良い子-2

良い子-2

 指で、ルーターで、バルーンを限界まで膨らませて。
 少しずつ大きくなったそれを、ココは良い子ですべて銜え込んだ。
 今は、男のペニスのサイズに近い太さのバイブで、奥の奥まで犯しているところだ。
 真っ暗だった窓の外の風景が、白々としてくる時間になった今でも、男は飽くことなくココのアナルを弄んでいた。
「い、ぐっ……んっ、ごくっ……」
 ベッドの上だったのは、指で広げていた最初だけ。
 男は常に衣服を身につけており、フェラをさせるときだけペニスを取り出したが、それ以外では仕事中かのようにネクタイもきちんと締めたままだった。
 対してココは、もうずっと全裸だ。
 涙と涎に濡れた顔も、汗まみれの肌もそのままで、淫らな身体を際立たせている。
 そんなココのアナルを、男は至る所で弄んだ。
 バスではシャワーヘッドを棒状のものに変えてそれをアナルに差し込み、湯を注いで浣腸と洗浄の仕方を教えた。
 これからは毎朝と毎夕、そして男が求めたらいつでも自分でしなければならないことだと、何度も出来るようになるまで教え込んだのだ。
 その最中も指で見つけておいた前立腺を虐めるのは忘れなかった。
 どうやらココは前立腺で十分感じることが出来るようで、満たされた湯の苦しさにヒイヒイと啼きながらも、ノズルで突く度にその勃起を震わせていたのだから。
 それからトイレに移動して排泄させて。
 きれいになったかどうか、自分の指を三本まとめて奥の奥まで入れさせて確認させた。
 そのときにも前立腺の場所を弄らせて、自分でそれを弄くって快感を味わうことを覚えさせて。
 まだそれだけでは射精ができない勃起しきったペニスをゆらゆらとさせながら向かった大きな窓の前で、男は明るい煌々とした灯りの下で同じことをココにさせた。
 窓に向かって大股を開いて座らせて。
 鏡のように反射した窓に写るココの痴態を自信で描写させながら、すべてが外から丸見えだと笑いかけて。
 そこでは指だけで無く、アナルビーズを自分で入れさせて、何度も何度も抽挿させた。
 それが飽きれば、今度は入れたまま起たせて、窓にぺたりと張り付かせて。
 ずりずりと勃起したペニスを窓に擦りつけて自慰をさせ、白く散った精液を、自ら舐めさせてきれいにもさせた。その間中アナルビーズの取っ手が尻尾のようにアナルから垂れているのを、笑って見ていたのだ。
 そして、今は明るくなった窓の外を見ながら、床にあぐらを掻いて、ココのアナルをバイブで責め立てながらフェラをさせていた。
 朝になるまでに、何度もしたフェラですでに射精も四回している。
 そのたびに精液を残さず飲み込ませているから、昨夜から何も食べていないココの腹の中は、男の精液ばかりだろう。
 それを想像するだけでも愉しくて、叶うならば腹一杯に飲ませてみたいとすら思う。
 そんな遊戯ばかりの時間は、未だ挿入に至らなくても、男をたいそう満足させていた。
 けれど。
「ああ、もう朝だねぇ。急がないと側近達が来てしまう」
 何気なく呟いた言葉に、疲れきって惰性のように舐めていたココがびくりと震えた。
 隣の部屋が執務室で、そこに毎朝勢揃いする側近と今日の予定を確認し合うのはいつものことで、ココをボス直属の奴隷として皆に紹介しようとすら言う。
「ど、奴隷……」
 驚愕の表情を浮かべたココは自分が何であると思っていたのだろう。
 信じられないとばかりに、この現代にそぐわないのだろう言葉を口にする。
 だが、男のいる世界で、奴隷という存在は希有でも何でも無い。
 あってはならないと世間一般で言われていることが、ごく普通に扱われるのが男のいる世界だ。
「ああ、言っていなかったかな? 愛人は面倒なことが多いので、便利なのを一人作っていてもうそれだけで十分だ。それに女は面倒くさいことが多いから、数はいらないしね。ペットといっても、おまえは動物では無いから……そうなると奴隷としか紹介のしようが無い」
 組織の仕事が出来ないものに、部下を名乗らせることはできない。
「裸を直接見せるのはまだもったいないから、服を着せてあげるが。だが、せっかく広げたマンコが閉じたらやり直しになってしまう……。これを入れておこう」
 淫らに垂れ流した体液に、喉元にこびりついた零れた男の精液。
 赤く熟れた乳首は、男が戯れに弄くっていたからだし、何より、その疲れた風情は、今まで何をしていたか一目瞭然だろう。
 そんなココの調教の果てに敏感になったアナルにぐにゅっと深々と埋め込まれたのは、ひどく歪な形の張り型で。
 尻穴から出ているコードにすら奇妙な疼きがこみ上げる代物だった。
「さあ、後5分もしないうちに、ベイルーフが来るよ。彼は毎朝時間通りでね。それから10分もたたないうちに皆が来る」
 与えられたのはスラックスとシャツ、ネクタイとジャケットだけ。
 下着は……と窺う視線は無視していれば、諦めたようにのろのろとその手が動く。
 仕立ての良い生地とはいえ、一晩中快感ばかりを与えられていた肌はひどく敏感で、擦れるだけでぞわりとした疼きが全身を駆け回るはずだ。
 服を着ながらでも時折息を飲み、手が止まるココの姿から、スーツだけ着替えた男の視線が外れない。
 その口元にうっすらとはいた笑みの狡猾さは、今のココは気づかないままだ。
 その手の中に小さなリモコンがあることすらも、ココの目には入る状態では無かったのだ。
 
 
  
「あ、うっ……くっ」
 鋭い声で側近達に指示と叱咤を向けるボスである男の言葉など耳に入っていない様子で、けれど、必死に声を押し殺しているココの立ち姿があった。
 ダークスーツに身を包んだ屈強な男達も、さすがに今日はボスの言葉が耳に入りにくいようではあるけれど、もとより朝の会議に出るのは優秀なメンバーばかりだ。
 決してボスの気に障るようなことは無く、一見問題無く進んでいる。
 ただ一人、ボスの第一の側近であるベイルーフが、呆れたように視線をやっているのが判ってはいたが、たまの戯れを制止する様子もないのは、ボスという男をよく知っているからだろう。
 そのボスの手の中で、かちりとスイッチが一つ上がる。
「ひっ!」
 びくりと震えた可愛いココの膝がガクガクと震え、その口角から涎が溢れていることすら本人は気づいていない。
 今日の集大成ともいえるバイブは、腫れ上がった前立腺を激しくもみ上げながら刺激する特注品だ。最低でも並のバイブの強なみであるそれの、それでなくても強い振動はいくら処女でも射精をさせるかドライで達かせるかほどの効果がある。
 まだまだ低い強度でも、声を殺しきれないほどに震えているココは立っていることすら辛そうだ。
 そんな状態のココを見やって。
「ああ、それから、みんなに紹介するが、昨夜手に入れた私の」
 男の声など聞こえないココの背に手をやれば、それだけでびくりと震えて、ガクガクと痙攣する。
 それに構わず一歩前に出させて、皆の前にその何をされているか一目瞭然の姿を晒して。
「これがココ、新しい奴隷だ」
 奴隷、という言葉とともに、リモコンのスイッチを最強に一気に上げる。
 とたんに、ココの身体が大きくびくりと跳ねた。
「ひぁぁぁぁぁ——————っっっっ!!」
 激しい悲鳴とともに全身が今までに無く激しく痙攣し。直後、硬直し——————どさりと崩れ落ちる。
「このように人前でも簡単に達ってしまうほどの淫乱な奴隷だ。おかげですぐに服を汚すので、普段は服は着せずにいさせる」
 ベルトすら許さなかったスラックスをはぎ取れば、濃厚な雄のにおいが一気に立ち上った。
「ベイルーフ、その板での尻へのスパンキングは許す。これが私の許可無く達った時には、罰として10発、この淫乱な尻を加減無く叩いてくれ。他の者もベイルーフがいないときには頼む」
「了解しました」
 思うことは多々あるのだろうが、それをおくびにも出さない優秀な側近は、すぐに細長いスパンキング用の板を手にとって。
「起きなさいっ」
 確かに加減無く、剥き出しの尻を叩き始めた。
「ひ、、ひぃぃっ」
 ベイルーフは決して軟弱ではない。
 男一人投げ飛ばすだけの力を持つ彼の手にかかれば、ココの尻は一気に腫れ上がった。
 逃げようとする身体を、別の部下が押さえつけて四つん這いにさせ。
「あひっ、ひぎっ、痛ぁぁっ、あぁぁっ」
 立て続けの10発の間、ココの悲鳴が途絶えること無く続いた。
「ココ、おまえは聞いていなかったようだが、私だけといるときならともかく、このように皆の前にいるときは私の奴隷としてふさわしい存在では無くてはならぬ。そのように勝手に達き、勝手に失神する権利はおまえには無い。私の、いや、ここにいる皆の命令に背くようであれば、それは刑罰の対象となり今のような状態になることを忘れるな」
 それはそれ、これはこれ。
 人前に滅多に出すことはしないが、それでも組織の頂点である男の立場上、誰の目にもさらさないことはできない。
 少なくとも、この側近達にはココの世話も仕事に入ってしまうのだ。
「ココ、おまえは私の奴隷だ。この者達が与える罰は、私が与えるものと思いなさい。私はついつい甘くなるが、彼らは非常に厳しい。この組織の中核をなしているのは、それだけの意味があるのだから」
 それが受け入れられないのならば。
「……わ、判りました……。今後、このような、こと、しませ……申し訳、ありません……」
 賢いココの言葉に、男は満足げに頷いた。



「まるでお猿のように真っ赤になってしまったねぇ」
 バイブで許可無く達くからだ、と暗に責めて、その晴れ上がった尻を撫でると、「ひいっ」と悲鳴のようなすすり泣きが響いた。
 ベッドに戻して着せていた服を剥ぎ取れば、精液は結構出ていたようで、べっとりと肌が濡れていた。
 それを手で取らせ、舐めさせる。ついで服についたモノも舐めさせた。
 ココの精液はすべてココの食事として取り扱う。零したモノは、すべて舐めさせること。
 罰に加えてもたらされた新たな命令に、ココは頷くしか無かった。
 それを舐めたくなかったら、出さなければ良いだけのことだ。
 あきらめにも似た沈痛な面持ちのココは、きっと頭の中でそう思って納得しているだろう。
 けれど、バイブで達った先ほどの様子から見て、すぐにそれはたいそう難しいことになる。ココの前立腺は刺激に敏感で、すぐに快楽に結びつくようになっているのが明確だからだ。
「あ、ああっ」
 ずるりと深く埋まった、ココにとっては元凶のバイブを引きずり出せば、真っ赤な肉がめくれ上がってひっついてくる。
 その刺激にぶるぶると震え、ぎゅっとシーツを握った指が白く強ばっている。なのに、再びそのペニスが硬くなっているのが隙間から垣間見えた。
 素質は十分なココにとって、これからの生活が地獄になるか天国になるかは、その心構え次第だろう。
 そして男は、そのどちらをも与える自信があった。
「さて、私ももう時間が無い。さあそのよく広がったマンコを、私のペニスで良い気持ちにさせてあげよう」
 太く長い、固くて勢いあるペニスは、もう腹まで反り返っている。
 それを指し示し、崩れているココの身体を四つん這いにさせる。
「ひっ、あっ……ご、ごしゅ、じん様……それは……」
 もうそれより太くなったバルーンすら受け入れたはずなのに、それでも、それは凶器でしかないのか、ココは震える声で懇願するように男を呼んだ。
「欲しいのだろう? 欲しくて堪らないと言ったのはココのはずだったけれど。……違うのかい?」
 そんなココにいぶかしげに問いかければ、その言いかけた言葉をごくりと飲み込んで視線を逸らす。
「私はね、嘘つきは嫌いなんだよね」
 組織の頂点に立つボスに嘘を吐く者は敵。害をなす者も敵。組織に利無く従わない者も敵。
 明確で、けれど、絶対に変えられない考えを口にしながら、再度問う。
「ココは、私のペニスが欲しいんだったよね?」
 それへの返答は。
「……欲しい……です」
 諾以外あるはずもなく。
「だったら、私の膝においで」
 するりとスーツの袖から腕を抜き、ネクタイを外す。
 スラックスを落として下着を脱げば、鍛え抜いた身体が大きな窓から入る日の光に照らされる。
 そんな男の前で蹲るしかないココは、怯えた仔猫のようにはかなく弱い。
 ベッドの上で、ベッドヘッドにもたれてあぐらをかいた男が再度誘うにように膝をばんばんと叩くと、ココはのろのろとその身体を持ち上げた。
 これからおこるであろうことへのためらいだけでなく、一晩の戯れにすでに疲労困憊でもあるココの動きは遅い。
 だが、たとえどんな状況であっても、今後ココはすべてを拒絶することはできないのだ。
「座りなさい」
 腕を引き、向かい合った姿勢で抱き寄せる。
「ま、まさか……」
 とたんに、全身が強ばったのがその筋肉の動きで伝わってきた。
 信じられないと男を見下ろす視線を見返して。
「おまえが欲しいのだから、当然だろう」
 抱き寄せた身体を、導くように下へと押しつける。
 勃起した亀頭に触れた柔らかなしめった感触は、濡れたココの陰嚢か。
 身体を後ろに倒しながら、片手を伸ばし尻を引き寄せて。もう片方の手で自分のペニスを支える。
「む、無理、無理ですっ、こんなっ」
 自ら挿れることなど考えもしなかったのか、妙な浅はかさを見せたココが抗うけれど。
「欲しいのなら自ら動くことは何事においても鉄則だ。動かないというのなら、欲しくないということだ」
 けれど、その言葉に己の浅はかな考えに気がついたのか、動きが止まって。
 くっと息を飲む声に、下唇が赤く染まるほどに前歯が食い込む。
「さあ、時間が無い。自分で挿れたら、今度は私が動いてあげよう。今回は特別だ」
 願うならば明確に。
 曖昧でしかない願いなど、正確に叶えられるはずなど無いのだから。


「あ、あぁぁっ、ひぁぁぁっ」
 ぐい、ぐいっ、と、敏感な陰茎が滑る肉壷に包まれる感触は、ひどく焦れったく。けれどそれも含めて妙なる感触で身の内を震わせた。
 初めて男を知る背徳感、拒絶をねじ伏せようとする相反する意思が、ココを震わせ肉壷に余計な力を加えていて、それもまた心地よい蠕動となって、男のペニスを包み込む。
 ココにとっては凶器でしかないそれは、楔のようにその絶望に満ちた処女地を切り開き、熱い欲の塊を受け入れる。
 ずっ、ぐっ、と躊躇いながらも沈んでくる身体は、けれど、痛いだけでは無いのだろう。
 その悲鳴はどこか甘く、聞く者をいらぬ不埒な感覚に陥れる音色を持っていた。
 今日は、執務室にいる連中は仕事にならないだろうけれど、もとよりそういう日を選んでの行為に、もっと愉しませてやろうという意思すら加わって。
「まだまだだよ。ほら、もっと腰を振るんだ」
「ひっ、あっ、やあっ、あっ」
 腰に添えた手で、ゆらゆらと揺さぶりながら、何も知らない身体に、淫らな仕草を仕込んでいく。
「尻タブに力を入れて、抜いて。ほら、振って、ああ、ちょっと抜いてからまた挿れると良い」
 前立腺の位置では、ことさらに念入りに、亀頭で擽り、突き上げた。
「やあぁっ、あひっっ、そこ、ぉぉっ、あぁ、だめぇぇぇ、イクぅっ、出るぅっ」
 とたんに感極まったような嬌声が迸り、けれど、許可無く射精してはならないと教え込まれたことを思い出したのか、手を突っ張って男の動きを止めようとする。
 だが。
「ああ、何が出るのかな? きちんとお願いすれば許可できるんだけどね」
 優しい声音に泣き濡れた縋るような視線が向けられる。
 躊躇うように口を開いては閉ざし、けれど、再度揺すると決したように縋り付きながら。
「し、射精……したい、です。精液、出させて……さい」
 耳朶に吹き込まれる嗚咽混じりの可愛いおねだりに、ずくんと腹の奥底が疼く。
「だったら、とっても大きな声でこう言いなさい。ベイルーフに聞こえるようにね。……淫乱なココは、ケツマンコ犯されて、チンポ汁噴き上げたいです、ってね」
 淫らな言葉をたくさん教え込むのも愉しくて。
「ザーメン汁でも良いな。ド淫乱なココはザーメン汁飲みたいので出させて、とか」
 ポロポロと溢れた涙が頬を伝い、顎から互いの腹へと滴り落ちる。
 さずかに拒絶して我慢するかと思ったけれど。
「ひっ、ぐっ、淫乱っ、なっ、ココはぁっ。 あぐっ、ううっ、ケツ、マン……コおかっれてっ、ちん……る、噴き上げたっ、あ、いっ!……ひくっ」
 諦観したような、それでも諦めきれない何かに突き動かされるような。
 明らかに隣室に響くほどに叫びながらも泣きじゃくるココは可愛くて。
「しょうがないな、今日はいくら射精しても良いことにしよう」
 男にしては甘い許諾を与えたとたん、ごりっと亀頭が僅かな塊をえぐる。
「ひ、あぁぁぁぁっ」
 絶叫とともに噴き上げたそれは、ココの薄い胸まで届く勢いで。
 だが、その強い快感に、ココの筋肉がその働きを放棄したのは予想外だった。
 そのまま力を失った身体が、ぐたりと楔にのしかかり。
「あ、あああぁぁぁぁぁっ」
「お、くっ、うっ」
 続いた悲鳴とともに再噴出した精液は淫らにココの顔まで彩り、男の熱いそれが、ココの体内奥深くをじっとりと濡らしていった。

続く