【夜桜見物】(1)

【夜桜見物】(1)

 シイコがいきなり花見に行きたいと言いだした。
 しかも、「夜桜」が良いと。
「なんでまた急に?」
「だってぇ、月明かりの中でスルのって、すっげぇ綺麗で興奮しそうなんだ。それに桜ってエロくね?」
 膝の上に座らせていたシイコが仰け反って、俺の顔を見上げて期待に満ちた目で笑う。
「あ——なるほど」
 また珍しいことを、と思ったら、やっばりそっち系だった。
 まあ、俺のデカマラをずっぽり銜え込んで言いだした話が、まともじゃ無いって事は想像できたけど。
「何だ、青姦したいのか?」
 問えば、ウンと頷いて、うっとりと遠い目をする。
「夜の公園とか公衆トイレとか外でするのも良かったけど、できれば綺麗なところでもしてみたいなって」
「ああ……」
 まるで女みたいなロマンチストな物言いだが。
「それに桜って、いろいろと言い伝えもあるし。幽霊が出てきて犯されたらって思うとゾクゾクして、むっちゃ興奮しそ——」
 シイコに限って言えば、それだけであるはずも無い。
「ね、三坂さんもそう思わない?」
 よりによってそこで振られても返せるはずも無いのだが。
 できれば幽霊と一緒のセックスは御免被りたいけれど、大人のプライドっていうか、なんていうか。
 つうか、幽霊なんていやしないだろ……たぶん。
「ま、あ……桜は確かに雰囲気あるけどよ」
 とりあえず、それは適当に誤魔化して。
「だがなあ……夜桜か……」
 なかなか良いシチュじゃねぇか、って思うけど。
「テンチョ、人のいねぇ桜って知ってます?」
 やっぱり隣でテルを犯していた店長に声をかければ、さすがにむうっと唸っていた。
 日本という国の人間はたいてい桜が大好きだ。だから、綺麗に咲いているところを見れば、夜通し騒ぐところも多い。それができないところは、夜間立ち入り禁止だったり、自宅だったりするけれど。
 だからと言って、完全に無人になる可能性は少ない。
「駄目かなぁ……んんっ」
 しょぼんとするシイコが可愛らしくて、堪らず腰を突き上げて。
 同じ頃に犯し始めたテルなんて、もうぐったりとして、喘ぎ声も出ねぇって感じでくたばってんのに。
 シイコはますます元気に甘い嬌声を上げて、欲情に潤んだ瞳で誘ってくる。
 まあ自慢じゃ無いが、絶倫のこの俺の相手を一人でできるほどなんだから、こんなところでぶっ倒れることなんて無いのは判っていたけれど。
 きゅうと程よく締まるケツマンコは、俺の種を残さず搾りとらんとばかりに、波打ち締め付ける。
 期待されているその動きに応えねばならぬと、シイコの身体を押し倒し、ガツガツと腰を打ち立ててやれば、感極まったような嬌声が、ひっきりなしに漏れた。
「シイコっ、まだまだ欲しいのか?」
「あ、ああぁんっ、んっ、欲しい——のっ、もっと、もっとちょーだいっ、三坂さん、の、欲しいっ」
 こっちの激しい抽挿に合わせて、自分の腰をふりたくって俺のペニスを刺激するシイコは、根っからの好き者だ。
 これが一年前までセックスなどしたこともなかったガキとは思えない。
 しかも一年かけてこんなになったんじゃなくて、初めて俺たちに犯されて、それだけでタガが外れて淫乱の性を開花させて、最初っからセックス大好きの性奴隷だ。
「ったく、奴隷の分際でご主人様に要求するんじゃねえよっ」
「あひぃぃっ、おっき——っ、あん、やぁ、み、さかさっのチンポ、おっきくて、すっご」
「ああ、お前の好きなぶっといチンポだ、お前のケツマンコでしっかりしゃぶりやがれ」
「嬉し——っ、おいしぃのぉ、ああ、三坂さん、大好きぃ」
「はん、お前の好きなのは、チンポだけじゃねえのかよ」
「んあ、ぁ、ちが……ぜんぶぅ、三坂さ、全部だよおっ、ああっ、やぁ、もう達くっ、達きたあぃぃぃっ」
 淫乱でご主人様には絶対服従で。自身も楽しんで、いろいろなセックスをして。
 実際、外でやるのも、人に見られるのも大好きだ。
「まだ達くかっ、ほれぇ、達けるもんなら達って見ろっ!!」
「ひいぃぃ、ああっ、すごっ、はげし……あぁぁ」
 ドクンと震えたシイコの身体が思いっきり、俺のデカマラを締め付けたもんだから、そのせいで一気に迫り上がった快感を、俺も我慢すること無く放出した。



「あぁん、んっ、コレも気持ちイィ」
 さすがに休憩とシイコを離したけれど、まだ物足りないと強請るシイコのケツマンコには、新製品のぐねぐねスネークってバイブを埋め込んで動かしといた。
 歪にねじれた形状で多関節の骨を内部に持ち、それでくねくねと自在に形を変えられる柔らかな素材でできたそれは、ぶっとい蛇の頭を亀頭に見立てたバイブレーターで、コアなマニアには人気がある代物だ。
「ひ……いぃ……も、許し……てぇ……」
 しかもシイコに入れたのは、それの双頭タイプ。長さにして1メートル近くはあるのは、いろいろな遊び勝手を考えられた代物で。
 一番は、女のマンコとケツマンコと同時に犯して狂わせるコンセプトで作られたらしいが、シイコの穴は一つっ切り。ということで、二番目のコンセプトとしての、二人同時に狂わせるって方を採用。もう片方の頭は、テルのマンコに突っ込んだ。
 シイコが喜んで腰をくねらせれば、バイブ以上の刺激が伝わって、ぐったりしていたテルでさえ、甘い悲鳴を上げている。
 それを見たシイコがますます愉しく腰を振りたくるから、テルの声はますます激しく悲壮さを増して響くのだ。
 テルは、シイコの若いうえに童顔の父親で、俺たちがシイコを捕まえた時に一緒に捕まえて。今では店長用の奴隷だ。
 シイコは俺の好みどんぴしゃりだけど、テルは店長の好みにどストライク。
 でもまさか、オモチャも大好きな淫乱マゾ奴隷のシイコが、実はご主人様気質のマジサドとは俺も想像しなかったけれど。そんなシイコの最初の奴隷は店長に貸し出して貰ったテルだ。まあ、奴隷が奴隷を持つってのもどうかと思うけど、シイコは俺のことが一番だから自由にさせている。
 というか、シイコのご主人様っぷりは、見ていて楽しんだ、これが。
 最近ではテルの調教DVDは、店長が監修したのより、シイコ監修の方が売れ行きがよかったする。まあ、禁断の何とやら……ってのが受けているのもあるんだけど。
 しかも、店長も面白がってシイコにいろいろ教えるから、今やテルにとっては恐ろしいご主人様の一人ってところだろう。
 ちなみにテルには四人のご主人様がいて。
 一番が店長、二番が俺——と言っても、俺はあんまり口出さないけど。で、三番目がシイコで、四番目がテルの会社の奴。テル自身がドジってばれたんだから、責任はテルがとれってことでね。
 まあ、そいつには俺たちからきつく言い聞かせておいたから、俺たちの許可無く突っ込んだりしないけど。
 どうやらそれでも良かったらしいそいつは、会社のいろんなところでテルの痴態を撮りまくるのが趣味の変態だった。
 おかげでテルはいつでもどこでもどこかにご主人様がいて、その淫乱な質をますます発揮して、いつでもチンポ汁を垂れ流してるりっぱな変態淫乱マゾ奴隷となっている。


「はあ、元気だねぇ、これが若さか?」
 年寄りじみた店長の言葉に素直に頷けないのは、俺も店長とたいして年が違わないからだろう。
「それは……ともかく。それより、桜、心当たりありますか?」
 少なくとも俺の知っているところは、有名なところばっかりで、夜中は追い出されるところは多い。しかもそんなところに忍び込んでも、絶対に人がいないとは限らない。
 人前でも平気でセックスはできるが、だからと言って、望んで一般ピープルの目を晒して、警察沙汰になりたいとも思わない。
 青姦するときは、きちんとその点を考えているのだけど。
「ん……まあ、心あたりが無いわけでは無いが……」
 どうやら心当たりはあるようで。
 けれど、煮え切らない態度で、言葉を濁す。
「まあ、でも、あそこなら……だいじょーぶ、だろーけど」
 うーん、うーん、と唸る店長の足下で、テルが小刻みに痙攣して。
「テンチョ、テルってば、勝手に達っちゃったよ」
 欲情に充ち満ちた視線で訴えるシイコが、ぺろりと唇を舐める。
「お仕置き、何、しようか?」
 シイコはテルのご主人様の一人だが、一番の主人は店長だから、一緒にいるときは必ずお伺いをたてる。
「ん、ああ……そう、だな」
 店長がシイコを見て、それからもう色の薄いザーメンを垂れ流すテルを見下ろして。
 ニヤリと嗤う。
「お仕置きは、また今度だ」
「えー?」
 残念そうなシイコは、お仕置き目当てで頑張っていたようで、ずいぶんと残念そうに顔を歪めた。その身体を抱きしめてやれば、すぐに機嫌が直って甘えて擦り寄るシイコは、本当に可愛い。
「夜桜見物の良い場所がある。お仕置きはそこでしよう。シイコもそこで三坂にしてもらえば良い」
「え、ほんとっ、ほんとに夜桜の下でできるんだ?」
 嬉しそうに店長に擦り寄るシイコからごとりとオモチャが落ちる。
 それを店長は拾って、テルの穴にぐいっと押し込んで。
「ああ、サイコーの場所だ。お前も、テルもきっと気に入る」
 そのイヤらしい笑い方は、絶対に何かを企んでいる。けど、俺の窺う視線に笑うだけの店長は、どうやら俺にも行き先は内緒にするらしい。
「確認してみるが、大丈夫だったら明後日の夜行くぞ、早くしねぇと桜が散っちまうからな」
「やったっ、ねえねえ、俺の奴隷も連れてって良い?」
「ああ、もちろんだ。俺もそのつもりだったからな」
 店長は快諾しているけれど。
「はあ……、あれ連れてきたら、穴が余っちまうぜ」
 確かに、ペニス二本に穴二つ。が、ペニス二本に穴三つになっちまう。
 まあ、正確にはペニス三本な訳だが、それは俺が満足してからの話だ。
「イイよぉ。陽介先輩の穴にはこのオモチャ突っ込んどくから。あのね、あいつまだ青姦したことないんだ。だから、良い機会だと思って」
 シイコの奴隷は、シイコと同じ大学に通う先輩で、シイコが見出して奴隷にした。
 テルのような奴隷が欲しいとシイコが言ったから、自分で見つければ、って言ったら本当に見つけてきたのだ。
 意外に良い声で鳴くその奴隷は、今は我慢を教えているところだって言っていたが。
「あれはあれで使い道があるんだよ。青姦になるかどうか判らんが……。それでな、シイコ、あいつはお前以外経験あるのか?」
「へ……、まだだよ。先輩、チンポもマンコも俺だけしか知らないもん」
「奴隷の奴隷にしては、まだまだだな」
 なんか、面白い事考えている店長は、すっかり上機嫌だ。
「えー、もしかして、もう? もうちょっと遊んでからって思ったのにぃ」
 シイコが口を尖らせて文句をいうけれど。
「ま、イイか」
 ころっと納得するのは、元々の調教計画にはいっていたからなのだろう。
 シイコの師匠は店長で、今回の奴隷を捕まえるにしても、店長がいろいろと策を考えたってことは知っている。まあ、そんな店長とは付き合いが長い訳で、だからこそ何かを企んでいるのは判る。
 まあ、その内容は後の楽しみに取っておこう。
 諦めて一人納得していると、店長はさらにシイコに質問していた。
「ああ、それとそいつ今射精禁止は何日目だ?」
 シイコはしばらく考えて。
「んー、二週間、だね」
 店長の指導とテルでの練習、さらに自らの経験を駆使して快感に溺れさせた奴隷には、毎日ケツオナニーを強要していると聞いている。それで、二週間射精が許されていないとなると……。
「今度行く時に、チンポの枷は全部外しとけ。ただし射精は禁止ってことでな。それ以外は何も言わずに連れて行けよ」
「判ったけど。ふーん、そこ、なんかあるんだね」
 俺以上に何も知らないはずのシイコは、店長の言動に何かを感じ取っているのだろう。愉しげな様子を隠さない。
「くふっ、なんかおもしろそー。先輩って、すっげえ射精すんの好きだから、きっと我慢できないけどね」
 クスクスと笑うシイコは、まさしく鬼畜なご主人様。
 なんというか成り立てご主人様だからか、若さ故か、際限を知らないところがあるっていうか。ある意味、俺たちより怖いかもしれない。
「ああ、そうだ。先輩をね、桜を見たら射精したくなるようにしたいって思うんだけど……そう言うのってできると思う?」
 無邪気な問いかけは、そういうのはシイコやテルにもさせてみたいって思うほどに、俺のサド心をくすぐってくれる魅力的な提案だった。

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