【公爵様の優雅な遊戯】4

【公爵様の優雅な遊戯】4

 うなじに入れた奴隷印から蔓のように伸びた触手が、彼の乳首にまとわりついていた。
 薄い衣服の下で赤黒い模様は薄く見え、彼の悦楽の表情からしても、妙なる快感をもたらしているのがよく分かる。
 魔術の力を持つ奴隷印は、大変高価で、しかも今回のは施術時にその者の精気を魔力に変える必要があり、三日三晩性欲に溺れさせる必要があったが、何、私の体力であれば問題なく、今ではすっかり根付き、時折精気を求めて蠢いて彼を楽しませている。
 澄んだ夏の空気の中、高い空に可愛い小鳥の番が仲良く舞っていた。
 私の仕事の合間にその仲睦まじい様子を目にして、微笑みを浮かべて、彼を呼ぶ。
「バルコニーに出て、鳥でも眺めることを許可する」
「っ、はっ、ぃ」
 私の命令には絶対服従の奴隷である彼の身体が大きく揺らぐ。
 最初の頃は逆らい逃げようとしたこともあるが、二ヶ月の毎日の調教でかなり従順になっている。奴隷印も金を出しただけのことはあり、彼をおとなしくさせる便利なものだった。
 薄い貫頭衣という奴隷の衣を身に着けた彼の、肩から剥き出しの腕はしっかりと筋肉が乗り、太腿とから先の剥き出しの足は力強く床を踏む。
 当初は慣れぬ裸足に苦労したようだが、今では固い地面の上でもなんなく歩けるようになっていた
 ただ相変わらず体内を穿つ淫具には慣れないようで、今もひょこりひょこりとぶざまながに股でバルコニーと向かっていた。体力はついたと思ったが、少し歩くだけで喘ぐように舌を出し、汗をだらだらと流している。
 その瞳がいつものように虚ろなのはともかく、白目は赤味を帯び、頬まで上気しているのは、奴隷印の刺激のせいだけではないだろう。
 彼が手にしていた台座付きの太い棒をバルコニーに据え付け、先ほどまでしていたように膝を曲げる屈伸運動を再開した。
 私はたるんだ身体が好きではなく、せっかく筋肉質の身体を持つ彼の筋力維持のためにと、筋力訓練を課している。
 と言っても膝の屈伸による大腿の筋力向上を百回、腕立て伏せを百回と、元騎士ならばそれほど苦もなくできる回数だ。
 だが彼はどうやら怠け癖があるらしく、どうしても途中で止めてしまう。
 仕方なく、私は気分転換を許可したところだが。
「あぐっ、うっ……くうっ……」
 やはり止まりがちになるのはどうしたものか。
 手を服の裾から中に入れ、定位置の乳首を揉みしだく。乳首に穴を開けることも考えているが、そうするとしばらく弄るのをやめせさなければないけなので、後回し。
 薄い生地は、そんな指の動きも微かに見せて、赤く腫れて膨らんだ乳首が卑猥につぶされるのを教えてくれる。最近ではつぶす痛みにすら喜ぶようになって、触るだけでも顔がはしたなく弛緩する始末。
 そのまま置いた棒を挟むように両脇に置いて、高さ三十センチばかりのその棒に向けて尻を落とし。
「ぐ、うっぅっ……」
 ぶちゅっと濡れた音を立てながら沈み込む身体。
 腕を入れているせいで服がまくれ上がり、胸から下は丸見えがに股になった股間までもが日の下に露わになっている。そこにそびえるのは、金鎖で縛り付けてなお雄々しく勃起しきった陰茎。放っとくといつでも涎を垂らす浅ましい先端は、今は私愛用のペン軸を突き刺して漏れないようにしているところだ。丈夫な木にねじり模様を浮き彫りにした名匠の一品で、長く愛用していたのだが、最近ではもっぱら彼の栓として大活躍している。
 どうやら、模様の凸凹がたいそうイイらしい。
「う、あっ……ぁぁっ……」
 尻が地面に突かんばかりになったところで、再び身体が上がっていく。ずるずると太い棒が粘液をまとわりつかせながら露わになり、だらだらと白濁した液が垂れ堕ちていた。
 おやおや、せっかく先ほど多量に注いでやったというのに、零すなどとなんともったいないことか。
 主たる私の精液は、奴隷にとって至高の糧、零すなど許されることではない。
 再び深く身体を落としながら痙攣して、身体を支える足が震えていた。どうやらまた半分もしないうちに、限界が来ているのか。
「ひ、ぃぃっ、イクっ、ああ、でりゅっ……ひゃあっ、みゃ、ぁぁ」
 何度も繰り返す屈伸運動はやたらに時間がかかり、彼は途中何度も白目を剥いて、腰を小刻みに動かし止まってしまう。きょうもそうで、これではまた指定回数が達成できない。
「もういい、次の腕立て伏せにかかりなさい」
 ため息を吐いて次へと促す。
 そうしながら、私は机の下にある深皿に硝子玉を一つ放り込んだ。からんと軽い音を立てて、中に入っていた他の硝子玉が位置を変える。直系二センチぐらいのそれらは、もう十個を超えている。これは彼が私の言いつけを守れなかった数。
 この数の分だけ毎夜罰を与えているが、最近十個以下になったことがない。
 昨夜は尻に鞭を入れたが、今宵はどうしたものだろうか。
 ああ、そういえば先ほど零した件もあったと、また一つ増やす。
「ん、ひっ、あおっ……びゃっ、ひぐぅっ」
 腕立て伏せが始まったが、またしても賑やかなことだ。
 足を肩幅に広げて後ろに伸ばしつま先立ちになり、手で身体を支えて腕で屈伸するだけの運動。ただ身体を下ろしたときには、股間の下の器具に陰茎全てを埋め込み、上げるときにはそこから必ず全て陰茎を引きずり出す。
 それで一回と数える運動もまた、彼はこなすことができていない。
「あ、ひっ」
 めくり上がった服から覗く赤い線まみれの尻の狭間にある太い棒が、全身の痙攣と共にふるふると震えている。下の器具とつながり、弧を描いた支柱に支えられた棒は、彼の動きにびくりともせずにその位置を保つ代物だ。
 身体が下がる同時に円錐形のものが抜き出てきて、上がると埋め込まれていく。
 筋力訓練と性感帯開発の一挙両得の道具類は、他にもいろいろ準備しているというのに、本当にいつになったら次に進めるのか。
 浅ましく悶えるばかりの奴隷は、まだまだ存分な調教が必要のようだ、と、私は罰を何にしようかと考えながら、硝子玉を追加した。


 調教にもっと時間をかけたいのは山々だが、今宵は残念ながら皇王より呼び出しを受けている。
 しょうがないので、罰の回数半分は浣腸訓練、もう半分は例の薬液を服用しての拘束時間に換算するように命じておいた。
 途端に泣いて詫びを口にしていたが、そんなに悪いと思うなら、私の言いつけを守ればいいだけのこと。
 再びのわがままに、私は奴隷調教担当の侍従に、薬液は全身に塗りつけることも追加する。
 泣き喚く声は侍従が施した口枷に遮られて、ようやく静かになった部屋で、私は急ぎ出かける支度を始めた。
 呼び出されたのは皇国の後宮であり、粗末な服装など認められない場所。
 広い敷地内に皇家の方々が夜を過ごされる小さな家が――といっても小さな館とも言える大きさの建物が点在している場所で、警備も厳重なため、秘密の話ではよく使う場所だ。
 他国では後宮と言うと王の側室達が暮らしており、男子禁制らしいが、ここでは違う。
 王妃や側室、姫君が住まう館は高い塀で仕切られていて奥宮と呼ばれていて、違う場所にあるからだ。
 後宮は男性皇族の住処であり、また遊び場でもある。基本、許可された者であれば行き来は自由であるので、皇族方と仲の良い者がよく訪れる。私も何度も訪れた場所なので、目的地までの道には慣れたものだ。
 今日も皇王の館に向かっていると、ふと窓へと押しつけられた裸体が目に入った。
 そろそろ宵闇が迫る時間帯だが、通っている道自体が窓のすぐ傍にあるし、篝火によって外が明るく、室内は暗いせいで、その裸体は白く浮かび上がるようによく見えた。
 その背後にいるのは、皇王の面立ちによく似た屈強な身体の皇太子。
 皇国の男性皇族はおしなべて体格が良いのは、建国の祖である初代皇王からの遺伝なのだろうか。皇太子は私と遜色ない大きさであり、身体に合った軍服がとてもよく似合う。その腕の中にいる細身の青年との差は大きく、まるで子どものように見えるほどだ。
 しかも黒を基調とした軍服と違い、その青年は全裸だからよけいに目立つ。身体に直接着けた黄金の飾り以外身にまとう物はなく、背後から押しつけられたその裸体はもうずっと激しく上下している。そのたびに虚ろに開いた口から艶めかしい喘ぎ越えが響き続けていた。
 実際皇太子は露出好きで、お気に入りの奴隷を誰でも見える場所で犯すことをたいそう好まれるのだ。特に衆人環境の中で行われるのがお好きなのだが、後宮ではなかなか人を呼べぬと残念がられておられるほど。
 そういえば私の奴隷が自慰にふけったあげくに皇王の侍従の手を煩わせた別邸のあの一角も、この皇太子のお好みの場所であったと後から聞いた。私は、衣服を身に着けたまま多くの淫具を仕掛け、他者に知られぬようにさせながら、堪えきれない快感に身悶えさせるのが好きだが、実はこのように人前に浅ましい肉欲も露わに裸体を晒すのも趣向が変わっておもしろいと思っている。
 もちろんこうやって皇太子の遊戯に乗って、しばしの観覧もやぶさかではないので、足を止めて眺めることにした。
 お取り込み中の皇太子と目が合い会釈をすると、満面の笑みで返された。途端、押さえつけられた青年のよがり声が大きくなり、悩ましい声が私の股間まで響いてくる。
 どうだとばかりに笑う皇太子に、私も苦笑を浮かべるしかない。
 見られているという興奮に、あの方の逞しいモノがより元気になられたのだろう。
 さて、あのような細い身体であの方のモノを受け入れるのは大変だろうが、いずれこの国を背負うすばらしい皇太子に、何を置いても手に入れたいと願うほどに一目惚れをされたのだから光栄に思うのは皇国の民として当然のこと。孕むのではと思うほどに、その身に精液をいただき、彼の御方をお慰めにできる栄誉に存分に浸るのだから、こんなにすばらしいことはない。
 聞こえていたよがり声が不意に止まり、次いで細く長く吐息が零れる。見れば、皇太子が深く突き上げたまま恍惚の表情で目を閉じ、存分に快感を味わっていた。
 だがそれも数秒のこと、再び再開された動きに、またすすり泣く声が響き渡る。
 青年が押しつけられている透明度の高い窓の素材はかなり高価なものではあるが、鏡と同様にこの後宮ではふんだんに設置されている。
 透明な板一枚であっても、ここまで透明では無いのと同じではないかと思うが、皇太子の言葉によれば有るのと無いのとではまた変わるものらしい。確かに、粘液が窓を汚し、肉が押しつけられる様は、そのまま見るのとはまた違う趣があるようだ。
 実際、その青年は――いやまだ少年とも言えるほどに少し幼さを残した顔立ちの彼は、皇太子の太い指を腰に食い込ませ、何度も力なく窓を引っ掻いていた。縋るに縋れぬモノにそれでも縋ろうとする憐れさや、押しつけられ変形した乳首や卑猥な粘液で絵でも描く陰茎と、なかなかに見物だ。
 つぶれた乳首と縦に細くつぶれたへそは、穴を開けられたばかりかまだ血が滲んでいるのが痛々しく見え、だがどこか淫靡に私を誘う。金鎖に飾られた陰茎が何度も窓を打ち、かつかつと音を立てるのも、良き音だ。
 私の可愛い奴隷より長い砂色の髪を乱しながら、煉瓦色の瞳を私に向け、何か言いたげに口を開く。だが言葉になる前に突き上げられ、甘い嬌声が迸るだけだ。
 その表情は、私の愛らしい奴隷とよく似ており、今も館で良い子で待っているはずの顔を思い起こさせた。彼も後一年成長すれば、私の奴隷のように凜々しい顔立ちになるだろうが、だがやはりこの子よりもあの奴隷のほうが好みだなと再認識する。
「う゛、ひぃぁぁぁぁ――っ!」
 一際高い声が聞こえ視線をやれば、気でもやったのか、青年ががくがくと痙攣していた。
 その彼の耳元で皇太子殿下が何事か囁いている。
 あの方のことだから、「見られて興奮するか、浅ましいど淫乱め」とか何か、きっと蔑む言葉をかけておられるのだろうけれど。
 首を横に振って否定をし、涙を流す悲しげな表情は愛らしい。その顔とは荒原に猛々しく男を主張する陰茎ではあったが、目の前の金鎖に食い込む肉はぱくぱくと口を開きながら先端からぷくりと粘液が滲み出させただけで、まだまだ満足している気配はない。確かに淫乱だと、視線が合った皇太子殿下に頷き返す。
 あのように陰茎を戒められているのは、粗相を繰り返す淫乱奴隷には定番だ。
 ふと気が付けば、その青年の上気した頬に鮮やかな奴隷印が浮かび上がっていた。それは、どんなに奴隷自身が否定しても、射精はせずともイっている何よりの証拠だ。
 奴隷印も入れ方により見え方が違い、皇太子が好まれるのは、普段は薄いが上気するとくっきりと赤く浮かび上がるもの。特にイッたときなどは、その鮮やかな真紅の模様が目立ち、その奴隷の淫らさが強調されると言われる。ただ、肌の質によってはうまく出ないこともあり、この奴隷のように若い肌向けとのことらしい。
 そういえば、以前粗相の罰として、淫具と薬液を多量に施されて酒会に提供され、終始奴隷印が出るほどにイキ狂わせられた皇太子お気に入りの奴隷がいたはずだが、最近はとんと見かけない。まあ、かなり皇太子の怒りを買ったようなので、奴隷監督署により他の者に回されたというところか。
 奴隷は本来全て奴隷監督署で管理されているが、皇家の者は専属での使用が認められている。まあ、奴隷は皇家の財産であるからそれも当然のことで、それ以外の者は皇家から貸与されているのだ。
 もっとも私のように専属で与えられることはまずなく、通常はその都度期間限定で貸与され、その賃貸料は奴隷施設の運営に回されている。奴隷は絶対数が少ないので、一部損壊しても心身の治療、延命処置は完璧に行われるし、一部を失ったとしてもそれが良いという輩は多い。
 私はやはり五体満足のほうが楽しめると思うから、その扱いに長けた皇王の侍従からいろいろと学んでおり、奴隷の扱いには長けていると自負している。
 そんなことを考えながら眺めていて、ふと気付くとそろそろ指定された時間なると気が付いた。なればと私は再度皇太子殿下に頭を下げ、本来の目的地へと足を動かす。
「……た、すけ、て……」
 背後からそんな声が聞こえたが、それはきっと過ぎた快楽に溺れた戯れ言だろうと、私は意識から消し去った。


 さて、皇王との晩酌のお誘に来てみれば、こちらも濡れた音と、艶めかしい声が響いていた。
 その膝の上にいるのは、頬に鮮明に奴隷印を浮かべた最近の皇王のお気に入りの奴隷だ。
 私よりは若いが、それでも寄る年波のせいか、少し身体が緩み始めている頃合いの砂色の髪を持つ奴隷は、今やすっかり皇王の逸物の虜となっており、いつでも欲しがってやまないらしい。
 細いとはいえ筋肉質だろう身体は重いだろうに、皇王は特に気にすることもなくその腰を突き上げられていて、そのたびに奴隷が浅ましい嬌声を上げていた。
 もっともその声は掠れ、私達の会話を邪魔するほどではない。
 身体のあちこちに鞭やら何かで打たれた痕を残しているのは、皇王の嗜虐性の現れか。皇王をまたぐようにしている股間では食い込む金環により歪となった陰茎がぶらぶらと揺れていた。その奥では、腕のように太い皇王のモノが時折垣間見え、すぐに肉の壺へと埋没している。
 頬の奴隷印も完全に定着し、どこから見ても奴隷にしか見えないが、やはり皇王専属ともなると、その砂色の髪も、濃い煉瓦色の瞳も美しいまま。
 どこか私の奴隷を思い出させる顔立ちに、残してきた彼はいい子にしているだろうかと思いを馳せ、そろそろあの腹の奥深くを味わうことにしようかと、目の前で突き上げられるたびに蠢く腹を見ながら、考える。
 そんな皇王の差し向かいに私の席は用意され、皇家秘蔵の酒をたしなむのだから晩酌には違いない。
 そこで皇王より指し示されたのは、はるか東の技術で作られた淫具の数々。
 皇太子に便宜を図った礼だとおっしゃる皇王は上機嫌で、私は見るからに卑猥な、なかなかに楽しめそうなそれらを謹んで受け取った。
 私の忠心はありがたいことだと、満面の笑みで頷かれる皇王に、当然のことだと私も返す。
 何しろ今回は、本来なら犯罪奴隷として皇家の共有物になるはずだった私の愛らしい奴隷を、無理を言って下げ渡してもらったようなものなのだ。
「彼の男爵家のモノは、やはり想像どおりなかなかに良い素材であったな」
「御意、皇王様のご炯眼(けいがん)には、感服いたすところでございます」
 いつのことだったか、「あれらは、なかなかに良いと思わぬか」とふと呟かれた先にいた男爵とその二人の子。
 その場にいた私と皇太子がその言葉に反応し、そしてそれぞれに魅入られたのはすぐだった。もっとも手に入れるには、親子共々に清廉潔白だったせいで、なかなかに時間がかかったが。
 次男のときは、罪状を何にしたのだったか……、まあどうでもいいことだ。
 そういえば、先日皇王の侍従があの金貨を持って、元男爵家の美しい奥方にずっと懸想しており取り持ってほしいのだと言ってきた。それは未亡人である奥方にしても良い縁だと、喜んで引き合わせたのがつい先日。
 きょうは見えない侍従について伺えば、新婚だとかでしばらく休みをとっているとのこと。なんでも彼の流儀を教え込むのに、しばらく時間がかかるらしい。
 幸せそうに願いを申し出たという苦笑を浮かべた皇王のお言葉に、皆、いるべきところに収まって良かったと、私も笑みを浮かべてお答えする。
「いずれ親子の感動の対面を見たいものだ」
 と、皇王も良いことをおっしゃって、私も「ぜひ」と頷いた。
 ならばそれまでに、私の可愛い奴隷もどこに出しても恥ずかしくないように教育せねばならない。
 そう、私に触れられただけで、イくような淫らな身体にして。私の姿を見るだけで欲情するようにしたて上げて。
 一年が経つ頃には、立派な奴隷として、主人から離れることなど考えられなくなっているはずだ。
「一年後であれば、それぞれが完璧に仕上がっておりましょう」
 目の前で浅ましく啼き、卑猥な肉を限界まで膨らませ、先端から粘つく涎を垂らし続けている皇王の奴隷のように、私の奴隷もすばらしいできあがりになるだろう。
 私の決意を伝えれば、皇王は満足気に頷き、楽しげに奴隷の中に精を放っておられた。
 

【了】


設定集

世界感:魔術ありだが、派手な攻撃魔法よりは、生活に根ざしたものや、呪術のような精神的なものが多い。
 人のほかに魔族やその眷属、異形な存在がある。


皇国:妖鬼の国から逃れた、妖鬼王と人とのハーフが建国の祖であり、代々武道に優れ、男子はいずれも戦闘能力に秀でている。
 だが同時に、非常に性欲が強く、嗜虐精も強い。
 この性欲の強さと戦闘力の高さは、比例している。
 子は皇太子他、王子三名。

皇王:五十歳 民には良き王として、善政を行い、国力は高い。
 たくましく、思慮分別のある男を、色狂いさせて飼うのが好き。

皇太子:二六歳 皇族の中でも強い戦闘力を有する。可愛い子好きの露出趣味。性行為中は沸点が低い。

公爵:四六歳 曾祖父が二代前の王弟。
 美しく引き締まった筋肉質の男が、羞恥心を維持したまま自身の淫乱な身体に苦しむのが好き。

侍従:通常の使用人と違い、奴隷を扱うときに付き従い、補佐をする者。
  中でも皇王の筆頭侍従は、その知識、技ともに最高峰と言われており、皇王より貴族と同等の扱いとされている。
 他国ではこの「侍従」が奴隷を示す国もある。

犯罪奴隷 皇国における雄一の奴隷で、重犯罪者の罰刑の一つ。
  ・頬に奴隷印。 ・無期限、一代限り。
  ・皇家の一員であるならば、無期限に専属奴隷を有することが可能。
  ・皇家に認められた場合、有期で専属奴隷を有することが可能。

奴隷監督署:皇家直轄。奴隷化時の命令書発行、奴隷印の付与、心身管理、貸与管理など行う機関。


裏設定1
妖鬼:別大陸の人の国を支配する魔族。国民は人と魔族で、一応平等。
  一騎で一国の軍隊に勝る戦闘力を持つのが妖鬼王で長い時を生きる。
  強い性欲を発散させるため人との性交を男女を問わず好み、妖鬼王と人の間に生まれた子はその国の唯一の奴隷となり、専属の奴隷商に卸される。
  これは妖鬼王が気に入るほど子を孕みやすく、だが生んだ母体は壊れてしまうために、あるときかなりのお気に入りが死んだことに腹を立てた妖鬼王が制定した。ただし妖鬼王は、今もその制度が続いていることは忘れている。