渡されたピンクローターの電池。
「1時間ほどしか保たないよ」
と笑う須崎が続けて言う。
「明日、ここにくるまでに使い切っておいでね」
どこで、なんて言われて無くても判ってしまう。
明日は会社で。一日会社で。
隣でニコニコと笑顔を浮かべる息子は、今や、自分にとっては支配者で、家で使うことなど決して許さないだろう。
「市販の物よりパワーがあるから、きっと気にいると思うな」
一時間。
まさか仕事中に使えるわけもなく、けれど、事務仕事がメインの明日は、席から離れる時間もほとんどとれないはずで。
だから。
お昼休みしかなかった。
原寸大