緑姫(3)

21  タクシーに押し込められ連れて来られたのは、都心の高級ホテルだった。  ロビーで呆然と受付で話をしている卓夫の様子を見つめる。スーツ姿の卓夫はまだしも、カジュアルな格好の篤彦はあまりにも場違いだ。  戻ってきた卓夫 …

緑姫(2)

11  久しぶりにくぐった家の玄関は、多分前と何も変わらなかったはずなのに。  触れた扉の感触も、裸足で踏んだ床も、どこかしっくりこない。  まるでここが自分のテリトリーでないような落ち着きの無さがあった。一年前からずっ …

緑姫(1)

 兄弟間の確執、鬼畜攻×健気受、道具責め、売春 【緑姫】  林 篤彦(はやし あつひこ)。  最後にそう呼ばれたのはいつだったろう。  そんなことを考えて、けれど。考えるまでも無く、はっきりと記憶に残るそれに自嘲する。 …