【僕とご主人さま】

【僕とご主人さま】

僕とご主人さま

借金返済に巻き込まれた兄弟のうち兄のお話。
配信、複数陵辱、野外撮影(ストリップ)


 借金取りから僕を買いとったご主人さまはとてもぼくをかわいがってくれた。
 僕の初めては全部ご主人さまだったし、何も知らない僕に全てを教えてくれたのもご主人さまだ。
 男との性交の仕方はもちろん準備の仕方、後始末方法。それから喜ばせ方も。もちろん僕は買われた立場で奴隷だから、その振るまいもだ。でもそれだけではなくて、セレブな彼と共にいても問題ないような礼儀作法も実践で教えてもらった。
 与えられる快適な住環境、質の良い食事、料亭での懐石料理やホテルのディナー、バーでの酒のたしなみ方、そんな初めての経験が日常化されていく。身にまとう服もアクセサリーも、素人目でも良い物だとわかるぐらいで、全てがオーダーメイドだ。
 お仕事に出かけられたご主人さまを待つ間は英語の新聞を読み通すことができるように言われて、一生懸命勉強した。
 僕はご主人さまのご命令に従うことだけを考えて暮らすことを覚え、その間はずいぶんと喜んでもらえたのは確かだ。
 もっともさすがに最初のころはそんな境遇がなかなか受け入れられなかった。だがそうしないといけなかったのは確かで、そして僕が自分でそれを受け入れたのだからしょうがないと割り切った。割り切ってしまえば、嫌だというのも薄れて。楽しいとは言わないけど、それでもご主人さまが喜んでくれたら少しは心が軽くなった。
 そんなふうにしてようやく慣れたのだ、この生活に。
 だってそうしないと僕に課せられた借金は全部弟に行ってしまう。弟が代わりに働かないといけなくなる。
 父が急逝し、残された小さな会社は火の車どころかもう沈みかけた泥船状態。ちゃんとしたところはもう貸してくれなくて、家も会社もとっくの昔に担保になっていて。どう見ても普通じゃないところからの取り立てに、大学生だった僕がかなうはずもない。
 それでも一年間、僕を買ったご主人さまは優しくて、それほどひどい生活ではなかったと思う。
 だからちゃんと従っていれば、ずっとこの生活が続くんだろうと思っていた。
 優しいから、もしかするといつか僕を解放してくれるのだろうと……。

 だけど、それがどんなに甘い期待だったのか、今の僕は知っている。

 ――お散歩しよう。
 ご主人さまが言えば、僕はそれに従い着いていくだけ。
 ――そこで待ってて。
 ご主人さまが言えば、僕はそこで待っている。
 ――新しいご主人さまが来てくれるからね。
 その言葉に、僕は初めて「いやだ」と言った。
 ――だってもう飽きたから。
 捨てないで、という言葉は無視された。
 何かが表に置かれて扉は開かなくなった。鍵のような音もしていた。扉を叩いても、もう開かない。
 ――扉を開くことができるのは新しい主人だけだ。
 その言葉を最後に人の気配は消えた。
 クリスマスイブの夜、ちらほらとささめ雪が降る公園のトイレ。
 僕はその中の個室に閉じ込められて捨てられた。

 そして僕は。
 その日、自分がなんであるか、本当のことを知ることになった。

「迎えに来たぜ」
 冷たい個室の扉を開いた男を僕は知っていた。
「ずいぶんと淫乱ちゃんに仕上がったって聞いたからな、楽しみだ」
 毛深くて太い指が僕の顎をつかみ、寒さと恐怖で蒼白となった僕と視線を合わせた男は、たばこ臭い舌を絡める寸前言い放った。
 あの日、僕の前に初めて現れた日と同じ表情と臭い。
 僕に向かって父の借金の返済を迫ったときと同じように嗤いながら、僕は僕がご主人さまと言っていた人に貸し出されただけだと暴露された。
「素直で淫乱で気品ある奴隷ってのは人気があるからな、へへっ、あの男に頼めば、おまえをうまく躾けてくれるってのはわかってたが、期待通りの働きをしてくれたぜ。一年間我慢した甲斐があったっていうものよ」
「う、そ……」
「てめぇが着ているこのコートも服も、それから一年間の特別コースのデートの経費も、全部こっち持ちだぜ。あーもうたいした先行投資だったと思わねえか? まあさすがに生活費はあっち持ちだったけどよ」
 ご主人さまからだと思っていたイタリアンカラーのアンゴラのコートも剝ぎ取られ、僕は冷たい便座カバーに押しつけられて。
「あんときは貧乏暮らしで肌つやも最悪だったが、どうだい、このしっとり滑らかなお肌。これなら若い子好きのヒヒじじい共も目の色変えて群がるだろうよ」
「……群がる……って」
「おまえの借金返済のお仕事がこれから始まるってことさ」
「これから……」
 オウム返しのようにしか反応できない僕にのしかかりながら、男は声を上げて嗤った。
「かかった必要経費分も稼いでもらうつもりさ。さあて、どんな具合かまずは味見だな」
 甘い期待どころか、全てがようやく始まるのだと知らされた絶望の中で、僕は男にのしかかられた。


 狭くて汚い個室の中、寒さに凍える僕に上からコートだけは被せてはくれた。だがそれは憐憫ではない。ただ震えてかじかむ様子に興がそがれる、ただそれだけだ。
 僕は便座の奥の配管を掴まされ、前屈みになって突き出す形になった尻をわしづかみにされた。割り開かれた狭間を、男はいきなりその怒張で貫いた。
「ひぐぁっ!」
 慣らすことなく入り込む、前のご主人さまよりはるかに大きな代物に、引き裂かれるような痛みと激しい圧迫感に悲鳴が勝手に迸った。
 太い肉はゴリゴリとしていて、慣れたはずの穴を何度も何度も抽挿を繰り返す。痛みはあるが、僕はそこで達くことができると教えられている身体はあっという間に反応して、込み上げる快感に全身を何度も震わせた。
 乳首は太い指先で摘ままれ、こねられて、敏感な性器でもある乳首は瞬く間に勃起した。刺激は快感として脳髄へと伝えて、絶頂へとひた走らせる。
 男の腕は力強く、片手で背後から抱え込むようにして僕の背にしっかりと密着していた。なのに腰だけが別物のように激しく前後し、僕の狭いアナルを割り開き、グチュグチュと淫らな水音をたてまくる。
 込み上げる快感に、最初の衝撃も忘れて、僕は泣き喚いた。口にハンカチを入れられなければ、公園中響き渡るような声で叫んでいただろう。
 前の、になったご主人さまは、僕に声を我慢させることなどなかったからだ。
 だがこの男が仕掛けたのは公園のトイレで、そんな声を上げることはどちらも身の破滅だ。そのせいか男は僕に声を殺すことを強要した。
 だから必死になって歯を食い縛って我慢したが、それでも漏れるものは漏れる。
 ましてや男の行為は乱暴で、膝はがくがく震えるし、奥の奥まで一気に貫かれる衝撃に声が我慢できない。
 口の中を満たすハンカチは涎まみれで、息苦しい。ヒイヒイと喘いで涙を流していたら、男が耳元で囁いた。
「なかなかいい感触だが、こんなんじゃあ借金を返すのも時間がかかるだろ? だからさ、てめぇの弟も稼がすか? 今はちょい下品なキャバクラの黒服やってっけどな、カワイイって評判だしな。『裏』の客を回せばかわいがってもらえて金もがっぽり稼げるだろうよ」
 心配はしていたけど連絡のとりようもなかった弟の現況に、目を見開き、背後の男をみやった。
「うう、ぐっ……うっ、わあだぁーうな? ぐあっ」
 無事か問いかけようとしても口の中のハンカチのせいで言葉にならない。必死になって振り返り視線で問いかれば、そんな僕を見て男が口角を上げて嗤った。
「さてなあ、金がねえからって仕事は斡旋してやったが、実際何をしてるかは知らねえよ。まああの辺りにいるとたいていのやつは悪い連中に目を付けられて堕とされていくか、それとも勝手にやさぐれて転落していくかだけどな」
 どらちにせよ良いことはないような言い方に、僕は頭を横に振った。僕が頑張るから、と。だから弟を助けて欲しい、その分だけ頑張るからと、必死で声なき声で訴えた。
「ふん、弟の生活費まで稼ぎたいならその分も上乗せしてしっかりと奉仕しな。男の喜ばせ方なんか、この一年間でしっかりと教え込まれただろう、なあ?」
 そうなのだ、確かにそれはご主人さまから教えてもらっていた。
 僕はぎゅっと尻タブに力を入れて、中のモノを締め付けた。同時に、腰をくねらせて中のそれをねじるように刺激を与える。
「んくっ、うっ……」
 そうすれば中のモノも喰い締められるけれど、僕自身も中を抉られてたまらない快感に襲われる。ビリビリと神経が鋭敏に反応して、快感に襲われた身体が勝手に身悶える。配管から片手を外し、冷たく冷えた指先で膨れ上がった乳首に触れた。
「ひゃんっ」
 熱く熟れたそこに感じる冷たさに、身震いする。命令されるがままに毎日いじり続けたそこは僕にとっては確かに性器である。触れるだけで身震いするほど感じるし、感じる刺激に膝が砕けることも度々だ。
 零れた甘い嬌声も自然に零れ、そんな快感が下腹にも伝わって、中にある男のものを締め付ける。
 自分が快感を得るようになると、苦しいほどの圧迫感も和らぎ、落ち着いた神経が中の存在をまじまじと認識した。大きくて太い。はっきりと感じる抉られるような感覚、ゴツゴツしているのは確かで、信じられないほどに奥深くまで貫こうとする。その奥は、僕はまだ未経験だ。
「あ、ぁっ、あぁっ……」
 抽挿のリズムに合わせてが零れる。淫らで甘い、誘うようなさえずりと言われたことのあるその声に、男は「いやらしいぜ、クソするところでクソする穴にぶっといチンポを咥え込んで、嬉しそうに悶えてやがるのかよ」
 耳たぶをねっとりと嬲られ、濡れた音を立てている。
 そんな音にもざわりと肌がざわめいて、ぞくぞくと小刻みに痙攣した。男の指が僕の指の上から強く押して、乳首が鋭い痛みに襲われる。だがそれでも僕は痛みより快感を味わっていた。
 痛いのに気持ち良くて、その反動できゅうきゅうと中のものを締め付けて。きついほどの圧迫でも男は力強く、無理矢理に奥へ奥へと侵入しようとする。
「む、むりぃ……そんな奥までっ、あぁ、ぐぅっ!」
「奥はいいぜ、そのうちに奥まで開通してやろう。このデカマラで思いっきり突き上げてよ。はははっ、アヘ顔晒して嗤いながら奥の奥まで貫かれて、だらだらザーメンを零している姿を公開してやろう、指名客がたくさん付くようにな」
 今は準備ができてねえ、と残念そうに宣う男のせりふなど耳に入らない。いや、認識はしているのだけど、頭が理解を拒否していた。
「んあ、んぐっ、お、奥は……ああ、そんな、激しい、駄目ぇ、ひゃっ」
 太い棒がゴリゴリと前立腺を抉るように抽挿する。それだけで絶頂を感じる僕は、もうそれ以外考えたくなかったのだ。
 借金のことも、弟のことも、何よりご主人さまだと思っていた人に捨てられたことも、全部。


「見てください、僕の厭らしい姿を」
 一つずつ、ゆっくりとコートのボタンを外していく。
 襟元から開きながら外していくと、すぐに僕の薄い胸板が露わになる。
 僕の飼い主さま――ご主人さまと呼ぶのはお客さまだけだからそう呼ぶように言われている――は、僕に恥ずかしい格好をさせるのが好きだ。
 今日も成人した僕に、丈の短いジーンズ生地の短パンとロングブーツを履かせ、その上からセミロングコートを着せて連れ歩き、明るい日射しが差す展望台で僕の撮影を始めた。
 生配信であるそれは、会員制でものすごく会費が高いという。会員が一人増えるたびに、飼い主さまがぐふぐふと笑い声を上げて喜んでいる。
 コートの下は短パン一枚とロングブーツだけ。
 短パンはビキニのよう裾が切り上がって後ろは尻タブが覗いているし、前は僕の陰茎を隠すぎりぎりだ。股上も短く、薄い下生えの生え際までしかない。ほとんど裸体と変わらない格好で僕を散歩に連れ出して遊ぶのだ。
 コートのボタンを全部外して、ゆっくりと左右に開けば、少し離れていたカメラが一気に近づいて、僕を舐めるようにパンしていった。
 そんな撮影中の映像をつぶさに見ながら、僕はこの映像を見ている相手に媚びる。たくさんの人が僕を買ってくれるように。
 僕にお金を落としてくれるように。
 そうすれば借金をはやく返すことができるはずだから。
 だから、特に乳首は左右一つずつじっくりと見せつけた。
 乳輪から盛り上がり気味でその先には男にしては大きな乳首。色素が沈着して濃い色のそれは、日に焼けてない肌には目立つらしく、撮影時にはここはじっくりと映される。そんな乳首を胸板の筋肉ごと掴んで、僕はゆっくりともみ上げた。
「ん、あっ……見て、ください……僕の乳首……こんなに大きくて、厭らしい色。いっぱいいっぱい……ご主人さまたちにいっぱい舐めて吸ってもらったから……こんな厭らしい姿になりました。あ……りがと……ございます」
 右と左、交互につまみ引っ張って、抉り出した先端を指の腹で擦る。
 もうそれだけで声が震え、背筋が仰け反って乳首を前に突き出すようになった。春先の冷たい風が火照った身体に心地よいほどだ。
 じわりと先走りの腺液が生地に染みこんでいく。
「あ、は、ぁぁ」
 甘い吐息が零れる僕の視界は、今大きなゴーグル状のものですっぽりと覆われている。
 目の前に広がる世界にいるのは、僕。
 はるか向こうに街並みが見える高い山の人気の無い展望台にいる僕。
 乳首をくびりだして先端を虐めながら、前を濡らして身悶えて。
 浅ましい吐息と喘ぎを慣らしながら、世界中にいるという僕のご主人さまを誘っている。
 舌を出して指をなめて、たっぷりと唾液をまとわせたそれで肌を撫でる。てらてらと光るそれが乳首を濡らして、動きやすくなった指でたっぷりといじりまくる。
「今日はご主人さまたちに、僕の乳首にどんなピアスをしたらいいか聞きたくて……教えてください、あ、あんっ……どんなのがいい? とっても厭らしくて、僕の乳首を虐めてくれるピアスを、あはっ、探しているんです……」
 アップされた乳首を見せつけるように胸を突き出しながら、僕は強請った。
 飼い主さまに言われたとおりの姿で、僕はたっぷりと淫らに誘い続けた。


「いい子だったな」
 僕が言いつけどおりにすると飼い主さまは笑って褒めてはくれるし、食も住も十分なほどに与えてくれる。
 だがその全てが男の予定をクリアしたときだけだ、今日の撮影のように。
「どうだった? あいつらのチンポは。太くて美味かっただろう?」
 そんな言葉に僕は応えられない。もう指一本も動かせないほどに疲労困憊した身体は、ただ投げ出すだけだ。
「てめぇが強請ったから五本も来てくれたんだぜ。ちゃんと後でお礼をしとけよ」
 そう言って、高笑いをしていく男はあさってまでここには戻ってこない。
 今日の撮影で五人の客演をした男たちと僕を残して、編集するために事務所に戻ってしまうのだ。
 僕は太いペニスが僕の中にめり込みジュポジュポと音を立てながら抜き差しされて、中に注がれた精液が泡立ち溢れる様を見ていた。
 高く掲げられた足の間に入り込む太い身体、乳首を繰り出す毛むくじゃらの指、舐めまくる分厚い舌、打ち付けられる複数のペニス。
 ストリップショーの最中に紛れ込んだ集団によりそのまま公開陵辱ショーとなる今回の配信は、つぶさに撮影された後に男たちの顔にはモザイクをかけて販売されるという。
 もちろん僕の顔にはモザイクなんてかけられない。
 そして、客演した五人の出演料は僕自身で払う。
 それが借金返済のための僕に出された契約の内容だから。


「あ、ぁぁぅっ、んぐぁぁ、いっぱ、いっ、そんな、いきなりっああっ」
 部屋の中が男の臭いでいっぱいだ。
 のしかかる重みにあえぎ、貫かれる圧迫感に嬌声を上げ、左右の乳首はそれぞれにかじられたり舐められたり。足も腕も舌が這い、口内には必ず誰かのチンポが入っている。
 耳に届くのは濡れた音や男たちの卑猥な言葉ばかり。
「今度はケツマン掘りまくって達きまくるのがいいのかい? 喉もふかーく埋めて貰ってんのに。清楚な顔してんのに、マジでド淫乱なんだからさ」
「さっきからザーメンいっぱい飲んで、まだ入る余地があるのかな。昨日から飲みまくってもうたぷたぷじゃないの?」
「淫乱ちゃんはザーメン好きだから、いくら飲んでも物足りないんだよねー。ほーら、次のチンポだよ」
「もっと尻に力いれやがれ。こんなんじゃなかなか終わらねえじゃねえか。俺は抜かずの五回なんかざらなんだぜ」
 揶揄まじりの笑い声でざわめく部屋で、僕が発することができるのは嬌声か懇願、あとは泣き声だけだ。
 昨日は射精しすぎてペニスが痛くなるほどに犯されているけど、今日は開始早々に陰茎の根元を縛られて、尿道には太い棒が奥まで入っている。
 棒にはゴツゴツと盛り上がったもので、入れられると痛みと快感が入り交じったなんとも言えない刺激が強すぎて、僕が苦手なものの一つだ。それを知っているご主人さまによって、今日は朝からしっかりと挿入され、何度もそれで遊ばれて。
 そのとき上げた悲鳴が、時々BGMとして流されている。僕の中をいっぱいに征服するモノを全部動かしながら。
『ぎぃぃっ! やめでぇーっ、いだ――って、ああっ、やだぁっっ!! それだめぇぇっ』
「ぐうっ、うっ、やあ、そこは駄目っ、ああっ、やだっ、達く、達くぅぅ!」
 悲鳴と嬌声が入り交じり、押しつけられた視界にある壁いっぱいには昨日の映像。
 そっちからも声が聞こえる。
『じゃあアンケートを採りますね、こちらから選んでいただいて、どれがいいか投票してくれたら、今度は僕のオナニー、配信します……。えっと……これ、を、使います……』
 持たされた写真パネルをさすがに躊躇いながらカメラに向ける僕。
 次回、来週の配信に使うオナニーの道具は、黒塗りのとっても太い陰茎がそそり立ったもの。僕の拳ぐらいあるそれに、さすがの僕も蒼白になっていた。
 そのときに味わった恐怖は、でも今の僕には薄い。もう過ぎたことや未来のことを考えるより、今をのりきるほうが大事。
「ほら、口がお留守になってるぜ」
「ぐぼっ、おお、んおーっ」
「尻ももっとふりな、淫乱ちゃん。熱い肉壺がジュルジュルに蕩けるまで使ってやるからな」
「昨日しっかり頑張ったお礼なんだろ? ほら、まだまだ足りないぜ」
「カワイイ乳首、俺さ、ピアス候補の中で一番でかいのを選んだんだけどさ」
「ああ、あれ、一番人気らしいぜ。このバカでかい乳首をもっと大きくしてくれそうでさ」
 笑い声が響き渡る。
 そんな話題も、今の僕にはどうでもいい。
 どこもかしこもいっぱいいっぱいで、もうそれだけしか考えられない。
 濡れた音が耳をも犯し、滑る液体で全身が覆われて。
「次のシリーズは、『淫乱ちゃん、身体改造計画』って言ってたしな。乳首ピアスは手始めらしいけど」
「ここまで淫乱に改造されてるっていうのに、まだまだ改造されるって。淫乱ちゃんはもっと淫乱になっちゃって、普通の生活なんて無理なんじゃねえの?」
「ははは、でも淫乱ちゃんがしたいって言ってるらしいね。もっともっと淫乱な身体になりたいって」
「ふーん、ずいぶんとがめついんだね。だったら僕たちもたっぷりと協力してあげようぜ。まずは潮吹き初挑戦ってどうだ」
 下も上も貫かれ、全身を愛撫されながら、世間話のように決められていく僕の未来。
 ここに飼い主さまがいなくても、ご主人さまたちの会話は伝わってしまう。ここの映像も撮られているからだ。
 潮吹き……。
 そんな言葉への理解は遅く、それでも実践されたら否が応でも理解する。
「ひ、駄目っ、ダメダメっ、そんな達ったばかりっ、ひ、ぃぃっ、駄目っ、ひ、いっ!」
 敏感な鬼頭ばかりが責め立てられ、真っ白になった視界に中に星が幾つもきらめいた。
 白く呆けた視界でも、自分の身体に何かがビシャビシャとかかる感覚がある。
「おめでとう、淫乱ちゃん、初潮吹きだよね。まだまだ初があるなんて、淫乱ちゃんもまだ先があるってことだよ。良かったね」
「一回で終わりってわけじゃねえよ、まだ先は長いんだ。ほら、尻を出せ、まだまだ達かせてやるぜ」
 まだ先は長いという言葉に、僕は頷いた。
 うん、僕はまだ頑張らないと。
 ぬるりと入ってくる肉の塊に、僕は身震いしながら喰い締めた。
 たくさんのご主人さまからいっぱい稼がないと。
『弟は大金を恵んでくれる足長おじさんが現れたって喜んでるぜ』
 せめて弟だけは助けたいから。
 借金返済の中から少しだけ渡して貰う対価は、すべてに従うこと。



「足長おじさんってのは言い得て妙だな」
 自分の言葉に自画自賛している男は、一枚の写真を見ながらほくそ笑んでいた。
「ま、長いのは足だけじゃねえけどな。ちゃんと金も渡してるし」
 事務所で使う男優で特に長大なペニスを持つ長身の男が若い子を組み伏せている写真。
 こっちの次回は確か痴漢陵辱配信だったなと次の段取りを考える男は、最近とみに実入りのよい二種類の配信に笑いが止まらなかった。

【了】