切り裂くような痛み、そして、ずぶずぶと肉を掻き分け進む圧迫感。
衝撃と押し広げられる感触に、悲鳴が止まらない。
息を全て吐ききっても吸うこともできずに、パクパクと口を喘がせる。
指などよりはるかに太い、そして長いペニスの侵入に、全身が硬直し、目の前が真っ赤に染まっている。
パシンッ
と軽い音がして、尻タブに密着する熱を持つもの。
「おめでとうござますっ、見事挿入の儀を果たしました。一気に貫くことに成功しました新郎に賛辞の言葉を。そして、この逞しいチンポを裂けること無く受け容れ、今まだ物欲しげにひくついておりますマンコを持つ新婦に暖かい拍手をお願いいたします」
たくさんのフラッシュが明滅する。
惜しみない賛辞と拍手に、来生が答えている。
それをどこか遠くに聞く陽一郎は、無意識のうちにカリカリと台をひっかき、逃れようとしていた。
だが、力の入らない足はだらんと台の下で垂れ下がり、瞳は朦朧と瞬くフラッシュを反射している。
ただ、痛みだけが現実のものとして、ジクジクと体内で暴れていた。
「あの来生の逸物を受け容れられるとは」
「これは先が楽しみだ」
何が楽しみなのか……。
先より温度が上がった熱気の中、陽一郎はしばし呆然としていたけれど。
「それでは、続きまして「施しの儀」に参りましょう」
「ヨウ、動くよ。私をたっぷりと感じておくれ」
「あひぃっ、やだ、動くな——っ、やぁ」
司会の言葉に被さって聞こえた来生の言葉とともに、それまでじっとしてた体内の物が動いたのだ。
「無事新郎のチンポを受け容れ、物欲しげにひくついております新婦のマンコに、新郎自らそのザーメンを施すことにより、尽きること無く施し続けることを誓う儀式でございます」
言葉とともに抽挿が激しくなる。
「ひっ、あっ、やっ」
突かれる度に息が押し出され、声が出る。
張り詰めた壁は傷みを訴え、けれど、注がれたローションがじゅくじゅくと泡立ち流れる感触にぶるりと総毛立って震える。
痛いのに。
掻き混ぜられたローションから伝わる熱に、肉壁が敏感になり、ペニスの形を明確に捕らえてしまう。
ぎりぎりまで抜かれて。
ずんと亀頭が嬲るのは、陽一郎の一番弱いところだ。
「やああぁ——、そこ、そこは、だめぇ!」
一週間、指で、玩具で、媚薬も使われて休む間もなく刺激され続けたそこは、いまはもう反射的に感じてしまう。
しかも、一度感じ始めれば、次の刺激でさらに倍、また倍と、倍々ゲームのごとく快感が増していく。
しかも、感じるたくさんの視線のせいか、それともローションが熱いせいか、ひどく身体が熱くて、酒に酔ったように意識までもが朦朧としてきていた。
このままでは、籠もった熱で身体が爆発してしまう。
そんなことすら想像して、けれど、その衝撃は凄まじい快感のようにすら覚えて。
「やめっ、そこ、ダメ、だっ、ひ、いっ、イイっ、そこ、イイっ」
ずんずんと押し上げられて、あの時、快楽に喘ぐ度に言わされ続けた言葉が、今も甦る。それを言わなければ、いつまでも来生は止めてくれなかったから。
「あ、あぅ、ま、マンコ、イイですぅ……っ、ヨウのマンコ、ぐちゅぐちゅっ、気持ちイイぃっ! ああっ、マンコ、もっとくぢゅぐちゅにしてぇっ」
射精を許して貰うために、淫らな言葉で、来生に強請る。
「イイかい? ならばもっと上げよう」
「あうっ、やっ、激しっ——っ」
ガツガツと抉られ、こじ開けられて、爆発する快感の渦に躾けられた身体は呆気なく昂ぶって。
激しい射精衝動に襲われる。
もう達きたくて堪らなくて。
けれど、許し無く勝手に達けば、いつも来生は陽一郎の尿道に太い棒を差し込んで、痛みに泣く陽一郎自らの手で陰茎を扱き続けさせるのだ。
『それで達けるようになるまで、扱きなさい』
痛みを訴えるペニス、塞がれた尿道は先走りの粘液すら許さない。
『達けな……、痛い……お願いです、ユルシテください』
いくら誤っても許して貰えずに、それでも駄目だったので媚薬を施されて。
途端に萌え上がった身体は、もう達くことだけしか考えられなくて。
あの時、陽一郎は射精せずに達くことを覚えさせられた。
それは、何度も何度も。
最後には、薬を使わなくても、あの棒を挿れられただけでも感じる身体になっていて、そして、何よりも来生の許しを得るために、淫猥な言葉で強請るようになっていた。
「イイのかい?」
背後の来生の言葉に、こくこくと頷く。
「あぁ、イィッ! コリコリって、中、爆発、しそ、だから……あぁぁ——っ」
「初めての挿入でこんなに乱れるとはたいそう淫乱な新婦でございますが……。さて、新郎はどうされますか? こんな淫乱新婦にお仕置きは必要ありませんか?」
司会が首を傾げて問うのに、新郎は僅かに首を傾げた。
「ふむ、いや、今日は止めておこう。何しろ今日の披露宴は一晩中行うつもりだからね。新婦にはたくさんしてもらいたいことがあるから、お仕置きは後でゆっくりと皆様の前でするにしても、今日は予定通りしていこう」
「や……お仕置き……や……」
お仕置きと称されて施された躾は、痛くて苦しくて意識が飛ぶほどの快感付きで。
身体が、心が壊されていくようで、怖くて堪らない。
「ああ、お仕置きは後でね。今日は晴れの日、私の元にヨウが嫁いだお披露目の席だからね。それより今日はもっと愉しい事がたくさんあるから。さあ……そろそろ可愛いお前にたっぷりと施してあげようね。私のたくさんのザーメンを、お前のこの無垢なくせに淫乱なマンコの中に満たしてあげよう」
言葉ともに、激しくなった抽挿に、陽一郎が大きく目を瞠る。
「あ——あっ、あぁっ、あっ」
大きく開いた口角から涎が落ち、どすんどすんと揺れる身体から跳ね飛んだ。
突き上げられた快楽の泉が掻き乱され、堪らない愉悦と共に全身を襲う。
「あっ——ひぁぁ——あぁっ」
いまだかつてないほど奥に、男を感じる。
熱とそれよりはっきりとした塊が、身体を押し広げる。
と——。
「あ……」
ドンと突き上げられて、止まる。
ドクドクと波打つ棒が、最奥で汚濁を振りまいていた。
それを感じてしまう。
出された——と認識した途端、意識がクリアになった。
何で……どうして……。
快楽が音を立てて引いていった。未だ身体は熱を持ち、気持ちよいと身体はいっているのに、心が一気に冷えたのだ。
今まで狂っていた己が惨めになり、たくさんの人前で乱れた事に死にたいほどの羞恥がおしよせてきた。
呆然とする陽一郎に来生の手が回され、胸を掴まれ引き上げられた。いつの間にか外れていた腕がだらりと垂れる身体の前で、ずれたドレスから真っ赤に腫れた乳首が覗いていた。
その根元の金環を、来生の手が摘まみ、愛おしげに撫でている。
「愛しているよ、ヨウ。私の大切な花嫁」
耳朶に触れる口づけは優しいけれど。
ちりちりと弄る乳首の指は乱暴で。
「い、痛ぅ……」
ドレスが落ちないようにしていた金環から伸びたテグスは、来生の手の動きで引っ張られ、きついくらいに戒められた乳首を引きずり回す。
「素晴らしい締め付けだ。極上のマンコを持ったヨウを友にお披露目できることが嬉しくて堪らないよ」
「んふっ」
ぐりっと腰を回されて、鼻から息が漏れた。
心は冷めても身体は感じたままだ。
まして、陽一郎はまだ達っていなかった。調教された身体は、ひどく敏感で、射精の快感を良く知っている。
ぐりっ、ぐりっとひねり回されて、とろりと意識が曇っていく。
「あ、イイ……」
言葉が勝手に出てきて、淫らな願いを口にする。
「おねが……い、もっと、虐めて……」
それは陽一郎に許された許可を請う言葉だ。
達かせて、出させて、そんな即物的に言葉では来生は許してくれなくて、虐めて、と願えばそれが許された。
だから、勝手に出てくる。
「どうか……虐めて……ください」
それがどんな行為をもたらすか判っていても、なお。
「あうっ……」
けれど来生は呆気なくペニスを引き出してしまう。太いペニスが抜け落ちた後がひどく物足りない。
「それでは、これより第一回目のお色直しのため、新婦が退場いたします。みなさま、拍手でお見送りをお願いいたします」
達かせてもらえない陽一郎のペニスは勃起したままだ。
戒めを解かれ、高砂の前に新郎とともに立たされて。
深くお辞儀をさせられて、ふらつく身体を新郎に支えられる。
「どうやら新婦は感激のあまり歩けない様子。どうしましょうか、来生様」
「それはもちろん、こうやって」
「おおお——っ」
ふわりと浮かんだ陽一郎の身体が、来生の腕に抱え上げられた。それは、背後から膝裏を抱えて足をM字に開かせる抱え方で。それを難なくして見せた来生は、そのまま一番近い席に回り、その場で一礼した。
「どうかヨウをよろしくお願いいたします」
そのテーブルに落ちたのは、陽一郎のペニスから流れ落ちた先走りの液。
そして、開かれた尻の狭間から白濁もまた流れ落ちている。
「おやおや、大事な子種があふれているよ」
「栓をしないとね」
「あひっ」
ぐさりと突き刺されたそれに、身体が仰け反った。
「我々からの贈り物だ。まあ、君のばかでかい逸物には負けるかもしれないが、私の店でもビッグサイズを選んできたよ」
そう言いながらぐりぐりとアナルに張り型を突き入れるのは、アダルトショップの店長だ。非合法の品物も、人すら扱うその店は、この場にいる友達の交流の場でもある。
「俺からはこれだ」
「いひ——っ」
陰嚢を挟んでぶら下げられたのは、リボン付きのクリップセット。
「何でも挟めるタイプだよ。乳首につけても可愛いけど、ここでも面白いだろうね」
「ありがとうこざいます、ヨウも喜んでおります」
5人のテーブルで、5個の贈り物。
残りは、いろいろな形のピアスに尿道バイブ、ペニスバンド、鋲の付いた黒皮の拘束衣など。
「おめでとう、私からはこれだよ」
次のテーブルで渡されたそれは、首に嵌められた。
それから、手首にも、足首にも。
5人からの贈り物は、内側は皮だけれど、表側はステンレスの丈夫な首輪。かちりと嵌められた鍵は来生のポケットに入れられた。
「ありがとう。この輪が良いね、我慢の効かないヨウは時々縛る必要があるから、鎖が付けやすい」
それが何を意味するのは、判りすぎるほど判る陽一郎の肌から色が抜けていく。
次のテーブルでは、特注の酒だと口に注がれた。
かっと身体が火照るその酒は強壮効果もあるという話をしながら、次の客からも酒を受け取った。
五種類の酒は、それぞれ効能が違うとのこと。
「これは良い。それでは、この強壮効果のあるという酒は、他のお客様にも振る舞いたいのだが」
もちろん、と頷く客は、確信犯だ。
次のテーブルでは、いろいろなボトルを渡された。
媚薬が三種類に感じやすくなる体質改善の薬が二種類で、来生はたいそう喜んだ。
「ヨウ、これらの薬はどれも貴重品で、なかなか手に入らないんだよ、良かったね」
嬉々として宣う来生は、どれから使おうかと効能を確認していた。
そして。
最後の席で、来生は初めて陽一郎をテーブルに降ろした。
「少し疲れたので、休憩させてもらうよ」
軽いキスとは裏腹に、降ろされたのは尻穴が真下に来るようになっていて。
「い、あっ、お、くにっ」
ずるずると自重とテーブルに挟まれた張り型が、深く埋もれていく。
しかも膝裏の手は外れないから、足はM字開脚されたままだ。全てを晒す陽一郎の勃起は治まらず、けれど、血の気が引いた身体は、どこか冷めていて。
陽一郎の都合などお構いなしの来生は、愉しそうにその蒼白な顔に突きつけられた写真を覗き込んだ。
「可愛い新婦に、俺からの贈り物だ」
と言っても持ってこられないからそちらに送らせた、と言いながら見せた写真は、可愛らしい白馬の木馬だ。だがその背は鋭利に尖り、禍々しい張り型がその背から生えている代物で。
「動くんだよ、この木馬は。ほら最近流行の乗馬マシーンって奴みたいにな。ヨウの良い運動になるだろう?
「ひ、いぃぃ——」
掠れた悲鳴が迸る。可愛い故にその禍々しさがいっそう際立っていたのだ、それは。
「俺はこれだな」
同じく写真を見せてくるこのテーブルの男達は、皆が大きめの玩具を準備していたらしい。
写真には、開脚させて拘束できる椅子だったり、サイクリングマシーンだったり、バーベルセットみたいまものまであった。
「これは素晴らしい、ヨウも愉しく遊べそうだ」
満足げな来生の声など、度重なる贈り物の衝撃にショックを受けている陽一郎にはもう聞こえていなくて、しゃっくりを上げながらボロボロと泣き続けるだけだった。
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