元々はイラスト用のSSでしたが、イラストは下げたので中途半端なお話だけです。

(1)
 目覚めたリオンはすぐに自分がおかしな状況になっていることに気が付いた。
 ベッドに全裸で括り付けられているのだ。手は頭の上、足は大きく割り広げられて閉じることができない。
 しかも目の前にいた見知らぬ男は、何を問うても一言も応えてくれなかった。
 昨夜、ごく普通に自宅のベッドに眠ったはずなのに、何がどうなったのか?
 喚いても脅しても泣いても、男は表情一つ変えなかったというのに。
 ひとしきり喚いて疲れ果てて。ぐたりと力を抜いたその瞬間、男が目の前に何かを突きつけた。
「俺の言葉に逆らうようであれば、いますぐにこいつをおまえの尻穴に突き刺してやる」
 嗤いながら見せつけてきたその凶悪な形に、全身の血の気が失せ、恐怖にガタガタと打ち震えた。リオンのものより二回りは太く、しかも尖った鱗のようなササクレがびっしりと覆っている。亀頭部も巨大で、エラはめくれ上がっており、鈴口はひどく歪だ。
「む、無理だっ、そんなのっ」
「無理でもやるさ。どうする? 括約筋が千切れて一生垂れ流しの生活を送るか、俺の言うことを聞くか」
「そ、んな……」
 確かにあんなものを入れられたら、一気に裂けてしまうだろう。
「イエスかノーか?」
 聞きたいのはそれだけだとばかりに、凶器を肛門に押しつけられて、リオンは深く考えることなく「イエスっ!」と叫んでいた。
(2)
 男をマスターと呼ばされ、命令には全て従うことを強要された。
 一言でも拒絶すれば、あの凶器を見せつけられ、鞭やロウソク、浣腸に尿道拡張と、激しい痛みを伴う行為を何度も繰り返された。気を失っても強制的に目覚めさせられ、弱り切るまで続けられる。
 リオンはそんなに弱い精神ではないけれど、繰り返される拷問にあっという間に精神が屈していった。
 身体の方も、体内を抉られて味わう今までにない快感に、すぐに尻だけで射精するようになった。肛門にはありとあらゆる物が入れられて、拡張されて。
 張り型を見せつけられるだけで、肉壁がひくひくと震えるようなった。
 そんなリオンが、自分を守るためにマスターの言葉に従順になった頃のこと。
「その鏡の前で、ケツを振りながら、こいつを突っ込んでイケ」
 そういって渡されたのは太いキュウリ。
 否と言うこともせずに、鏡に尻を向けてキュウリを挿入した。
 今やもう、この程度の太さなどぐちゅぐちゅと簡単に入っていく。
「立ったまま、尻が鏡に向くようにな。良いと言うまで休むな。嬉しそうに頬張り続けろ」
「はい、マスター」
 そう答える頃には、すでに全身に快感が広がり始めていて。
 リオンはすぐにキュウリで快感を追うことに夢中になっていた。
(3)
 あの鏡がマジックミラーで、向こう側はオークション会場だったのだと知ったのは、その直後のこと。
 客の一人に高額で競り落とされたと聞いて、何が起きたか判らないうちにリオンは狭い檻に入れられて、車の荷台で運ばれていった。
 ここがどこだか判らない。
 昔の貴族の屋敷を改造したような広い屋敷と庭園で、リオンは今、人どころか飼い犬よりも劣る存在として飼われている。
「出すつもりねぇんなら、散歩は終わりだ」
「あ、あう──ぅっ、まぁって、ああっ」
「おい、てめぇはメスイヌだろうが。メスイヌはメスイヌらしく腰を落とせ」
「は、はいっ」
 言われるがままに腰を落として、必死になって肛門を締めて、動かない張り型から快感を貪る。
 あの張り型はリオンと一緒に運ばれて、散歩の度に入れられる。
 けれど大きくて歪で入れる時にはたいそう苦しませるくせに、入ってしまうと今度は動く機能が無いのだ。そのせいで、リオンはひたすら自分の腰をふりたくり、尻を引き締めて、僅かに生まれる振動に縋り付くしかない。
 はやくイカないと……。
 このマスターの気は短い。早くしないと、散歩の時間が終わってしまう。
 焦って必死になるリオンの姿に、マスターの舌打ちが重なる。
「ぎゃんっ!」
 不意に直腸に激しい衝撃が走った。 マスターが張り型を蹴り飛ばしたのだ。
「ひ、ひぃぃんっ、ぎぃっ」
「なんだ、出たのか」
 はげしい痛みの中、コシのある先端で前立腺を思いっきり穿たれて世界が弾けた。地面に向かってびょるびゅると白い液が噴出する。
「ったくよお、マーキングにどれだけ時間かけてんだ、帰るぞ」
「ひあぁっ」
 溜まりに溜まったザーメンは、まだまだ終わりを告げない。
 激しい快感に犯された身体は力が入らないけれど、無理に身体が引きずられ、ほとんど這うようにリオンは蠢いた。
 この屋敷にもいる普通の飼い犬は、散歩の時以外排尿しないし、排尿はマーキングの行為を示す。
 このマスターは、それをリオンに強要する。
 メスイヌ リオンのマーキングはザーメンで、故に、射精できるのは散歩の時だけ。しかも、太いだけで動かない張り型を自ら締め付けて達くことを強要される。イヌだから手は使えない。
 最初の頃は厭でしょうがなかった散歩だが、今は散歩と聞くだけでリオンの身体は興奮し、瞬く間に勃起して、だらだらと先走りを垂れ流す。
 毎日激しい肛虐を含む調教を受け続けるリオンにとって、僅かな解放の時。
 しかも次の散歩はいつになるのか、リオンにはまったく予想が付かない。
 たらたらと未だザーメンを垂れ流した陰茎は、まだびんびんに勃起して、もの足りないと言っているけれど、屋敷に連れ込まれた瞬間、散歩の時は終わりを告げた。
【終わり】