【蟻地獄のおいしい獲物】5

【蟻地獄のおいしい獲物】5

 そんなふうに、2人同時の鞭打ちを何度も繰り返し、リアンが萎えそうになれば、俺だけが乳首やチンポを軽く刺激する程度で打ってやって。
 元気になれば、また同時に打つというのを繰り返す。
「おい、淫乱野郎、どっちが良いんだよっ、そろそろ言いなって」
「ひぃぃぃぃっ! きぐぅぅぅっ!! ぐぅっ!!!」
 だがさすがに、悲鳴が悲痛なものになっていくのは避けられない。
 切り裂かれた肌の面積は増えていき、色が変わっていない場所も少なくなっていて。
 涙だけは別物のように流れ行く虚ろな瞳はもう何も映しておらず、意識があるのも定かでは無い。
 ただ、掠れた悲鳴は上げるから、まだ気を失うまでには至っていないのだろうと、思うだけだ。
「ったく、しぶてぇ……」
 血の臭いが俺の神経を昂ぶらせていたこともあったけれど、それ以上に打たれて傷だらけのリアンの姿態が俺を煽って仕方がなかった。
 なのに、欲しい言葉がもらえないままの俺の苛立ちも大きくなり、何もかもが混じり合う。
 昨日から味わっていなかったこの身体のうま味もまた欲しいと身体の奥が疼いて仕方が無く、それがまた俺を駆り立てる。
 ゴルドンも何を考えているのか、浮かんだ笑みは変わらずに、何も言わずにただ俺に合わせて打ち続けていて、どちらも止めようとは言わない。
 判ってはいるのだ。
 すでにリアンに限界が来ていることも。
 これ以上打ったら、その命に危険が及ぶことにも。
 なのに、止まらない。
 どこか意識が違う世界に入ってしまったかのように、部屋の中の全てから音と色が消える。
 ゴルドンの存在すら曖昧になって、俺が鞭を振るう姿とその目標であるリアンの身体ばかりがやけに鮮明となって脳に刻まれた。
 聞こえる音も、鞭が肌を叩く音と悲鳴ばかりだ。
 リアンの、痛みに対する悲鳴、衝撃と苦痛による雑な喘ぎ、拒絶と懇願。
 そこに快感が載っていないと、頭では理解しているのだけど、手が止まらない。
 赤みを帯びた視界の中で、同じ色の滴が飛び散り、俺を汚すことすら快感になっていた。
 股間が今は硬く張り詰めている実感はあるが、それに構っていられない。
 それを解放するためにも、鞭を振るわなければならないのだと、焦りにも似た感情に急かされていた。
 もう何のために鞭を振るっているのかも曖昧になったまま、悲鳴も絶えかけ始めた部屋の中で、汗を流していた、が。
 バシ────ッ!!
 それまで打っていなかった股間近くに、謀ったように二人の鞭が入る。
「うぎゅっ、ひうぅっっ!!」
 滑稽な悲鳴だった。
 がっと天井を仰いだリアンが両目を見開き、口の端から泡を吹いて激しい痙攣を始めた。
 なおかつ、チンポの先端からは明らかに今までは違う色のついた液体がチョロチョロと流れ落ち出したのだ。
 その普段なら無様としか言い様がない、けれど今までとは違う現象に、赤く濁った世界が不意に晴れた。
 呆気にとられたというのが正しいかもしれない。
 互いに振り上げようとした手が止まり、何が起きたか、頭が遅れて理解して。
「あ……」
「やべ」
 二人同時に呟いて、視線が絡み、そうして始めて自分たちが我を忘れかけていたことに気が付いた。
 意識が現実に馴染んでいないような、そんな違和感から繰り返し瞬きをして、呼吸すら忘れていたかのような息苦しさに大きく息を吸い込んだ。
 何より、腕が怠い。特に指が強張っていた。
 そんな腕で細かいコントロールができるはずもなく、双方の鞭の先端が強い勢いのままにペニスを打ったのだと、くっきりと残る陰茎の痕に遅れて気が付いた。
 さすがにこれにリアンが悶絶しないわけがない。
 ついでに言えば、自身にもなんだか少し痛みを感じて顔を顰めた。
 そんなことにも目もくれず、リアン自身はハアハアと荒い息を繰り返し、自分が漏らしていることにも気付かいていない様子だ。
 お漏らしなんて、あの時以来だなあと、どこかまだぼんやりした意識の片隅で思い出した。
 けれど、あの時と違いリアンの全身は汗とも冷や汗ともつかぬ状態でびっしょりを濡れていて、その瞳は開いてはいるが、意識があるのかどうかも疑わしいほどに虚ろだった。
 フラフラと数度揺らいだ身体から、不意に力が抜ける。
 がくりと落ちた膝に、腕が引っ張られて宙ぶらりんのようになっていて、あれでは肩に負担がかかりすぎると俺は慌てて手を伸ばした。
 下手に痛めると、当分吊って遊べなくなる。
 そんな不埒な理由のせいだなと後付けで考えた行為だったが、そんなことを考えたのは一瞬で、すぐにその冷たく冷えた身体に、手のひらに触れた凹凸にぞわりと背筋にしびれが走った。
 すぐにでもこの冷たい身体に熱を灯したい。俺が打った痕を堪能したい。
 込み上げる欲求に、下腹部が熱く震える。
 この俺の、もうどうしようもない性癖が、可哀想という悲観的な思いすら欲望へと駆り立てるのだ。
 俺は、俯き垂れた前髪を掴んで、疲れ切ったように力無く目を伏せているリアンの顔を持ち上げた。その拍子に、頬に一筋の涙が流れ落ちるのを見て、誘われるように流れ落ちる寸前のそれを舐め取った。
 血の味に似た、けれど非なるものが存外に美味くて、さらに口を寄せて舐める。
「ん……バー、ジル……」
 掠れた声音で、俺の名を呼ぶリアンに、そんなことすら歓喜が身の内に湧き起こった。
 だが、そのまま口付けて、舌を吸い出しても反応が薄い。
 いつもは俺よりも熱い舌が迎え入れて、絡めて、もっと欲しいと吸い上げてくると言うのに。
「リアン」
 囁くように、そっと声をかければ、にこりと、僅かに口角が上がるから、意識はあるのだけど。
 そんなリアンに、俺よりゴルドンのほうが深い懸念をその眉間のしわに写し、無骨な指が首筋に触れ、脈を確認している。
「大丈夫か……だが一気にやり過ぎたな」
「ああ……」
 俺の生返事を聞きながら、ゴルドンが鞭を握っていた手を所在なげに見つめながら何度か開閉を繰り返した。
 そのぎこちない動きを見るなど久しぶりのことだ。
 戦場で生き残るために必死になって武器を使っていた、そんなときぐらいしか今はない硬直。
 実のところ俺も同様で、柄を握っていた手のひらは汗で濡れ、指は強張り、関節に痛みすら感じていた。これでは細かなコントロールが利くわけがない。
 まして、ああいう急所は、下手したら男の機能すら失いかねなくて、それをリアンにするつもりは全くなかったのだ。
 さすがにあの場所は、リアンであっても快感を感じるどころではないのははっきりとしている。
 だが、通常の拷問であれば、あれを打った男の悲鳴と苦痛は、俺たちにとっては快感であるのもよく知っていた。
 知っているからこそ、いつかは打ちたいとは思っても、だが後遺症を考えればの自制だったはずなのに、一体どこで囚われてしまったのか。
「てめぇが嵌まっただけのことはあるな。なんつうか、これは止まらねえ……」
 己が信じられないとばかりに、ゴルドンが首を振る。
 だが、俺はこれがもう二度目で、そして、これだけはもう止まらないのを、頭の奥底では判っていたはずなのだ。
 なのに、囚われた。
「とりあえず、外す」
 汗で冷えてしまった冷たい身体を抱え、手を伸ばしたのはリアンを戒める腕の紐だ。
 腰のベルトに常に装備しているナイフを取り出して、力を込めればただの紐だったそれはあっけなく切断されて、腕の中にがくりとリアンが落ちてきた。
「マーマニーを呼ぶか?」
 治療をさせようというのか、それでも嫌そうにその名を提示したゴルドンに、だが「いいや」と首を振って返して、その力の入っていない体を抱え上げた。
「まさか、これからだろう?」
 嗤う俺の笑みにも気付かない虚ろな表情のリアンを抱えたまま床に座り込む。 
 実際、俺もゴルドンも、そのペニスはすでに痛いほどにいきり立っているのだから。
 こんなところで止めてしまえば、ここまでしたかいが無い。
「この程度なら、まだこいつは大丈夫だ、だったら続けないと。今が好機、こいつが俺たちの手の中に堕ちるのも時間の問題だからなあ、だろ?」
 上目遣いで窺えば、ゴルドンも不意に我に返ったように数度瞬いてから、その口角をくいっと上げた。
「ああ、そうだな。飴と鞭っていうか、言葉通り鞭が済んだら飴だよな。とびっきりの飴をやらねえとなあ」
「俺たちに逆らえば、痛みを。従えば飴を。この身体に徹底的に教えてやらねえとなあ」
 そう、まだこれからだ。
 うっかりと役割を忘れかけたが、まだ続きが必要だ。そのために始めた行為を、今更取りやめるなんて……もったいない。
 背に触れた手のひらが感じる肌の凸凹の感触に少し力を込めれば、目の前の喉がこくっと動いた。
 気を失っていなかったのは、まぶたが震え、うっすらとその隙間から覗いた濡れた瞳が震えている。
「なんだ、期待してんのか? チンポ打たれて、まだやる気があるってのは、マジてめぇはマゾ奴隷でしかねえな」
 クツクツと腹の底から浮かぶ笑みに、返されたのは否定の動作のようだったけれど、俺は構わずに縦抱きで持ち上げた。
 対面で身体の全面を合わせるように膝立ちにさせれば、目の前には鞭の痕に彩られた胸があって、クリップごとに乳首を含み、歯を立てる。
「あ、あ……」
 音の無い嬌声を上げさせながら、意識を取り戻したリアンの、惑うような表情に笑いかけ。
「そのまま腰を下ろせ、欲しいなら自分で入れて見せろ」
 あぐらをかいた体の上で、ぴくりと震えた体が戸惑ったのは一瞬だ。
 パチパチと開閉した翆の瞳がとろりと蕩ける。
 さっきまで痛みで息も絶え絶えだったのが嘘のように、その淫蕩な性が何もかもを凌駕したかのように男を欲してきた。
 ようやく欲しいものがもらえると、期待に満ちた子どものような笑みが降りてくるのを己のモノを支えて待ち受ければ、それほど待つことなく、熱く熟れた肉の狭間にぬぶりと先端が入り込んだ。
「ん、あぁっ」
 淫らな声が、熱い吐息とともに耳朶を擽る。まだ先端だけなのに、その全身が快感に総毛立ち、晒した喉が卑猥に動いていた。
 そんな悶える様を間近で見て取れば、敏感な鬼頭への触感以上に快感を倍増してしまう。
 背筋を這い上がる快感に、喉がごくりと鳴り、背を支えていた片腕がその体を強く引き寄せて。
「ん、や、ぁぁ、バージルぅ、良いっ、ああっ!」
 感極まったように叫ぶ名が俺のものだっただけで、自尊心もむくむくと大きく膨れあがり、傍らで退屈そうに待っているゴルドンを見やって、フンと鼻を鳴らしてやった。
「へへへ、解してもいねぇのに、俺のデカいのを美味そうに銜え込んでやがるぜ」
 最後はその体を下に強く押しつけて、一気に銜え込ませる。
「ひ、あぁぁっ!!」
 それだけで、ビククビクンと痙攣するかのように腕の中の身体が震えて、白目を剥いた顔が天井を向いた。俺の腹に押しつけられていたチンポの先からたらりと溢れた粘液が、腹を伝い尻へと垂れる。
 それを覗き込んで、ゴルドンが楽しげにからかう。
「やっぱり尻でチンポを食うのが一番好きらしいなあ、挿れた瞬間に空イキしやがってるぜ。そんなに良いなら、サービスしてやらあ」
 ついでだ、とばかりに、ゴルドンがリアンの肩に両手を置いて、とたんに激しく揺すりだした。
「い、ひぁ、あんっ、イイッっ、それ、感じっ、ああっ、ひぃっ」
 予期せぬ動きにきゅうっと肉穴も締まって、俺も堪らなく感じてしまう。
 だが、俺よりもっと敏感な肉穴を持つリアンは、それ以上なのだろう。
「良いだろうが、てめぇみてぇな真性マゾ野郎には。どうせその穴は、何か銜えていないと満足できねえんだろうから、しっかりとバージルのでかチンコでも銜えて遊んでな、ほれっ、踊れえっ」
「いっひっ、あんっ、いぎっ」
 空イキを繰り返す身体はゴルドンの動きに逆らうこともできずに、伸びた四肢はブラブラと力の入っていない人形のように揺すられ続けてる。なのに、体内だけはきゅうきょう締まって、ごりごりとペニスが擦られるからこっちが堪らない。
「お、おいっ、ちょいっ待てやっ」
 まさかゴルドンに達かされるようなこの状態は、さすがに嫌だと睨み付ければ、さらに面白がって動きが激しくなっていく。
 もうこうなったら止めるつもりなどないのだろう、と踏んで、ならばこっちはこっちでと体勢を変えて足裏を床について、腰を激しく上下させた。
「おいっ、俺のチンポで達け、そのんまん尻だけで達けぇ」
「いあっ、すごぉぉっ、やあっ、イイっ、すごっ!!」
「チンポも乳首も勃起しっぱなしだなあ、ほれっほれっ、締め付けて搾り取ってやれぇ、好物のザーメン、腹にしっかりと食らいつくせよっ」
 上と下と、てんでバラバラの複雑な動きに、リアンは一気に高みへと飛ばされてしまったようで。
「あーっ、あああ──っ」
 発作のように激しく痙攣して、ぐるりと白目を剥いて、獣のように吠え立てる。
 先より強い乾いた絶頂は、最近にないほどに強く、激しく、リアンの身体と心がバラバラにでもなったかのように、その動きは不自然だ。
 だが、これが達っているのは間違いない。
 鞭で嬲られ、昂ぶっていた身体に与えられた大好物のチンポに、これが歓喜にあまりに涎を垂らさないはずはなくて、まして、ダブルの動きに我慢できるはずもなく。
 肺の中の空気を全て吐ききるまでに続いた嬌声がようやく終わったのだろう、その瞬間、リアンの身体ががくりと崩れて、ぐったりと俺にもたれかかってきた。
 はあはあとひどく荒い呼吸音が耳を擽る。
 まあ、さんざんっぱら鞭で打たれて昂ぶっていたからこその、限界でもあったかもしれないけれど。
「……俺の鞭とチンポが良かったからだな」
「俺の鞭と動かし方が良かったからだな」
 意図せず重なった互いの台詞に、思わず視線を交わせばなんとも言えぬ沈黙がその場を支配する。
 数秒、複雑な感情が互いの瞳に浮かび、混じり合い火花が散ったが、
「おい、今度は俺だ」
「てめっ、ちょい待ち、まだ俺が達ってねえっ」
「や、あぁんっ」
 ほんの少しの油断の間に、ずぽりとリアンの身体が引き上げられて、背筋がぶるりと増える。あやうく達きそうになった己のを内心で褒め称え、無体な真似をしてくれた相手を睨み付けた。
「てめっ」
「いいから寄こせ」
 いつもは落ち着いたゴルドンの珍しく急いた様子に、俺の手も止まる。その間に、スラックスの前を緩めたゴルドンが中からしっかりと勃起したチンポを取り出して。
「でけっ」
 相変わらずのサイズにもかかわらず、久方ぶりに間近で見たそれに、思わず呟いた。
 というか、すでに先端がぬらぬらと光るほどに濡れていて、その禍々しさが一層強調されている。
 そのチンポが、床に伏せられたリアンの尻に突き刺さる。
 そう、まさしく突き刺さるとしか言いようがない状況に、リアンの背が大きくしなり、開いた口から声なき嬌声が迸った。
「い、ああ……あ、あっ」
 もう内出血やら何やらで滲みだした鞭の痕が、吐き出されるような声とともに震え、ずり、ずりっと入り込むたびに、広がった尻の狭間がヒクヒクと痙攣する。
 巨大なそれの侵略に、逃れようとでもしているのか、リアンの手が這うように動く。けれど、腰をしっかりと捕らえられては逃げることも叶わず、なお一層引き寄せられて。パンと軽い音を立てて、尻と腹が突き当たる。
「ひっ、あ、お、奥ぅ……あっあぁ」
 さすがに苦しいと喘ぐその声は、けれど甘い。
「ひ……バージル以外のチンポもたっぷり味わってみな、後でどっちが良かったか教えてもらうぜ」
 ”久しぶり” そんな言葉を言いかけたであろうことは、想像ができた。
 目の前で、俺以外に犯されるリアンなど、あの時以来だ。
 あの時もこうやって、あのぶっといのに犯される姿を見た。
 寝て起きたら、グチャグチャになったケツから精液が溢れていた。
 あの時、むやみに腹が立って仕方が無かったけれど、なぜか今は煽られる。
 リアンの一挙手一投足が全て把握できるからだろうか。
 絶対に俺とまぐわってるときのほうが、反応が良いと、贔屓目でなく思ってしまうからだろうか。
「んあっ、あっ、あっ」
 突かれ始めて、そのリズムにリアンの声が重なる。
 腰が上げられ、激しく穿たれる肉の音、濡れて泡立つ音が俺の耳を犯してきて。
 背筋に這い上がる悪寒のような疼きに、肌が総毛立ち、射精に至っていない自身がヒクヒクと震えだした。
 そうなれば空いている場所は一箇所しか無い。
 手が伸びて、床に涎を垂らして快感に蕩けたリアンの顔を上げさせた。
 虚ろに開いた口は、覗いた舌が浅ましく動き、何かを求めている。その求めるものは間違いなくこれだと。
「ほおら、大好物のチンポだ、しっかりと銜えて、たっぷりと味わいな」
「むぐっ」
 隙間をこじ開けるように亀頭をくい込ませた。
 歯先が柔らかな亀頭に食い込み痛みが走るが、それも一瞬のことで、すぐに広がった口がごくりと飲み込むように迎え入れてくれる。
 全部を飲み込むのはとうてい無理な俺のサイズではあるが、それでも喉の奥まで迎え入れて、美味そうに舐めしゃぶりだした。
 モグモグと熱い舌が絡み、喉の奥が震えて締め付ける。
「んっ……、はは、こりゃエぇ。もうすっかり喉奥まで銜えて……旨ぇな、ほら、もっと締め付けて、吸い上げろ」
 毎日のように俺のものを銜え続けたリアンの口戯はうまい。本当に飲み込んでしまうのではないかとおもうほどに、奥まで銜え、舌が敏感な部分を刺激し、ときには甘噛みして俺を悶えさせてしまうほどに。
 何より、ぎゅうっと締め付けられる快感は女の陰部以上であって、尻穴とも劣らないんじゃないかと思うほどだ。
「ん、ぐっ、うっ」
 尻をゴルドンに犯されながら、その突き上げに合わせて俺のも刺激を受ける。
 目の前にあるゴルドンの逞しい身体がぶわりと盛り上がり、腹の筋肉に力が入った。
 その目の前で、俺もまた同様に力が入る。
 少しでも長く──たぶん互いの思いは同一だ。
 リアンの極上の身体は、嵌まっている俺だからよく判る。何より、さんざん痛めつけた後の身体を犯す喜びは、二人どちらも持っている性癖であって、ちらりと視線を上げればゴルドンのそれとも絡み、そして。
「んあっ、あんっ、あっ」
 艶めかしい喘ぎが一瞬強くなったそのとき、突き上げた姿勢で止まったゴルドンと同じく、俺もまたきゅうっと吸い込み絞られた口内へと、たっぷりと放っていた。