背景:貴族社会で魔法があるファンタジー世界。悪魔や魔物もいますが、今回はその辺りはなしです。
1)新婚六カ月の冬の静かな夜
ラスは、自分の胎内深くうがつ存在を信じられない思いで感じていた。
太くて熱い、そして長い。
自分の中を奥までみっちりと埋め尽くす存在はひどく重く、そして苦しい。未知なる感覚は恐怖を与え、少なくとも最初は確かにおびえて蒼白になっていたはずなのに。
だが今は、冷えた身体を凌駕する熱と、恐怖を覆す快感と、そして意識がはじけ飛ぶほどの悦楽に、ただ溺れていくだけだ。
時折、甦るように理性が浮上し、苦しさとつらさに苦痛の声を発し、生理的な涙が滂沱のごとく流れ落ちる。
「あっ、はっ……やあっ、ゆるっ、ひっぐぅ」
開いた口からこぼれ落ちる言葉は意味を成さず、閉じることを忘れたままに口角から涎を流す。
ただそれも一瞬のことで、激しく与えられる快楽に意識は再び霧散した。
熱は体内からもそして肌に触れるモノからも伝わって、ラスを狂わせるばかりだ。
自身から漂う濃厚な薔薇の香りもまたラスの精神を闇へと落としていく。たっぷりと肌から胎内まで入り込んだ香油の香りなのだが、ラスはもう覚えていない。
それほどまでに強い快楽の中で、ラスは自分を犯す見知った顔を見上げるばかり。
そんなラスの涙に歪む視界の中で、その顔はただ楽しそうで。
「なん……で」
「おまえが淫乱だからだ」
事が始まってから何度も繰り返した問いかけに、その男――舅が返したのはそんな嘲笑だった。
夕食で顔を合わせた時は、いつもの優しい舅だった。
と言っても舅はしばらく国境付近の砦へと視察へ行っており、婚姻して一カ月を共に過ごした後は半年ぶりに近い。
戻ってきた舅の歓迎の宴は昨夜行われ、今日はまったりと過ごしていただいたはずだ。
公爵家の当主も勤める舅は、その威厳も、またその大柄な体躯もあってラスにとっては圧倒させる存在だが、優しい言葉をかけられてようやく馴染みができてくる。
そんな舅に、寝る前に寝酒でもどうかと誘われて、寝室へと招き入れたのも当然だろう。
だが気が付けば、広い自分の寝台に組み伏せられていた。二人で飲むはずだったワインは、開封すらされていない。
舅の年より若く見える体躯は鍛え上げられた騎士のもので、まだ現役でもある。翻って文官のラスの体躯は、貧弱とは言えないが荒事に向いてはいない。
大剣を扱う舅の腕はラスの太腿と大差なく、肩から腕、背筋や胸筋含め、どの筋肉も盛り上がりたいそう実用的な身体で、ラスにとっては憧憬すら覚えていたものだ。
だが今、のし掛かられている立場からすれば、その身体は恐怖の対象でしかない。
太くとも器用な手が、ラスの身体を縛り上げていく。
離せとも、やめろとも、あらゆる制止の言葉を放ち、やみくもに暴れて逃れようとしたラスに対し、舅は口角を上げて楽しそうに淡々と暴力的に行為を進めていく。
どう猛な表情ラスをおびえさせ、恐怖を募らせる。そのせいで、四肢は硬直しがちで、まともに動かないうちに拘束されていった。
薄い夜着は瞬く間にぼろ切れと化し、日に焼けていない部分まで照明の下で露わになったのはすぐだ。年若くまじめなラスは、女性経験と言えば妻だけ。互いに忙しい仕事とあって、結婚後半年経ってはいても、その回数は限られている。
そんなラスの形良く、色の淡い陰茎すら、灯りの下に晒されていた。
窓の外は月のない闇の空。
元より人の少ない館の一室で、ラスの悲鳴も、助けを呼ぶ越えを聞く者はいない。まして、当主たる舅の意向に逆らう従業員などいるはずもないのだ。
しかも、唯一の救い主であろう妻は、幼なじみでもある皇太子妃の出産を控え、彼の方の館に泊まり込んで久しい。昨夜の宴が一週間ぶりの顔合わせだったにも関わらず、昨夜は夫婦の営みもなく、今朝早く戻っていったばかり。
そんな夫婦の寝室で、ラスは助けなど望むべくもない状態で、身体の上に跨がる舅の思うがままだった。
「がっ、ぐふっ、……うっ」
顔面に多量の液体が降り注がれた。
濃厚な薔薇の香りにラスは咽せた。
とっさに閉じた目はまだしも、遅れた口の中にも入り込む。吐き出そうしたが、その直前に口と鼻を大きな手のひらで覆われて、咽せながら飲み込んでしまう。
ひどく甘ったるい匂いが室内に充満する。強い酒精が含まれていたのか気化は早く、滑る感触が肌をたどった。水よりは粘度が高いのか、油のように肌にまとわりつく。
肌に触れた香油は気化して呼吸のたびに体内に入り込み、口内に入ったそれが胃の腑へと染み渡る。
「あ、ああっ……」
息をするたびに急速に意識が薄れていく。
もがく手足の拘束は強くというのに、抗う力すら薄れていった。
身体の芯がひどく熱く、ラスは冷たい空気が欲しいとばかりに大きく喘いだ。そのせいで、多量の気化した薬液を吸い込むとは知らずに。
手足を失った昆虫のように蠢くラスは、ひっくり返され尻を高く掲げられた。足は太腿と脛を縛られて、きっちりと折り畳まれている。そんな状態でうつぶせでにさせられれば、すぼまった後孔に新たな薬液の細い瓶が差し込まるのを制止する方法などなかった。
くぐもった悲鳴が寝台の布に吸い込まれる。否応なく飲み干させられた苦しみに、涙と涎が敷布に染みこんでいく。その敷布にも零れた薬液が染みこんでいて、噛み締めるたびに涎混じりのそれを飲み込んでいく。
今や、ラスの全身は薔薇の匂いに包まれていた。
寝台に尻を高く掲げてうつぶせのままで。腕は背中で一つにくくられ、胸に回された細い赤縄で固定されていた。
ギシッと寝台が揺れた。
突っ伏して寝台に頬を付けたラスの視界の、舅の黒い絹のガウン姿が見える。
あれは確か、記念日の贈り物でラスが送ったもの。
顔を寝台に突っ伏して丸まった身体を、舅は寝台から降りて眺めているようだった。
強い視線が肌の上をたどるのがわかる。
ラスは自分の肌がやれに敏感になっているのに気が付いた。ピリピリと突き刺すような視線が、嬲るように動いていく。
「あっ……ぐっ……あつ……」
込み上げる熱はさらに強く、今すぐにでもこの熱から逃れたいのに、ラスは身じろぎ一つできなかった。
舅が屈みこんで、落ちたワイン瓶を取り上げた。
ラベルを見つめ、自身の好物だと気付いたのか嬉しそうにほほ笑む。
堅いコルク栓を道具なしで開けた舅は、グラス一杯に注ぐと美味そうに飲み干していった。
その肴はラス自身だと、言われなくてもそのまなざしで気付く。
はあはあと荒い吐息が零れる。
今の状況をなんとかしたいという思考はあるのに、どうしたらいいのかまで考えが及ばない。頭の芯が鈍くしか動かず、意識が別の方向へと流れていくばかり。
「どう……し、て……、許して……」
繰り返す懇願は無視されて、グラスの中のワインのように消えていく。
カタンとグラスがサイドテーブルに置かれ、舅が近づいていくる。短い距離で、舅がラスの尻に手を置いたのはすぐだった。
途端に全身が震えるほどの快感が走り抜け、堪えきれないままにラスは嬌声を上げた。まさしく嬌声としか言えない、淫猥な響きを持つ声に、舅が嗤う。
「淫乱」
囁くように、蔑んだ声をラスの耳元で響かせる。
「ちが……あうっ」
否定の言葉すら紡がせぬと、肌の上を大きな手のひらが、戯れのように弾く指が動き回る。
肌の全てが性感帯になでもなったように、ラスは何度も声を上げた。
感じすぎてつらい、善すぎてつらい。
ラスにとって、それはあまりにも強く、激しいものだった。
強すぎて、股間のラスのモノがそそり立つ。
その様子を、横から広げた股間の後ろから見つめる視線すら感じてたまらない。
「淫乱には淫乱にふさわしい躾をしてやろう」
違うという言葉すらもう出せない。
太い指が触れるのは、先ほど細い瓶口すらつらかった場所。
注がれた薬液のせいか、硬い爪先を感じると同時にずぶりと入り込み、ラスはたまらず悲鳴を上げた。
「あっ、あぁっ!」
「熱いな、儂の指をずいぶんと簡単に飲み込もうとする。一体今まで何本の男根を喰ろうてきたか」
信じられない言葉に、冷水を浴びせられたかのようにラスは震えた。それは怒りだったのだろうか。
けれど怒りは、与えられた快感に消え失せる。
「ひっんっっ! ひあっぁぁっ!」
舅の指が体内の一箇所を強く押した。途端に跳ね上がった身体に、見開いた瞳、開いた口からは嬌声と共に涎がだらだらと流れ落ちる。
「おう、ずいぶんと脹れあがった淫夫にふさわしいコブよ」
「ひぎっ、ああっひ、んんんぅぅっ」
暴れる尻はたやすく押さえつけられ、増えた指が挟み、抑え、抉っていく。
痛みもある。だがそれ以上の快感にラスの身体はさらに熱を上げ、高く掲げた尻を振りたくる。
一体それがどのぐらい続いただろうか。
ひっきりなしに上げていたラスの声が掠れ、暴れていた尻が力なく突っ込まれた指に支えられるだけになった頃。
「さて」
さんざんラスの尻を指で遊んだ舅が、楽しげに自分のガウンを広げ、夜着を緩めた。
途端に跳ね上がるように現れたのは逞しい男根。
それは粘液を涎のように垂らすラスのモノと似ているのは形状だけ。太さも長さも、エラの高さも段違いの逞しいものだ。
身体をひっくり返され、目の前でそれを見たラスのけたたましい悲鳴が室内に響いた。
疲れ果てていた身体が、瀕死の獣のように跳ねて、寝台から落ちようとする。
だがその身体はすぐに引きずり戻されて。
「ぎっ、がっ、ぁぁぁぁっっっっ!!!」
その日一番の絶叫が響き渡った。
貫かれる衝動に硬直した身体はぴくりとも動かず、激しくのけ反り、そのまま額すら寝台に着くのではというほどそっくり返ったラスの喉が悲鳴に震え続ける。
寝台に膝を着いた舅がラスの腰を抱え上げ、ぐりぐりと自分の男根をねじ込んでいた。
狭かった後孔は薄く伸びきり、朱い筋を浮かべるほどだ。
だが特殊な薬液が筋肉を弛緩させているがために、切れるまでには至っていない。
それでも常人よりかなり太い男根を迎え入れるのは、ラスの身体にはきついのだろう。
悲鳴はひっきりなしに迸り、思い出したように動く身体は恐怖にも震えていた。
だが強い力に抗えるはずもなく、その長い時間は不意に終わる。
びたんと肌と肌が打つ音が響き、舅の動きが終わる。
ぐるんと目を剥いたラスの身体が寝台へと沈んでいく。
直後、寝室に響いていた音が消え去り、闇夜の静けさが襲ってきた。
淫乱だから犯されるのだ。
その言葉の意味を理解することはできなかった。
意識は舅が動き始めてすぐに戻り、無理やり覚醒させられてすぐに、ラスは自分の中を縦横無尽に暴れる存在に翻弄され続けた。
ラスの身体のことなど無視した動きは、痛みもあれば快楽もあった。
縛られたままで何もできないラスに逆らう力はなく、悲鳴と嬌声を繰り返す。
太い肉杭に体内深く貫かれ、あり得ぬほど深く、その存在を感じる。
「淫乱が故に奥まで迎え入れるか。なるほど、淫蕩な身体はこのような奥まで悦ぶらしい」
ラスの名を決して呼ばず、淫乱と蔑み、道具のように使ってくる舅。
そこにあの優しかった姿はなく、ただただ玩具のように弄ばれた。
「ぐふっ、うっ、がっ」
激しい抽挿は身体が浮くほどで、目の前が何度も白く弾けた。
きつい中でも快感はさらに激しく、ラスの身体を支配する。
次第に脹れあがってくる快楽の塊が止められない。
「ひぐうっっ」
一際激しく快楽の塊を抉られた途端、ラスの身体は大きく跳ねた。
体内にあった塊が一気に外に出て行く感触。
ボタボタと腹の上に落ちてくる熱い雫を、ラスは朦朧としながら感じていた。
「ふん、尻で達したか、淫乱が」
「ぎいぃっっ!」
いきなり股間の付け根に強い痛みが走った。
薄れかけた意識が覚醒し、痛みから逃れんとばかりに身体が暴れる。
舅がラスの陰嚢を二つともつかんでいたのだ。
つぶれる恐怖すら感じるほどに強い力に、ラスは震える声で嘆願した。
「お、許し……を、痛い……許して……」
「許しを得ずに達した罰だ。許しを得ずに達した場合、その背に二度と消えぬ色で印を刻んでやろう」
「え……?」
「おまえが射精した回数を、一回に一つずつ刻むのだよ。この肌がその色に染まるまで、一点ずつ刺していくのはどうだ」
「ひ、いっ、それ、はっ」
ゆっくりと繰り返されて、快感に蕩けた頭でもその意味に気が付いた。血の気が一気にうせたラスは、信じられないとばかりに舅を見上げた。
二度と消えぬ色とは肌に深く刻み込むものだ。その色は二度と消えないが故に、罪人や奴隷に刻まれる。
それなのにそんな淫らな理由で刻まれるなど、受け入れられるはずもない。
「そうだな、射精した原因の場所に刻むのが良いだろう。今のは尻で達したか。ならばこの臀部に我が家紋にある蛇型を刻んでやろう」
「い、いや……厭です、そんな……あっ」
思わず出た否定の言葉は、舅の強い眼光を向けられて消えていく。
「淫乱が儂に逆らうことは許さぬ」
その言葉は、ラスの心に強く刻まれた。
圧倒的強者に逆らう術などないのだと、もうすでに生殺与奪の権利は舅に握られてしまっているのだと、ラスは理解してしまう。
一体何がどうなってこうなったのか。
ラスには何もわからない。
だが、舅の言葉は絶対だということだけは、その頭に刻み込まれていく。
「射精しなければ良いのだ、淫乱にはきついだろうが」
その言葉に何も言えないまま、再び舅が動き出すのをラスは呆然と受け入れるしかなかった。
この国の冬の夜は長い。
ましてや、主たる舅が人払いをした館の奥で、舅の行為を邪魔するモノは誰もいなかった。
何度も何度も舅の性欲を受け入れた身体は疲労困憊だった。
だがいまだ舅の男根は萎えることなく、ラスの身体を貫いている。
それでもただ貫くだけは飽いたのか、それともぐったりと倒れ伏して反応が鈍くなったラスに呆れたのか、今は舅は寝台に寝そべり、その上にラスを座らせていた。
だが、ラスの身体は変わらず縛られたままで、腕は背中で指先しか動かせない。そのせいでのけ反った上半身には細い赤縄が無造作に走り、その縄は天井のフックに伸びていた。そのせいで、ラスの身体は倒れることを許されてない。
足は折り畳まれた状態で縛られて伸ばすことはできない。股を開いた状態の正座の姿勢で、ラスが座らされていたのは男の腰の上にいた。
そこからずれないのは、太い肉杭に貫かれているせいだ。 天井からの縄は短いが、体重はしっかりと男の身体に乗っている。自重も相まって、その深さは今までで一番深い。
その腰をつかむのは武骨な指で、先ほどから何度もラスの身体を揺らした。そのたびに、悲鳴にも似たラスの嬌声が迸る。
肉が軋み、濡れた音が激しく響く。太い肉杭が体内の敏感な場所を抉り、目の前が白くなるほどの快感が弾けた。
さんざん嬲られたはずなのに、尽きぬ快感に襲われる。
それがあの薬液の効果の一つだとラスは知らない。
ただわけもわからず受け入れるだけだ。
「ひっぎっ、あっいっ、ひゃあぁぁぁっ!」
とっさに立てた膝がわずかに腰を上げる。だがその腰をつかむ太い指が引き落とした。
ぺたんと落ちた身体に走るのは、全身の神経が弾けるような快感。
「ひっあぁ――――――っ!!!」
喉から発した悲鳴はいつまでも続く。
止められないままにラスの身体を吊す縄がギシギシと軋んでいた。
自分の身体の下で嗤う男の言葉ももう耳に入らない。
「どうした淫乱。抜いてほしいなら自ら抜いてみろ」
「ぐっ、あぁっ、ひぁっっっ!」
激しい絶頂の余韻が薄れるより早く、腰を揺すられて、中がゴリゴリと抉られる。
見開いた瞳から雫が頬を流れ落ち、ポタポタと太腿まで落ちた。
ぐちゃぐちゃっと粘着質な音が互いの接合部から漏れ聞こえ、わずかに浮いた隙間から剛毛が覗く。もっとも見えたのは下の男だけで、ラスはただ天使が戯れる豪華な天井を見上げるだけだ。その天使の姿もぼやけてもう見えない。
「だ……めっ……動かさ、な……さい……お願いっ」
それでもかろうじて保った意識が喘ぎ続けて掠れた声で、舅への懇願を紡ぐ。
決して聞き入れられないと知ってはいても、ラスは快楽に溺れながらもラスは願った。
「おねが……義父さ、ま……」
自身の舅である男に、ラスはただ希う。
「ゆ、るして……くだ……い、お義父さ、ま……」
流れた涙は股間へと流れ落ち、陰液で汚れた男根から陰嚢へと落ちていった。
金の鎖で戒められた陰茎が、若夫婦の寝室を煌々と照らす照明で照らされ、鈍く光る。細身で形の良い陰茎は雁首もそこそこに大きく、きれいに張ったエラと赤味を帯びた亀頭は反り上がって何度も腹を打っていた。
その先端をうがつのは、巣が懇願して取りつけてもらった淫具の一つ。
短い棒が先端の穴を埋めて塞ぎ、金鎖によって陰茎と固定され、金鎖は陰嚢にも絡まって射精を制御するものだ。
すでに五回は射精したラスが、これ以上の射精におびえた結果の淫具。
だがそれは、ラスに別の苦しみを与えていた。
射精を阻害して達しにくくはするが、達けない苦しみは体内の熱を上げたままで解放してくれない。さらにまったく達けないわけではないから、勢いのまま迸ったモノが中を広げ、蟠る。その熱は痛みすら伴って、さらにラスを苦しめるのだ。
なのに、時間を経るにつれて、ラスの身体は刺激に対して快感を拾いやすくなってきていた。
乱暴とも言える舅からの刺激が、全て堪えきれないほどの衝動を与え、蟠る快感はさらに激しく、ラスを高めていく。
すでに射精を伴わない絶頂をラスは覚えていた。
目の前が白く眩み、意識が遠のくほどの絶頂を何度味わったことだろう。
すでにもう全身が性感帯となったように、ラスの身体はもう快楽の泉の中にずぼずぼに溺れていた。
「こうしてほしいと、おまえは苦しいほどの虐められるのが好きなのだろう。こうして奥の奥まで抉られて、激しく揺さぶられて、ひいひい喘いで、踊るのが好きなくせに。なあ淫乱、言ってみろ、おまえは何が好きだ?」
明るい嗤い声が響く。
「ひっ、ああっやめっ、やめてっ」
ぐりぐりと今度は腰が回転するように動かされた。
開ききった後孔の縁がねじられる。きつい刺激に閉じたまぶたの裏にいくつもの星がきらめいた。
ほんの少し動かされてもたまらないのに、熱くぬかるんだ身体は深くうがつ肉杭に絡みついて離さない。
何度も喘ぎ、なけなしの体力で逃れようと身体を浮かし、けれど逃れることなどできずにまた落ちる。
離さないのではない、抜けないのだ。
きつく固定する義父の指は外れず、上下の稼働範囲は狭い。ならば横へと倒れようとしても天井からの縄がそれを許さない。
「ひぐっ、お義父さまぁ……も、もう無理ぃ」
長い行為にラスの理性などすでに消え失せていた。
行動も言葉も反射的で、意思など欠片も残っていない。
舅の訪れの前に付けたばかりだった照明の中のろうそくは燃え尽きかけていた。
ジリッジリと小さな音を立てて揺らめくろうそくの中、妖しい笑みを浮かべた舅がラスの顔を覗き込む。
「言え、淫乱が好むモノは何だ?」
言葉と共に響く自身をうがつ音。ぐっちゃぐっちゃと粘着質な音が長く響く。
もう何度中に出されたのか。
体力も何もかもラスより優れていて、二十の年齢差などモノともしない舅の体力は、底なしだった。何度もラスの中で果てたはずなのに、その陰茎はまだ太く熱く硬い。
ラスは歪む視界の片隅で嗤う舅を見た。
楽しげに嗤うその笑みは捕食者だのものだと、薄れる意識の中でそんなことを考えて。
「答えろ、淫乱」
途端に抉られる中に、その存在感をまざまざと感じさせられる。
蕩けた頭でも、いや蕩けきっているからこそ、ラスが答えるべき言葉は一つしかなかった。
「達きた……射精させて……さい」
「どうやって?」
「お、く……を、貫いて……」
「何で?」
「あ、ああっ、それっ、それでっ、お義父さまの、お義父さまの男根っ!」
「それが淫乱の好きなモノか」
嗤い声が高く響く。
重なるのはラスの嬌声だ。
深く激しく、吊されたラスの下で片膝を立てた舅が激しく突き上げる。足が宙に浮いていた。どしんどしんと突き上げられては落とされる。
あまりの激しさは腹が破れそうなほどで、そんな中でラスは天井の天使を見上げながら、白目を剥いていた
自分の男根から念願の射精が、わずかな隙間からだらだらと勢いなく流れ落ちてくる。
何度も何度もトプリトプリと流れ落ち、それが三度目になっただろうか。
不意にラスの身体から力が抜けた。
白目を剥いたまま崩れ落ち、弛緩しきった身体が舅の身体にのし掛かる。
その様に、舅は舌打ちをして、突き飛ばした。同時ナイフで縄を切れば、その身体はなんの反応もなく寝台で数度跳ねる。
舅はゆっくりと寝台から降りると、乱れた夜着とガウンを整えた。その隙間から覗く男根はいまだ反り返り、まだまだ欲を解放しきっていないモノのようだ。
手櫛で前髪を掻き上げた舅は口角を上げて、しばらくラスを見下ろした。
うつぶせに倒れ伏した意識のないラスの全身をじっくりと嬲るように見つめる。
「罰は十か。ふふふ、なかなかの淫乱奴隷になるな」
こぼれ落ちた言葉を聞いたのは、誰もいなかった。