【会長の日常 ー専属秘書のお仕事編ー】

【会長の日常 ー専属秘書のお仕事編ー】

 某グループ某会長は四六時中大変忙しい。
 そんな彼をフォローするために、24時間対応の専属秘書がいる。
 当然、会長が息抜きしたいと願ったとき、その要望にも応えるのが秘書の仕事です。

 今回は、会長の急な休みの要求に秘書が応えます。
 会長にとり、秘書は秘書です。
 会長視点、道具、躾、服従

 某話では彼は社長ですが、めでたく会長になった後の話ということにしてください。




 プロジェクターを使用してスクリーンに大きく投影されている映像を眺めながら、私は秘書である久埜(くの)へと声を掛けた。
 おととし某有名大学経済学部を卒業し我がグループ会社の一つに入社、一年ほど営業職を務めた後、その働き方、性格、ひいてはその見目も好みだと私の目にとまって秘書に抜擢した男だ。
 秘書課にて三ヶ月ほど研修させ、私の専属秘書として自室の一室を与えたのが半年前。
 私の我が儘な要求に24時間対応しなければならない専属秘書は大変だが、最近ではかなり慣れてきたようだ。
 今も夜半過ぎ、私はルームウェアに着替えてゆったりとしてるが、彼はスーツという専属秘書としての姿で私の呼びかけに応えて近づいてきた。
 そんな彼よりも、私は先ほど携帯に入ったメッセージを見つめながら要望を伝えていく。
 今このメッセージより大切なものはないのだから。
「明日の朝一の会議参加は取りやめる、代理を立てろ。それから午後一の来客もキャンセル。ああだがキャンセルできないかもしれないな……そうだな、そちらは開発部長を代理に」
「……っ……は、い。かしこまりました」
 僅かな返事の遅れに続いた返答に、私は手元にあるリモコンのスイッチを押した。
「あっ……くっ……」
 零れる淫らな吐息が強くなり、離れた私の耳に震動音が届く。
 遠くなるその音を気にする間もなく、それも壁面を占拠するスクリーン横のスピーカーから零れた浅ましい喘ぎ声にすぐかき消えた。
 専用回線経由のリアルタイムの映像はタイムラグもなく、高精細で映し出されていた。
 天井設置のプロジェクタから投影された遊戯風景は今まさに最高潮だ。
 映っているのは弟の自宅の風呂場。
 個人宅にしては大きくそこは、大の男二人が横たわってもなお余る大理石のバスタブがある。その底を浸す粘性の高いローションが、激しく水音を立て続けていた。
 それもこれも、そのバスタブで淫らに悶え続けているたった一人の青年のせいだ。
 美しい漆黒と真紅の色で染められた絹糸を撚って作られたロープに戒められた肌色が、堪えきれない快感の中で淫らに悶えていた。
 胸の肉をくびり出すようにかけられたロープが作る間から、赤黒く熟した実が二つ突き出していた。その実をさらに抉り出すように深く貫くのは、その一品だけで一般庶民の家が建つほどのプラチナとダイヤの飾り。カラット数はそれほどでもないが、品質も色も最高級品でできたものだ。弟自らがデザインしたそれは、照明を反射して高貴な輝きを見せている。
『敬一君』
 我が弟にしてはあまりにも甘ったるい声に少々怖気が走ったが、まああの愚弟があそこまでのめり込むだけあって、あの奴隷はなかなかそそられる動きをしている。
 その身体を美しく飾り立てていた飾りが、身悶えながらローションの海に沈み込む。
 深く背をたわませたせいで緩んだ漆黒と真紅のロープ。その下の肌にくっきりと残る赤い痕は、緩んだ分だけ引き絞られたロープによってまた隠れた。
 苦しげな呻きがスピーカーを通して空気を震わせ、激しくなった水音が響く。
 彼を狂わせているのは、その尻に深く食い込んでいる大きな張り型だ。
 前に弟自らのものを象ったものだと言っていた、黒光りするもの。それが輪郭がぶれるほどに激しく振動している。
 そのせいで、彼は縛られ不自由な身体で身悶えているのだが、妙なる技により、もがけばもがくほどにそのロープは敏感な身体を締め付けていく。
 さらに肌を彩るロープの端は天井へと伸びていて、緩みが発生すると自動的に締め付けるような駆動部とつながっているのだ。
 宙を掻くように伸ばされた指先が、かろうじてそのロープを掴むが緩める力はない。
 粘液のせいで滑ってそのままバスタブの側面を滑り落ちた。滑った身体が仰向けになり、M字開脚で固定されて大きく割り広げられた股間が、巨大なスクリーンに投影された。
「ずいぶんと苦しそうだが、身体はとても喜んでいるようだ」
 クスクスと喉の奥からの笑い声を堪えることなく零し、手にしたグラスを口にした。
 そんな私に先ほど去った秘書の気配が近づき、同時に聞こえなくなっていた振動音がはっきりと届いてきた。
「どう思う、久埜」
 スクリーンに視線を向けたまま、グラスを持った手で指し示す。
「お前なら、あの奴隷をどういたぶってやる?」
 亀甲模様の終着点、歪に彩られた陰茎の根元から伸びたロープは身体を戒めるそれとつながり、身体が締まると同時に陰茎もきつくなっているはずだ。
 限界まで戒められているだろう、赤黒く充血した先端の姿は男としては痛ましい。
 だが、私のような性癖のものには、食べてしまいたいほどに美しい存在だと思う。
 舌先があれを味わいたいと蠢き、口の端から出て酒の味がする唇を舐める。
 弟の奴隷は、顔は好みではないが、あれの形は素晴らしいとは思う。
 あの青年で遊びたいと思うこともあるが、まあいつか、ということで楽しみにしておこう。
 それよりも今は。
「なあ、久埜」
 問いに対し返事がない秘書に視線をやれば、彼は画面を見ていなかった。
 固く閉じた目と、そして握りしめた拳が震えている。
 はっきりと聞こえる振動音と共に、奥歯を噛み締める音まで届いてきた。その額には汗が浮かび、そして近づいたからこそ私の鼻に嗅ぎ慣れた匂いが届いた。
 視線を動かせば、ダークグレイのスーツの股間がぐっしょりと濡れている。
「おやおや、いつお漏らしをしたんだい?」
 そう揶揄するが、その染みからはアンモニア臭はしない。
 淫らな雄の匂いでスラックスの中を満たした秘書は、私の問いかけに小さく首を振った。
 その僅かな動きにすら絶え入ったように、その喉が鳴る。
「お漏らしでないのかい? ならそれは何だい?」
「っ……せ……精……精液で、ございますっ」
 言葉とともに忙しない呼吸を繰り返す。その濡れた股間がガクガクと揺れていた。
 どうやらまた射精したらしいのが、見ているだけで判る。
「こらえしょうがないな、お前は。私は射精を許した覚えはないよ」
 スピーカーから射精を強請る声は聞こえていたが、今この室内ではそんな要望は聞こえていなかった。
「もっ、しわけ……ございませんっ」
 震える身体は今にも崩れてしまいそうだ。
「まったく、お前は弟のところの愚かな奴隷よりこらえ性がない。一度弟に躾けてもらうかい?」
 途端に目を見開いた秘書は、怯えの表情のままに首を激しく横に数度振った。
「い、いいえっ、お、お許しをっ……うんくぅ……うっ」
 だがすぐにまた浅ましく悶えて、開いていた瞳が虚ろに曇っていく。まなじりからは快楽の涙が零れていた。
 手にしたタブレットが力なく床に落ちる。毛足の長い絨毯に守られたタブレットに映るのは、私の明日のスケジュールだ。
「まあいい。それで明日はどうなった?」
「は、いっ、こ、香山さ……まが代理で出席にっ、んっくっ……」
「ああ、彼なら私の代理としては十分だな。だが彼がよく引き受けたな? 代価はなんだ?」
 私が経営するグループの中でも非常に優れた素質を持つ役員ではあるが、その分扱いづらくこんな会議出席の代理など引き受けそうにない。
 そんな彼を動かすにはそれ相応の代価が必要だ。
「あ、す……12時よりっ、あっ……」
 ランダムに変化していた振動音がひときわ大きくなり、久埜の身体が絨毯へ崩れ落ちた。
 四つん這いになった身体が、特に腰辺りが大きく揺れる。
 その頭にグラスを持った手を置き、止まった報告を促す。
「12時より?」
「あ、あっ……香山、様っの部屋でっ……お、踊りを……、踊りを披露っ、しますっ」
 揺れる頭に合わせて、グラスの中の琥珀の酒も大きく波立った。幾粒かの滴が久埜の柔らかな髪を濡らしていた。
「踊りか。相変わらずだな。それでどんな踊りか、リクエストはあったか?」
「は、はいっ……だ、抱き地蔵と獅子舞をっ」
「ほおっ、それはそれは。香山らしい」
 性技四十八手のうちの抱き地蔵と獅子舞。
 抱き地蔵はいわゆる騎乗位、獅子舞は対面座位の高難易度で座ったまま足を男側の肩に乗せてしまう形だ。
 どちらも受け入れる側は深い挿入感を味わえる体位で、長い逸物を持つ香山が好きな体位とも言える。
 もっともそれだけでないから踊りなのだが。
「香山の上でどんなふうに踊るのか、後で報告を聞こう」
「……は、……い……」
「それで午後の来客は?」
「か、開発部長様に……」
「そちらは?」
 香山ほどではないが、無理を言う代価は必要だ。そんなことはこの秘書こそよく判っている。
 ごくりと息を飲む音がして、震える声が伝えてきた。
「に、ちように……散歩、を、ご一緒、させて……いただきます……」
「なるほど。そろそろ発情期だったな」
 開発部長が飼っている大型犬は確かドーベルマンだったか?
「は、い……その、ように……」
 前に一度散歩を共にしたせいか、犬のことはよく判っているのだろう。恐怖に震えながら、それでも頷く秘書の汗が涙とともに顎を伝い落ちていく。
 だがそこに涎が混じったのはすぐだ。
 笑みを浮かべる私の傍らで、背を仰け反らせた久埜が遠吠えでもするかのように口を開けて舌を垂らしていた。
 強くなった淫臭が辺りに漂い、背後に突き出した尻はスラックスの縫い目が食い込んで、そこにある異物の存在を露わにしていた。
 それが服の上から判るほどにブルブルと震えている。
 徹底的に教育してあるから、全身が性感帯ではないかと思うほどに、快感には敏感だ。
 特に尻はどんな巨根すら受け入れる性器となっている。
 そこに与えた道具は、この秘書の玩具であり躾の道具でもある。
 私はグラスをそのまま久埜の頭に残し、ソファに置いていたリモコンを手に取った。
「久埜」
 笑みを浮かべながら、虚ろな視界の中にそのリモコンを差し出した。
「動かしなさい、一つ大きく」
 途端に揺れた身体。頭の上からグラスが、髪を濡らしながら落ちていく。
 瞳が見開かれた琥珀に汚れた顔。
 そこにそっと指を這わせる。
「久埜」
 ただそれだけで、私の意図は伝わる。
 秘書となってからまだ半年ほどだが、なかなか良く育ってはいる。
 ただ私には絶対服従であることを常々教えてはいるのだが、そこはまだまだ。
 最初の反抗的なときよりはマシだが、我慢がきかないのはどうしたものか。まだまだ私の意のままに動けるようになるには、多くの躾の時間が必要だろう。
 不意に秘書と私の視線が絡み、彼の震えた目蓋が絶望の中で閉じられていく。
 赤く薄い舌が若々しい色の唇から覗き、その舌先にリモコンを差し出せば、秘書は従順に私の言葉どおりプラス側のボタンを押した。
「――っ!」
 かちりと僅かな震動が掌に伝わる。被さるように声にならない悲鳴が室内にほとばしった。
 ほぼMAXで動き出した秘書のお気に入りの玩具は、彼を獣に変えてしまう。
「ひっあ――っ、あっ、ひゃうっ」
 言葉を忘れ、ただ快楽の本能のままに暴れ、人としての理性も思考も何もかも失うのだ。
 それだけの快楽を与えるものを深く咥えた尻を床に押しつけ、触れることを禁じていた胸と股間をその手で揉みしだく。
 その刺激にすら狂う姿に、私は罰はまた今度だと肩を竦めた。
「い、ィィっ、イイっ、あ、はぁぁぁぁっ、ああっ」
 だらりと口角から垂れた舌。
 言葉を忘れた獣は、浅ましく身悶え、吠えて。スピーカーから聞こえる弟の遊戯よりも激しく辺りを騒がせた。
 そんな秘書を見下ろし、私はその汗に濡れた髪を指で梳く。
「明日はその身体を清めずにスーツを着なさい。下着は許可しない」
 そんな私の言葉などもう耳に入っていない秘書をその場に残し、私は自分の寝室へと向かった。
 プロジェクターはつけっ放しだが、どうせ録画はしている。
 あの弟の遊戯は付き合ったら一晩中続くから、最初から全部を見る気はなかった。
 もっともこの秘書には良い暇つぶしにはなるだろう。
「あっ、あっ……だ、か、会長っ、うぅっ」
 私を呼ぶ声は、リビングの扉を閉めてしまえば何も届かない。
 手の中で響いた鍵をあの秘書は持っていないが、どうせあのままバッテリーが切れるまで獣になって悶えているだけだ。
 切れるのはあと一時間……いや二時間ほどだ。
 まあたいした時間でもない。
 その後はあのまま出社させて躾を受けた姿を香山に晒せば、より香山は喜ぶだろうし。
 香山は少々乱暴ものなので、踊らせると数日秘書の仕事ができなくなるのは困りものだが、しょうがない代価でもある。
 何しろ今宵は忙しい私の恋人が、わざわざ来訪してくれているのだ。
 しかも明日は休みだという朗報付きのメッセージを読んだ私にとって、明日の仕事の回避は最優先事項だ。
 専用の鍵で私のプライベート空間に入っていた彼は、ベッドの中から顔を上げ、微笑みを浮かべて迎えてくれる。
 サイドテーブルから差し出されたグラスを手にし、彼の頭を掻き抱きながらキスを落とした。
 クスクスと愉しげに笑う彼は、少々待たせてしまったことも気にしない。
 長い足がするりとベッドから降りれば、美しい肢体は白いバスローブに隠されていた。
 その肩を抱き寄せ、軽い口付けを交わしながら共に窓際へと寄った。
 闇の中、眼下に美しい夜景が広がっているのを堪能するために。
 建物のあの窓の一つ一つに、人の営みがある。
 実際の様子が見られるわけではないが、その窓の奥でどんな団らんが過ごされているのか想像するのは好きだ。
 温かい家庭なのか冷たいものなのか。
 喧嘩しているところもあるかもしれないが、中には美しい愛の交合をしているところもあるかもしれない。
 そう、私達のように。
「明日は私も休みがとれたよ。だから一日ゆっくりと過ごせる」
 愛おしげに私を見る瞳が喜びに細められ、腕に抱きつく力が強くなる。
 想像する人々の営みなどより、私を見上げる恋人と過ごす夜ほど素晴らしいものはないだろう。
 伸ばした指でそっと頬に触れるだけで愛すべき彼の涼やかな声が甘く蕩けていく。
 あまにも可愛らしくて頬を突けば、そんなちょっとしたいたずらに怒る様も可愛くて。
「愛しているよ、マイハニー」
 私にしては似合わぬ甘ったるい告白も、幸せの中では愉しいものだった。


 朝になって今度は本当にお漏らしをしていた秘書に、罰として陰茎を下に向けた状態で固定する貞操帯を取り付けたまま出社させた。
 勃起しようとすれば痛むが、射精できないわけではない。ただ勢いよくは無理だろうが。
 それに排泄には影響もないから付けっぱなしが可能なタイプだ。
 ついでにその夜、その鍵を恋人に渡したキーチェーンに取り付け、預かってもらった。
 小さいがおしゃれなデザインの鍵はちょうどよいアクセサリーだと喜ばれて私も嬉しい。
「今度逢えるまでのお守り代わりに持っていてくれるかい。君の撮影が大成功するように祈ってるよ」
 しばらく海外に撮影旅行に行くという恋人が帰国するのは一ヶ月後。
 別れを惜しむ恋人と口付けを交わし、名残惜しげに別れると自室は一気に静かになり寂しさすら沸いてくる。
 そんな部屋でゆったりとくつろいでいると、秘書との連絡用携帯に着信が入ってきた。
『本日の会議の準備などに久埜くんにはお世話になったので、慰労の宴をしたいと考えています。もう少し借り受けたいのですがよろしいでしょうか?』
 送信者は秘書だが、中身は香山からだった。
 私に伺いを立てる体裁ではあるが、時間的に宴はすでに始まっているだろう。そんなメッセージに、私は『構わない、香山君が望むように』と返す以外何ができるだろうか。
 送信し苦笑を浮かべた私の携帯がすぐに着信を知らせる。
 開いたメッセージは写真付きで、そこには秘書が映っていた。
 高性能の機種を持たせているから、映像も非常にクリアで隅々まできれいに映っている。その写真から彼がずいぶんと宴を堪能しているのが伝わってきた。
 朝着ていったスーツはソファと身体に挟まれてくしゃくしゃになり、全裸で貞操帯だけを身に着け、大きく開脚した姿を余すとこなく晒している。
 写真の大半を占めるのは彼だが、その両手両脚を押さえつける男の手が見えていた。その四本全てが違う男のものなのは、その形状から明らかだ。たぶん右腕を押さえているのは香山だが、残りの三本は私の記憶にはない。いや、一つはもしかすると警備主任の遠山かもしれない。
 本社でも一番の巨躯である彼は元レスラーで、その腕も人一倍太いし、喧嘩上等な性格だから拳ダコがくっきりとあった。その毛深い拳につながるこれまた太い指が、秘書の太ももに食い込み左足を横に大きく広げていた。
 さらにその広げられた股間で戒められた陰茎を、恍惚のままに舐めている青年の顔があった。横顔しか見えないが、明らかに薬か何かで飛んでいる表情だ。しかも彼の細腕は、四肢を捕まえている腕とは明らかに違うから、そこにいるのは計五人。
 いや、写真を撮っているものがいるから、六人か。
 その陰茎をアメのように味わっているの若い彼は、前にどこかで。
 確か今年の新入社員だったか?
 白く細い首にはめられた武骨な首輪に、その背は鞭の痕が無数に入っているのを見て取って、ああと思いだした。そういえば、最近警備主任がペットを飼いだしたと言っていた。
 そんな彼の細いとはいえ男の手が、秘書の股間の奥に消えている。手首は見えるがその先は身体の中にまで入り込んでいた。
 その腕は前後させていたのか表面が粘液で滑っているし、秘書の穴の縁がめくれ上がっているのも拡大すればよくわかった。
 しかも、大きく広げられたそこの奥にある秘書の性感帯を激しく嬲られているのか、彼は白目を剥いて浅ましく喘いでいるのが静止画でも伝わってくる。
『素晴らしい宴のようだ。久埜も喜んでいるだろう』
 返したメッセージに続けてさらに返信が。
 今度は音声が入ったメッセージだった。
『か、かいっ、会長ぉっ、あひぃ、たす、たすけ! たすけてぇぇっ!! ひぁぁっ、深い、ふかーいっ! ダメぇ、狂、くるっ、ひぃぃぃっ、あがっぁぁっ!!』
 秘書の歓喜の声が延々と続いていた。
「楽しんでいるようで何よりだ」
 彼は毎日秘書としての仕事を全うして、私と会社のためにその身を削ってくれている。
 当然褒美は必要だが、その褒美は今まさに香山から貰っているのだから、今回は特に準備は必要ないだろう。
 いや、また新しい道具でも準備するのもいいかもしれない。
 そろそろ昨夜の玩具も飽きてきているようだし。
 そんなことを考えながら、私はその秘書との直通でもある携帯の電源を切って寝室へと向かった。
 緊急性のある連絡も恋人からの連絡も別の携帯に入ってくるから、秘書が休みのときには切っているのだ。
 さて、道具に関してはいつでも考えられるが、明日からまた分刻みの仕事が待っている。
 今宵は英気を養うために早々に寝ることにしたのだった。

【了】