヶ月で体内で凝縮して小粒の珠を複数個作る。虹色に輝くそれはかなりの量を注がば珠にならぬし、力ある者の子種でなければやはり珠にならない。今のところ珠が作られるのは王家に近い者だけである。
 珠は相手をそれだけ愛した証でもあるが、実は滋養強壮薬として優れた効果がある。ただ製造方法が特殊すぎて、外に出すことはあまりない。
 シオンがそんな我らの貴重な子種を蓄える最適な身体を持っていたのは予想外ではあったが。
 そんなシオンも初夜には泣き喚くしかなかった無垢な身体ではあった。だが今では妖艶に花開き、聞く者を淫らに欲情する嬌声を上げるようになっていた。
 今も我のものを銜え込み、広い湯殿全体にあえかな嬌声を響かせている。その肢体に手を伸ばし、いたずらに床を掻く腕を掴んで軽い身体を持ち上げた。
 貫いたままにあぐらを掻いた上に座らせれば、全身が激しく震え、きゅうっと引き絞られる。空イキを繰り返すことの多いシオンの細い悲鳴が途切れ、ぐったりと我の胸に全身を預けてきた。そんな細い身体を抱え込み、両脚を我の大腿にまたがせれば、大きく割り広げられた股間では細身の魔羅が喘ぐように震えていた。
 もっとも今のそれは、兄上様からの贈り物ですっぽりと包まれて美しく飾り立てられてはいるが。許可無く吐精することの多いシオンのために取り付けられたそれは、許可の無い射精を封じている。これが解放されるときは兄上様が許可されたときのみで、我はおろか父王様ですら解放できないのだ。
 もっともあまりに吐精し続けるとシオンの身体に悪い影響があるのだから致し方ない。兄上様はシオンのためにしているのだから、幾らこらえ性のないシオンが望んでも、これを外すことは考えられなかった。
 それなのに自ら腰を床に擦り付けて、触れることもできない魔羅へ刺激を与えようとしている。そんなことに没頭しているシオンの髪を掴み上げ、抱きかかえた。
「シオン、その淫らな身体でもっと我を楽しませろ、我を見て、我の口を吸え」
 背後から腕を回して抱き締めて、顎下を掴んでその耳朶を舐めつつ囁けば、触れた喉が震え、堪えいるように閉ざされたまぶたが震えた後にゆっくりと開いていく。
「あぁ……」
 蘇芳色の瞳が濡れて昏く揺らぎ、透明な滴が一筋頬を流れ落ちた。その滴を舐めとって、塩辛いそれを味わう。シオンの体液は涙一つとっても甘美で、その一滴すら無駄にしたくなかった。
 我の顔に向けておずおずと伸びた首を撫でるだけで我の魔羅がきつく締め上げられる。熟れた果実のように色づいた唇からのぞいた舌が、我の唇へと触れて。
 絡み合う舌はすぐに我のほうが優勢となり、薄い舌を存分に嬲り上げた。
 座らせたまま腰を揺らせば耳に心地よい響きが届き、きゅうきゅうと締め付けられる妙なる刺激に天にも昇る快感に知らず身悶えた。
 あと少しで爆発しそうなその寸前。天界へと続く階段の最後の一段に足を踏み上げ、そこでじっと耐えるように。もっとも長く感じていたい妙なる快感ではあるが、同時に一気に上り詰めたい狂おしい衝動もあった。その衝動にひたすら堪えたい思うのは、己の身体を痛めつける修練にも似ているだろう。
 もっとも昂揚するそのときが我は大好きだ。だからかいつでもこの段階をできるだけ長く持たせようとするのだが、今日はそれほど溺れるわけにもいかないのも事実。
「そろそろ皆が集まる時間故に、一気に達かせてもらおうか」
「ひぎぃっ!!」
 華奢な身体を床に押し倒し、その背に覆い被さる。片手で腰だけを高く掲げさせ、もう一方の手で薄い胸を掴み支える。床についた顔が苦痛に歪んでいるがそれすらも美しく、指先で硬くしこった乳首をきつく摘まんで、さらに強く歪ませた。
「あぁーっ、ひぃぃっ! あっ、あっ。はげしっ、やぁ、らめぇっ! あ、ぁぁっ」
 乳首への刺激にさらに締まる後孔が、奥へ飲み込むように痙攣している。
 シオンの身体には長い我の魔羅は奥深くまで貫き、薄い腹を荒々しく波立たせていた。奥のきつい閉じた部位を太い魔羅で貫く行為は、並の身体ならば苦痛でしかない。だが我ら王家に伝わる身体強化と改造の秘技を施されたシオンは、その身体が破壊されることはない。
 別宮でも施されるこの術は巨人族の祖が小柄なほかの種族を迎え入れたときのために生み出した人体改造術の一つ。これがなければ人質など初お目見えの面会で皆その身を死者が安置される陰宮(いんのみや)に移されていただろう。
 だがその術を与えられた身体は、少々のことでは壊れない。ましてシオンには特に技に優れた次兄様が念には念を入れて施されたのだ。華奢で体力のないシオンが壊れないように、何度も何度もその身体を変えていったのだから。
 だからこそシオンは、我の太い魔羅で快楽を貪り、我らを喜ばせることができる。
 故に我はシオンの小柄な身体を忖度することなく、我自身の快楽を存分に貪ることができるのだった。



 乾かした艶やかな黒髪を蘇芳色の組紐で一つに括って背に垂らし、洗い清められた身体に薄い紗の衣を身にまとわせる。色は薄桃色で、髪以外は淡い色合いのシオンにはよく似合う。 
 幅広の蘇芳色の腰紐で保持されたその服は袷が少ないために襟ぐりが大きく開いて、シオンの艶めかしい鎖骨のくぼみを隠さない。父王様がお選びになった生地は透けるほどに薄いものを重ねて作っている。
 短い前あわせのそれは足の付け根までの長さで、きれいな形の足を隠さないようになっていた。シオンの足は、毛むくじゃらで太いばかりの我らと比べ、おなごのように細くしなやかだ。だが確かにおなごとは違う骨格でもあり、男なのに美しいとしか評せない。
 そんな身体を彩る装飾はすべて次兄様が考案したものばかり。耳飾りもそうだが、乳首を括り出す飾りもそうだ。
 はだけた胸元からのぞく乳首を深く貫く金色の大きめの鈴は、その表面に細かな紋様が施されているが、これは永久持続の魔法陣だ。不定期に細かな振動が生まれるらしく、涼やかな音が今も鳴り響いていた。
 それは魔羅を覆う網細工の筒にも施されている。服の合わせから覗くそれの先にぶら下がる鈴がそうだ。荒い編み目の奥には別の網目模様があって食い込む肉の姿が外からも窺える。
 湯浴み上がりにシオンをどのような姿にするか考えるのも我の楽しい作業の一つ。
 シオンが我らの末弟となったときに我が引き受けたのがシオンの身だしなみを整える役目だった。つまりは先ほどの湯浴みもそうだし着替えなどもそうだ。
 身の回りの細々とした道具や装具を整えるのは次兄様。
 兄上様と父王様はお忙しいので世話はできないが、シオンへの教育や気分転換などの遊戯などをされておられる。
 本来ならそのようなことは専属の世話係が行うものだが、今のシオンにはいない。その辺りが我が王家のややこしいしきたりというか、面倒くさいところなのだが、基本的に生まれたときに選ばれ教育されたものしか世話係として傍に仕えられないのだ。途中で亡くなったときのために複数人が準備はされるが、シオンの場合は誰一人としていない。その準備は簡単にできるものではなく、故に我らが対応することになったというわけだ。
 だがシオンの世話は面倒なことなど何一つとしてない。
 楽しい時間でしかないシオンの身だしなみを整え、我と共に皆が集まる紫電の間へと向かっているのだが、今の彼はどこか茫洋とした表情で、時折艶めかしく舌を出して喘ぎ、涎を垂らしている。ふらつく足は右へ左と定まらず、仕方なく尻を軽く叩いた。
「急げ」
「も、うしわけ、ございませぬ……是無様……」
 シオンの尻は叩き心地が良く、ついつい強くしてしまうが、時間が無いのも事実。
 そんな我らと出会った召使いたちは壁際に寄って頭を下げている。時々その股間を膨らませているものもいるが、これはもうシオンが妖艶なのが原因なので特に処罰の対象にはならない。彼らの視線がシオンに集まるのも仕方がないと許していた。
 朦朧としているようであったが、時折強い視線から逃れるように身悶えるシオンの尻を叩いて急がせる。
「早く行かねば兄上様の機嫌が悪くなるぞ」
 その言葉で呆けた顔が引きつって止まった足がまた動き出す。王太子である兄上様は厳格な質であられて、規則や時間を破ることには特に厳しい。我も兄上様は怒らせたくないぐらいだ。
 だがすぐに足を止めてしまうシオンのわずかに前屈みになってしまい覗いた尻たぶに再度、今度は強めに平手打ちすればびくんと硬直した身体が前のめりに倒れかける。
「ひぐっ、ぐっ……」
 身体を掻き抱きながら喉の奥で唸り声を上げる。腹に腕を回して支えてやれば、剥き出しの尻から子種が漏れるのを防ぐために入れた栓の頭が出てき始めていたことに気付く。しょうがないとその栓をぐりぐりと押し込めば、ぐちゅぐちゅと濡れた音を響かせながら入り込み、シオンが甘く喘いだ。
 これは大事な子種をすぐに漏らしてしまうシオンのための特製の栓で、我らが注いだ子種が零れないようにするものだ。シオンにはぜひとも我らが愛をその身に蓄えて証を作って欲しいと願った我らの総意の故だ。
 栓は次兄様が考えに考えて作った形状をしており、深く潜り込みやすいような丸い先端部、内部で引っかかるように三段の大小のえらのような段差がある中間部、そして簡単に抜け出さないように深いくぼみ付きの底部を持っている。
 最初の頃は入れるのも苦労して、抜くときもかなり力を込めて引っ張らなければならなかったこれも、最近では身動ぐだけでこんなにも簡単に抜けるようになってきた。そろそろ一回り大きくすべきかと次兄様と相談していたが、やはり早々に対応したほうが良いかもしれない。
 大事な子種をこんなところで零すなど、いくらでも愛の証として注ぎたい我らにはもったいないというのに。
 そんなことを考えていたら、いつもの倍は時間をかけて皆が集まる紫電の間にようやく辿り着いた。



 現在奥宮にいるのはシオン含めて五人。
 一人目はこの国の王たる父王様。御年五十の歳を迎えられているが、未だたくましい肉体美を誇る美丈夫であり、その身体は息子たる我らと遜色ない。我が王国歴戦の強者の中でも群を抜いた勇将で、近隣諸国にも武勇の誉れ高い方だ。
 二人目は兄上様。父王様と同様に武勇に優れ、智将としても優れる現将軍職として誉れ高い王太子である兄上様は二十五歳。男盛りの身体は始祖の巨人族と同様に褐色の肌に盛り上がる筋肉、紺碧の瞳の方だ。敵対する者には苛烈な性格故に畏怖されているが、味方に対して決して無理を通すお方ではない。
 その兄上様の二つ下である次兄様は、我ら三人の中では少々小柄で細身。それでもシオンよりは十センチ以上背は高く、横幅も彼を覆い隠すほどではある。その次兄様はどちらかというと技術、工芸などを得意とされていて、昔から変わった玩具を作っては我らを楽しませてくれている方だ。
 そして我、二十一歳を含めて四人に、今年加わったのが末弟となるシオンとなる。この五人が奥宮で暮らしている。
 そんな我らが一堂に会す機会はなかなか無いのだが、今宵は父王様の呼びかけで奥宮にある紫電の間で酒を酌み交わすことになっていた。
「遅いぞ」
「申し訳ありませぬ、シオンの歩みが予想以上に遅かった故に」
「も……しわけございません……。わたくしがぁ……早く、歩けなくて……」
 扉をくぐった途端に飛んできた兄上様の鋭い叱責に慌てて頭を下げる。確かに時を刻む針は十分の遅れを示しており、我は頭を下げるしかない。言い訳など女々しいが、こればかりは正直に伝えねばこちらに矛先が向いてしまうと発した言葉に続いて、シオンがその場に両膝を突いて深々と頭を下げた。
 膝は床に、かかとを上げて尻を乗せ、指の関節が白くなるほどに強く握られた拳を両膝において頭を下げる。最敬礼とも言えるその姿勢はかなりの筋力を使う形だ。我らであれば膝先まで深く頭を下げるのが正式な礼であるが、シオンのそれはわずかに身体が前屈みになり、頭がかろうじて下がっているなと思う程度。
 これでは兄上様は無礼と考えると思っていれば、
「それが詫びの態度かっ!」
 より強い叱責に、慌ててシオンが頭を下げようとするがわずかに深くなるだけ。平衡を失いそうになってぐらつくのだから仕方がないが、しょうがないと我がシオンの頭を押さえつけてやる。もっともぐらりと傾いた上半身がそのまま床へと倒れ込むのを、額を打つ寸前で支えてやった。
「ぐぅっ……」
 だが支えた身体はがくがくと痙攣し、続くべき詫びの言葉は出てこない。力なく開いた顎はあわあわと何か音を発するが意味不明で、倒れた身体を起こそうともしない。裾の短い服はめくれ上がり、頭が下がったせいで形の良い双丘が剥き出しになって高く上がっている。もっとも普段はきめ細かなその白い尻は、先ほど我が何回か叩いたせいで赤みを帯びていた。
 だがそれよりも、その狭間にある丸い底を見せる栓に我らの視線が集まった。
「漏らしてんなあ、やっぱもうゆるゆる?」
 頬づえをついた次兄様が苦笑気味に零すほどに、その栓の脇から泡立った白濁が垂れていた。僅かではあるが、それでもはっきり見えるほどだ。
「漏らすなという言いつけも守れぬか」
 呆れたように兄上様が嘆息と共に零す。
「全く少し甘やかしすぎたかも知れぬな」
「しかしシオンは我らとは違い体力も無い故にあまり強い躾ができませぬ」
 それに何よりかわいいシオンを構うほうが楽しかったというのもあるのだが。
 そんなことを思わずぼそりと呟けば、次兄様も兄上様も続く言葉を閉ざし苦笑を浮かべた。その中でもシオンは頭を下げたままだ。その赤みを帯びた尻を撫でて、緩くなった栓をコツコツと叩く。
 途端に震えた身体を抱き上げて尻を突くようにしてやれば、腕の中で小刻みに震える。
 そのかわいい姿に思わず抱き締めようとしたのだが。
「おまえたち、せっかく冷やした酒が温もってしまうぞ、いい加減席に着け」
 笑み混じりの低い声が響き、我ら三人は視線を向けた。上座の席に着いた父王様が苦笑を浮かべて手招きをしている。
「シオンをこちらへ」
「かしこまりました」
 招かれるままに、我が動きそうにないシオンを抱き上げて運ぶ。ここに到るまでの間に腰帯が緩み、前ははだけて下腹の淡い茂みすらのぞいていた。その中心の金編み細工に包まれた魔羅は、変わらず張り詰めたままで運ぶ動きに揺れている。ずっと零し続けていたのか魔羅から出た粘液が網目に膜を張っているほどだ。
「ふふっ、蕩けた顔をしている。先ほどまで是無(ぜむ)と遊んでいたようだな」
「はい、興が乗って多量の子種を注ぎました故に栓をしていたのですが」
「漏れたようだな。それでは追加を注いでやろう」
 その言葉に頷いて、シオンを抱え直した。我の胸に背をもたれさせて、両膝に腕を回して足を広げさせる。
「あ……」
 ぼおっとなすがままだったシオンが数度瞬き、慌てたように身を捩った。だがその動きも赤児が暴れた程度で邪魔にならない。そのまま父王様へと差し出せば、愛おしげに微笑んだ父王様がシオンの頬へと手を伸ばし、囁いた。
「我らが酒をたしなむ間、そなたにはたっぷりと我の子種を与えようよ」
「へ……いかぁ……、お、赦し……ぉ」
 涙が父王様の掌を濡らし、その首が左右へと揺れる。だが父王様の慈しむ笑みは変わらず、我は誘われるままにゆっくりと父王様の膝の上へとシオンの身体を下ろしていった。その股間に手を伸ばした父王様が嗤う。
「これはもう要らぬだろう」
 笑みは変わらず父王様の手がシオンの栓を下へと引っ張る。
「やっ、まっぁぁっ、ひぎいっっ!!」
「ふむ、もっと緩いかと思ったが、まだまだ締め付けは十分のようだぞ」
 そう言った父王様の手には、湯殿で我が納めたシオンの栓がだらりとぶら下がっていた。「これなら余のものでもまだ充分だろうな」
 緩めた指先から床に落ちた栓が鈍い音を立てた。だがその音が響くより先に、無理な引き抜きに絶叫を上げたシオンの穴がぐちゃっと濡れた音を立てた。続いたのは引き絞られたような鋭い悲鳴。
「ああ、甘える姿もかわいいものよ」
 太い腕の中で可憐に震えるシオンが包み込まれている。その頭と背を父王様が愛おしげに撫で、あやすように頭に口付けた。
 シオンを見いだしたのは兄上様だが、一番可愛がっているのは父王様だ。むくつけき男児ばかりの我らとは違う愛らしい姿が父王様の何かを貫いたらしい。我らも臣下の誰もが父王様がそのような好みをお持ちとは考えてもいなかったが、父王様はそれほど独占欲は強くなく、我ら全員で可愛がることができるのは違いないためにそのことに依存はなかった。


 父王様がシオンと戯れるときに初めて勃起した魔羅を見たのだが、そのときの感想は「でかい」の一言だった。我もそこそこに立派だと自負していたが、その我とまた一回り違うような気がする。やはり体格が良いと魔羅もでかいのだと感心するほどで、若干我の矜持に衝撃があったのも事実。それでもシオンがなかなか受け入れられなかったときのことを思えば大きすぎるのも問題だなと諦めもついた。
 今も大きく股を広げてなんとか銜え込んでいるようで、シオンはかなり苦しそうだ。
 洗うときに我の腕を飲み込むまでできるというのに、それでも父王様の魔羅は苦しいものらしい。
 抱きかかえたまま差し出されたグラスをゆっくりとたしなむ父王様の腕の中で、未だにシオンはビックビクと痙攣を繰り返す。
「苦しそう」
 そんなシオンの傍らに跪いたのは次兄様だ。めくれ上がった服の裾を整えてやりながら、次兄様がそっと顔を寄せたのは、父王様の魔羅を銜えて今にも張り裂けそうになっているシオンの後孔だった。シオンのものより肉厚の舌が口から覗き、泡立つ体液にまみれたそこへと寄せられる。
「ひっぐぅっ!」
 毎日誰かしらの魔羅を飲み込む後孔ではあるが、きれいな色合いで今はぬらぬらとてかっていた。そこに押しつけられた舌が体液を舐めとるように動き、めくれ上がった縁を舌先で押し込める。時折父王様の魔羅すら刺激すれば血管の浮いた肉が小刻みに震えて、それが新たな刺激となってシオンを喜ばせているようだった。甘い吐息がひっきりなしに零れ、口の端から涎が伝い落ちていく。
「ひ、あっ……だめ……裂けっ、……い、やぁ……無理ぃ」
 舌が魔羅と縁の隙間から少しずつ入り込んでいく。食い込ませたまま周縁部をなぞるように舌を動かす次兄様の視線はシオンを凝視していた。彼の一挙手一投足を窺いながら、彼の善いところを探しているのだろう。
「是蒼(ぜそう)よ」
 息を堪えたように父王様が次兄様の名を呼ぶ。無言で応えた次兄様に父王様が言葉を与えた。
「先日頼んでいたものはできておるか?」
 頷きで返した次兄様が我を見る。それから傍らの机へと向かうのに、我は頷きその上にあった箱を手に取った。
 蓋を開けばそれが何なのかすぐにわかり、その箱を父王様へと差し出す。
「ふむ」と父王様が箱の中のそれを手に取れば、シャラリと軽い音がして、指にまとわりつくように繊細な鎖が流れ落ちた。指先に摘まんだのはバネ式の留め金で、間髪を容れずにそれがシオンの胸元へと向けられる。
「いい子には余が手ずから着けようぞ」
 太い指がバネ抑えを押すが見た感じなかなかの力が必要だ。シオンは目の前を横切ったそれが何かわからないのかぼんやりと見つめていたが。
「い、痛ぁっ! 痛い、痛い――っ!」
 揉みしだかれて膨れた乳首にパチンと挟まった途端に、悲鳴を上げて全身で暴れ出した。それこそ父王様の腕から外れるほどの勢いで、膝からずれた身体が前へと傾いだのだが。
「い、いぁぁぁっ!」
 腕を掴まれて落ちるまでには到らなかったが、父王様の手から伸びる細い鎖はピンと突っ張り、留め具のついた乳首が歪に伸びきっていた。その痛みからか硬直した身体が、再度父王様の胸へと戻される。
「暴れるでない、あやうく乳首が千切れるところだったぞ」
「恐れ多くも父王様の腕の中で暴れるとはなんと行儀が悪いことか。今度は私にお渡しくださいませ、しっかりと躾けし直しましょう」
 兄上様が憤懣やる方ない表情で父王様に進言されていた。
 その声音の強さにひぐひぐと泣きじゃくっていたシオンの泣き声が止まる。怖れでしかない表情を浮かべた頭がふるふると左右に振れる。
「おお、おお、是羅(ぜら)が怖いと見えるな」
「先だって言うことを聞かずに粗相をしたために鞭打ちを行いましたが、それが効いてはいるようですね。しかし恐怖で怯えてそのような痴態を晒すとは情けない」
「おお、怖い怖い。是羅の仕置きは見ている余もなかなかだからな。だがシオン、是羅はそなたのために心を鬼にして躾けをしてくれているのだからな」
 ついつい甘やかしてしまう我や父王様と違い、兄上様は本当に反省してその所作が身につくまで許してくれないところがある。ああまで言い切ったからには、そう簡単には許してもらえないだろう。
 だがそう思った我らの目の前で兄上様は、不意に口角を緩められた。
「だが父王様はもう一つ同じものをお持ちだ。それを同様にそなたの乳首に付けて身動ぐ一つしないであれば許しても良かろう」
 その言葉に父王様がもう一方の乳首へと手を伸ばして。


 紫電の間が震えるほどの絶叫はいつまでも続いていた。


 兄上様の躾の方法は多岐にわたるが、今宵はせっかく全員集まったのだからとシオンの奉仕活動を主としたらしい。
 父王様から始まって、兄上様に次兄様、そして我への奉仕はすでに東の空が明るくなっても続いていた。
 その長い間腰を振り続け、口を開けてほおばり続けた身体は限界らしく、その動きはたいそう緩慢だ。
 太い魔羅を何本も銜え続けたせいか少し緩んでいて締め付けもいまいち。これでは我を達かせるまでにはいたらないのは明白で、物足りない刺激に顔を顰めるしかない。横たわった我の上で腰を振るシオンは、もう意識を飛ばしているのか瞳の焦点が合っていなかった。
「シオンよ、是無を達かせられないというのであれば、別の罰を与えるぞ」
 兄上様の言葉にすらもう反応しない。いつもなら兄上様のため息が聞こえただけでびくびくと震えるほどに反応する身体ではあるが、これはもう限界だろう。
「兄上様、もう何も聞こえておらぬようです」
「ならば是無よ、それを庭の木に括り付けてこい。言うことを聞かぬお仕置きは木に括られて反省というのが我らの定番故に」
「あ、ああ、そうでございました」
「うわぁ……嫌だねえ」
 幼い頃に何度も課せられた罰を言いつけられて、思わず顔をしかめた。次兄様も思い出されたのか、嫌な顔を隠しもしない。
 幼い頃からきかん気の強かった我も悪戯好きの次兄様も常連とも言える罰は、当然良い思い出があるわけもない。
 だが兄上様の言いつけは絶対であり、かわいそうだなと思いつつもシオンの身体を抱き上げた。
「ひぃん……」
 ズボッと音を立てて体内から我の魔羅を抜き取る音が、淫靡な臭いが充満する空気の中に響く。今日の執務のために父王様はすでに退席されていたが、残った我らはシオンを抱えた我を先頭にさっそく庭先へと移動した。
 その中でも特に大きな木は幼い頃は巨木だと思っていたが、今見ると我の腕で十分抱えられる程度だった。
「こんな小さかったっけ?」
 首を傾げる次兄様の言葉に思わず頷く。
 太い幹から枝葉を伸ばし絡み合う姿は、幼心には黒い悪魔にも見えて恐怖に襲われたものだが、朝日の下のせいか今は恐怖感など欠片もなかった。
「括り付けるだけ?」
「幼子ならそれだけで十分だが、シオンはもう成人しているのだからこちらにつなげ」
 示されたのは高い位置にある枝からぶら下がる四本の綱。先端にそれぞれ枷が付いていて、一つずつシオンの四肢へとつないだ。
 長さは余裕があって、そのままその身体を離せば地に伏せることが可能だ。
 いつもと違うなと首を傾げた我の前で、笑みを見せた兄上様はおもむろに懐から取り出した瓶の中身をシオンの身体に振りかけた。
「それは?」
「サボった罰だ。もっと働きたいと思うようにな」
 その効果は見る間に現れた。
 朦朧としていたシオンが身悶え、熱い、疼くと唸りだしたのだ。
「ひぃ、あ、熱いっ、やあっ、痒い、かゆいっ! やぁ、何ぃ……熱いっ、奥が、あっ」
「ああ、掻痒効果のある媚薬でございますか?」
「我らの精があれば解毒できるものだ」
 爽やかな早朝の風が我らの周りを通り過ぎた。
 美しく整えられた緑の芝の上で漆黒の髪がふわりと風になびく。美しい蘇芳の瞳が青い空を映していた。
 その口から、浅ましくねだる声が漏れ聞こえる。
 伸ばした白い指先が我らを探すように蠢いていた。
 そんなシオンに兄上様が袋から取り出した珠を口に含ませて飲ませた。喉が数度動き、飲み干したのを確かめてから離れる。
 その後は兄上様も次兄様もそんなシオンを一顧だにせずに踵を返した。
 ちらりと見やれば、さっそく滋養強壮の効果が出てきたのか、シオンの目元にあったクマは消え、しなびたようになっていた肌は張りが出て、肌色が良くなっていく。
 さすが我らの力ある子種が凝縮した珠だと、その絶大なる効果に感心する。
 これならば本日一日ここで反省してもらっていても大丈夫だろう。
「是無、今日は視察に出かけると聞いているが」
「はい、兄上様。そろそろ準備に入りますが、本日は帰れないかもしれません」
 残念ながら今日はシオンの世話はできない。だからこそ昨夜はしっかりとその身体を洗ってやっていたのだ。
「是蒼は……」
「俺は高等学校の研究発表会に出て、その後は懇親会。その後は公爵殿の館に招かれてるんで帰るのは明日になるよ」
 次兄様も忙しい身の上で、本当に昨夜のように皆が揃うのは珍しい。
「兄上様は隣国の大使との会議に出られるとか」
「そうだ、夜を徹してでも結論づけないとならない案件があってね」
 さくさくと庭を通り過ぎてそれぞれの部屋に別れる寸前、誰ともなくシオンのほうへと視線を走らせた。
「明日には腹の珠を産ませられるだろう」
「楽しみぃ、前回は嫌がって逃げたけど、今回はおとなしく産んでくれるかな?」
「産んでもシオンに使う必要があるので全く在庫が増えませんしね。増やそうと思って我も頑張りましたが、あの腹ではあまり溜まらないのが問題ですね」
 視線の先で身悶えるシオンの身体が朝日に輝いて見えた。
 元気を取り戻したシオンの声は喘ぎ声でも美しく響くのだが。
「やだねぇ、あの声を聞いていたら俺の身体まで熱くなっちまう」
「我らがこのように忙しいとき誘われても困りますね」
 熱くなる下腹部から気を逸らしながら苦笑をする我らに、兄上様が頷いて。
「明日時間ができたら、むやみに人を煽るなとしっかりと躾けなければならぬな」
 それがどのような躾けになるのか、怖いと思う反面見てみたいと思った我だったが、どうやら次兄様も同様に思ったのだろう。
「俺も明日時間ができるように頑張ろうっと」
 呟かれた言葉は、我自身も思ったことだった。


【了】