快楽マンション3号室 ケンジとサトシ

快楽マンション3号室 ケンジとサトシ

某所のある殺風景なビルは、限りない深い愛ある生活を送りたい5組の恋人達が集まったマンションだった。

 連続絶頂、エレベーターホール





 ズズズズッと、身体の芯に響く艶めかしい振動とともに、熱く腫れて敏感な肉の中をそれ以上に熱くて固い塊に擦られる。
 ざわざわと全身に広がるむず痒いとしか言いようのない感触に、堪えていた声が吐息とともに零れる。
 これ以上されたらヤバイのに、抜けようとするそれをとっさに締め付けてしまって、そのリアルな存在感にぞくぞくとした疼きが生まれて筋肉を震わせた。
 壁についた手が、汗で滑って。がくりと額を打ち付けたけど、それどころではない。
「あひっ、も……やめっ」
 抜けると期待させておいて、ずんっと突き上げられて。
 無機質な封鎖された空間に、濡れた音と明らかな嬌声が大きく響く。
 立ったまま、ズボンだけ下ろされて背後から犯されているというのに、淫らになったこの身体は、俺を犯す男に何度も、射精だけで無くドライでも達かされていてもうまともに力が入らない。
 壁に押しつけられた首筋にかかる熱くて荒い吐息でその淫猥さを嗤われて、もうイヤだと首を振るけれど、そんな抗議も首筋を噛まれて封じられた。
 食い破られそうな強い痛みに覚えた恐怖に、けれど、そんな刺激をこの身体は痺れたような快感にして、拡散させてしまって。
「ん、くっ、ふっ!」
 硬直したままガクガクと激しく痙攣し出した身体は、自分ではもうコントロールできない。
 冷たかったはずの壁は俺の熱が移ったようで、背後の男の身体と共に生ぬるく俺を包み込む。
「そんなに締め付けたら……」
 掠れた声で囁かれる言葉なんか、聞きたくない。
「また、搾り取られそうだ」
 内股を指先で撫で上げられ、指先に付いたその白い滑りを目の前に差し出されて。
「好きだね、ほんとうにこれが」
 荒く繰り返される呼吸のせいで、閉じることができない唇の間に指が滑り込む。
「ふあ……あめ……」
 壁に押しつけられていてはそれを振り払うこともできず、奥に入り込み縮み上がった舌へと、吐き気すらするそれを移されて。
 嗚咽を繰り返す俺の耳朶に、悪魔の囁きが繰り返さる。
「そんなに大好きなら、お願いしてごらん? お願いされたら、可愛いサトシのためだもの。ベッドの上でもっとたくさん抱いてあげる。こんなところじゃ無くてさ」
 ずっとそう言って俺を追い立てる男は、言葉だけ拾えば優しい恋人の、睦言のように聞こえるだろう。
 俺も、つい先日までこうやって囁きかけられるのが好きだった。
「気に入ったんだ」と初めて告白されたとき、男なんて、と突っぱねた俺を、こいつはゆっくりと懐柔していって。
 酒が入った席でのゲームのように始まった性的な接触は、緩慢ともいえる進展のせいで俺の嫌悪感と警戒心も消していって、ついにこの身体を拓かせた。
 こいつなら良い。
 これで良いんだって思わせて、俺の身体を変えていって。
 こいつが与える快感に溺れてしまった俺がわるいといえばわるいのだろうけれど。
「それとも、やっぱりここでたっぷり達きまくりたいのかな」
「い、いやっ、あっ、ひぃっ!」
 拒絶しようとした途端に突き上げられ、言葉が嬌声に消される。
「ったく、好きモノだなあ、こんなところでするのが良いなんて」
「あ、っぁぁっ!」
 俺の言葉なんか聞きもしないこいつから逃げたいのに、けれど俺の身体だけは肯定するようにまた絶頂に駆け上る。
 一緒に住もうって言われた時は純粋に嬉しかったけれど、引っ越した当日、俺は騙されていたことを知った。
 こいつにとって俺は、恋人という名の便利な性欲処理係でしかないってことを。
 だって、どこの誰が恋人をベッドに縛り付けて、嫌がっても、泣いても、犯しまくるなんて事をする?
 侮蔑の声音で「淫乱」なんて、蔑む?
 ベッドはこいつが俺を犯すための場所で、それ以外の物では無い。
 足腰立たなくなるまで犯されて、トイレにすらまともに連れて行ってもらえずに、どんなときでも何かが体内にあって。
 そのまま抜けないようにして放置してしまうことなんてしょっちゅうで。
 外に散歩だと言うその口で、俺の中に振動する玩具を埋め込んで、まともに歩けない俺を嘲笑うのが恋人なんて、認められない。
 客が訪ねて来ても、玩具に狂いまくる俺を放置して、なおかつそのドアを開けっ放しで出て行くなんてこともあった。
 外部への開放部が少ないのに、3m四方はある広いベランダに、全裸で連れ出されたのは一昨日のこと。両手を最外壁にある壁のフックに後ろ手で結ばれて、動くバイブをアナルに深く突っ込んだまま放置され、あいつは部屋の中から酒を飲みながら悶える俺を観察しては笑ってた。
 俺はあれからベッドで安眠できたことなんて無い。
 いつも、いつだって、犯られまくって気絶するように寝るだけだ。
 だから、ベッドに行こうって言われるのだけは絶対にイヤで。イヤで、とにかく逃げ出したいのに。
 元のアパートは解約済みで、実家は遠くて、しかも、勝手にカミングアウトしたこいつのせいで俺は勘当すらされている。あの時はこいつに惚れてたからそれでも良かったけれど。今はあの時に戻れるならなんとしてでも戻りたい。
「こんなところでヤリたいなんて、お前ってそんな趣味だったんだ」
「こ、のっ、もうっ、ちがっ、ぁぅっ」
「何が違うって?」
 嗤われて、拒絶したいのに、すでにぐずぐずに蕩けた身体は、言うことをきかない。
 今日こそは、と隙を見て逃げようとしたのに、なぜかエレベーターがなかなか来なくて、階段に続くドアはなぜか何をしても開かなくて、うろうろしている間に捕まった。 
 そして。
「そんなにエレベーターの中でしたかったんなら、してやるよ」
 スタンガンなんて持っていたこいつに、その表情に、俺は、逆らうことなんてできなかった。
 今はもう。
 ただ、金属の壁に縋り、濡れた音を立てて、押し寄せる快感に淫らに喘ぐだけだ。
 朝もして、昼もして、ドライも合わせて何度も達かされたこの身体は、こいつの頭以上に俺の言うことを聞かない。
 こんな、マンション内のエレベーターというパブリックスペースで、まだ日も高い14時というこの時間に。
「ひっ、だ、ダメッ、やだっ、そこばっか、あぁ゛、あ゛っ」
 腫れ上がるほどに虐められ続けて敏感になった一番俺を追い詰める場所が、脳内を真っ白に弾けさせ理性を奪いまくる。
「や、あっ、こ、壊れるっ、コワレ、あっひぃっ、ぶっ飛ぶっ、ああ」 
 我慢していた声も、射精も、何もかも。
 無駄な努力だと嘲ける声と共に、吹っ飛んだ。


 朦朧とした意識の中で、足に絡まっていたズボンと下着を剥ぎ取られる感触にぶるりと身震いする。
 冷たい床に熱を奪われて、縋るように動かした指がずるっとと滑った。
 床に伏して顔を横にして、その視線の先にある白い液溜まりの中に浸かった指が白く汚れていた。
 知らず流れた涙が、頬を汚す。
 シャツを剥ぎ取られ、剥き出しになった胸が床に触れて。
 カチッ
 ごく僅かに振動でも、走る痛みの中の甘い疼きに歯を喰い縛った。
「身体の方はダメとは言っていないな」
 伸びた指が弄ぶ元は指輪の乳首の飾りに、込み上げた唾液が喉に流れる。
「あいかわらず良く似合ってる」
「や、あ……さわん、なぁ……」
 抗う手は床に押さえつけられ、くすくすと嗤う口がその飾りを銜え、舌先で転がしていた。そのたびに、甘く芯に響くような快感が背筋を走り抜けて。
 脳を麻痺させ、尾てい骨を震わせる。
 こんな奴だと知って、貰っていた指輪を投げつけ返したけれど、それは最悪の形で俺の元に戻ってきて。
 俺の力では外せない上に、痛みが残るそこは、元から敏感で感じやすかったせいか、触られるとなぜか堪らない疼きを痛み以上に俺に与えるのだ。
「ん、また元気になってきた」
 その身体がぐるりと仰向けにされて。
「も……だめ……」
 まだ、終わりで無いとばかりに、あいつがのしかかってきた。
「なんで? ベッドに行きたくないんだろう? ここでするのが良いんだろう?」
 嘲笑交じりの言葉に視線を動かせば、覗き込む好青年然とした男の肉食の瞳がぎらぎらと見つめている。
 誰もが騙される笑顔だとしても、あの時、俺は何で騙されてしまったのか。
 激しい後悔に陥る俺の瞳は、堰を切ったように涙を流し続けて、視界がゆらゆらと揺れていた。
 そんな視界の片隅に入っているのは、明滅するエレベーターの階数表示だ。
 さっきまで動く気配がなかったそれが、僅かな振動と浮遊感、そして加速を伝えてきたのだ。
 今さっきまで屋上階にあったこれが階下へと動き出したのだ。
 5階建てで、1階は受付と大家の部屋、2〜5階までは各階1部屋という、見た目よりははるかに高級で広い間取り、強固なセキュリティ、そして設備を誇るマンションで、部外者は入れないから昼日中とはいえエレベーターが動く時は少ないけれど。
「いや、だぁ、もっ、止めっ、ひぐっ」
 扉が開けば、男にレイプされているとしか言いようがないこの状況を、まともに見られてしまうのだ。
 公共の空間で、全裸の俺がされているところを。
 今更、と、こいつは笑うかもしれないけど。
「あひっ!」
 ぬかるんだ肉を、いきなり熱い楔に突かれて、背筋が反る。
 口角から溢れた涎が飛び散り、見開いた濡れた瞳が扉を鏡のように写した。
 全裸にされて、両手を投げ出して。大股開きの間に入り込み股間で激しいピストン運動をしている男が、何をしているかなんて、バレバレだ。
 確かに、そんなことを気にするのは今更、だと思う。
 あの、天井にある半球状のそれが、何かなんてよく知っていて。 
 見られているような視線を感じて、慌てて顔を背ける。
 できれば誰か止めに来てくれれば良いのに、けれど、期待できないのは経験済みだ。
 ここでするのは、もう二度目だし、あの監視カメラが何のためのモノかあの後説明されていたから。
「だ……めっ、あぅっ、んふっ、も、やめっ、あっ」
「なんで?」
「ひぎっ!!」
 快楽の元が、柔らかいのに確かな芯を持つそれに潰されて、身体が跳ねる。
「ほら、また悦んでるくせに」
「だめっ、やぁ、またぁ」
 俺の感じるところが何カ所も刺激される。
 初めての時から執拗に嬲られて教え込まれた快感は、俺を裏切り、尽きること無く追い詰めた
「んっ、あっ、そんなっ、またっ、お、くぅっ」
 ぞくぞくと、再び激しく痙攣する身体に、ぎゅっと固く目を瞑った。
 弾ける快楽は一気に強くなり、瞼の裏が白く爆ぜ、膨れあがった感覚に意識から引きずられる。
「ぎっ、い————っ」
 その絶頂は、ひどく長く続いた。
 身体をバラバラにし、その存在が感じられない。
 強烈な快感に気を失うことすらできず、白い世界で濁流に飲み込まれて、流されるだけ。
 チン、と。
 すぐ近くでした聞き覚えのある小さな鈴の音にすら、意識が戻ってこず、ただ、その間も抉られ与えられる快感の渦で抗い続けるだけだった。






「おやおや、白目を剥いてるよ。虐めすぎじゃ無いのか?」
 エレベーターの扉が開いて現れたスーツ姿の4階の住人の姿に、サトシの上にのしかかっていた俺は、顔だけを上げてニヤリと嗤った。
「こいつが欲しがるだけ与えているだけですよ。ほら、まだ勃起したままでしょう」
 身体を起こし、サトシの太股を抱えてグチョグチョに繋がってるすぐ上のそれを見せてやる。
 白濁まみれのそれは、まあ、若干柔らかくなっているが、まだまだいつもよりは固い。
 そのままぐにゅっと音がするほど強く腰を押しつけて、柔らかく俺を包む穴を掻き混ぜてやれば、クスンクスンと甘く啜り泣いて。
 零した甘い吐息に交じり、乳首を飾るプラチナの三連リングがカチカチとなった。
「マジ、淫乱くんだねぇ、ケンジの彼は」
 サトシが引っ越してきたときに最初に挨拶した新居浜さんが視界に入っているだろうに、その瞳は焦点を合わせない。
 快感に染まってしまうといつもこうなので、気にしないけど。
 でも、ちゃんと挨拶はしてもらわないと困るから、後でしっかりと叱っとかなきゃいけないかな。
「後で、謝らせますね。ここでは近所づきあいが大切なのに」
「いいよ、まだ慣れていないんだし。それに、ずいぶんと楽しそうだからねぇ」
 くすくすと嗤いながら傍らにしゃがみ込んだ彼は、どうぞ続けて、と俺を促す。
「新居浜さんとこほど、じゃないっすよ。昨夜なんて、屋上ガーデンで、ずいぶんと愉しんでたじゃないですか」
 セキュリティが万全のこのマンションは、いたるところに監視カメラが付いていて。
 このエレベーターはもちろんのこと、温室付の屋上ガーデンだって例外では無い。
 夜でも灯りを付ければくっきりと映り、灯りが無くても暗視モードで見て取ることができるその映像は、住民ならば自由に確認できるのだ。
 実のところ、このカメラは部屋の中にもついていて、住民の指先一つで公開モードに変えられるようになっている。
 こんなふうにアナルを穿ちながらそれを教えたときのサトシの驚愕と絶望に彩られた表情はあまりにも俺の芯をゾクゾクさせてくれて、思い出した今でも俺を高揚させてくれるほどだ。
 そんな監視カメラで、ここのようなパブリック・スペースにある物は、基本的に全公開だから、新居浜さんの彼氏の様子は、しっかり綺麗に見て取れていた。
「あれは、外が好きだらねぇ。大好きなところだとすっごく燃えるし。おかげで寝不足だから、今日は午後休だよ」
「ひぃっ、あっ、もっ、なかぁ……あっ——っ」
 不真面目リーマンの言葉を聞きながら、ズンバコと抉り続けていたら、またサトシの身体が硬直して。 
 意識が朦朧としていても、淫乱な身体は正直に反応しているようで。
「うわぁ、元気だねぇ」
「好きものだからなあ」
 俺が達くより先に、また達った。
「今日、何回目?」
「ん〜、朝に一発、昼飯食べながら二発、ここではまだ三発目がでたとこ、かな?」
「うわ、絶倫」
 その言葉に、笑顔で首を横に振る。お気に入りを誉められたせいで、顔は緩みっぱなしだ。
「絶倫って達ってんのはこいつですよ。だって、それだけ出して、まだ萎えないし。それ以上にドライでは達きまくりだし」
「うんうん、判ってるて。この子って、若いだけあって、元気だよねぇ」
 伸びた手が俺の身体との間で揺れるペニスに触れた。
 ザーメンにまみれたそれは、朝から出しまくったそれでバリバリのヌメヌメだ。それを手の中でゴリゴリ、ぐにゅぐにゅ触られて、きゅうっと肉穴がいやらしく締め付ける。
 気持ちよくて、こっちがあへあへ言ってしまいそうだ。
「でしょ、今だってさあ、ベッドに行こうって言ってんのに、我慢できないってさ」
「うんうん、絶倫の淫乱ちゃんって、マジどこでも欲しがるね。それを満足させているケンジくんって凄いよな。俺も見習わなくっちゃ」
 腕を組んで、心底そう思ってる素振りを見せる彼の言葉には、苦笑するしか無い。
 はっきり言って、この新居浜さんは、俺よりよっぽど相手に尽くしている。
 今だって、疲れたから帰ってきたんじゃ無くて、まだまだ物足りなくて疼く身体を持て余している相手のために帰ってきたんだろうから。
「タモツさんが待っているんじゃ無いですか?」
 正面玄関のロックを解除する暗証番号は各部屋で違って、その専用の番号で解除されたら部屋でチャイムが鳴るようなっている。
 だから、同居者が帰ってきたら、すぐに判るのだ。
「ん、そだねぇ」
 その言葉とともに、エレベーターの扉が開いて、視線がちらりと彼の部屋の玄関に向けられて。
 ちろりとひどく艶めかしく見える仕草で舐めた舌が消える頃には、また穏やかな笑顔になっていた。
「じゃ、俺も戻るかぁ。ケンジくん、またね」
「はい、また」
 立ちあがる新居浜さんの姿に、俺は弛緩してゼイゼイと息を荒くしているサトシの身体を抱き寄せて、起こした。
「はっあっ!」
 繋がった場所からグジュッと濡れた音が響いて、中に出した俺のザーメンが溢れ、床を汚す。
「あ、今日の床掃除はうちのにやらせるから、そのまんまにしといて」
 流れる液体に、心底嬉しそうにしてくれた提案を、断る理由も無く、ありがたく受ける。
「じゃあ、今度屋上、水やり、手伝いっます……。サトシ、連れて」
 突き上げながらだから、声が続かない。それでも、言いたいことは汲み取ってくれたようで
「そりゃあ、タモツも悦ぶよ」
 隣人同士の交流が少ないと言われる昨今だが、このマンション内に限って言えばそんなことは無い。
 受付も務める1階の大家宅も合わせて5世帯が住むこのマンションは、皆が顔見知りで、何かの時の協力体制が完璧にできているほどに仲が良い。
「そういえば、大家さんが明日の夜に上映会をするって言っていたよ」
「わ、久しぶり、ですっ、楽しみぃっ。サトシ連れて、おっと、ん……絶対、行きますっ」
 上映会と言っても、映すのは、大家が作った映像だ。だが、玄人はだしの大家の映像処理技術はほんとうに素晴らしくて、いつもいつも上映会はたいそう盛り上がる。
「上映会は、サトシくんは初めてだっけ?」
「ええ、んくっ」
 あの素晴らしい映像を、ぜひサトシにも見せてやりたかったのだ。
「んっ、ぐ……も、やめ……おねが…………あぁ、くっ」
 対面座位の腰を掴んで、いまだ満足してない俺のチンポをぐいぐいと押しつけて、サトシの大好きな前立腺弄りをしてやると、クンクン、ヒイヒイと悦びまくる。
 快楽に耽ってもう俺の言葉なんかまともに聞こえていないのだろうけれど。
 でも、せっかくこの体勢になったのだから、もっと愉しみたい。
 恥ずかしがり屋のサトシは嫌がるけど、俺は大好きなサトシのイキ顔、アヘ顔を堪能できるから、一番のお気に入りだ。
「やーらしい顔、そんなに、よがって、締め付けて、あはっ、すごっ。な、マジ、ベッド行こっ、そしたら、もっと弄くってっ、あげる、のに」
「あっ、ひっ、や、あぁっ、だっ、あ、んっ」
 仰け反り悶えるサトシは、背中を支えていないと後ろに倒れてしまいそうになる。
 そんなサトシの身体を抱きしめて、俺はかぷりとその喉に噛みつきながら、込み上げる快楽に身を任せながらうっとりと囁いた。
 サトシはまだまだって言うけれど、やっぱりベッドでじっくりねっとり可愛がりたい。
 この淫乱で可愛い俺のお気に入りの恋人を。
「次はベッドに、運んで。この手足をベッドに縛って、サトシのインラン、チンポ大好き、穴、という穴に、玩具、突っ込んで、右の乳首から、……いっぱいっ、可愛がってあげるぅっ」
「んあっ、がっ、あぁ、そんなっ、も、——ぃ、あうっ」
 ボタボタと頭上から水滴が降りしきるから。
 仰ぎ見れば、たらんと締まりの無くなった喜色満面で、サトシが譫言のように言っていた。
 ああ、やっぱりサトシもそろそろベッドに移りたいんだよね。
 サトシは、ベッドじゃ無くて違うところで嬲られるように犯されるのが大好きな淫乱だけど。
 それでも、俺にも合わせてくれるから。
 だって、俺が好きなんだ。
 サトシをベッドから出さないで、ずっとずっとたっぷり可愛がって上げるのが。
「うっ、んっ、期待してくれて、大丈夫、今日は、ずっと、付いてて、あげるっ。この前みたく、放っといて、でかけたりしないから」
 先日は、どうしても抜けられない用事があって、サトシを1人にしてしまったから、嫌がっているのだろう。
 寂しくないように、おニューのでかぶとバイブを入れて、カメラ映像付きのネットチャットでちゃんと話しかけてあげたのだけど。
 達きまくって悦んでいたようだけど、俺が愉しみたいからって射精を制限したのが気に入らなかったみたい。
 だから、今日はたっぷり達かせてあげている。
 ぐっちゃぐちゃのアナルは俺のザーメンだけど、この服の染みも、床の液溜まりも、全部サトシのだけど、もっともっと達かせてあげるから。
「サトシ……、ほら、達って」
「ひ、ああっ、むりぃ、やあ————っ!」
 一瞬硬直した身体が、ぐるりと白目を剥いてカメラに向かってイキ顔をさらして。
 ああ、サトシは見られるのも大好きなんだ、と、だらりと垂れた舌に食らいつき、柔らかなそれを食みまくる。
 そんなことでも、ぎゅうと閉まる熱い肉に、俺の身体はこの先の楽しみを想像して、ぷるりと歓喜に震えてた。

【了】