【檻の家】(3)

【檻の家】(3)

 初めてペニスを受け入れ、刺激に熱を帯びた肉を、加藤のペニスが容赦なく最奥まで貫き、激しい抽挿を繰り返す。
 激しい水音が室内に淫らに響く間も、乳首も首筋も腰も、そして手綱を結ばれたペニスを弄ばれた。
 逆らうことを諦めた体は、刺激に敏感に反応して硬直しては弛緩し、異物を受け入れるアナルをさらに蕩けさせる。
 俯せに体を返されて、胸を床に押しつけた状態で道具のように尻を扱われた。
 アナルから注ぎ込まれたジェルがどろどろと流れ落ちる。それが茶褐色に汚れているのを指摘され、恥ずかしさに紅潮した肌を「感じてる」と嗤われた。
「詰まってやがる。先っぽが糞にぶち当たるぜ」
「それが好きなんだろ」
「それ、『も』、ですよね」
 刺激に降りてきた便すらも、男達にとっては快楽の道具だと言うことを思い知らされる。
「加藤さん、さっさとキレイにしようよ」
 嫌そうに肩を竦めた三枝に、もちろんと頷いた加藤が、抽挿を激しくする。
「ひぁっ、あ、きつぅ、イヤ──っ」
 体が跳ねる。
 奥深くにある便が押し上げられる苦しさに呻きながら、けれど、的確に抉られる前立腺の痼から強烈な快感が幾度も爆ぜるように生まれる。
「初めてでこれだけ快感が拾える子も珍しいな」
「ええ、ここまで素質があるとは正直驚いています」
「さすが鈴木さん、見る目があるねぇ」
 会話の間にも、愛撫は止まらない。
 乳首が引っ張られ、潰されて、赤く熟れて敏感になったところをつねられる。
 背筋の腰辺りの凹みを吸い付かれると、それだけで体がびくびく言うほどの快感が走った。そんなところが性感帯だなんて知らなかった場所を、男達に暴かれる。
 耳の下、ヘソの中、内股の付け根より。
 性感帯のある場所は、何度も吸い付かれて赤い痕がくっきりと残っていく。
「さあ、たっぷりと種付けしてやる」
「ああっ、は、やめ──っ、それだけは……外に──おねがっ」
 加藤のやろうとしてる事に気が付いて、けれど、懇願は誰の耳にも届かない。
「ううっ」
 腰を掴まれ引き寄せられて、ペニスが限界まで押し込まれた状態で加藤の体が停止した。
 だが、びくびくと小刻みな振動は敬一にまで伝わってくる。
 それが何を意味するのか、男である敬一が判らないわけでなく。
 ぽろりと涙が流れ落ちる。
 ゴム越しとはいえ、男に犯されたことには違いない。
 その衝撃に呆然と四肢を投げ出した敬一に、けれど、これが終わりでないことを伝える言葉が投げかけられた。
「さて、今度はキレイにしてからだな」
 音を立てて引き抜かれてまだ閉じきっていない場所に、再び指が入る。
 加藤がペニスから便に汚れたゴムを取り去って、袋の中に放り込んだ。露わになったペニスは、射精したにもかかわらずまだまだ硬度を保っている。
「あ……」
 まだ三人いるけれど、それでも最初の一人である加藤があんなに元気では、欲望の解放が一度きりではないことが判る。
 一体いつまで続くのかと怯えた敬一に、丹波が嬉々として手を挙げた。
「それ、俺やるぜ」
 その手にあるのは大きなガラスのシリンダー。
 目を瞠る敬一の体を別の手が押さえつける。
 イヤだ──と叫ぶ暇はなかった。


 膨れあがった腹を抱えて苦しむ敬一の体を、丹波が軽々と運んだ。
 部屋の一角にある扉を開ければ、少し広い空間があって、その先二つの個室のドアがある。
 その一つに連れ込まれ、便器に座らされる。足はM字に開脚し膝を肩で固定されて全てが丸見えだ。
「出て……出て行ってくれ……」
 たっぷりの浣腸液を入れられて、すでに10分が経っていた。
 10分持てば、トイレに連れて行ってくれるというので必死に耐えたけれど、腹はもう限界だ。
 けれど、丹波は出て行かないどころか、扉を全解放にして目の前で陣取っている。
 その背後には加藤がやはり愉しそうに笑みを見せ、視線は敬一の股間へと向かっていた。
「イヤだ……、出てっ、んくぅ──」
 激しい差し込みに、縛られた上体をひねり、身悶える。けれど、大きく広げられた大腿に引っ張られた尻は、その刺激に堪えられるものではなかった。
 ぶちゅ
 最初は、数滴汚れた液が零れて。
 空気が噴き出す音と、液体が噴き出す音が、交互に響いて。
「ひぃぃぃ──っ」
 がくりと深く俯いた敬一のまなじりから大粒の涙がこぼれ落ちる。
 呻き声が、噴出する音に紛れ長く響いた。
「うわぁ、たっぷり出るね」
「おまえだって引っ越したての頃はなかなか思うように出なかったろ。やっぱ他人の目があると思うと、緊張して便秘になるんだよ」
「だったら、しっかりキレイにしないとなあ」
「そうだな、後二回はしねぇとダメかもな」
 腸が痙攣して鋭い痛みに襲われながら、残った便を絞り出している敬一の姿を楽しむ二人に、涙がさらに激しくなる。
 このタイミングでの歓迎会も、そしてこんな行為に及んだのも、何もかも全てが計画的だったと判ってしまう。
 何より、鈴木が紹介してくれた時点で全てが罠だったのだから。
 一度嵌った罠から逃れる術は、獲物となったものには無いに等しい。
「も……許して……」
 腹が重く苦しい。
 便器に座ったまま呆然と二人を見つめる敬一の視界に、新しい液体に満たされたシリンダーがある。
 それが近づくのが叫びたいほど嫌なのに、もう体は逃げようともしない。
「許して……さい……、もう、イヤ……」
 そんな懇願に返されたのは、愉しそうな笑みだけだった。



 透明な水が出るまで洗浄された腸に、今度は三枝のペニスが潜り込んでいた。
 ゴムのない生の肉が敬一の肉壁に絡みつく。敏感になった肉がリアルに形を伝え、再開された愛撫が狂おしいほどに快感を伝えてくる。
「あ、はうっ、──やだぁ……そんな……」
 背後からのしかかられ、頭を床に押さえつけながら乱暴に犯される。
 胸に回った指が乳首を痛いほどにつねられて、そのたびに体に力が入って筋肉が締まる。アナルに入っている固い肉棒は、加藤のものと違うと判る自分がイヤだった。
 それなのに、感じてしまう。
 乱暴なのに、三枝のペニスは確実に前立腺を激しく押し上げるのだ。
 肉壁がペニスに絡みつき引きずり出される感覚に苦しく喘いだ直後、一気に前立腺を押し上げてくる。
 そんな動きをひたすら繰り返されて、苦痛も快感も何もかもが入り交じってしまって訳が判らなくなっていた。結局、抜かれても貫かれても、伝わってくるのが快感なのだ。
 ひくひくと陰嚢が震えて、何度も迫り上がろうとする。
 けれど、射精の瞬間まで、もうそこまで来ているというのに、達けない。
 白く弾けた視界のまま、さらなる爆発が何度も起こる。 
「おねが……達きた──達かせて……」
「勝手に達きな」
 そんなことを言われても。
 敬一が達きそうになる瞬間、三枝は持っていた手綱を引っ張った。
 先が陰嚢の根元をも縛っているそれをだ。そのせいで、絞られる痛みが快感を散らし、射精のための動きを阻害されて射精できないのだ。
 自慰しか知らない体に与えられる前立腺刺激の射精衝動はとてつもなく強く、敬一はさっきから泣いて許しを請うていた。
 こんな行為でこんなふうに強請ることもまた苦しめるけれど、それでも射精できない苦しみは、敬一の忍耐を凌駕していた。
 苦しくて。
 達きたくて。
 快感を耐えることがこんなに苦しいなんて知らなかった。
「ほらほら、達きたいなら達けよ」
 達きそうになる度に引っ張られる。
 その時の締め付けが最高なのだときつく締まる肉筒を乱暴に貫いて、達けない苦しみに泣く敬一をさらに激しく犯す。
「あ、はあぁぁ──っ、ああっ」
 涙が飛び散り、喉を晒し喘ぎ泣く敬一の体は、もう限界だ。
 けれど。
「じゃ、交替」
 熱い迸りが肉壁を汚したと思う間もなく、ペニスが入れ替わる。
「鈴木さぁん、もうちょっと余韻に浸らせてくれても……」
「だって、俺もう我慢できないんです。だって、こんな可愛い敬一君を見ていたら……」
「ひあ、んっ──、やだぁ、それっ、きつぅぅぅ」
 何が起きたか判らない間に、体をひっくり返されて、正常位で犯される。
 間で揺れる敬一のぬるぬるに濡れたペニスが互いの下腹で扱かれて、新たな刺激に喘いだ。
「敬一君、どうして欲しい? どこが一番気持ち良い?」
 さっきまで刺激され続けてきた場所とは違う肉壁を抉られたかと思うと、また前立腺を狙われる。
 鈴木の動きは小刻みで、狙う場所もバラバラだ。
「や、やぁ、そこっ」
 ペニスから伝わる快感が加わって、弛められた手綱のお陰で今すぐにでも達けそうなのに。
「んー、どこかな?」
 優しい声音なのに、鈴木の動きはやたらに意地悪なもので。
「そ、そこっ、そこがイイっ──あ、あ、やだぁ、違うっ、そこやだぁ……」
 良い場所をわざとらしくずらして、敬一を達かせない。
「どうして欲しい? どこをどんな風に? ちゃんと言わないとあげないよ」
 繰り返される命令に、従う道理など無いはずなのに。
 三枝でもう限界を訴えていた体は、簡単に鈴木に屈服してしまう。
 ゆるゆると入り口あたりで軽く抽挿するペニスは、やはり前の二人とは微妙に違う。
 けれど、もっと奥深くを貫いてくれれば、射精できるほどの快感が訪れることを、敬一はもう知っていた。
「突いて、もっと強く、深く」
「何を、どこへ?」
 にこりと優しく微笑まれて、鈴木なら達かせてくれそうだ、と期待が胸を満たす。
「……お尻に……それ……」
「お尻? お尻のどこをつけば良い? それって何?」
 けれど、はっきり言わないと聞いてくれないとばかりに言われて。
 敬一は泣き濡れた瞳で鈴木を見上げながら、震える口でイヤらしい言葉を紡いだ。
「お、お尻の穴……に、鈴木さんの……ニス……を……挿れて……」
「お尻の穴? そんな汚いところへ。それに、なんかうまく聞こえなかったんだけど、俺の……これのこと?」
 そう言われて腰を突き上げる。
「あ、あひっい」
 その拍子に僅かに快感の源を擦られて、震えたペニスからどぷりと濁りが混じった透明な滴が溢れ出た。
「そ、そこぉっ、お願い──、すず、きさん……お願いぃ」
「だったら、はっきり言ってよ。それに、今更上品ぶってもダメだよ。いつも自分が使っている言葉で言わないと、ね」
 子供のようにたしなめながら、けれど、その瞳は従わなければ何も与えないと教えてくれる。
 けれど、尻の穴が汚いと言われても、だけど、実際に鈴木のペニスはそこに入っているというのに。
 困惑しておろおろと視線を彷徨わせていると、三枝が肩を竦めて教えてくれた。
「マンコだよ。ただ、尻を使うから、ケツマンコって言えよ」
 それが女性器を表す卑猥な言葉だということくらいは知っている。
 そんな言葉を、自分の尻の穴に付けられるなんて、絶対にイヤだ、と思ったが、大きく目を見開いた敬一に、鈴木がその言葉を待っている姿が見えた。
 たぶん、鈴木はその言葉を言わない限り、焦れったい動きを止めないだろう。それに、こんな焦れったい動きでは、鈴木はなかなか達かない。それは、この行為が長引くことを示していた。
 だから。
「お、俺の……ケツマンコに、鈴木さんの……んぽ……チンポ、ください」
 言っていた。
 快感だけではなく、打算も加わって。
「へぇ、敬一君のそれって性器なんだ。そりゃ、突っ込まなきゃねえ」
 くすくすと肩を揺らして愉しそうに笑って、すでに突き刺さっている先をゆらゆらと揺らす。
「ふふ、敬一くんのマンコは俺のチンポ美味しいって言うかな? どうかな?」
「あ……美味しい……美味しいです……」
「そう、じゃあ、もっと味あわせて上げる」
「あ、ああ、もっとっ」
 三人のペニスで弄ばれたアナルは、確かにもう性器としか言いようがないほどに、敬一に快感を与える。
「美味しい?」
「お、オイシっ」
「じゃあ、もっと奥の方で締め付けてご覧」
「あ、あんっ」
 下腹部に力を込めると、中が締まる。リアルに感じるペニスの形に、ぞわぞわとした快感が走り回る。
「ふふ、ほんとうに美味しそうに銜えるね、敬一くんのマンコは」
 アナルの縁をなぞられて、性器だと辱められて。
「望めば望むだけ、このマンコにチンポを上げますよ。だから良い子におなりなさい」
 囁かれ、激しく前立腺を嬲られる。
「あ──、っ、はぁぁ──」
 噴き上げる精液が下腹に飛び散り、淡い茂みを白く汚していく。
 激しい快感は、自慰の比ではない。
 さっき指で達かされた時より激しくて、はあはあと大きく息をする敬一は忘我の状態だ。
「あ、あっ」
 けれど、鈴木の動きは止まらなくて、敬一の体を揺さぶり続ける。
「そうそう、敬一君の生活費は免除して、学費も援助することが決まっています。ただし」
 覆い被さった鈴木が、耳朶で囁く。
「逆らうことは許されません」
 脳に刻み込むように、快感とともに言葉が注がれる。
「四人の仲間には奉仕の精神で尽くすことが絶対条件」
「あ、あぁぁ──はあ、す、ずき、さっ──そこ、そこあぁぁ」
「そして」
「あ、ぁぁっ、──また、また達くっ、や、やだぁ──っ」
「従えば、最高の快楽が与えて貰えますよ」
「ひあ──ぁぁぁぁっ」
 続いた射精はさらに激しかった。
 さっきより量は少ないのに、ずっと突き上げられて達はっぱなしの状態なのだ。
 白く弾けた頭の中は、もう何を言われても音でしかない。さらに、過ぎる快感に苦しくて堪らない。
 粘膜に染みこむ汚濁の量が増えたのか、グチャグチャと激しい水音ばかりが響く。
 そんな中で、鈴木の言葉が続く。
「あなたの部屋は明日より毎日日替わりにしますからね。ローテーション表は用意しますから、その部屋で寝なさい。判りましたね」
 休むことなく突き上げられ、頭が勝手にがくがくと揺れる。
 それを鈴木達は肯定したことにしたらしい。
「良い子、可愛がってあげますよ」
「あ、ああ──もうっ──もう──」
 的確に突き上げられて、意識が爆ぜる。
 体が痙攣して、誰のものとも判らぬ汚濁に肌が汚れた。
 ふりかかるねとりとした粘液が、頬を伝い閉じることのない口の中を汚す。
 ぶるりと押しつけられた腰が震えた。
 熱い迸りが、奥深くに流れ込む。
「ったく、なげえんだから……。ついつい出しちまったよ、こいつってばエロ過ぎ」
 太い指が腕を掴む。
 半ば意識が飛んだ状態の体をなんなく抱え上げ、達ったというのに元気に屹立した上に下ろされる。
「あ、ぎぁぁぁぁっ」
 太い。
 それが自重によって容赦なく奥深くに入り込む。
 止めようと思っても、もう力の入らない体は支えることもできないのだ。
 その体を丹波が押さえつけて、最後まで押し込む。
「あっ、あぁっ、あっ」
 繰り返される忙しいな呼吸に意識せずに喘ぎ声が交じる。
 三本のペニスで解されたアナルが、それでもキツイと悲鳴を上げるほどの太さに、身動ぎ一つできない。
「そのうち、フィストできるほどにしてやるさ」
 座った状態で、腰をがくがくと揺すられる。
 大きく揺らぐ上半身を鈴木が捕まえ、加藤が喉に吸い付いていた。
「フィストなんてされたら、緩みすぎて愉しめません」
「それもそうか。でもあれはあれで愉しいけどなあ」
「やるなら、ゆっくりと広げてください。締め付けが衰えないようにね」
「りょーかいっ」
 太いペニスに押されて、もう色が薄くなった精液がぴゅっぴゅっと小刻みに噴き出す。
 自ら動くことのできない体を体の上で揺らして、ひたすら自分の快感を貪るのが丹波だ。
「おお、きつ」
 その強い締め付けで、若い性はあっという間に爆ぜた。
「ひあ──っ」
 その量が多い。
 三人分の、抜ける間もなく注がれた精液が、腹の中で踊っている。
「ったく、締めすぎだっつうの」
 文句を垂れながら、丹波の腕に力こぶができて。
「ああぁっ」
 思い切り良く引き上げたとたんに、敬一のペニスが噴出した。
 同時に、開ききったアナルからボタボタと三人分の精液が溢れ出す。
 もう漏れないように締め付ける元気すらなかった。
 なのに、その体がそのまま加藤の上に乗せられる。
 ぐちゅりと入り込んだペニスは、もう苦もなく奥まで入り込み、仰け反った体は再び快感の渦に飲み込まれていった。 


 夕方から始まった歓迎会は、朝日が昇る時間になってもまだ続いていた。
 時折休憩は交じるけれど、その間も敬一への愛撫は何らかの形で続いていた。
 もう、意識がほとんど無い状態でもバイブの刺激で、敬一の体がぴくぴくと痙攣している。
 枯れ果てるほどに出し尽くしたペニスは、それでもまだ僅かに持ち上がっていた。
「そろそろ寝ますか」
 ふわわぁと大きなあくびをした加藤が、ふらふらと自室へと戻っていく。
 バイブを挿れる前に中だけはキレイにしたので、もうやることはない。
「そうですね。今日はゆっくり休んで、明日からはまた仕事ですね。もうちょっと休みたい気分ですが」
「ええっ、なんか、もっと遊びてぇっ」
「ダメだって。さすがに今日は1日休ませてやろうよ。でないと、そうそうに壊れてしまう」
 三枝が大きくのびをして、それと、と言葉を続けた。
「体力が戻ったらピアス穴を開けようと思うんだ」
「お——っ、ピアス、そうだな。で、どこにどんなにするんだ?」
 自身が付けるのは興味は無いが、敬一なら絶対に似合うだろう。
 丹波の視線が、イヤらしく悶える敬一の肌を這う。
「ペニスと乳首は定番ですからね。まずはそこからでしょう」
「知り合いに見繕って貰うつもりさ。こう、見ただけで犯したくなるようなイヤらしいヤツを」
 ペニスには、特に太いのを。
 乳首には、バイブが付けられるタイプを。
「そういえば、ペニスバンドはどうします、それも頼めますか?」
「OK、任せとけ」
 あっという間に前立腺刺激だけの射精を覚えた淫乱な敬一には、絶対に必要なモノだ。
 一晩中侵し続けての徹夜明けだというのに、やたらにテンションの高い三人が愉しげに会話しながらそれぞれの部屋に戻っていく。
 各部屋の出入口にある大広間の中央に、敬一は放置されていた。
 瞼はほとんど落ちかけているけれど、僅かに焦点の定まらない瞳が見える。
 もう流す涙も無くなったのか、頬には干からびた痕が残っているだけだ。
 今なら逃げられる。
 けれど、疲れ切った体のせいでなく、逃げ出すことなどもうできなかった。
 これから先の生活費と学費の話はオマケのようなモノだ。
 問題は行為の最中撮られたたくさんの写真が彼らの手元にはあることだった。さらにビデオの映像には、自ら強請り悶える敬一が映っている。
 二巡目が終わった頃の休憩中に、敬一はそれらを見せられていた。
 そんなものが大学の教授や友人達の間に出回ったら。
 家族、親戚、その近所の人の目に触れたら。
 何かを言われた訳ではないけれど、敬一はもう自分が逃れられない場所にいるのだと理解していたのだった。
 
【了】