親友の待遇

親友の待遇

某組織の側近 30代2人× 某組織のトップが溺愛する恋人の親友
20代前半 複数調教、隷属、淫乱化
 

 


 身体の中で熱い塊がもうずっと長い間暴れていた。
 徹底的に解されている間、痛くなかったけれど苦しかったそこは、今はもう快感しか生み出さない。
 床に転がったたくさんの淫靡な形の張り型にローター、向こうには浣腸用のシリンジ、ローションのボトルはもう空っぽだ。
 それらすべてを使われた身体の中で、暴れる肉はそれよりも太くて、熱くて、何よりも激しく動く。
 狭く滑った肉の中をずるずる抜けたそれが、ぐっと激しく押し込まれる。
 長くて太くて硬い物が肉を押し広げて。
「あっ、あひっ……ぃぃ、いひあっ!!!」
 脳髄まで痺れる快感と衝撃に、身体が勝手にガクガクと揺れる。
 意識すら弾け飛びそうな絶頂に、すべてが持っていかれそうになった瞬間。
「——ひゃあぁぁぁっ」
 弾け飛んだ身体がまだ収まらないうちに、肉塊が暴れ出して。
 喉から迸る悲鳴が中空をつんざく。
 俯せていた上半身を髪を掴まれ起こされて、背骨が折れそうなほどに反らされた。
 視界は白く霞み、裂けそうなほどに引いた口の端から流れ落ちた唾液が喉を伝う。
 うっすらと見えた視線の先で、にたりと嗤うのは最近知り合った男。
「も……もぅ、ひゅりぃぃぃ……」
 何度も何度も。
 覚えられないほどに与えられた快感に、身も心もボロボロだった。
 手を伸ばしても遠い男に向い、顔を歪めて懇願する。
「ゆ、るひゅ……へ……あぃ、ひぃ」
 けれど、男は何も言わずに嗤っていて、代わりに首筋に触れた熱い吐息にぞくりと肌が粟立った。
「淫乱ちゃんの身体は、まだまだ欲しいってよ」
 ねとりと耳朶に絡みつく熱いぬめりに視線だけを向けて背後の男を見やる。
「かわいそうに、もっと欲しくて泣いちゃってんだ?」
 厳つい顔つきの逞しい身体を持つ男の顔が、すぐ横で愉しそうに嗤っていた。
 彼も、知っている。
「ほら、欲しいって言ってみな、もっと欲しいってよ」
「ひぎっやっ、ひぃっ」
 喉に絡む太い指が食い込む。
 言え、と言いながら、言葉を塞がれ、為す術も泣くじたばたと暴れて。
「ひひ、よぉく締め付けてるじゃねぇか、ん? 早く欲しいって言えよ、こら」
「いっ、ぎぃっ!」
 力の入らない手を、それでもあげて喉に絡む指にすがりつく。
 男の容赦ない力は確実に呼吸を止めてきて。
 それでも腹の中のそれが快感の元をひたすらこねくり回していて、頭の中は白く何度も弾けてしまい。
「あ、あひひぎぁ」
 意味の無い悲鳴にしかならない。
「おい、なんて言ってんのか、わかんねぇよ」
「ひぎっいいぃ」
 胸から伝わる激しい痛みに抗うこともできない。
「ふ……」
 それは苦笑か吐息なのか。
 届かなかったはずの男の顔が目の前にあって。
「イヤらしい子は好きですよ。もっともっとイヤらしく、浅ましく狂いなさい」
 にっこりと笑いかけてくる彼の声音はたいそう優しくて、けれど、その言葉に絶望に落とされる。
 昼間に会った時はとても優しかったのに。
 つい先ほどまでの優しい笑顔と寸分の違いも無い笑顔で、彼は背後の男に視線を向けた。
「あの方のご友人ですからね、飽きるほどに快感を味あわせてあげなければね」
 背後の、親友の恋人の部下がくすりと笑う吐息にすらぞくりと肌が震える。
「げほっ、ごほっ」
 喉から指を外されて、戻った呼気に喉が刺激されて。
 苦しげにのたうつ身体は不自然に反らされたままで、息苦しい。
「あの方は、私たちの主の大事なお方。あの方が悲しむことなどないように、あなたにも私たちと一緒にずっといてもらいたいのです」
 笑顔で頬に触れてきた指に、こくこくと頷く。
 離れるつもりなんて元からなかった。
 もとより、苦労し続けた大事な親友が幸せならそれで良い。こっちこそ、それを頼みたいぐらいで。
 けれど、二人の部下達は、離れていかないようにと俺を雁字搦めにしようとしていた。
 こんなことをしなくてもっ、言ったって聞いてくれなくて。
 延々と続く快感は、もう拷問に近い。
「だから、私たちの印を付けましょう」
 指先につまんだそれが、男の唇に触れて。唇に触れた冷たさが、喉へと降りていく。
 ガクガクと首を横に振るけれど、それは止まらずに喉から下に移動して。
 その手が持っている物から視線が外せない。
 その指がつっとゆっくりと降りていく。それから逃げたいのに、身体はがっしりと背後の男に羽交い締めにされて動かなくて。
「まだまだ小さくて色も淡くて可愛いですね。でも、私達がもっと感じるようにしてあげますから。淫乱なあなたのために」
 指が胸骨まで降りて、くるりと円を描いて。
「ずっと弄ったら、きっと真っ赤に熟れて……シルバーの飾りが似合うでしょうね」
「い、いやっ、い——っ、ぎゃあぁぁぁっっ!!!」
 白い世界に赤色が混じる。
 灼熱に触れたような刺激に弾けた意識は、そのまま暗い闇の中に落ちていく。
「ああ、やはり似合いますね」
 どこか遠くで聞こえた声は、ほんとうに嬉しそうで。
「嬉しくって締め付けやがる。ちっ、また飲んでるぜ、ごくごくって下のお口でよ」
 ぶるりと震えた背後の身体は堪らなく熱くて。
「あの方のご友人ですから、大切におもてなししますからね」
 前後からの熱い刺激に、すべてが消えていった。


「健一、久しぶりぃ。会おうって思った時にちょうど風邪引いてたって聞いたけど、大丈夫なのかよ」
「ああ、もう大丈夫だよ。心配かけたな」
 一ヶ月ぶりに会った親友は、一時期の暗さはどこにも無くて、幼かった頃の天真爛漫さで迎えてくれた。
 いろいろあったけれど、縁があって知り合った相手がすべてを片付けてくれて。
 今では見ているこっちがあてられそうなほどに、仲睦まじい。
 今だって、強面の大柄な男に抱き寄せられていて。
「ん、もう、俺は健一と話をしてんだよ」
「いいじゃねぇか、口は動かせるだろ」
「って、どこ触ってんだよっ」
 じゃれ合う二人に、付き従う二人の部下も苦笑を隠し切れていない。
 それでも、いつまでもここにいては先に進めないと、動いたのはそのうちの頭脳派側の一人で。
「さあさあ、そろそろ出かけませんと、予約の時間が来てしまいます」
 促されて、無精無精動き出した二人が前を通り過ぎる。
「さあ、私たちも」
 二人の部下とともに着いていこうと足を動かしたとたん。
「っ……」
 膝の力がいきなり抜けて、ぐらりとふらついて。
「大丈夫か?」
 肉体派側の部下に掴まれた腕からざわざわと甘い疼きが身体の中を駆け回る。
「ん……」
 こくりと頷いて、零したため息はひどく熱を孕んでいて喉を焼く。
「何でも無いところでつまずくなんて、運動不足ですよ」
 優しくとんとんと腰を叩かれて、その衝撃でひくりと強ばる身体を。
「浅ましい顔を晒すんじゃねえよ、また達けんようにしてハッテン場の便所に放置してやろうか?」
 ドスのきいた低い声に冷やされる。
「は、はい」
 慌てて気を引き締めて、先に行った二人を追う。
 今日は五人での食事会なのだから。
 あいつに変な疑念を起こさせないようにしないといけないのに。
 けれど、一ヶ月間二人から徹底した躾を施された身体は、こんな時でも浅ましく疼く。
「遠慮しなくて良いんですよ。あなたはああいうところでたくさん相手をするのが大好きなんですから、いつでも連れて行ってあげますよ」
「ちが……う」
 達けないのは辛いから、首を振るけれど。
 先端がじわりと滲むような感覚に唇を噛んで意識を逸らす。
「想像して愉しんでのか、変態」
 けれど、すぐにこの身の期待を見抜かれてしまった。
「だからって下手なこと済んじゃねえよ」
 あの二人がいるときといない時で、この二人の態度は全く違う。
 俺は、彼らの主の大切な相手の友人で、最上級の待遇をすべきもの。そのために、彼らは俺が逃げられないようにした。
 さんざん嬲られた身体は、もうアナルに突っ込まれないと物足りなくて。
 施された精液をすべて、口からもたくさん飲めるようになった。
 四六時中の躾が終わる頃、従順になったご褒美だと、汚いトイレに繋がれて、一体何人の男相手によがったことだろう。
 今も。
 乳首とペニスへのピアスはまだ定着してなくて、時折痛むけれど。
 アナルには太いプラグを嵌められて、中のバイブが抜けないようになっていて。
 それでも。
「健一ぃ、どうした?」
 着いてこないと迎えに戻ってきた親友に。
「ごめん、ちょっとこの人たちと話をしていたんだ。おまえの小さい頃、おねしょしていた頃の話」
「えっ!」
 顔を真っ赤にして怒る親友に、くすくすと笑い返す。
「さ、行こうぜ。待ってるよ」
 身体の中の快感に酔いながら、それでも平気な顔ができる俺は、もう狂ってる。
 怒りながら先に行った後ろ姿を見送って、ちらりと背後の二人に視線を送るその意味を、二人はきっと違えないだろう。
「今夜、クラブの一室を押さえていますよ」
「しっかりと楽しもうぜ」
 SMクラブのオーナーでもある彼の言葉に、淫靡な疼きが全身を襲う。
 知らず顔に浮かんだのは、期待に満ちた笑みだった。


【了】