【Animal House 鳥編】 後編

【Animal House 鳥編】 後編

 金さえあればなんでもできるこの館で、嗜虐性の強い客はアニマルたちがもっとも恐れる類いの輩だ。
 けれどアニマルには客は選べない。
 アニマルごとの許可項目とそれを行うための価格は全てカタログに提示されていて、その価格を客が払っても良いと思うかどうかだけ。全てが客の判断で決められるここで、そのカタログに書かれている以上その行為にはスタッフすら口を出せない。
 激しい口虐が繰り返され悲鳴が響いたのは最初だけだ。意識を飛ばし静かになったシェリルに客が一際強く腰を突き出せば、意識を失ってなお喉を塞がれて激しく痙攣をする。その口からは溢れた出した白い汚濁が何本も筋を作って流れていた。
「君っ、ちょっと来て」
 ジェイムスが近くのスタッフを呼びつけ、「なかなか言うことは聞かない、罰を与えてくれ」と訴えた。
 それに深々と頭を下げて謝罪を口にしたスタッフが別のスタッフを呼びつける。そのスタッフは鳥専用の調教師で、彼は白目を剥いているインコの髪を引きつかみその頬を力任せに数度叩いた。
「ぐっ……あ、あっひぃぃ――っ!」
 痛みに意識を回復したシェリルが、自分を目覚めさせたスタッフに気が付く。途端にか細い悲鳴が白濁で汚れた口からほとばしった。身体が逃げようと蠢くが止まり木に固定されていては逃れようもない。
「い、いや……許して……頑張りますから……許して……んあ……あっ」
 涙が双眸から溢れ流れ落ち、厭だと身体ごと左右に揺らす。だがそんな最中でも感じる刺激に、シェリルは絶望の快感が入り交じる複雑な表情を浮かべるだけだ。
 そんなシェリルの背から飾り羽が一本取り外され、代わりに差し込まれたのは漆黒の羽だ。
「い、いや……黒い羽は……ああ、んぁ……駄目っ……」
 シェリルの股間ではペニスをめしべのように見立てて根元に花びらを模した羽毛で飾られているが、そこはいまだに完全に勃起して、先端から粘っこい腺液を流していた。
 そこに、客がカタログを提示して示した通りにスタッフが茎の長い造花を取り出して、ずるずると奥まで差し込んでいく。
「ぎっ!! ひぃぃ――っ、っ、あっ……」
 施される装飾に蒼白となっていたシェリルの身体が刺激にびくびくと揺れ、先端にダリアのような重い花を飾られたペニスが動きに合わせてゆらゆらと揺れた。
「ひぃ、ひあ……」
 細いとはいえ、鈴口を塞ぐそれは先走りの液すら封じ込める代物で、しかもその軸のある微細な凹凸が尿道をまんべんなく刺激していた。
 痛みは鋭く、同時に背筋を這い上がる快感がインコの意識をグズグズにとろけさせていく。
「や、あっ……もっ……もうっ……」
 これから迫るのは快楽か痛みか。
 どちらにせよシェリルに与えられるのは地獄の責め苦と違わない行為だ。
 滂沱のごとく双眸から涙を流すシェリルに、休憩をしていたあの客が近付いてきた。
 その姿が澱んだ視界に入り、左右に首を振って拒絶をしようとするが、スタッフはその花の軸にあったスイッチを入れてしまう。
「ひ、んっ、ひぃ――っ」
 ペニスがぶれて見えるほどに細かな振動が震えていた。
 虫の羽音のような低音が響き、肉体を通して尻の穴まで感じてしまう。
 鋭い快感を与えるそれが、さらに激しく震え止まらぬ絶頂は全ての理性を吹き飛ばした。
「あ――――っ、あ――――――っ!!! あ――っっっっっ!!!」
 意味の無い言葉だけが喉から絶叫となってほとばしり、周りから入る音は全て消え失せた。
 これ以上感じたくないはずなのに、身体はさらなる快感を求めてうごめき、踊りまくる。
「いいようだな、やはり快楽に溺れて踊りまくる姿は、何度見ても素晴らしい」
 その媚態に客が舌舐めずりをし、ねっとりと観察していた。
 背中は羽で覆われているが身体の前面には何もない。ぷくりと膨れ上がった乳首が物足りなさそうだと首を傾げた客は、すぐに別のものを手配した。
「ぎっ、ぃぃぃっ、ぃっ!!」
 快楽の中にいたシェリルが、血を吐くような悲鳴を上げた。
 揺れ続ける乳首には重い楔が貫き、流れる血が伸びた鎖を伝ってあちらこちらに飛び散った。その鎖を客の男が止まり木にグルグルと巻き付ける。それはピンと身体を伸ばすこともできないほどに短く、なのに客はインコの頭を引き掴み再びその口に自身のペニスを銜えさせた。
 激痛が理性を取り戻されたのか、見開かれた瞳に絶望の色が差し、叫ぶこともできなくなった喉が激しく震えている。
 再び銜え込まされたペニスは今はまだ浅い。だが深く銜えさせるより先に客は小さな器具のスイッチを入れた。
「んぁ――っ、あっ、あっ」
 体内に銜え込んだそれが激しく振動を始めた。突起がガツガツと前立腺を叩き、敏感になった肉壁を太いいびつな杭をグルグルと抉る。
 痛みにも近いそれは、けれど脊髄から脳髄まで駆け上がる強すぎる快感となり、シェリルは再び痙攣し始めた。
 男の陰茎が口からはじき出され、口唇がだらりと緩み口角から涎が垂れていく。仰け反った背筋がきれいな弧を描き、細い腰がカクカクと激しく痙攣していた。
 客が手にしているリモコンは止まり木のキノコを操作するもので、自由に使うことができるのだ。
「あぁ゛っ、ぎぁ――っっ、あっ!」
 シェリルの身体は、先ほどの窒息時と同様にびくん、びくんと震え続けていた。
 跳ね上げられるように上下するときに浮いた腰と台座の間に、ぬめりに輝く太いキノコが垣間見え、多量の粘液を周りに飛び散らせる。
「ひぃ、ぁぁっ――――っ!!! ぁぁっ!!!!」
 その瞳はもう何も映していなかった。
 昔の恋人で今は恐ろしい客でもある男すら映していなかった。
 目の前が何度も白く弾け、腹の奥がぐつぐつと煮えかえる塊でいっぱいになって、ただそれだけに溺れていた。
 けれど、どんなに絶頂を迎えても花びらから覗く亀頭はなんとか滲み出る透明な粘液に濡れそぼるだけだ。先端の花と根元の飾りがシェリルの射精を遮っているのは周知の事実で、だからこそ客は自分の快楽は二の次にして、シェリルの絶妙な口戯が止まってもニヤニヤと嗤って愉しんでいる。
 もっともそれが判っていたとしても、シェリルはもう自分の身体のコントロールさえできていなかった。
 ただ、襲ってくる快感という名の地獄の責め苦に悶え苦しむだけなのだ。
「申し訳ありません、ペナルティですね」
 そんなシェリルの元から飾り羽が抜かれ、代わりに黒い羽が施された。
 それは、シェリルが無様な嬌声を上げ、客のペニスを口から吐き出す度に、客の要請にもあわせて何度も何度も繰り返されていく。
 脳裏が白く瞬くほどの快感と苦痛に翻弄されるシェリルに、非常な言葉がかけられても、それを理解することすら難しい。
 背後でまさぐる刺激に、その言葉の意味に随分と遅れて気が付いても、もう遅かった。
 シェリルがミスをするたびに、背の飾り羽根は黒色へと変わっていく。
 素性の良い優しい客に当たり褒められれば明るい色の羽根がもらえて鳥としてのクラスが上がるが、この客のように嗜虐嗜好が強い客は鳥が黒い羽で飾られるのを好み、わざとでもペナルティーを課すように仕向けることも多い。
 鳥のクラスはその極彩色の飾り羽の数が印だ。
 その全てが黒い羽であれば、それはその鳥がカラスであることを示す。
「んあぁぁっ、あっ、あ――っ」
 背筋を駆け抜ける快感に激しく仰け反って、口から零れたペニスに気付く間もなく、インコだった鳥は嬌声を上げ続けていた。
 最大にされた振動は、どんなに耐えようと思っても堪えきれるものではなく、休む間もなく追い上げられ、乾いた絶頂に狂いまくるしかない。それはどんなアニマルであっても同様だ。それを客たちはよく知っている。
 甲高い声は長く響き、宴の中に響き渡っていた。
「ひぃ、あぁ――ん、ん、んっ、んん――――っ」
 頭を振りたくるたびに鮮やかな髪が宙を舞った。汗が飛び散り、背中の羽がバッサバッサと音を立てて揺れる。
 何度も何度も、見開いた瞳が解放を求めて天を仰いでいた。
 人ではないもののように痙攣し続ける彼の背が黒く染まる。
 瞬く間に全てが黒くなったとシェリルが気付いたのは、呆けたように白目を剥いた身体が運ばれて、舞台の上で目を覚ましたときだった。
 尾羽を起こされ、高く掲げた尻の狭間にあの止まり木にあったキノコを残されたまま、四つん這いで頭を床に着けさせられる。
 その苦しい姿勢に唸り目を覚ました瞬間、シェリルは全てを把握して悲痛な声でわめき始めた。
「い、嫌だっ、ご、ごめんなさっ、いやっ、ひぃぃいっ、ぎぃぃぃっ」
「愚かにもカラスになるほどお客様に粗相をした鳥に、戒めの罰を」
 背中の羽根に凶悪な鞭が落とされた。
 小さな羽毛が四方八方へと飛び、唯一極彩色を残していた尾羽の羽根を引き千切らせた。
「やああっ!! ぎ、ぁぁぁ――っ!!!」
 太くて重い鞭の音に枯れ木が折れるような音と悲鳴が何度も重なった。
 泣き喚くシェリルの尻が振りたくられ、キノコを銜えた穴がヒクヒクと震えるさまは、客達の良い見世物だ。
 淫乱な鳥だと揶揄されながら尻に刻まれる鞭痕の数は増え、力尽きてついには喘ぐばかりになっても終わらない。
 括られた腕は激しい打擲に音を立て不規則に曲がり、固定された足は関節から外れたようにだらりといびつに長く垂れ下がった。それがあらぬ方向に歪んでいたとしても止まらない。
 全ての羽が引きちぎられ飛ばされるまで、いつまでも長く仕置きの鞭打ちショーは続けられた。
 

「いらっしゃいませ、本日もカラスをご希望で?」
「ああ、物好きだと思っているんだろうけどねえ?」
「いいえ。確かにカラスは本来お客さまのお相手をなさるなどできない程度の低い代物でございますが、それでもお客様がご希望されるというのであればもちろん提供させていただきます」
 金の力が全てのこの館で、金払いの良いこの客はVIPの一人だ。
 相対したスタッフが慇懃無礼に頭を下げる。そのわざとらしさもこの客がそれを好むと知っての故だ。
 交わす視線が互いの腹を探り、そんな芝居じみたやりとりすら男を楽しませる。
「それであれは元気かい?」
「もちろんでございます。お客さまが特別にご準備くださった餌がたいそう気に入ったようで毎日食べさせております。おかげさまで体調もすこぶる良く元気に過ごしております」
 そう言うスタッフに案内されて入ったカラス小屋の中央で、太い丸太にまたがって腰をくねらせているカラスの姿を目にした客はうれしげに目を細めた。
 餌箱には確かに男が用意した餌の、ある種の芋の粉で作ったシリアルが山と積まれていた。不足しがちな栄養添加を施したそれは、カラスの身体をきれいに整え体内環境を整える食物繊維が腸内環境を整える。
 毎日の浣腸でも健康的な排泄が行えていると聞いていた。
「かわいいね、私のシェリル。極彩色も美しいが、君はやはり黒がよく似合う」
 うっとりとささやき、今はもう黒しかない羽根を愛おしげに撫でた。色を戻した髪の色と同じ漆黒の羽根は特別な外科手術で肩甲骨付近に直接植え込まれ、彼の肩が動く度にさわさわとその肌の上を動いている。
 同様の手術をしない限り取り外すことのできない羽は、彼のクラスが二度と変わらぬことを意味していた。
 そんな男の手の感触に、シェリルはうつろな瞳を瞬かせ小さく身震いした。
 その動きに、開いた口角から白く汚れた唾液が顎を伝い流れていく。
 つい先ほどまで仕事をこなしていたシェリルはすでに疲労困憊で、動きも緩慢だ。
 今や完全にカラスに堕とされた彼は、普段は同じ鳥たちの唯一の精液の吐き出し場所として使われていたのだ。残飯処理と銘打たれたその作業は機械的に行われるのだが、鳥たちにしてみれば自由に射精ができる唯一の時間であり、しかも決められた時間はとても短いから何羽もまとめてカラスを使うことになる。そのせいで飢えた彼らはカラスの身体など頓着しない。そうしなければ、また射精禁止の中での客の相手に欲求不満で狂いまくらなければならないからだ。
 そんな疲れ切ったシェリルをかき抱き、涙で濡れた頬を舐め上げながら男は笑った。
「今日はアルプスの湧き水をたっぷりと持ってきてあげたよ。お腹一杯飲んでごらん」
 その言葉に、理性など掻き消えていたような瞳に暗い影が走った。
 インコに選ばれただけあって愛らしかった相貌は、まだその片鱗がその横顔には残っていた。だが身体はひどくやつれ貧相さばかりが目立っており、さらに肌には無数の傷が残っている。しかも手足はあのショーでかなりのダメージを負ったままだ。
 ジェイムスの手が止まり木の太いキノコを銜えたままのシェリルのアナルに、己の太い指を差し込む。
「ひ、ぃぃ、いぁぁっ、あっ」
 途端に悲鳴を上げてシェリルの身体が激しく揺れた。その太ももが逃げるようにあがいたけれど、一センチも動くことはない。
「毎日毎日たくさんの残飯を喰らっているそうだね。そのせいかすっかりくさい臭いが染みついてるねえ……。こればかりはここにいる限りしようがないとはいえ……。今日も私が隅々まできれいにしてあげるよ。元の君のいい匂いに戻るまでね」
 クンクンと肌の匂いを嗅ぐ客がそういって嗤った。
 その言葉に、理性などとうの昔に手放したと思われていたシェリルの瞳に光が差した。
 焦点が合った瞳がその手が握るシリンジを認め、青ざめた頬が白く色を失う。
「い、……あっ……む、り……、もう、無理ぃ……」
 その身体に注がれる腹一杯の飲み水と浣腸は、シェリルがどんなに嫌がっても情け容赦なく行われ、瞬く間に腹を膨らませた。
「う、あっ……ぐっ……」
 止めることすらできずに飲まされた水は腹をいっぱいに満たし、喉から溢れていた。尻から注がれもだえ苦しむが、尻はキノコで栓をされていて強い排泄欲求を開放するすべを持たない。
 そんなシェリルの肌を優しく撫で回し、苦痛に苦しむ顔に口付けを落としながら、客としてやってきたジェイムスは太い楔に貫かれたままのただれた乳首の周りを撫でた。
「……ああ、私の愛おしい子」
 快感と苦痛に苦しむシェリルの肌が紅潮して、乳輪部の文字が鮮やかに映る。
『My love forever』
 一度は裏切ってくれた恋人は、激しい憎悪を揺り動かしてくれたがら、やはり自分の大切な存在だとジェイムスは笑みを深くしながらその身に己を深く埋め込んだ。


 どんなに尽くしても尽くしきれないほどに愛していた恋人の裏切りが許せずこの館に売ったジェイムスは、やはり彼への愛を忘れることなどできなくて彼に会いにきていた。
 ジェイムスが愛した愛らしい相貌は変わらず、数多の客達に使われる姿に激しい嫉妬を感じたのはそのときだ。
 やはり自分は彼を忘れられないのだと、深く自覚をした。
 そして、一度は売り飛ばした彼を、再度手に入れるための算段を始めたのだ。と言っても、一度売ったものを売主とはいえこの手に戻すのは難しい。
 それに、同じように屋敷で狩ってもまた逃げられてはどうしようもない。
 再び彼をこの手の中に取り戻すために館とも相談をしたところ、カラスへと落とすように言われたのだ。
 カラスとなった鳥に与えられる公開処刑とも言えるショーは、客達にたいそう人気だが、なり手がいない。それに館としてはスズメ以上の鳥として長く働いてくれるほうが儲けが大きい。使い捨てになるカラスは館としてもできれば避けたい存在なのだ。
 だがその損失分の対価を払い、なおかつカラスのショーで壊れたものであれば引き取ってもいいと言われ、ジェイムスは頷いた。
 愛おしいあの子を取り戻すことができるのなら、異論は無かったのだ。
 その結果美しい容姿が崩れ芳しい体臭が変質してしまった彼は、けれど変わらず男を魅了してやまなかった。
 それどころか、あのころはしたくてもできなかった行為を際限なく施すことによって、ますます彼に執着するようになっているほどだ。
「いい子だ。ほら、君の大好きな私のペニスを銜えさせてあげるよ。初めてのときみたいに、たくさん喜んでおくれ」
「ぐぼっ、おっ、お゛っ!」
 キノコの横を広げ、逆流する水に逆らうようにキノコ並みの自身のものを尻の奥まで押し込めば、強すぎる締め付けがたまらなく気持ちいい。もっともカラスはその目を白黒させて喉を痙攣させて無様な鳴くだけだ。
 そんな姿も愛おしく、ジェイムスは嬉しげにカラスの身体を抱きしめた。
「そうそう。ようやく君を引き取るよう、館の改造ができたよ」
 耳朶をねっとりと舐め上げながら、愛おしいと愛の言葉をささやくジェイムスの瞳には、強い執着が垣間見えていた。
「君のために素敵な鳥かごを用意するのに手間取ったんだよ。君の風切り羽は使い物にならないから前みたいに飛んで逃げることはないだろうけれど。それでも、やっぱり鳥は鳥かごにいれなきゃいけないからね」
 そんなジェイムスの手が肩から先には何もないシェリルの肩に触れる。
 視線を下ろせば膝から先もない足がびくびくと痙攣を続けていた。
 切り取ることにためらいはなかったけれど、それでもしなやかな四肢で動くさまをもう二度と目にできないのは少々残念ではある。
 だが、勝手にどこかに行ってしまうのを止めるには、これぐらいするのが必要だ。
「可愛いよ、私の愛おしいシェリル。鳥かごの中でずっと私のために可愛い姿で鳴いておくれ」
「あ、……やぁ……、はなし……てえ、ひぃぁっ!!」
 愛をささやくジェイムスの瞳に明らかに浮かぶ狂気から逃れようとシェリルがうごめくが、強い腕から逃れることは叶わない。
 それどころか、ジェイムスの手がペニスに嵌まっていたリングを外し、膨らみきった陰茎を激しく扱いた。
 噛み痕すら残る陰茎への刺激が、シェリルのたまりきった欲望を一気に高める。
 爆発的に膨れ上がり、一気に駆け上ったそれは、次の瞬間、あっけなく頂点に達した。
「ひぎいいぃ――っ!!」
 跳ねた身体が何度も何度も震え、黒い羽を辺り構わず振り乱した。
 ガクンガクンと壊れた機械人形のように腰が揺れ、別の生き物のように痙攣する肉棒がねっとりとした白い汚濁が噴き出させ、流れ落ちていく。
「ふふっ、……。いいね、そんなに喜んでくれるんだね、可愛いシェリル。君はもう永遠に私のものだ。射精が大好きな君のために、私のところでは毎日出させてあげるよ、こうやってね」
「ぐあぁっ――、やあっ、感じ、ひぃぃっ!! あ、ああ、いやあっ、あぁっ」
 キノコと肉棒の二本差しは、広がりきった体内を激しく抉り、震え濡れそぼったペニスの先を男の手がなぶる。
 再びカラスは射精した。
 ペニスに触れた指一本の刺激だけで何度も射精し、そのたびにジェイムスを締め付け喜ばせた。
「ま、たっ、ぁぁっ!! あっ、出るっ、いくぅっ、もっ、やぁっ!」
 過ぎる快感に髪を振り乱し、腰だけが別の生き物のように震わせながらジェイムスの指を濡らし続ける。
 貧相な黒い尾羽の下で、張り裂けんばかりに広がった穴は、ジェイムスのものを貪欲に銜え込み、溢れた精液が泡立ちながら溢れていた。
「そうだなあ、喰らった分だけ君がいつかその羽全てを白く染めるぐらいになるといいねえ、そうしたら君の願いを一つだけかなえてあげてもいいかもしれないね」
 そんなことをうそぶきながら喉の奥で笑う声を、連続絶頂の快感に意識を蕩けさせたシェリルはその口元を緩ませて微笑んだ。
 虚ろな瞳は中空を捉え、光のない世界で嬉しいと呟く。
 だがその言葉はすぐに嬌声の中に紛れ消え、意味不明な言葉が繰り返されるだけだった。

【了】